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Home > 事例・インタビュー> 日本3PL協会 加藤専務理事|今後の物流業界は「人財」とCLOが鍵
事例・インタビュー 2026年1月26日

日本3PL協会 加藤専務理事|今後の物流業界は「人財」とCLOが鍵

日本3PL協会 加藤専務理事 今後の物流業界は「人財」

設立20周年を迎えた日本3PL協会が、かつてないスピードで会員数を拡大させています。2025年末時点で会員数は340社に達し、2030年には500社を目指すというその急成長の背景には、物流業界が直面する構造的な変化がありました。

同協会の加藤進一郎専務理事は、これからの物流業界の成否を握るキーワードとして「人財」を挙げています。しかし、ここで語られる「人財」とは、単なるトラックドライバーや庫内作業員の人手不足解消だけを指すものではありません。経営視点でサプライチェーン(SCM)全体を俯瞰し、荷主に提案できる「プロフェッショナル」の育成、そしてCLO(最高物流責任者)の地位向上が急務であるという強い危機感の表れです。

本記事では、日本3PL協会の最新動向と加藤専務理事が発信するメッセージの真意を紐解き、経営層や現場リーダーが今まさに取り組むべき変革について解説します。

【ニュース解説】日本3PL協会が描く成長戦略と「人財」重視の背景

日本3PL協会は、物流を単なるコストセンターではなく、企業の競争力を左右する戦略的機能として捉え直す動きを加速させています。まずは、今回のニュースの要点を整理します。

日本3PL協会の現状と今後のロードマップ

項目 内容
主体 日本3PL協会(専務理事:加藤進一郎氏)
会員数の推移 2005年:84社 → 2025年末:340社 → 2030年目標:500社
会員構成の変化 運輸・倉庫(52%)に加え、IT・システム、マテハン、不動産、コンサルなど多業種へ拡大
重要キーワード 「人財」育成、CLO(最高物流責任者)の地位向上、「協創」と「実践」
今後の主要イベント 2025年12月:西日本支部開設、2026年秋:「食品物流&3PL総合展2026」初開催

「人財」発言の真意とは:作業者から「SCMプロデューサー」へ

加藤専務理事が強調する「人財」には、明確な定義があります。それは、「SCM全体を俯瞰し、荷主企業に対して最適解を提案できるプロフェッショナル」です。

これまで日本の物流業界、特に3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)事業者は、荷主からの要望を忠実に実行する「オペレーション能力」で評価されてきました。しかし、物流コストの高騰や労働力不足が深刻化する中、単なる受託業務だけでは持続可能性を保てなくなっています。

加藤氏は、物流部門のトップがCEO(最高経営責任者)に匹敵する権限と知見を持つCLOとして経営に参画することを目指しています。そのためには、現場の改善だけでなく、経営戦略として物流をデザインできる人材の育成が不可欠なのです。

西日本支部の開設と大規模展示会の初開催

協会は「実践」の場を広げるため、具体的なアクションプランを打ち出しています。

  • 西日本支部の開設(2025年12月): 首都圏中心だった活動を全国規模へ拡大し、地域ごとの物流課題に対応するネットワークを強化します。
  • 「食品物流&3PL総合展2026」(2026年9月〜10月): 東京ビッグサイトで初開催されるこの展示会は、3PL事業者と荷主、そしてIT・マテハン企業が出会う「協創」の場として設計されています。

物流業界の各プレイヤーへの具体的影響

日本3PL協会が掲げる「人財」と「CLO」重視の方針は、業界全体にどのような波及効果をもたらすのでしょうか。

物流事業者(3PL・倉庫・運送):提案力の有無が勝敗を分ける

これからの物流事業者に求められるのは、「運びます」「保管します」という機能提供だけではありません。「貴社の経営課題を物流で解決します」というソリューション提案です。

  • 求められるスキル: 現場オペレーション力に加え、データ分析、在庫最適化、ITシステム構築の提案力が必須となります。
  • 組織体制: 営業担当者が単独で動くのではなく、IT部門や不動産部門と連携したチームでの提案体制(協創)がスタンダードになります。

荷主企業:経営層へのCLO設置圧力が強まる

荷主企業にとっても、物流は「安く叩く対象」から「共に価値を創るパートナー」へと認識を変える必要があります。特に、物流部門の責任者を役員クラスに引き上げ、全社的な権限を持たせる動きが加速するでしょう。

併せて読む: JILS大橋会長「支援に全力」|物流統括管理者義務化へ企業がすべきこと

IT・マテハン・不動産業界:SCMのエコシステム化

日本3PL協会の会員構成において、非物流事業者の割合が増えていることは重要です。ITベンダーやデベロッパーは、単なるサプライヤーではなく、物流事業者と共にSCMを構築するパートナーとしての立ち位置を確立しつつあります。

LogiShiftの視点|「人財」の再定義とCLO義務化への備え

ここからは、今回のニュースをさらに深掘りし、今後の物流業界の展望と企業が取るべきアクションについて考察します。

「現場力」と「経営力」を繋ぐブリッジ人材の欠如

加藤専務理事が「人財」を強調する背景には、日本の物流業界における深刻な「ブリッジ人材」の不足があります。

現場のオペレーションに精通した「現場のプロ」は多く存在します。一方で、経営数値やSCM戦略を語れる「経営のプロ」もいます。しかし、「現場のリアリティを知りながら、経営言語でロジスティクスを語れる人材」が圧倒的に不足しています。

3PL協会が目指すのは、この両をつなぐ人材の育成です。今後は、社内教育だけでなく、異業種(IT、コンサル、商社など)からの人材登用も活発化するでしょう。「物流業界の常識」に染まっていない人材が、新しい風を吹き込む可能性があります。

2026年問題とCLOの法的義務化

この「人財」育成の流れは、国の政策とも密接にリンクしています。2026年4月の法改正により、一定規模以上の企業には「物流統括管理者(CLO)」の選任が義務化される見通しです。

これまで「努力義務」や「概念」でしかなかったCLOが、法的な裏付けを持つポジションになります。日本3PL協会の動きは、この法改正を見据え、形だけのCLOではなく、実効性のある権限を持ったリーダーを育成するための先手を打ったものと言えます。

CEOが物流を理解していない場合、CLOがいくら正論を唱えても投資は実行されません。加藤氏が「CEOに匹敵するCLO」と言及したのは、経営トップの意識改革を含めた構造変革が必要だからです。

併せて読む: 2026年物流大転換|CLO義務化と改正下請法で経営はどう変わる?

「協創」はスローガンではなく生存戦略

会員数が急増し、多様な業種が集まっていることは、1社単独で物流課題を解決することが不可能な時代に入ったことを示唆しています。

例えば、自動化倉庫の導入には、3PLの運用ノウハウ、マテハンメーカーの技術、IT企業のWMS(倉庫管理システム)、そして不動産デベロッパーの施設設計が必要です。これらがバラバラに動くのではなく、協会のようなプラットフォームを通じて「協創」することが、プロジェクトの成功率を高め、結果として荷主への付加価値向上に繋がります。

まとめ:明日から意識すべき3つのアクション

日本3PL協会の加藤専務理事が発した「今後の物流業界は『人財』」という言葉は、業界全体への重い問いかけです。経営者や現場リーダーは、以下の3点を意識して明日の業務に向き合う必要があります。

  1. 「作業」ではなく「戦略」を語る:
    • 日々の業務報告において、単なる件数やコストだけでなく、「どうすればSCM全体が良くなるか」という視点を盛り込む。
  2. 異業種とのネットワーキング:
    • 同業者だけでなく、ITやマテハン、不動産など周辺領域のパートナーと積極的に交流し、「協創」の種を探す。
  3. CLO視点の育成:
    • 次世代のリーダーに対して、現場スキルだけでなく、財務や経営戦略、プレゼンテーション能力などの教育投資を行う。

物流は今、コスト削減の下請け産業から、企業の成長を牽引する知識集約型産業へと脱皮しようとしています。その中心にいるのは、システムでもロボットでもなく、高度な判断力を持った「人財」なのです。

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