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事例・インタビュー 2026年1月17日

セイノー×T5始動|自動倉庫の「ROI改善」まで約束する新戦略の全貌

セイノーグループ物流拠点の自動化をT5が支援|設計・施工・ROI改善まで包括支援する自動倉庫プロジェクトが始動

物流業界において、「自動化設備の導入」はもはや珍しいニュースではありません。しかし、2024年問題や労働力不足が深刻化する中、多くの企業が直面しているのは「導入した自動倉庫の投資対効果(ROI)が見合わない」という現実的な課題です。

こうした中、セイノーグループの株式会社地区宅便(以下、地区宅便)が、物流改善支援の株式会社T5(以下、T5)と提携し、2026年7月の稼働を目指した新たな自動倉庫プロジェクトを始動させました。このニュースが業界に衝撃を与えている理由は、単なる設備の購入契約ではなく、「設計・施工からROI改善までを包括的にコミットする」という契約形態にあります。

本記事では、セイノーグループが舵を切った「運用戦略ファースト」の自動化プロジェクトの詳細と、それが示唆する物流DXの新たなスタンダードについて解説します。


プロジェクトの全貌:単なる「設備導入」ではない

今回のプロジェクトは、地区宅便が運営する第1・第2ロジスティックスセンターにおける大規模な自動化施策です。しかし、その本質はハードウェアの導入以上に、ソフトウェアと運用プロセスの刷新にあります。

ニュースの基本情報とスケジュール

地区宅便は、EC物流や通販物流に強みを持つセイノーグループの中核企業です。一方、パートナーとなるT5は、現場の実運用に基づいた自動化提案に定評があります。両社が目指すのは、2026年7月の稼働です。

以下の表に、プロジェクトの主要なファクトを整理しました。

項目 詳細内容
主体 株式会社地区宅便(セイノーグループ)
パートナー 株式会社T5(物流改善・自動化支援)
対象拠点 第1・第2ロジスティックスセンター
稼働目標 2026年7月
中核技術 Nano-Stream®(自動化統合プラットフォーム)
支援範囲 構想策定、設計、施工、運用立ち上げ、ROI(投資対効果)改善
主目的 労働力不足への対応、物流コストの適正化、運用精度の向上

T5の独自基盤「Nano-Stream®」の役割

このプロジェクトの核となるのが、T5が提供する自動化基盤「Nano-Stream®」です。これは単なるWCS(倉庫制御システム)やWES(倉庫運用管理システム)の枠を超え、現場の「運用戦略」と「自動化設備」を同期させる役割を果たします。

従来の自動倉庫導入では、メーカーのカタログスペックに合わせて現場の業務フローを無理やり変更するケースが散見されました。しかし、Nano-Stream®を用いることで、地区宅便の現場特有の要件(荷姿、波動、リードタイムなど)をアルゴリズムに落とし込み、最適なマテハン制御を実現します。

関連記事:物流DXの最終形。RPAとロボットが「同期」する統一基盤の正体


業界への衝撃:なぜ「ROI改善支援」が重要なのか

本プロジェクトが業界内で注目される最大の理由は、「ROI改善」が支援範囲に明記されている点にあります。これは、物流不動産やマテハンメーカーとの従来の契約とは一線を画すものです。

「入れて終わり」からの脱却

これまでの自動化プロジェクトの多くは、設備の引き渡し(検収)をもってベンダーの責任範囲が終了していました。その結果、以下のような問題が多発していました。

  1. 想定処理能力が出ない: カタログ値は出ても、実際の荷合わせやオーダー構成では能力が低下する。
  2. 運用コストが下がらない: 設備監視のための新たな人員が必要になり、省人化効果が薄れる。
  3. 改修費用の増大: 荷主の要件変更に対応するためのシステム改修費が膨らむ。

T5がROI改善までを支援範囲に含めたことは、「稼働後の成果に責任を持つ」という意思表示であり、発注側(地区宅便)にとってはリスクを大幅に低減できる契約モデルといえます。

セイノーグループ全体の戦略的意義

セイノーグループは近年、デジタルツインの活用やデータドリブンな経営への転換を急速に進めています。今回の地区宅便での取り組みは、グループ全体における「次世代型物流センター(スマート倉庫)」のモデルケースとなる可能性が高いでしょう。

ここで蓄積された「運用と自動化の融合ノウハウ」は、今後セイノーグループの他拠点へ横展開されることが予想されます。

関連記事:西濃運輸×アイディオット|デジタルツイン活用で挑む物流構造改革


LogiShiftの視点:自動化の「主導権」を取り戻す戦い

ここからは、一連のニュースを俯瞰し、今後の物流業界に与える影響を独自の視点で考察します。

考察1:ベンダー任せから「共創型」へのパラダイムシフト

長年、日本の物流現場における自動化はマテハンメーカー主導で進められてきました。しかし、メーカーは自社製品の販売が主目的であるため、必ずしも「現場全体の最適化」と利害が一致しない場面がありました。

今回のT5のような「中立的なインテグレーター(またはコンサルティングパートナー)」が、設計からROIまで伴走するスタイルは、今後の中大規模プロジェクトの標準になるでしょう。荷主や3PL企業は、「どのロボットを買うか」ではなく「誰と運用プロセスを設計するか」を最優先に考えるべき時代に突入しています。

考察2:2026年、自動化は「生存要件」になる

2024年問題を経て、2026年にはさらなる法規制の強化や労働力不足の加速が予測されます。地区宅便が2026年7月の稼働を目指しているのは、単なる偶然ではありません。

「CLO(最高物流責任者)義務化」や改正下請法などの流れを見ても、物流コストの透明化と効率化は待ったなしの状況です。人海戦術に頼る倉庫オペレーションは、コスト競争力を失うだけでなく、コンプライアンスリスクにもなり得ます。今回のプロジェクトは、「自動化しなければ生き残れない」という危機感の表れであり、同業他社への強力なプレッシャーとなるはずです。

関連記事:2026年物流大転換|CLO義務化と改正下請法で経営はどう変わる?

考察3:中小物流企業への波及効果

「大手だからできる投資だ」と考えるのは早計です。T5のようなプレイヤーが台頭し、Nano-Stream®のような汎用プラットフォームが普及すれば、自動化のノウハウは標準化され、導入コストや期間は圧縮されていきます。

数年後には、中小規模の倉庫であっても、サブスクリプション型のロボット導入や、クラウドベースのWES活用により、同様のROI改善アプローチが可能になるでしょう。今回の事例は、その先行指標として注視すべきです。

関連記事:物流ロボットで現場を変える|種類・導入メリット・選び方を徹底解説


まとめ:明日から意識すべきこと

セイノーグループとT5による今回のプロジェクトは、物流自動化のトレンドが「ハードウェア導入競争」から「運用IQ(インテリジェンス)の競争」へ移行したことを明確に示しています。

経営層や現場リーダーが明日から意識すべきポイントは以下の3点です。

  1. ROIの再定義: 設備投資の判断基準を「削減できる人件費」だけでなく、「事業継続性と運用柔軟性」にまで広げて評価する。
  2. パートナー選びの刷新: 設備を売るだけのベンダーではなく、運用の痛みを知り、稼働後の成果にコミットするパートナーを探す。
  3. プロセス標準化の徹底: 自動化の前段階として、現場のアナログな業務フローを可視化・標準化しておく(これがなければどんな高性能ロボットも無用の長物となる)。

2026年の稼働に向け、このプロジェクトがどのような成果指標(KPI)を達成していくのか、引き続きLogiShiftでは動向を追っていきます。

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