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Home > ニュース・海外> LiDAR王者が汎用ロボへ。新興Sharpaに見る「具身知能」の次なる一手
ニュース・海外 2026年1月20日

LiDAR王者が汎用ロボへ。新興Sharpaに見る「具身知能」の次なる一手

Hesai’s Three Co-Founders Launch New General Robotics Startup Sharpa

自動運転車の「目」として不可欠なLiDAR(ライダー)センサー。その世界市場でトップシェアを争う中国のHesai Technology(禾賽科技)をご存知でしょうか。ナスダックに上場し、米国のロボタクシーや日本の自動運転プロジェクトにも多数採用されている技術大手です。

そのHesaiを率いる3人の共同創業者(Li Yifan氏、Xiang Shaoqing氏、Sun Kai氏)が、新たな汎用ロボットスタートアップ「Sharpa」を立ち上げたというニュースが、世界のテック業界を駆け巡っています。

なぜ今、センサーの巨人が「ロボットの身体」そのものの開発に乗り出したのでしょうか。本記事では、この動きが示唆する「具身知能(Embodied AI)」の進化と、日本の物流現場に与えるインパクトについて解説します。

海外トレンド:センサーから「身体」への垂直統合

これまでロボット産業は、アームを作るメーカー、センサーを作るメーカー、そして知能(AI)を作る企業が分業するケースが一般的でした。しかし、ここ数年でその境界線が急速に崩れています。

自動運転技術のロボット転用

Hesaiが得意とするLiDAR技術は、3次元空間を高精度に把握するためのセンサーです。これまで主に自動運転車(AD)向けに開発されてきましたが、この技術はそのまま「自律移動ロボット」の核心技術となります。

Sharpaの設立は、自動運転で培った「環境認識能力」を、より複雑な動作が求められる「汎用ロボット(General Robotics)」に応用しようとする動きです。

  • 自動運転車: 道路というある程度構造化された環境を走る。
  • 汎用ロボット: 倉庫や工場、家庭など、非構造的で乱雑な環境で作業する。

後者の方が難易度は高いですが、環境認識の解像度とAIの処理能力が向上したことで、参入障壁が下がりました。

併せて読む: 「人格」を持つロボットが現場を変える。AgiBot×MiniMaxの衝撃

なぜ「Sharpa」に注目すべきか

Sharpaが注目される理由は、単なるロボットメーカーではなく、「最高レベルの目(LiDAR)」を「最初から統合した(Built-in)」ロボットを開発できる点にあります。

多くのロボットスタートアップは、外部から高価なセンサーを調達して統合するのに苦労しています。しかし、Sharpaは創業メンバーがLiDARのコスト構造と技術的限界を熟知しているため、センサーとAI処理を最適化したロボットを、競合よりも安価かつ高性能に提供できる可能性があります。

先進事例:Sharpaが描く汎用ロボットの戦略

Sharpaの具体的な製品ロードマップはまだベールに包まれていますが、業界アナリストや現地報道から見えてくる戦略は、物流業界にとって非常に示唆に富んでいます。

「具身知能」の実装加速

彼らが目指しているのは、特定のタスク(例:溶接だけ、搬送だけ)専用のロボットではなく、AIを搭載して多様なタスクをこなす「具身知能(Embodied AI)」の社会実装です。

具身知能とは、AIが物理的な身体を持ち、環境と相互作用しながら学習する技術のこと。Sharpaは、Hesai時代に培った大量の点群データ処理技術を活かし、ロボットが「見て、理解して、動く」プロセスを高速化しようとしています。

以下の表は、従来の自動運転技術がどのように汎用ロボットへ転用されているか、主要な技術要素を比較したものです。

技術要素 自動運転(Hesaiの強み) 汎用ロボット(Sharpaの領域) 物流現場での応用例
環境認識 数百メートル先の障害物検知 手元の物体認識と障害物回避 散乱した荷物を避けながら移動
位置推定 GPSと高精度地図(HD Map) SLAM(自己位置推定) GPSの届かない倉庫奥での正確なピッキング
判断・計画 車線変更や一時停止の判断 把持(つかむ)動作の計画 形状の異なるパケットの積み付け判断
コスト 車両価格に占める割合が大 量産効果による低価格化 中小規模倉庫への導入ハードル低下

中国エコシステムの強さ

中国では、AgiBotやUnitree、そして具身知能大手のDobotなどが既に激しい競争を繰り広げています。ここにHesai出身のSharpaが加わることで、技術競争は「AIモデル」だけでなく「ハードウェア(センサー)との統合」という新たなフェーズに入ります。

併せて読む: トヨタも採用「具身知能」が上場へ。10万台実績が示すロボット実戦配備の幕開け

日本への示唆:物流現場はどう変わるか

では、この海外トレンドを日本の物流企業はどう捉えるべきでしょうか。「海外のハイテク事例」として片付けるには、あまりにも日本の現場課題に直結しています。

1. 「認識精度」が自動化の壁を突破する

日本の物流倉庫は、欧米に比べて通路が狭く、天井も低く、取り扱うSKU(在庫保管単位)が極めて多いのが特徴です。従来のAGV(無人搬送車)では、少し通路に荷物がはみ出しているだけで停止してしまうことがありました。

Sharpaのような「高度なLiDARとAI」を搭載したロボットが登場すれば、以下のような変化が期待できます。

  • 停止しない搬送: 人や障害物を「避けて通る」能力が飛躍的に向上し、チョコ停が激減する。
  • 不定形物のハンドリング: 高精度の3D認識により、形が崩れたダンボールや袋物も正確に認識して把持できるようになる。

2. センサーコスト低下による投資対効果の改善

HesaiはLiDARの価格を劇的に下げたことで知られます。Sharpaが目指すのも、高性能ロボットのコモディティ化(低価格化)です。

これまで「1台数千万円」だった高度な自律ロボットが、数百万円、あるいはRaaS(Robot as a Service)モデルで月額数万円レベルになれば、日本の地方の中小物流拠点でも導入が現実的になります。

3. 日本企業が今すぐできる準備

Sharpaのような次世代ロボットが日本市場に本格参入するのは数年後かもしれません。しかし、今から準備できることはあります。

  • 現場のデジタルツイン化: ロボットが稼働しやすいよう、倉庫内のレイアウトや在庫データをデジタル化しておく。
  • センサーアレルギーの払拭: カメラやLiDARによる常時監視・データ取得に対する現場の心理的ハードルを下げ、データを活用する文化を作る。

併せて読む: 「China set to lead…」レポート解説|人型ロボット覇権を握る中国と日本の物流DX

まとめ:センサー技術がロボットの「民主化」を加速する

Hesaiの創業者たちによるSharpaの立ち上げは、単なる一企業のニュースではありません。「自動運転で磨かれた目の技術」が、いよいよ「手足を持つロボット」に移植され、物理的な作業を代替し始める合図です。

日本の物流現場が直面する深刻な人手不足。その解決策は、意外にも「車」の技術から派生した汎用ロボットが担うことになるかもしれません。2025年以降、物流DXの主役は、ソフトウェアだけでなく「高度な身体性」を持ったハードウェアへと移行していくでしょう。

この潮流に乗り遅れないよう、引き続き海外の「具身知能」トレンドを注視していく必要があります。

併せて読む: Amazon買収で加速。CES 2026が告げる「フィジカルAI」の実戦配備

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