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ニュース・海外 2025年12月17日

G&J Pepsiの自律型牽引車導入拡大|「戦略的ケイパビリティ」として技術を捉える新潮流

G&J Pepsi expands Cyngn autonomous tugger deployment across distribution networkについて

【Why Japan?】なぜ今、この海外トレンドを知る必要があるのか

2024年問題、深刻化する人手不足、そして労働人口の高齢化。日本の物流業界は今、構造的な課題に直面しています。多くの企業がAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)の導入を検討・開始していますが、その多くは「特定の倉庫の、特定の工程を自動化する」という、いわば”点の解決”に留まっているのが現状ではないでしょうか。

今回ご紹介する米国の大手飲料ボトラー「G&J Pepsi」の事例は、その常識を覆すものです。彼らは、導入する施設を具体的に決める前に、自律型牽引車の追加発注を決定しました。これは、自動化技術を単なる効率化ツールではなく、企業全体の競争力を支える「戦略的ケイパビリティ(戦略的能力)」として捉える、新しい経営判断の形を示唆しています。

本記事では、このG&J Pepsiの先進的な取り組みを深掘りし、海外の物流DXトレンドを分析。日本の物流企業が、この変化の波をいかにして自社の成長に繋げられるか、具体的なヒントを探ります。

海外の最新動向:加速する自律型ロボット市場

G&J Pepsiの動きは、決して突飛なものではありません。世界的に見れば、物流現場における自律型ロボットの導入は、もはや実験段階を終え、本格的な普及期へと突入しています。

MarketsandMarkets社の調査によると、世界の自律走行フォークリフト市場は2023年の46億ドルから、2028年には88億ドルに達すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は13.8%という高い水準で推移しています。この成長を牽引しているのが、米国、欧州、そして中国です。

国・地域 主なプレイヤー(例) 特徴
米国 Cyngn, Amazon Robotics, FedEx, DHL スタートアップと大手ユーザー企業が連携し、実運用での導入が加速。既存インフラを活かせるAMRが主流。
欧州 KION Group, Jungheinrich, Swisslog インダストリー4.0を背景に、製造業と連携した高度な自動化が進展。マテハン大手によるソリューション提供が活発。
中国 Geek+, Hikrobot, SEER 低コストと開発スピードを武器に世界市場を席巻。ECの爆発的成長を背景に、大規模な自動化倉庫が多数稼働。

特に米国では、Amazonが自社開発のAMR「Proteus」を現場に投入するなど、巨大ユーザー企業自身がプレイヤーとなる動きが活発です。一方で、G&J Pepsiがパートナーに選んだCyngnのような、特定の技術に強みを持つスタートアップが、大手企業の広範なネットワークにソリューションを提供するというエコシステムも確立されつつあります。

先進事例:G&J Pepsiはなぜ「導入先未定」で追加発注できたのか

今回の主役であるG&J Pepsiの事例を、より詳しく見ていきましょう。彼らは米国最大の独立系ペプシ製品ボトラーであり、650以上の製品を1,900人以上の従業員で扱う巨大な物流ネットワークを保有しています。

事例の核心:「戦略的ケイパビリティ」という新発想

G&J Pepsiは、Cyngn社が開発した自律型牽引車「DriveMod Tugger」の複数台導入拡大を決定しました。このニュースの衝撃は、その「導入施設を特定する前に追加発注を行った」という点にあります。

通常、企業が新しい技術を導入する際は、
1. 特定の拠点でPoC(概念実証)を実施
2. 効果を測定し、ROI(投資対効果)を厳密に評価
3. 成功すれば、その拠点に本格導入
4. その後、他の拠点へ展開するかを改めて検討

という慎重なステップを踏みます。しかし、G&J Pepsiはこのプロセスを大幅に短縮しました。これは、最初の導入テストで得られた結果が、同社の期待をはるかに上回ったことを物語っています。

成功要因を深掘りする

なぜ、彼らはこれほど大胆な意思決定ができたのでしょうか。成功要因は3つのキーワードで読み解くことができます。

1. 技術の「一貫性」と「信頼性」

G&J Pepsiのオペレーション担当VPは、「技術は一貫して機能し、クリーンに統合され、業務全体の生産性向上へのスケーラブルな道筋を提供する」と評価しています。
これは、DriveMod Tuggerが特定の環境や条件下だけでなく、同社の様々な物流拠点の多様なワークフローにおいても、安定してパフォーマンスを発揮できるという「技術的な信頼性の高さ」を証明しています。特定のユースケースに特化したソリューションではなく、どんな現場でもある程度の成果を出せる汎用性が、水平展開への確信に繋がりました。

2. 既存資産を活かす「汎用性」

今回導入されたのは、荷物を棚ごと持ち上げるタイプのAMRではなく、「牽引車(タガー)」です。これは、既存のカゴ車やドーリーを連結して牽引できるため、大掛かりな設備投資や運用フローの全面的な変更が不要です。この「汎用性」の高さが、導入のハードルを下げ、様々な製品・荷姿を扱う同社の業務に柔軟に対応できる要因となりました。

3. 経営判断の変革:「点の効率化」から「戦略資産」へ

Cyngn社のCEO、リオ・フェイティ氏の「顧客が自律型技術を、もはや単一のユースケースに縛られるソリューションではなく、『戦略的ケイパビリティ』として捉え始めている」というコメントが、この事例の本質を突いています。

G&J Pepsiの経営層は、自律走行技術を単なるコスト削減ツールとして見ていません。
– 人手不足が深刻化する中でも事業を継続・拡大させるための「能力」
– 従業員をより付加価値の高い業務へシフトさせるための「能力」
– 需要の変動に柔軟に対応できる、しなやかな物流網を構築するための「能力」

このように、自律型技術を企業の持続的な成長を支える「戦略的な資産」と位置づけたからこそ、「どの拠点に導入しても必ずプラスになる」という判断のもと、導入先未定での追加発注という異例の意思決定が可能になったのです。

日本への示唆:海外の成功をどう取り入れるか

このG&J Pepsiの海外物流DX事例から、日本の物流企業は何を学び、どう行動すべきでしょうか。

日本市場への適用ポイント

PoCの目的を再定義する

日本のPoCは、「導入可否の判断」に重きが置かれがちです。しかしこれからは、G&J Pepsiのように「いかにして全社にスケールさせるか」を検証する場としてPoCを位置づけるべきです。失敗を恐れず、成功モデルを迅速に水平展開するスピード感が求められます。

「牽引型」ソリューションに注目する

日本国内の倉庫には、長年使われてきた多種多様なカゴ車や台車が存在します。これらを全て買い替えるのは現実的ではありません。G&J Pepsiが採用した牽引型AMRのように、既存資産を有効活用できるソリューションは、日本市場において特に導入の親和性が高いと言えるでしょう。国内でも、Gaussy/「Roboware」のAMRラインナップに牽引型、Wi-Fi不要型を追加についてのような、日本の現場に即したソリューションが登場しており、注目が集まっています。

経営層のコミットメントが鍵

「戦略的ケイパビリティ」への投資は、現場のボトムアップだけでは実現できません。短期的なROIだけでなく、5年後、10年後を見据えた中長期的な視点での投資判断が不可欠です。経営層が自ら「なぜ今、自動化に投資するのか」というビジョンを明確に示し、全社を牽引していくリーダーシップが成功の鍵を握ります。

乗り越えるべき障壁

  • 変化への心理的抵抗: 現場からは「ロボットに仕事が奪われる」「使いこなせない」といった不安の声が上がる可能性があります。導入初期段階から現場スタッフを巻き込み、彼らが「ロボットを使いこなす側」になれるような教育・トレーニング体制を構築することが重要です。
  • インフラの制約: 古い倉庫では、床の凹凸や通路幅、不安定なWi-Fi環境などが導入の障壁となる場合があります。最新のAMRは、SLAM方式による自律走行やWi-Fi不要のモデルも登場しており、技術の進化によってこれらの課題は克服されつつあります。

まとめ:物流自動化は「戦略投資」の時代へ

G&J Pepsiの事例は、世界の物流DXが新たなフェーズに突入したことを明確に示しています。それは、自動化技術を「コスト」としてではなく、未来の競争優位性を築くための「戦略的投資」として捉える時代です。

単に人手不足を補うための代替手段としてロボットを導入するのではなく、「自律走行技術」という能力を獲得することで、自社のビジネスモデルそのものをどう変革できるのか。この問いこそが、これからの物流企業経営者に求められる視点です。

この海外物流の最前線で起きている地殻変動は、対岸の火事ではありません。日本企業がこの変化をいち早く捉え、自社の戦略に組み込めるかどうかが、今後の成長を大きく左右することになるでしょう。

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