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Home > ニュース・海外> 「計画業務」が消える?SAPが明かす自律型AIと人間の新たな協働
ニュース・海外 2026年1月8日

「計画業務」が消える?SAPが明かす自律型AIと人間の新たな協働

Watch: How to Make AI Work in Your Planning Organization

世界的なサプライチェーンの混乱が常態化する中、企業の「計画(Planning)」業務に変革が起きています。

これまでのAI活用といえば、需要予測の精度向上や、チャットボットによる業務支援が主流でした。しかし今、欧米のテックトレンドは、人間が指示しなくても自律的にタスクを遂行する「エージェンティックAI(Agentic AI)」へと急速にシフトしています。

SAPの製品マーケティング担当副社長であるLori Harner氏は、「AIを単なるチャットボットで終わらせてはいけない」と警鐘を鳴らします。AIを計画業務(SCP)の中心に据え、組織全体を「オーケストレーション(統合制御)」する——。

本記事では、最新のキーワード「Watch: How to Make AI Work in Your Planning Organization」をベースに、プランナーの役割を劇的に変える「自律型AI」の正体と、日本企業が目指すべきDXの姿を解説します。


自律型AI(Agentic AI)が変えるサプライチェーン計画の常識

なぜ今、「生成AI(Generative AI)」ではなく「エージェンティックAI(Agentic AI)」なのでしょうか。その答えは、物流・SCM現場における「実行力」の違いにあります。

「アドバイザー」から「実行部隊」への進化

従来のAIや初期の生成AIは、あくまで「アドバイザー」でした。人間が「在庫状況を教えて」と聞けば答えてくれますが、そこからの発注業務や配送手配は人間が行う必要がありました。

対して、現在SAPなどが提唱するエージェンティックAIは、自律的な「実行部隊」です。

例えば、予期せぬ需要急増が発生した場合、エージェンティックAIは以下のプロセスを自律的に行います。
1. 検知: 在庫切れのリスクを予測
2. 立案: 複数の補充シナリオ(航空便への切り替え、代替拠点からの輸送など)を作成
3. 実行: (人間の承認範囲内で)システム間のデータを連携し、発注書の下書き作成やサプライヤーへの打診を行う

Lori Harner氏は、AIが計画業務における「ヘビーリフティング(Heavy Lifting:重労働)」を担うことで、人間はより戦略的な意思決定に集中できるようになると指摘しています。

このトレンドについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
物流AIは「見る」から「指揮する」へ。2026年、自律エージェントの衝撃

従来型AIとエージェンティックAIの決定的な違い

世界的なトレンドとして、AIの役割は以下のように変遷しています。

特徴 従来型AI (Traditional AI) 生成AI (Generative AI) エージェンティックAI (Agentic AI)
主な機能 分析、数値予測 コンテンツ生成、対話、要約 自律的なタスク実行、判断
人間の役割 データの入力、結果の解釈 プロンプト(指示)の入力 目標設定、最終承認 (Human in the loop)
データ連携 特定のDBに限定 学習データに基づく 複数アプリ・APIを横断して操作
物流での適用 需要予測、ルート最適化 報告書作成、マニュアル検索 サプライチェーン全体の自動調整

このように、エージェンティックAIは単一のタスクではなく、「組織横断的な計画」を実現するためのハブとして機能します。


AIを機能させるための「オーケストレーション」

Lori Harner氏が強調するのは、「AI単体では魔法の杖にはならない」という点です。AIを計画業務で機能させるためには、データとアプリケーションの「オーケストレーション(統合制御)」が不可欠です。

「サイロ化」されたデータの壁を壊す

多くの日本企業でも見られる課題ですが、販売計画は営業部門のシステム、在庫計画は倉庫管理システム(WMS)、配送計画はTMS(輸配送管理システム)と、データがバラバラに管理されています。

エージェンティックAIが真価を発揮するには、これらがリアルタイムで繋がっている必要があります。AIは「営業がキャンペーンを打つ(販売計画)」という情報を即座にキャッチし、「倉庫の人員を増やす(物流計画)」というアクションに変換しなければなりません。

SAPのビジョンでは、AIがこれらの異なるアプリケーション間の「接着剤」となり、コンテキスト(文脈)を理解してデータを流通させます。

データの整備なしに自動化は不可能

「ゴミを入れればゴミが出てくる(Garbage In, Garbage Out)」という格言は、自律型AIの時代においてさらに重要度を増します。不正確なマスターデータや、更新されていないリードタイム情報をAIが参照すれば、誤った発注を自動で繰り返す「自動化された災害」になりかねません。

AI導入の前に、データ管理の基盤を整えることの重要性は、以下の記事でも指摘されています。
AIで変わる、サプライチェーンのデータ管理と利活用[PR]|物流現場の課題解決ガイド


先進事例から見る「プランナー」の役割変化

AIが重労働を担うようになった時、人間のプランナー(計画担当者)は何をするのでしょうか? 海外の事例やSAPの示唆から、その役割の変化を読み解きます。

データ集計係から「例外対応の指揮官」へ

従来、プランナーの業務時間の多くは「Excelでのデータ集計」や「各部署への電話確認」に費やされていました。しかし、エージェンティックAI導入後の組織では、定常的な業務はAIが処理します。

人間が介入するのは「Human in the loop(ヒューマン・イン・ザ・ループ)」が必要な場面、つまり例外的なトラブルや、倫理的・経営的な判断が求められる局面だけです。

具体的な変化のイメージ:
* Before: 毎朝、全品目の在庫データを確認し、欠品リストを手動で作成して発注。
* After: AIが95%の品目を自動発注。プランナーは、AIが「判断に迷う」とアラートを出した残り5%(例:新製品や、突発的な災害による供給停止)の対応について、AIが提示した選択肢から最終決定を下す。

米国企業の成功例に見るスピード感

実際に、AIを活用して業務プロセスを劇的に短縮した事例として、米大手フォワーダーのC.H. Robinsonが挙げられます。彼らは自社開発のAIモデルを活用し、見積もりにかかる時間を大幅に削減しました。

  • 成果: 見積もり所要時間を20分から32秒に短縮
  • インパクト: 従業員は単純作業から解放され、顧客との交渉や複雑な案件に集中

これはまさに、AIに「重労働(計算・検索)」を任せ、人間が「最終決定・交渉」に特化した成功例と言えます。
見積もり20分が32秒に。株価55%増の米C.H. Robinsonが「既製AI」を捨てる理由

また、海運業界でもONEとエムティーアイが新会社「QUAVEO」を設立し、AIエージェントによる業務自動化を推進しています。日本企業もすでに動き出しているのです。
ONE×エムティーアイ新会社「QUAVEO」|海運DXを変えるAIエージェント戦略


日本企業への示唆:2025年の壁を越えるために

SAPの提言する「AIによる計画業務の自律化」を日本企業が取り入れる際、どのような障壁とチャンスがあるでしょうか。

「KKD(勘・コツ・度胸)」からの脱却と継承

日本の物流現場は、熟練担当者のKKD(勘・コツ・度胸)によって支えられてきました。しかし、少子高齢化による人手不足で、この属人化モデルは限界を迎えています。

Lori Harner氏が指摘するように、「プロセスへの理解なしに自動化を進めれば失敗する」という点は、日本企業にとって特に重い意味を持ちます。熟練者の「勘」を言語化・データ化し、AIに学習させる(オーケストレーションする)プロセスこそが、日本の物流DXの正念場です。

「意思決定者」としての人間を残す重要性

欧米型の「完全自動化」を目指す必要はありません。記事中で強調されている「Human in the loop(人間による最終決定)」は、品質や信頼を重視する日本の商習慣と非常に相性が良い概念です。

AIにすべてを丸投げするのではなく、「AIが下調べと提案を行い、責任者が承認する」というワークフローを構築することで、心理的な抵抗を減らしつつ、業務効率を飛躍的に高めることができます。

日本企業が今すぐ取り組めること

  1. データの「一元化」ではなく「連携」: すべてを1つのシステムに入れ替えるのは困難です。APIなどを活用し、異なるシステム間でデータを「会話」させる基盤整備を優先しましょう。
  2. 明確なビジョンの策定: 「AIで何かして」ではなく、「災害時の代替ルート選定時間を今の3日から1時間に短縮する」といった具体的な課題解決のビジョンを持つことが不可欠です。災害対応の自動化については、三井化学の事例が参考になります。
    • 参照: 三井化学が挑む「災害自動検知」の衝撃|調達DXが変えるBCPの常識

まとめ:AIは「使う」から「共に働く」へ

SAPの最新トレンドが示唆するのは、AIツールを導入して終わりという時代の終焉です。これからの物流計画組織に必要なのは、AIを「同僚(エージェント)」として迎え入れ、データとアプリを指揮・統合する能力です。

人間は、膨大なデータ処理という「重労働」をAIに譲り渡し、より創造的で、人間にしかできない意思決定に集中する。そのための準備(データの整備とビジョンの策定)を始めた企業だけが、次世代のサプライチェーン競争を勝ち抜くことができるでしょう。

エージェンティックAIの波は、日本の物流現場にとっても脅威ではなく、人手不足という最大の課題を解決する希望の光となるはずです。

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