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Home > サプライチェーン> SEMICON/半導体展示会19日まで、ロジスティクスパビリオンに注目について|物流現場への衝撃と対策
サプライチェーン 2025年12月18日

SEMICON/半導体展示会19日まで、ロジスティクスパビリオンに注目について|物流現場への衝撃と対策

SEMICON/半導体展示会19日まで、ロジスティクスパビリオンに注目について

東京ビッグサイトで開催中の国内最大級の半導体製造装置・材料の国際展示会「SEMICON Japan 2025」。3日間の会期で12万人もの来場者が見込まれるこの巨大イベントにおいて、今年、業界関係者の視線を釘付けにしているエリアがあります。それが、史上初めて新設された「ロジスティクスパビリオン」です。

なぜ今、半導体展で「物流」が主役級の扱いを受けているのでしょうか。

かつて「コスト」として削減対象でしかなかった物流が、今や半導体産業の「生命線」であり、企業の競争力を左右する「戦略的資産」へと変貌を遂げたことを、このパビリオンの新設は如実に物語っています。SEMICON/半導体展示会19日まで、ロジスティクスパビリオンに注目について、現地で起きている物流革命の波と、経営層・現場リーダーが押さえておくべき重要トレンドを解説します。

さらに詳しい背景については、既報の【徹底解説】SEMICON/半導体展示会19日まで、ロジスティクスパビリオンに注目について|物流が「戦略」に変わる瞬間もあわせてご覧ください。

SEMICON Japan 2025とロジスティクスパビリオンの全貌

まずは、今回のイベントの規模感と、なぜロジスティクスパビリオンが注目されているのか、その事実関係を整理します。世界35か国・地域から1216のブースが出展する中、物流企業が存在感を示している背景には、サプライチェーンの強靭化(レジリエンス)への強烈なニーズがあります。

開催概要と注目の物流プレイヤー

今回のSEMICON Japanにおける物流関連の動向を以下の表にまとめました。

項目 詳細内容
イベント名称 SEMICON Japan 2025
開催場所・期間 東京ビッグサイト(東展示棟など)/ 12月19日(金)まで
来場見込み 約12万人(3日間合計)
初の試み 「ロジスティクスパビリオン」の新設
主要出展企業 NXグループ(日本通運)、DHLサプライチェーン、キャセイカーゴ、山九 など
注目のキーワード サプライチェーン強靭化、精密機器輸送、在庫可視化、インド物流

各社が披露する「攻め」の物流ソリューション

単にモノを運ぶだけではない、テクノロジーを駆使した各社の展示内容は、物流業界の進化を象徴しています。

  • NXグループ(日本通運):

    もっとも注目を集めているのが、インド市場へのアプローチと技術力です。半導体工場の建設ラッシュが続くインドにおいて、独自開発のスマートフォンアプリを活用した「路面調査(ロードサーベイ)」を紹介。現地の道路事情をデータ化し、精密機器輸送のリスクを事前に回避する取り組みです。また、独自開発の防振パレットや輸送状態を可視化するサービス「Logivision」など、ハードとソフトの両面で品質を保証しています。

  • DHLジャパン:

    グローバルネットワークを活かした「在庫可視化プラットフォーム」を展開。世界中に散らばる半導体パーツの在庫状況をリアルタイムで把握し、欠品リスクを最小化するソリューションは、サプライチェーンの寸断に苦しんだメーカーにとって強力な武器となります。国内12か所に半導体物流拠点を構える同社の「面」での展開力も強みです。

  • キャセイカーゴ:

    航空貨物大手として、特殊貨物輸送ソリューション「キャセイエキスパート」をアピール。温度管理や衝撃管理が厳格に求められる半導体部材において、航空輸送のスピードと品質の両立を提案しています。

物流各プレイヤーへの具体的影響とビジネスチャンス

この「ロジスティクスパビリオン」の盛り上がりは、半導体業界だけの話ではありません。物流業界全体にどのような波及効果をもたらすのでしょうか。

運送事業者:高度化する輸送品質への対応

一般的なトラック輸送と異なり、半導体関連の輸送には「防振」「定温」「防塵」といった極めて高い品質が求められます。

  • 特殊車両・機材の需要増: エアサス車や空調車の稼働率が向上し、高単価な案件を獲得できるチャンスです。
  • ドライバーへの教育: 精密機器の取り扱いスキルを持つドライバーの市場価値がさらに高まります。

倉庫・3PL事業者:在庫戦略の転換点

従来の「Just in Time(必要なものを必要な時に)」から、有事に備える「Just in Case(万が一に備えて)」へのシフトが進んでいます。

  • 戦略的備蓄拠点の拡大: 工場隣接型の倉庫だけでなく、BCP(事業継続計画)観点から分散配置された倉庫ニーズが高まっています。
  • WMS(倉庫管理システム)の高度化: 単なる入出庫管理ではなく、メーカーの生産計画と連動した高度な在庫管理機能が必須要件となりつつあります。

荷主(メーカー・商社):物流選定基準の変化

荷主企業にとって、物流会社選びは「コスト」から「リスク管理能力」へと基準が変わりました。「安く運んでくれる会社」ではなく、「止まらないサプライチェーンを提供できる会社」がパートナーとして選ばれる時代です。

LogiShiftの視点:物流が半導体覇権のカギを握る

ここからは、ニュースの表面的な事実を超えて、今後の業界動向を独自に考察します。

「物理」と「デジタル」の融合領域が勝負を決める

今回の展示会で際立っていたのは、NXグループの路面調査アプリやDHLの可視化ツールに見られるように、「フィジカル(輸送)」と「デジタル(データ)」の融合です。

半導体は微細化が進み、ナノレベルの振動やわずかな温度変化で不良品となります。つまり、「どのように運ばれたか」という輸送プロセスのデータそのものが、半導体の品質保証書の一部になるということです。

今後、物流企業には「荷物を運ぶ」能力以上に、「輸送環境をデータで証明する」能力が求められます。トレーサビリティ(追跡可能性)を担保できない物流事業者は、半導体サプライチェーンの輪から弾き出されるリスクがあります。

日本の物流企業にとっての「地の利」と「技術」

日本は、台湾(TSMC)、韓国、米国をつなぐ半導体サプライチェーンの地理的な要衝です。熊本や北海道での工場建設ラッシュは、国内物流企業にとって千載一遇の好機です。

しかし、海外勢(DHLやFedExなど)も日本市場でのシェア拡大を狙っています。日本の物流企業が勝ち残るためには、日本特有のきめ細やかな「現場力(梱包技術や丁寧なハンドリング)」に、AIやIoTによる「可視化技術」をどれだけスピーディーに実装できるかがカギとなります。

NXグループがインドでの路面調査にアプリを活用したように、ローカルな現場の課題をデジタルの力で解決し、それをグローバルな品質基準にまで高めるアプローチこそが、日本企業の勝ち筋となるでしょう。

まとめ:明日から意識すべきアクション

SEMICON Japan 2025におけるロジスティクスパビリオンの盛況は、物流が産業の黒衣から「戦略的パートナー」へと昇華したことを証明しました。

明日から意識すべき3つのポイント:

  1. 「運ぶ」以外の付加価値を再定義する

    自社のサービスに「データによる証明(温度、振動、位置情報)」を付加できないか検討してください。

  2. 異業種連携を模索する

    半導体業界の知識を持つ人材の育成や、専門商社との連携により、特殊輸送のノウハウを蓄積しましょう。

  3. BCP提案を強化する

    荷主に対し、コスト削減だけでなく「サプライチェーンを止めないための物流網」を提案することが、高単価受注への近道です。

19日まで開催されるこの展示会は、物流の未来を占う重要な指標です。現地に行けない方も、各社が発表するプレスリリースや技術資料に目を通し、自社の戦略に落とし込むことを強く推奨します。

また、本件に関するより詳細な前段知識や、開催直前の期待値については、以下の記事でも詳しく解説しています。

【徹底解説】SEMICON/半導体展示会19日まで、ロジスティクスパビリオンに注目について|物流が「戦略」に変わる瞬間

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