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ニュース・海外 2025年12月16日

【海外事例】ドライアイス供給不足への適応戦略|コールドチェーン包装の最新動向と日本への示唆

Cold-chain packaging companies adapt as dry ice supply faltersについて

【Why Japan?】なぜ今、日本の物流企業がこの海外トレンドを知る必要があるのか

「ドライアイスが足りなくなるかもしれない」——。この言葉は、もはや遠い海外の話ではありません。日本の物流業界、特に食品や医薬品といった厳格な温度管理が求められるコールドチェーンに携わる企業にとって、これは事業の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題です。

ご存知の通り、ドライアイスの主成分であるCO2は、多くが石油精製やアンモニア製造プラントの副産物として生産されます。つまり、国内の産業構造の変化、特に工場の稼働停止や再編が、そのままCO2の供給量に直結するのです。現に海外では、米カリフォルニア州で2026年までに3つの主要CO2プラントが閉鎖され、総生産量の約18%にあたる日量約850トンの供給が失われる見込みです。

一方で、EC市場の拡大やバイオ医薬品の需要増により、ドライアイスの需要は世界的に年5%のペースで増加。供給が需要に追いつかない構造的な問題が顕在化しています。

円安による輸入コスト増、そして「2024年問題」が引き起こす輸送コストの上昇に直面する日本企業にとって、ドライアイスの供給不安と価格高騰は、まさに三重苦とも言える状況です。この海外で起きている「ドライアイス・ショック」は、単なるコスト問題ではなく、サプライチェーンの寸断に繋がりかねない事業継続計画(BCP)上の重要なリスクなのです。

本記事では、この課題にいち早く向き合う海外のコールドチェーン包装企業の最新動向と先進事例を分析し、日本の物流企業が今すぐ取り組むべき次の一手を具体的に解説します。

海外の最新動向:ドライアイス代替へ舵を切る世界市場

ドライアイスからの転換は、世界的な潮流となりつつあります。各国・地域の事情は異なりますが、共通しているのは「脱・ドライアイス依存」に向けた技術革新とロジスティクスの再構築です。

米国:供給不安がトリガーとなり、代替技術への投資が加速

米国市場は、前述のCO2プラント閉鎖計画により、最も切迫感を持って代替ソリューションへの移行を進めています。特に西海岸では、代替品の需要が急増。市場調査会社の予測によれば、世界の保冷包装市場は2030年に向けて年率8%以上で成長すると見込まれており、その中でも蓄冷剤(PCM)や真空断熱材(VIP)といった高性能マテリアルが市場を牽引するとされています。

また、ドライアイスが航空輸送において危険物に指定され、搭載量に制限があることも、代替技術への移行を後押ししています。特に、高価なバイオ医薬品の輸送では、より安全で確実な温度管理が可能なソリューションが求められています。

欧州:サステナビリティを軸とした「リユーザブル」への転換

欧州では、環境規制(EUグリーンディールなど)が大きな推進力となっています。CO2を大気中に放出するドライアイスの使用は、企業のサステナビリティ目標と相反するとの認識が広まっています。

そのため、繰り返し使用可能な「リユーザブル(再利用可能)クーラーボックス」と、それを回収・洗浄・再供給する循環型モデル(サーキュラーエコノミー)の構築が進んでいます。ドイツやスイスなど、医薬品産業が盛んな国々では、製薬会社と物流会社、包装メーカーが連携し、業界標準となるリユーザブル容器の導入を共同で進める動きも見られます。これは単なる環境配慮に留まらず、長期的なコスト削減と安定供給を実現する戦略として位置づけられています。

中国:爆発的需要と政府の環境政策が交差

世界最大の物流市場である中国では、生鮮食品ECや医薬品の国内配送網の急拡大に伴い、コールドチェーン需要が爆発的に増加しています。しかし、政府主導の強力な環境政策により、CO2排出に対する規制も年々強化されています。

この「需要増」と「環境規制」という二つの圧力のもと、国内の包装メーカーは、安価で大量生産が可能なジェルパック型蓄冷剤や、発泡スチロール(EPS)に代わる環境配慮型断熱材の開発を急ピッチで進めています。まさに、巨大市場を舞台とした技術開発競争が繰り広げられているのです。

先進事例(ケーススタディ):課題を商機に変える海外企業の戦略

ドライアイス供給の危機的状況を、新たなビジネスチャンスと捉えて躍進する企業が次々と登場しています。ここでは、特に注目すべき3社の戦略を深掘りします。

企業名 国 ソリューション 特徴・成功要因
Peli BioThermal 米国 再利用可能クーラー レンタルモデルで導入障壁を低減。高性能とサステナビリティを両立。
ThermoSafe 米国 高性能蓄冷剤(PCM) 多様な温度帯に対応。輸送シミュレーションによる最適化提案。
Artyc 米国 バッテリー駆動クーラー IoTによるリアルタイム追跡。ハードとソフトの統合ソリューション。

Peli BioThermal社:所有から利用へ導く「レンタルモデル」

Peli BioThermal社は、高性能な再利用可能クーラーボックス(Credo™シリーズなど)を、レンタル形式で提供するビジネスモデルを確立しました。

成功要因①:初期投資不要のサービスモデル

顧客は高価なクーラーボックスを購入する必要がなく、利用したい期間と個数に応じてレンタルできます。これにより、特に中小企業やスタートアップでも、最先端の温度管理輸送を容易に導入できるようになりました。これは、設備を「所有」から「利用」へと転換させる、まさにサブスクリプション型の発想です。

成功要因②:グローバルな回収・再生ネットワーク

世界中にサービス拠点を設け、使用済みクーラーの回収、洗浄、メンテナンス、再供給を一貫して行っています。このグローバルな静脈物流網こそが、同社の競争力の源泉であり、顧客が安心して再利用モデルを導入できるインフラとなっています。

ThermoSafe社:多様なニーズに応える「PCM技術の進化」

ThermoSafe社は、蓄冷剤(Phase Change Material: PCM)の技術革新をリードする企業です。PCMは、特定の温度で融解・凝固する際に熱を吸収・放出する性質を利用したもので、ドライアイスよりも精密な温度管理を可能にします。

成功要因①:幅広い温度帯への対応力

医薬品で一般的な「2~8℃(冷蔵)」や「-20℃(冷凍)」はもちろん、さらに特殊な温度帯に対応する多様なPCMを開発・提供しています。これにより、ドライアイス(-78.5℃)では過冷却となってしまう製品や、そこまでの低温を必要としない貨物に対し、最適なソリューションを提案できます。

成功要因②:データに基づくコンサルティング

同社は単に製品を売るだけではありません。顧客の輸送ルート、季節、使用する輸送機などをヒアリングし、独自のシミュレーションソフトウェアで熱解析を実施。最も効率的で安全な包装仕様をコンサルティング形式で提案することで、顧客の信頼を勝ち取っています。これは「海外物流」におけるリスク管理の好事例と言えるでしょう。

Artyc社:「物流DX」を体現するアクティブクーラー

Artyc社は、バッテリーと冷却装置を内蔵したアクティブ(能動的)クーラーを開発する注目のスタートアップです。

成功要因:ハードウェアとソフトウェアの完全統合

同社のクーラーは、単に冷却するだけではありません。内蔵されたIoTセンサーが、温度、湿度、位置情報をリアルタイムでクラウドに送信。荷主や物流事業者は、Webダッシュボードから輸送状況を常に監視できます。万が一の温度逸脱の際には、即座にアラートが発信されるため、高価なバイオ医薬品なども安心して輸送できます。これは、ハードウェアとソフトウェアを融合させ、新たな付加価値を生み出す「物流DX 事例」の最前線です。

日本への示唆:海外事例から学ぶ、今すぐ実行すべきこと

これらの海外トレンドや成功事例は、日本の物流企業に多くのヒントを与えてくれます。しかし、そのまま模倣するだけでは成功しません。日本の商習慣や物流インフラに合わせたローカライズが不可欠です。

日本国内で適用する場合のポイントと障壁

ポイント①:脱・ドライアイス依存のポートフォリオ構築

全ての輸送にドライアイスが必要なわけではありません。まずは自社が扱う貨物の特性(求められる温度帯、許容される温度逸脱時間など)を再評価し、輸送時間や季節に応じて、蓄冷剤や真空断熱材、再利用クーラーを組み合わせるハイブリッドな包装設計のポートフォリオを構築することが重要です。

ポイント②:「使い捨て」から「再利用」へのシフト

Peli BioThermal社のようなレンタル・回収モデルは、日本が誇る緻密な静脈物流網を活用すれば十分に実現可能です。特に、特定の大口顧客との間で繰り返し輸送が発生するようなBtoBの物流では、導入のハードルは低いでしょう。環境負荷の低減は、荷主企業に対する強力なアピールポイントにもなります。

障壁:回収物流のコストとオペレーションの複雑さ

一方で、再利用モデルの最大の障壁は、回収物流のコストと管理の複雑さです。特に地方の拠点や不特定多数の納品先からの回収は、採算が合わない可能性があります。また、洗浄やメンテナンスの品質管理、在庫管理など、新たなオペレーションフローの構築も必要となります。日本の商習慣とは異なり、返送の手間を顧客に強いることへの理解を得る必要もあるでしょう。

日本企業が今すぐ真似できること

全面的なシステム変更には時間がかかりますが、今すぐに着手できることもあります。

  1. 輸送データの徹底的な可視化
    まずは、安価な使い捨てタイプの温度ロガーを使い、自社のコールドチェーンの現状を把握することから始めましょう。どのルートで、どの季節に、どれくらいの頻度で温度逸脱リスクが発生しているのか。この「データに基づく現状把握」が、最適な代替ソリューションを選定するための第一歩です。

  2. 代替品の小規模テスト導入
    いきなり全面切り替えを目指すのではなく、特定の輸送ルートや特定の製品群に絞って、蓄冷剤や再利用クーラーのテスト導入を行ってみましょう。現場のオペレーション負荷や、実際の冷却性能、費用対効果などを実データで検証し、ノウハウを蓄積することが、将来の本格導入に向けた確かな布石となります。

  3. サプライヤーとの戦略的パートナーシップ構築
    自社だけで全ての情報を集め、技術を開発するのは困難です。国内外の先進的な包装資材メーカーや、温度管理に強みを持つ物流企業と積極的に情報交換を行い、共同で実証実験を行うなど、戦略的なパートナーシップを構築することが成功への近道です。

まとめ:危機を乗り越え、次世代のコールドチェーンを創造する

ドライアイスの供給不安は、コールドチェーン業界にとって深刻な脅威であると同時に、旧来の慣習を見直し、イノベーションを加速させる絶好の機会でもあります。

今後は、単に冷却材を代替するだけでなく、AIによる輸送ルートや輸送モードの最適化、需要予測と連携した包装資材の自動選定など、より高度な「物流DX」がコールドチェーンの世界でも進展していくでしょう。そして、サステナビリティは企業の社会的責任というだけでなく、荷主から選ばれるための重要な競争力となります。

この変化の波を的確に捉え、環境配慮と効率性を両立した次世代のコールドチェーンを構築できた企業こそが、未来の物流市場をリードする存在となるはずです。海外の動向に学び、まずは小さな一歩から、自社の変革を始めてみてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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