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Home > 輸配送・TMS> JR東とJALの新幹線空輸連携|「26年開始」が地方物流を変える理由
輸配送・TMS 2025年12月24日

JR東とJALの新幹線空輸連携|「26年開始」が地方物流を変える理由

JR東とJAL、新幹線+航空機の海外輸送サービスを26年1月開始へ

物流業界に新たな動脈が生まれようとしています。

JR東日本と日本航空(JAL)は、2026年1月13日より、新幹線荷物輸送「はこビュン」と国際線貨物をシームレスに連携させた新サービス「JAL de はこビュン」を開始すると発表しました。

これは単なる「鉄道と航空の協力」ではありません。地方発のサプライチェーンを根本から再設計する、物流の「高速化・ワンストップ化」革命です。

物流の「2024年問題」による長距離トラック輸送の限界が叫ばれる中、地方の特産品や緊急パーツを、都心のハブを介さずに世界へ直結させるこの動きは、荷主企業や物流事業者にとってどのような意味を持つのでしょうか。業界の最前線から、そのインパクトと今後の展望を解説します。

「JAL de はこビュン」の全貌と仕組み

まずは、今回発表されたサービスの具体的な中身を整理します。これまでの「客貨混載」の実証実験レベルを超え、本格的な商用インフラとして構築されている点が最大の特徴です。

地方から世界へ「最速」で届けるロジスティクス

従来、地方から海外へ貨物を送る場合、トラックで空港まで輸送するか、複数の事業者を介して手配する必要があり、リードタイムや手続きの煩雑さが課題でした。今回の連携は、新幹線の「定時性・速達性」と、JALの「グローバルネットワーク」を直結させるものです。

特筆すべきは、輸送手配から通関手続きまでがワンストップ化される点です。これにより、地方の生産者や企業は、国内輸送の感覚で海外輸出が可能になります。

サービス概要の整理

以下に、発表された主要ファクトをまとめます。

項目 内容
サービス開始日 2026年1月13日
サービス名称 JAL de はこビュン
提供主体 JR東日本、日本航空(JAL)
対象ルート JR東日本管内の新幹線停車駅(新函館北斗、仙台、敦賀など)から羽田・成田空港を経由し、アジア主要5空港(シンガポール、台北、香港、バンコク、ホーチミンなど)へ輸送
取扱品目 生鮮食品(鮮魚、青果、花き)、高付加価値工業製品(機械部品、医療機器など)
第1弾事例 福井県敦賀駅から「越前がに」を台北へ輸送(当日中に台湾のレストラン等へ配送可能)
主要メリット 新幹線の定時性によるリードタイム短縮。通関手続きのワンストップ化。トラックドライバー不足への対応

なぜ「2026年1月」なのか?

2024年問題が深刻化する中、1年後の2026年スタートというスケジュールは、システム連携や通関フローの確立に万全を期すためと考えられます。特に、保税運送の取り扱いや、新幹線駅から空港までの「横持ち(ラストワンマイル)」のスムーズな接続におけるオペレーション構築が鍵となります。

物流各プレイヤーへの具体的な影響

この新サービスは、単に「カニが早く届く」だけの話ではありません。産業構造そのものに影響を与えるポテンシャルがあります。各プレイヤーの視点で影響を分析します。

地方メーカー・生産者:商圏の劇的な拡大

地方の製造業や第一次産業にとって、最大の障壁は「鮮度」と「距離」でした。

  • 生鮮品輸出の拡大:
    従来、地方空港からの国際線は便数や仕向け地が限られていました。新幹線を活用することで、羽田・成田という巨大ハブのネットワークを「地元の空港」のように使えるようになります。朝獲れの魚がその日の夜にシンガポールのディナーに並ぶスピード感は、商品の付加価値を劇的に高めます。
  • 緊急保守部品(MRO)の供給:
    地方に工場を持つメーカーにとって、海外顧客への補修部品供給はスピード勝負です。新幹線輸送を使えば、トラック輸送における渋滞リスクを排除でき、確実な納期回答(Commitment)が可能になります。

フォワーダー・物流事業者:輸送モードの再考

フォワーダーや3PL事業者にとっても、提案の幅が広がります。

  • BCP(事業継続計画)としての提案:
    自然災害や道路事情によるトラック輸送寸断時のバックアップルートとして、鉄道+航空のパッケージは強力な武器になります。
  • 脱炭素(GX)ソリューション:
    トラックから鉄道へのモーダルシフトは、CO2排出量削減に直結します。環境意識の高い荷主に対し、スコープ3における排出削減策として提案可能です。

倉庫・ハブ拠点:機能の変化

新幹線駅周辺の物流施設の役割が変わる可能性があります。これまでは消費地への「中継点」でしたが、今後は海外輸出のための「検品・梱包拠点」としての機能が求められるようになります。駅ナカや駅近接の倉庫需要が高まるでしょう。

LogiShiftの視点:今後の予測と提言

ここからは、単なるニュース解説を超えて、この動きが物流業界の未来をどう変えるか、そして企業はどう動くべきかについて、独自の視点で考察します。

1. 「線」から「面」への客貨混載ネットワーク化

これまでの客貨混載は、ローカル鉄道や路線バスを使った「点と点」の取り組みが主でした。しかし、JR東日本とJALという二大巨頭がシステムレベルで連携することで、日本の物流網に「高速旅客インフラ」という新しいレイヤーが正式に組み込まれたと言えます。

今後、このモデルは他のJR各社(特に新大阪や博多を持つJR西日本・九州)にも波及する可能性が高いでしょう。将来的には、全国の新幹線網がそのまま「超高速貨物鉄道網」として機能し、旅客需要の変動リスクを貨物収入でヘッジするビジネスモデルが定着すると予測します。

2. 「物流2024年問題」の回答は“長距離トラックの削減”

ドライバー不足に対する最も現実的な解は、長距離運行を減らすことです。
地方から関東圏の空港までの数百キロをトラックで運ぶ従来のモデルは、今後維持が困難になります。

  • トラック: 域内配送(ラストワンマイル・ファーストワンマイル)に特化
  • 新幹線・航空: 長距離幹線輸送を担当

この役割分担(マルチモーダル化)への移行が、今回のサービス開始によって加速します。荷主企業は、今のうちから「トラック一辺倒」のサプライチェーンを見直し、鉄道利用を前提とした梱包仕様やリードタイム設定に着手すべきです。

3. データ連携が生む新たな付加価値

「JAL de はこビュン」の真価は、物理的な輸送だけでなく、データ連携にあります。
予約、追跡、通関情報が一元管理されれば、将来的には「新幹線の座席予約システム」のように、貨物スペースをリアルタイムでダイナミックプライシング(変動料金制)で販売する未来もあり得ます。

空きスペースを安く販売したり、緊急時にはプレミアム料金で優先搭載したりといった柔軟性が生まれれば、物流コストの最適化にも寄与するはずです。

まとめ:明日から意識すべきこと

JR東日本とJALによる「JAL de はこビュン」は、2026年の開始に向けた大きな一歩です。物流関係者が今から準備すべきことは以下の3点です。

  1. 輸出ルートの再点検:
    自社の拠点(または顧客の拠点)の最寄りに新幹線駅がある場合、そこを「輸出港」として見なすシミュレーションを行う。
  2. 高付加価値商材の選定:
    コストはトラックより割高になる可能性があります。スピードと鮮度が価格に転嫁できる商材(高級食材、精密部品、医療検体など)をリストアップする。
  3. パートナーシップの再構築:
    陸送業者だけでなく、鉄道輸送に強いフォワーダーや、今回のスキームに精通したパートナーとの関係構築を進める。

「2024年問題」はピンチですが、物流構造を進化させるチャンスでもあります。新幹線と航空機という「日本が誇るインフラ」を組み合わせたこの新サービスは、地方経済とグローバル市場をつなぐ最強の架け橋となるでしょう。2026年を見据え、今から戦略を練り始めてください。

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