2024年問題を経て、2025年の物流現場は「ドライバーの労働時間削減」から「限られた時間内での品質向上」へと課題のフェーズを移行させています。
これまで、配送状況の確認や検品作業は、現場のドライバーに大きく依存していました。「荷物は積んだのか?」「どこまで配り終えたのか?」といった確認は、ドライバーへの電話連絡や、ドライバー自身の端末操作に頼らざるを得ず、これが安全運転の阻害や作業負荷の増大を招いていた側面は否めません。
株式会社ナビタイムジャパンが2025年12月23日より提供を開始する『ビジネスナビタイム 動態管理ソリューション』の新機能「荷物ステータス管理」は、この構造的な課題にメスを入れる重要なアップデートです。
管理者がPC画面から直接「荷物の状態」を把握・管理できるようになったことで、物流ラストワンマイルの現場はどう変わるのか。業界への影響と今後の展望を解説します。
ニュースの背景と詳細:管理者主導のステータス管理へ
今回のアップデートの核心は、これまでドライバーのスマートフォンアプリ操作に依存していた情報入力を、管理者のPC側でもコントロール可能にした点にあります。
新機能「荷物ステータス管理」の概要
従来、動態管理システムは「車両の位置」を知ることに主眼が置かれていました。しかし、今回の機能追加により、「個々の荷物の状態(積込・配送中・完了)」を管理者側で登録・確認できるようになります。
主な変更点と仕様
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| サービス名 | ビジネスナビタイム 動態管理ソリューション |
| 新機能名称 | 荷物ステータス管理 |
| 提供開始日 | 2025年12月23日(火) |
| 対象 | 同サービスの管理者PC管理画面およびドライバー用アプリ |
| 主要機能1 | 管理者による荷物登録:PCから配送荷物情報の登録が可能 |
| 主要機能2 | リアルタイム検品:積込・納品ステータスの双方向同期 |
| 解決課題 | 誤配送防止、積込漏れの防止、ドライバー操作負担の軽減 |
これにより、管理者は「車両がどこにいるか」だけでなく、「荷物が今どうなっているか」をデスクにいながらにして把握できるようになります。これは、車両管理(TMS)と簡易的な荷物管理の融合と言える進化です。
詳しくは後述しますが、倉庫内の動きを可視化する流れは業界全体のトレンドです。
(参考:日通DCX新機能|「1時間単位」の可視化が変える倉庫管理の常識)
業界への具体的な影響とメリット
この新機能が物流現場の各プレイヤーにどのような変化をもたらすのか、具体的なシーンを想定して解説します。
1. 管理者(配車担当・運行管理者):電話確認からの解放
これまでの動態管理では、ドライバーがアプリでステータスを変更し忘れると、管理画面上はずっと「配送中」のままであることが多々ありました。
- これまで: 顧客から「荷物はまだか?」と問い合わせが入ると、管理者はドライバーに電話をして状況を確認する必要があった。
- これから: PC画面上で「どの荷物が積込済みで、どの荷物が未完了か」が一目でわかるため、ドライバーへの不要な連絡が激減する。
また、管理者が事前にPCで荷物情報を登録しておくことで、ドライバーは当日の朝、スマホに表示されたリストに従って積み込むだけで済み、伝票との照合作業がデジタル化されます。
2. ドライバー:端末操作負荷の軽減と安全確保
ドライバー不足が深刻化する中、配送業務以外の「付帯作業」をいかに減らすかは喫緊の課題です。
- 作業の効率化: 複雑な入力作業が減り、本来の配送業務に集中できる。
- 心理的負担の軽減: 「積み忘れがないか」「誤配していないか」という不安が、システムによるチェック機能で解消される。
特に、多頻度小口配送を行うラストワンマイルのドライバーにとって、1件あたりの端末操作時間が数秒短縮されるだけでも、1日トータルでは大きな時間短縮につながります。
3. 荷主・着荷主:配送品質への信頼向上
誤配送や遅延は、荷主企業のブランド毀損に直結します。システム上で荷物ステータスが厳格に管理されることで、以下のようなメリットが生まれます。
- トレーサビリティの確保: 「いつ、誰が、何を」届けたかがデータとして残る。
- 誤配送の未然防止: 指定された荷物以外を納品しようとした際にアラートを出すなどの運用フロー構築が可能になる。
LogiShiftの視点:車両管理から「個品管理」へのパラダイムシフト
ここからは、単なる機能追加のニュースを超えて、このアップデートが示唆する物流業界の未来について考察します。
「場所」の管理から「モノ」の管理への進化
これまでの動態管理システム(TMS)の多くは、「トラックが予定通り動いているか」を監視するツールでした。しかし、ビジネスナビタイムの今回の動きは、管理の粒度を「車両」から「荷物(個品)」へと細分化させるものです。
これは、海外物流における「インテリジェント化」の流れとも合致します。単に監視するだけでなく、データを活用して現場の課題を解決するアプローチです。
(参考:「監視」から「解決」へ。海外物流が示すインテリジェント化の必須条件)
今後、以下の3つの変化が加速すると予測します。
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TMSとWMSの境界線の融解
- 従来、荷物の管理はWMS(倉庫管理システム)、配送の管理はTMSと分断されていました。しかし、「荷物ステータス管理」機能は、倉庫から出た後の荷物の状態を追跡するものであり、実質的にWMSの機能を配送領域まで拡張しています。中小規模の事業者にとっては、高額なWMSを導入せずとも、この機能だけで在庫移動の管理が可能になる可能性があります。
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「言った言わない」問題の完全デジタル化
- フマキラー等の事例で見られるように、伝票の電子化は進んでいますが、配送ステータスのリアルタイム共有はまだ途上でした。管理者がPCで登録し、ドライバーがアプリで完了させるという「情報のバケツリレー」がデジタル化されることで、責任分界点が明確になります。
(参考:フマキラー、伝票電子化「DD Plus」導入|4社連携で挑む物流自動化)
- フマキラー等の事例で見られるように、伝票の電子化は進んでいますが、配送ステータスのリアルタイム共有はまだ途上でした。管理者がPCで登録し、ドライバーがアプリで完了させるという「情報のバケツリレー」がデジタル化されることで、責任分界点が明確になります。
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エビデンスベースの運賃交渉
- 荷物の積み下ろし時間や待機時間が、荷物単位のデータとして蓄積されます。これにより、運送会社は荷主に対して「特定の荷物の検品・荷下ろしにこれだけ時間がかかっている」という具体的なデータを提示できるようになり、適正運賃収受の強力な武器となります。
企業はどう動くべきか
経営層や現場リーダーは、この新機能を単なる「便利ツール」として導入するのではなく、「検品フローの再構築」の機会と捉えるべきです。
- アナログ伝票の廃止: PC登録を正とし、紙伝票を減らす。
- 管理者の役割変更: ドライバーの監視役から、配送プランの最適化を行う司令塔へ。
まとめ:明日から意識すべきこと
『ビジネスナビタイム 動態管理ソリューション』の新機能「荷物ステータス管理」は、ドライバーの負担を減らしつつ、管理の質を高めるための現実的な解です。
明日から意識すべきポイント
- 現状把握: 自社の誤配送や積み忘れの原因は「ヒューマンエラー」か「仕組みの欠如」か?
- データ活用: 荷物単位のステータスが見えるようになった時、どの工程がボトルネックになっているかを分析する準備ができているか?
- ツール選定: 「車両」だけでなく「荷物」まで管理できるシステムへの移行を検討する。
2025年の物流は、ハードウェア(トラック・ロボット)の進化だけでなく、こうしたソフトウェア(管理機能)の進化が現場の生産性を左右します。ナビタイムジャパンの今回のアップデートは、その試金石となるでしょう。


