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Home > ニュース・海外> 大和証券も出資。中南米で「120億円受注」Geek+の衝撃と日本の勝機
ニュース・海外 2026年1月28日

大和証券も出資。中南米で「120億円受注」Geek+の衝撃と日本の勝機

Geek+ Secures Over RMB 600 Million in Latin America Orders in 2025, Wins Backing from Daiwa and Morgan Stanley

2025年、物流ロボット(AMR)業界に衝撃的なニュースが飛び込んできました。中国のAMR大手Geek+(ギークプラス)が、中南米市場において6億人民元(約120億円)を超える新規受注を確保したと発表したのです。

さらに注目すべきは、この成長を支える直近の資金調達(シリーズE2)に、米国のモルガン・スタンレーと共に日本の大和証券グループが名を連ねている点です。

「なぜ今、中南米なのか?」「なぜ日本の金融資本がそこに投資するのか?」

このニュースは単なる海外の成功譚ではありません。日本の物流企業が直面する「2024年問題」や「設備投資のジレンマ」を突破するための、極めて重要なヒントが隠されています。本稿では、Geek+の中南米での躍進を紐解きながら、日本の物流DXへの示唆を解説します。

【Why Japan?】なぜ今、地球の裏側のトレンドを知るべきか

日本の物流現場では、依然として「人手不足」が最大の課題です。しかし、自動化への投資は慎重になりがちです。「初期投資が高い」「既存オペレーションとの適合が不安」といった声が根強いからです。

一方で、中南米やアジアなどの新興市場では、日本とは異なる力学で「爆発的な自動化」が進んでいます。特に今回の中南米の事例は、「地政学リスクへの対応(ニアショアリング)」と「柔軟な自動化(AMR)」が見事にリンクした結果です。

日本の物流経営層がこの事例から学ぶべき理由は以下の3点です。

  1. ニアショアリング需要の取り込み: グローバルサプライチェーンの再編に伴い、物流拠点の在り方が変わっている。
  2. 投資対効果の証明: 120億円規模の受注は、AMRが「実験段階」を終え、「インフラ」として定着した証拠である。
  3. 日本資本の動き: 国内大手金融が海外の物流テックに投資している事実(国内市場だけでは成長限界があるというシグナル)。

併せて読む: 北米物流崩壊の危機。トランプ「カナダ関税100%」警告と日本への余波

世界の物流ロボット市場と「中南米シフト」の背景

Geek+の快進撃を理解するには、世界的な物流トレンドの変化を把握する必要があります。これまで自動化の主戦場は「人件費の高い先進国(欧米・日本)」でしたが、潮目は変わりつつあります。

主要エリア別の物流自動化ドライバー比較

世界各地域で、自動化を推進する動機(ドライバー)が異なります。以下に現状を整理します。

地域 自動化の主な動機 技術トレンド 日本企業への影響度
北米 人件費高騰、労働組合対策、ニアショアリング 大型自動倉庫、AIロボティクス 特大(輸出入・現地法人)
欧州 環境規制(ESG)、労働者保護、省人化 省エネ型AGV、高度なWMS連携 中(規格・標準化の参考)
中国 圧倒的なEC物量、テック企業の覇権争い 無人配送、高速仕分けロボット 大(ハードウェア供給元)
中南米 EC急拡大、北米向け輸出拠点化(メキシコ等) 導入スピード重視のAMR、RaaS 急上昇(今回の注目点)

なぜ中南米でAMRが爆売れするのか

中南米市場、特にブラジルやメキシコでは、Eコマースの急速な普及に加え、ニアショアリング(消費地である米国に近い場所での生産・物流)が加速しています。

固定式の自動倉庫(AS/RS)ではなく、Geek+のようなAMR(自律走行搬送ロボット)が選ばれる理由は、その「柔軟性」にあります。急激な需要変動に対し、ロボットの台数を増減させるだけで対応できるAMRは、成長市場のリスクヘッジとして最適解なのです。

先進事例:Geek+の「中南米6億元受注」と投資の論理

今回のニュースの核心である、Geek+の事例を深掘りします。

「Shelf-to-Person」が切り開いた市場

Geek+が中南米で受注を積み上げた主力製品は、棚ごと作業者の元へ運ぶGTP(Goods-to-Person)ソリューション、特に「PopPick」などの次世代型システムです。

  • 事例のポイント: 大手小売業者や3PL企業が採用。
  • 成功要因:
    • 導入スピード: 倉庫の床工事などを最小限に抑え、数ヶ月で稼働可能。
    • スケーラビリティ: ブラックフライデーなどの波動に合わせてロボットを追加投入可能。

中南米のような新興市場では、ビジネス環境の変化が激しいため、一度入れたら変更が利かない大型マテハンよりも、こうした「後付け可能」なロボットが好まれます。

大和証券とモルガン・スタンレーが出資した意味

Geek+は今回の受注拡大に先立ち、シリーズE2ラウンドで1億ドル(約150億円)の資本調達を行っています。ここに大和証券グループ(Daiwa Capital Markets)が出資している事実は重いです。

  • 金融視点: 日本国内の物流不動産やインフラ投資に強みを持つ大和グループが、中国系テック企業の「グローバル展開(特に非中国・非米国市場)」に成長余地を見出している。
  • 技術視点: 米中対立などの地政学リスクがある中でも、Geek+の技術力と、それを必要とするグローバルサウス(南半球を中心とした新興国)の需要は揺るがないという判断。

これは、日本の投資マネーが「国内の安定」よりも「海外のダイナミズム」に流れている一つの証左とも言えます。

日本への示唆:海外のスピード感をどう取り込むか

では、この海外トレンドを日本の物流企業はどう活かすべきでしょうか。

日本と海外の「自動化」に対する意識ギャップ

項目 日本の一般的なアプローチ 中南米・海外の成功モデル
投資判断 石橋を叩いて渡る(ROI 5年以上で検討) スピード重視(機会損失を恐れる)
導入目的 ミス削減、労働力不足の「穴埋め」 出荷能力の「拡張」、競争優位の確立
システム 既存フローに合わせたカスタマイズ パッケージ標準への業務合わせ

日本企業が今すぐ参考にすべきアクション

  1. 「後付け自動化」の積極採用
    中南米での成功要因は「スモールスタート」と「急拡大」への対応力です。日本でも、既存倉庫のレイアウトを大幅に変えずに導入できるAMRの活用が、2024年問題解決の鍵となります。大規模な自動倉庫を建てる前に、まずは部分的なロボット導入でPDCAを回す姿勢が求められます。

    併せて読む: 日本ロジテム×シーネット|AMR実証開始に見る「後付け自動化」の勝算

  2. グローバルな技術パートナーシップ
    「中国製はセキュリティが…」と敬遠するだけでは、技術革新から取り残されるリスクがあります。大和証券が出資したように、ビジネスと技術を冷静に見極め、優れたソリューションは是々非々で採用する、あるいはOEM活用するなどの柔軟な戦略が必要です。

  3. 「波動」を前提とした設備設計
    日本の物流は「平日平均」で設計されがちですが、EC化率が高まれば波動は激しくなります。中南米の事例のように、「ピーク時に合わせてロボットをレンタル(RaaS)で増やす」といった運用モデルへの転換が急務です。

まとめ:2025年、物流は「国境」を超える

Geek+が中南米で120億円もの受注を獲得したニュースは、物流自動化の波が先進国だけでなく、新興国を含めた世界全体で不可逆的に進んでいることを示しています。

日本の物流企業にとって、これは「対岸の火事」ではありません。大和証券のような国内資本が既にその将来性に賭けているように、「柔軟でスピーディーな物流構築」こそが、次世代の勝ち筋です。

「慎重な検討」を繰り返している間に、海外の競合や、最新テック武装した新規参入プレイヤーに市場を奪われないよう、まずは「小さく、速く」動き出すことが、今求められています。

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