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Home > マテハン・ロボット> SCSKがAIRoA参画|「フィジカルAI」で挑む物流現場の自律化革命
マテハン・ロボット 2026年1月23日

SCSKがAIRoA参画|「フィジカルAI」で挑む物流現場の自律化革命

SCSKが次世代ロボット開発のAIロボット協会「AIRoA」参画、フィジカルAIで物流などの現場自律化加速狙う

「照明が変わっただけでロボットが止まる」「箱が少し凹んでいただけでエラーになる」——。
これまでの物流現場におけるロボット導入で、最大の壁となっていたのがこうした「些細な環境変化への弱さ」でした。

しかし、この壁を「AIの知能」で突破しようとする大きな動きがありました。IT大手SCSKが、次世代ロボットの頭脳を開発する一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)への参画を発表したのです。

単なる自動化(Automation)から、自ら判断して動く自律化(Autonomy)へ。SCSKが掲げる「フィジカルAI」の実装は、物流現場の不確実性をどう解消するのか。その衝撃と今後の展望を解説します。

ニュースの背景:SCSKが「ロボットの脳」開発へ

2024年1月、SCSK株式会社はAIロボット協会(AIRoA)への参画を正式に発表しました。この動きは、同社が掲げる長期的な技術戦略「技術ビジョン2030」における、AI・ロボティクス領域強化の一環です。

これまでの産業用ロボットは、プログラムされた通りの動きを正確に繰り返すことは得意でしたが、予期せぬ事象への対応力は皆無に等しいものでした。AIRoAは、産学連携を通じてロボットの「脳」にあたる「基盤モデル」を開発し、多様な環境に適応できる次世代ロボットの実現を目指しています。

ニュース概要の整理

項目 内容
主体 SCSK株式会社
アクション 一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)へ参画(2024年1月1日付)
目的 次世代ロボットの「基盤モデル」開発、データエコシステムの構築
技術的焦点 フィジカルAI(実世界で物理的な作業を行うAIエージェント)
ターゲット課題 物流・製造現場の「不確実性」(環境変化、物体の変形など)の克服
戦略的位置づけ SCSKグループ「技術ビジョン2030」に基づく重要施策

「フィジカルAI」とは何か?

ここでキーワードとなるのが「フィジカルAI」です。これはサイバー空間(PCやサーバーの中)だけで完結するAIではなく、ロボットなどの身体性を持ち、物理世界(フィジカル)に働きかけるAIを指します。

SCSKは、同社が強みとする「AIエージェント技術」をロボット制御に応用することで、従来のルールベース制御では不可能だった柔軟な現場対応を実現しようとしています。

併せて読む: 自動運転と荷役をAI統合|TRC平和島「フィジカルAI WG」発足の衝撃

物流・製造現場への具体的な影響とは

SCSKのAIRoA参画は、物流現場にどのような変化をもたらすのでしょうか。ポイントは「不確実性への対応力」です。

変形した梱包箱への適応力

物流倉庫における最大の課題の一つが「荷姿のばらつき」です。
従来のロボットアームやピッキングロボットは、綺麗な直方体のダンボールは認識できても、輸送中に角が潰れた箱や、膨らんだ袋状の荷物を正確に認識・把持することが困難でした。

SCSKが目指す「基盤モデル」を活用したフィジカルAIは、こうした「例外」をAIが即座に判断し、持ち方を変える、あるいは速度を調整するといった自律的な対応を可能にします。これにより、エラーによるライン停止の頻度を劇的に下げることが期待されます。

環境変化に左右されない「目」を持つ

また、物流センターでは時間帯による日差しの変化や、照明設備の配置換えによって「光の加減」が変わることがあります。画像認識に依存する従来型ロボットは、この照度変化だけで認識精度が落ちることがありました。

基盤モデルによって訓練されたAIは、多様な環境データを学習しているため、照明条件が変わっても「これは対象の荷物である」とロバスト(頑健)に認識し続けることが可能です。これにより、現場のレイアウト変更や24時間稼働の安定性が飛躍的に向上します。

「制御」から「指揮」への転換

これまでの現場自動化は、人間が事細かにロボットへ指示を出す「ティーチング」が必要でした。しかし、AIエージェント化が進むと、ロボットは抽象的な指示(例:「あのトラックの荷物を降ろして」)を理解し、自ら手順を生成して実行するようになります。

併せて読む: 物流AIは「見る」から「指揮する」へ。2026年、自律エージェントの衝撃

LogiShiftの視点|「フィジカルAI」が変える競争ルール

ここからは、単なるニュース解説を超え、この動きが物流業界の未来にどう関わるか、独自の視点で考察します。

ハードウェアのコモディティ化と「知能」の価値

世界的なトレンドを見ると、ロボットのハードウェア自体はコモディティ化(一般化)しつつあります。中国メーカー等による低価格かつ高性能な筐体が増える一方で、競争の核心は「そのロボットをどう動かすか」というソフトウェア、すなわち「具身知能(Embodied AI)」へとシフトしています。

SCSKのようなITベンダーがロボット開発の中枢に入り込むことは、日本のロボット産業が「ハード売り切り」から「知能とサービスの提供」へとモデルチェンジする重要な転換点と言えます。LiDAR大手がロボット開発に参入する海外事例と同様、技術のレイヤーが融合し始めています。

併せて読む: LiDAR王者が汎用ロボへ。新興Sharpaに見る「具身知能」の次なる一手

SCSKが握る「IT×OT」の強み

SCSKの強みは、基幹システムやWMS(倉庫管理システム)といったIT領域での豊富な実績です。
ロボット単体の制御(OT:Operational Technology)だけでなく、WMSからの出荷指示データとロボットの自律判断をシームレスに連携させることができれば、倉庫全体の最適化レベルは段違いに上がります。

「AIRoA」への参画は、単にロボットを作るためではなく、「現場のあらゆるデータをAIに取り込み、エコシステム全体を自律化させる」というSCSKの意思表示と捉えるべきでしょう。

ユーザー企業に求められる「寛容さ」の変化

フィジカルAIの実装において、ユーザー企業(物流・製造事業者)側にも意識変革が求められます。
従来の「100%の精度保証」を求める契約形態から、AIが学習し成長することを前提とした「継続的な改善プロセス」へのコミットです。AIロボットは導入直後よりも、現場のデータを学習した半年後の方が賢くなります。この成長曲線を許容し、共にデータを育てるパートナーシップが今後の競争優位になります。

まとめ:現場リーダーが明日から意識すべきこと

SCSKのAIRoA参画は、物流現場における「不確実性との戦い」に終止符を打つ可能性を秘めています。
最後に、経営層や現場リーダーが意識すべきポイントを整理します。

  1. 「ロボット=ティーチング必須」の常識を捨てる
    • 次世代のロボットは、細かなプログラミングなしで環境に適応します。導入検討時は「汎用性」と「自律性」を評価軸に加えてください。
  2. 現場の「例外データ」こそが資産になる
    • フィジカルAIの学習には、成功例だけでなく「箱が潰れていた」「照明が消えていた」といった失敗や例外のデータが不可欠です。現場のイレギュラーを隠さず記録する体制が、将来の自動化精度を左右します。
  3. ITベンダーの動向を注視する
    • ロボットメーカーだけでなく、SCSKのようなシステムインテグレーターが「ロボットの脳」を提供し始めています。どの「脳」を選ぶかが、倉庫運営の効率を決定づける時代がすぐそこまで来ています。

「フィジカルAI」による現場自律化は、2024年問題や労働力不足に対する決定的な解となり得ます。SCSKとAIRoAの取り組みが、日本の物流現場をどうアップデートしていくのか、引き続き注目していきます。

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