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ニュース・海外 2025年12月17日

【海外事例】Inside Cleo’s vision for an AI-native supply chain …

Inside Cleo’s vision for an AI-native supply chain that thinks aheadについて

【Why Japan?】なぜ今、日本企業がこの海外トレンドを知る必要があるのか

2024年問題、深刻化する人手不足、そして高止まりする燃料費。日本の物流業界は今、まさに構造的な変革を迫られています。多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に着手していますが、その多くは既存業務の効率化、いわば「守りのDX」に留まっているのが現状ではないでしょうか。

しかし、世界に目を向けると、潮流は大きく変わりつつあります。外部調査によれば、サプライチェーンの混乱は過去1年で38%も増加しており、これはもはや日常的な経営リスクとなっています。このような状況下で、問題が発生してから対応する従来の「事後対応型」のサプライチェーン管理は限界を迎えています。

今、求められているのは、混乱を予測し、問題が発生する前に手を打つ「予測型」サプライチェーンへのパラダイムシフトです。この変革の旗手となっているのが、米国を拠点とするB2B統合プラットフォームのリーダー、Cleo社です。

本記事では、物流業界の海外トレンドウォッチャーとして、Cleo社が提唱する「AIネイティブなサプライチェーン」のビジョンを深掘りします。単なる技術紹介に留まらず、この先進的な思想を日本の物流企業がどのように自社の競争力強化に繋げられるか、具体的な事例と実践的なヒントを交えて徹底解説します。来るべき変化の波を乗り越え、勝ち残るための戦略を描く一助となれば幸いです。

参照:2025年物流DX トレンド|物流業界への衝撃を徹底解説[企業はどう動く?]

海外の最新動向:米・欧・中で加速する「予測型」への転換

Cleo社の動きは、世界的なサプライチェーンDXの潮流と密接に連動しています。主要国・地域では、それぞれ異なるアプローチで「予測型」への移行が進んでいます。

国・地域 主な動向 代表的なプレイヤー
米国 スタートアップ主導でAI活用が活発化。エコシステム全体の可視化と予測分析に注力。ベンチャーキャピタルからの投資も旺盛。 Cleo、project44、FourKites、Flexport
欧州 サステナビリティ・環境規制(CBAM等)を起点としたトレーサビリティ強化がDXを牽引。データの透明性確保が最優先課題。 SAP、Siemens、Maersk
中国 ECプラットフォーマー主導によるデータドリブンな物流網構築。膨大な取引データを活用した需要予測と自動化が強み。 Alibaba (Cainiao)、JD.com (JD Logistics)

米国:AIスタートアップが市場を牽引

シリコンバレーを中心に、サプライチェーンの特定領域に特化したAIスタートアップが次々と登場しています。リアルタイムの輸送可視化プラットフォームを提供するproject44は、2022年に約80億ドル(約1.2兆円)の評価額で資金調達を実施。Cleo社のように、企業間のデータ連携基盤(iPaaS)にAIを組み込み、エコシステム全体のインテリジェンス向上を目指す動きが主流です。彼らは個別の業務効率化ではなく、サプライチェーン全体を一つの生命体のように捉え、その未来の挙動を予測することに焦点を当てています。

欧州:規制が後押しするサステナブルDX

欧州では、企業の環境責任を問う規制がDXの強力な推進力となっています。例えば、国境炭素調整措置(CBAM)に対応するには、製品の製造から輸送に至るまでのCO2排出量を正確に追跡・報告する必要があります。このため、ブロックチェーンやIoTを活用したトレーサビリティプラットフォームの導入が進んでおり、結果としてサプライチェーン全体の透明性と予測精度が向上するという好循環が生まれています。

中国:ECジャイアントが築く巨大物流エコシステム

中国では、Alibaba傘下のCainiao(菜鳥網絡)やJD Logisticsといった巨大EC企業が、自社の物流網を社会インフラとして開放し、圧倒的なデータ量を武器に物流DXをリードしています。例えば、過去の販売データ、天候、地域のイベント情報などをAIで分析し、数週間先の需要を予測。それに基づき、商品を消費者に最も近い倉庫へ事前に配置する「予測先行配置」は、彼らの得意とするところです。

先進事例:Cleo社が描く「先読みする」サプライチェーンの全貌

こうした世界の潮流の中で、Cleo社が提唱する「AIネイティブなサプライチェーン」は、特に注目に値します。彼らのビジョンの核心は、単なる未来予測に留まらず、予測に基づいて最適なアクションを自律的に実行する「オーケストレーション」にあります。その中核を担うのが、同社の統合プラットフォーム「Cleo Integration Cloud (CIC)」です。

「反応型」から「予測型」へ:損失を未然に防ぐ

従来のサプライチェーンでは、発注の遅延、輸送中のトラブル、納品先での荷受け拒否といった問題が発生してから、担当者が電話やメールで奔走するのが当たり前でした。この「反応型」アプローチは、機会損失や違約金(チャージバック)といった直接的なコストだけでなく、顧客満足度の低下という見えざるコストも生み出します。

CleoのCICは、この常識を覆します。プラットフォーム上で連携する数多の企業(自社、サプライヤー、物流パートナー、顧客)の取引データをリアルタイムで分析。過去のパターンと外部データ(天候、交通情報、港湾の混雑状況など)を統合し、潜在的なリスクを事前に特定します。

具体例:

ある部品サプライヤーからの納品が、過去3ヶ月で特定の曜日に遅延する傾向(確率70%)をAIが学習。さらに、その曜日の天気予報が悪天候であることを加味し、「3日後の納品に85%の確率で遅延リスクあり。代替輸送ルートの確保を推奨」といったアラートを、問題が顕在化する前に担当者へ通知します。

核となる技術「コンテキスト認識型オーケストレーション」

Cleoのビジョンの真髄は、「コンテキスト(文脈)認識型オーケストレーション」という概念にあります。これは、単に「データAとデータBを繋ぐ」というレベルの連携ではありません。

  • 過去の学習: 過去の全取引履歴から、「どの取引先が」「どの製品で」「どんな状況下で」問題を起こしやすいかパターンを学習。
  • 未来の予測: 天候、交通、社会情勢などの外部データを取り込み、未来のリスクを予測。
  • インテリジェントな実行(オーケストレーション): 上記2つを組み合わせ、文脈を理解した上で最適なアクションを推奨、あるいは自動実行します。

これにより、システムは単なるデータパイプラインではなく、サプライチェーン全体を指揮する「司令塔」としての役割を担うのです。

取引先連携を劇的に高速化する「AIノーコード・オンボーディング」

サプライチェーンの俊敏性を高める上で、新規取引先とのシステム連携(オンボーディング)にかかる時間は大きなボトルネックです。特にEDI(電子データ交換)の導入には、専門知識を持つエンジニアによる数ヶ月単位のマッピング作業が必要でした。

Cleoは、このプロセスにAIを導入。過去の膨大な連携パターンを学習したAIが、新しい取引先のデータフォーマットを解析し、最適な変換マッピング案を自動で生成します。これにより、数ヶ月かかっていた作業が数週間、場合によっては数日に短縮されるといいます。これは、ビジネスチャンスを逃さず、迅速にサプライチェーン網を拡大・再編する上で絶大な効果を発揮します。

このEDI連携の自動化という思想は、以前ご紹介したOrderful社MosaicのEDIマッピング撤廃戦略|海外事例に学ぶ物流DXの未来とも共通しており、業界全体の大きなトレンドと言えるでしょう。

日本への示唆:海外事例を「対岸の火事」で終わらせないために

Cleo社の先進的なビジョンを、日本の物流企業はどのように活かせばよいのでしょうか。ここでは、国内に適用する上でのポイント、障壁、そして今すぐ始められることを整理します。

適用する場合のポイント

中小企業こそスモールスタートの好機

「AIによる予測など、大手企業だけの話だろう」と感じるかもしれません。しかし、Cleoのようなクラウドベースの統合プラットフォームは、自社で大規模なサーバーインフラを構築する必要がなく、初期投資を抑えやすいというメリットがあります。全社一斉導入ではなく、まずは特定の重要取引先との間の受発注プロセスや、特定の製品ラインの在庫管理といった領域に絞ってスモールスタートし、効果を検証しながら範囲を拡大していくアプローチが現実的です。

既存資産の有効活用

日本企業が長年蓄積してきた基幹システム内のデータは、AIにとって貴重な「教師データ」の宝庫です。Cleoのようなプラットフォームは、こうした既存システムと連携(API連携など)させることで真価を発揮します。全てをリプレイスするのではなく、既存資産を活かしながら、予測・オーケストレーションという新たな価値を付加する視点が重要です。

乗り越えるべき障壁

商習慣の壁とデータ共有への抵抗感

日本のサプライチェーンは、系列や長年の取引関係に基づく、ある種クローズドな関係性で成り立っている側面があります。この構造は安定性を生む一方、企業や部署の壁を越えた水平的なデータ共有を阻む要因にもなり得ます。「自社のデータを他社と共有することへの心理的・物理的な抵抗」は、予測型サプライチェーンを実現する上で最大の障壁と言えるでしょう。

データフォーマットの乱立

EDI一つをとっても、日本では業界ごとに異なるレガシーなフォーマット(JCA手順、全銀手順など)がいまだに数多く利用されています。流通BMSのような標準仕様も存在しますが、完全な統一には至っていません。このようなデータの「方言」を吸収し、標準化するプロセスが、導入の初期段階で大きな負荷となる可能性があります。

日本企業が「今すぐ」真似できること

Cleoのプラットフォームを明日から導入するのは難しくても、その思想を学び、自社のオペレーションに取り入れることは可能です。

  1. 社内データの「見える化」から始める:
    まずは自社内に散在するデータ(受注、在庫、輸配送、過去のクレームなど)を一元的に可視化することから始めましょう。BIツールなどを活用し、どこにボトルネックや非効率が存在するのかをデータに基づいて把握することが、全ての改善の第一歩です。

  2. 主要パートナーとの「データ連携」に向けた対話:
    最も取引量の多いサプライヤーや顧客と、「もっと効率的に情報共有できないか」という対話を始めてみましょう。最初はFAXの電子化や共通フォーマットでのExcel共有といった小さな一歩でも構いません。データ連携の成功体験を一つ作ることが、次のステップへの弾みとなります。

  3. 「What-If分析」の習慣化:
    「もし、このサプライヤーからの納品が3日遅れたら、どの生産ラインに影響が出るか?」「もし、需要が20%増加したら、現在の在庫と輸送キャパシティで対応できるか?」といったシミュレーション(What-If分析)を定常的に行う文化を作りましょう。これが「予測型」思考への転換を促します。

まとめ:AIは「脅威」ではなく「優秀な副操縦士」

Cleo社が提唱する「先読みするAIネイティブなサプライチェーン」は、もはやSFの世界の話ではありません。不確実性が常態化した現代において、企業の持続的な成長を支えるための必須戦略となりつつあります。

重要なのは、AIを人間の仕事を奪う「脅威」としてではなく、複雑な状況判断を支援してくれる「優秀な副操縦士」として捉えることです。Cleo自身も、AIによる完全な自律的意思決定には慎重であり、まずは人間への「推奨」や「警告」から始める段階的なアプローチを推奨しています。

日本の物流業界が直面する課題は深刻ですが、見方を変えれば、それは旧来の仕組みを刷新し、新たな競争力を手に入れる絶好の機会でもあります。海外の先進事例から学び、自社の状況に合わせて一歩ずつでも「予測型」へのシフトを進めること。その先にこそ、不確実な時代を勝ち抜く道が拓けているはずです。

より詳細なCleo社のビジョンについては、こちらの記事もご参照ください。
Inside Cleo’s vision for an AI-native supply chain that thinks aheadについての最前線

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