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Home > ニュース・海外> CATL工場で実戦投入。50kg搬送の「車輪型」人型ロボットが変える現場の常識
ニュース・海外 2026年1月29日

CATL工場で実戦投入。50kg搬送の「車輪型」人型ロボットが変える現場の常識

50kg可搬の産業用人型ロボット「Galbot S1」、CATLの電池工場に実戦投入

「人型ロボットは、まだ研究室のおもちゃだ」

もしあなたがそう思っているなら、中国の製造現場で起きている現実に目を向ける必要があります。世界的な車載電池メーカーであるCATL(寧徳時代新能源科技)の工場で、ある一台の「人型」ロボットが静かに、しかし確実に物流の常識を覆し始めました。

その名は「Galbot S1」。

中国のロボットメーカー銀河通用機器人(Galbot)が開発したこのロボットは、二足歩行の不安定さを捨て、「車輪」による安定性と「両腕で50kg」という圧倒的な可搬重量を武器に、24時間365日の完全自律稼働を実現しています。

なぜ今、日本企業はこの事例を知るべきなのでしょうか。それは、日本の物流・製造現場が抱える「重量物の搬送」と「人手不足」という二重苦に対し、Galbot S1のアプローチが極めて現実的な解を提示しているからです。

本記事では、世界が注目する「Galbot S1」の実力と、そこから読み解く物流自動化の最新トレンドを解説します。

海外の最新動向:なぜ「車輪型」が選ばれるのか

人型ロボット(ヒューマノイド)の開発競争は、米国と中国を中心に激化しています。しかし、そのアプローチには明確な違いが生まれつつあります。

二足歩行 vs 車輪移動:実用化への近道

米国のTesla「Optimus」やBoston Dynamicsの新型「Atlas」などが人間に近い「二足歩行」の完成度を高める一方で、中国勢の一部は「製造現場での即戦力」を最優先し、「車輪移動(Wheeled Humanoid)」を選択しています。

これまで研究室から現場へ。Hyundai工場でAtlas稼働が示す「ロボット労働」の夜明けでも触れた通り、二足歩行は階段や不整地に強い反面、平坦な工場内でのエネルギー効率や安定性、可搬重量においては車輪型に劣ります。

現在、世界の産業用ロボット市場では以下の2つの潮流が生まれています。

特徴 二足歩行型(Bipedal) 車輪移動型(Wheeled)
主なプレイヤー Tesla (Optimus), Boston Dynamics (Atlas), Unitree (G1) Galbot (S1), Fourier (GR-1の一部応用), 1X (Eve)
移動速度 歩行速度(時速3-5km程度) 高速移動が可能(時速10km以上も設計容易)
安定性・可搬 バランス制御にリソースを割くため重量物は苦手 重心が低く安定。重量物の把持・搬送に有利
主な用途 階段昇降、複雑な地形、人間社会への適応 工場・倉庫内の平坦路、パレタイジング、重量物搬送
導入ハードル 技術的難易度とコストが非常に高い 既存のAMR技術を応用でき、比較的安価で実用的

以前の記事「China set to lead…」レポート解説|人型ロボット覇権を握る中国と日本の物流DXでも解説した通り、中国は政府主導で人型ロボットの社会実装を急いでおり、その中で「実用性」に振り切ったGalbotのような存在が頭角を現しています。

エンボディドAI(身体性AI)の実装フェーズ

これまでのロボットは、特定の動きをプログラムする必要がありました。しかし、現在のトレンドは「エンボディドAI(Embodied AI)」です。AIがカメラなどのセンサーを通じて環境を理解し、自律的に判断して物理的な身体(ロボット)を動かします。

Galbot S1の事例は、このエンボディドAIが単なるデモンストレーションではなく、CATLという世界トップクラスの製造現場で「実務」をこなし始めた点に大きな意味があります。

併せて読む:トヨタも採用「具身知能」が上場へ。10万台実績が示すロボット実戦配備の幕開け

先進事例:CATL工場に導入された「Galbot S1」の全貌

では、具体的にGalbot S1は何が優れているのでしょうか。CATL工場での稼働事例をもとに、そのスペックと運用方法を深掘りします。

1. 驚異の「50kg」可搬重量と汎用性

従来の人型ロボットの多くは、指先の繊細さはあっても、重い荷物を持つことは苦手でした(多くは片腕数kg〜10kg程度)。しかし、Galbot S1は以下のスペックを実現しています。

  • 最大可搬重量: 両腕で50kg
  • アーム伸長時の可搬: 前方に腕を伸ばした状態でも32kg

これは、物流現場で最も頻繁に扱われる「折りたたみコンテナ(オリコン)」や、自動車部品、バッテリーモジュールを余裕を持ってハンドリングできることを意味します。

さらに、身長173cmという人間サイズでありながら、しゃがみ込んで地面にある物体を拾う動作から、高い棚への収納まで、作業範囲(ワークスペース)が人間と同等以上に広く設計されています。

2. タグ不要の「純粋な視覚認識(ピュアビジョン)」

日本の物流倉庫でAGV(無人搬送車)を導入する際、ネックになるのが「磁気テープの敷設」や「QRコードの貼り付け」といったインフラ整備です。

Galbot S1は、この課題を「純粋な視覚認識(ピュアビジョン)」で解決しています。

  • LiDARや2Dマーカーに頼らない: 搭載されたカメラとAIだけで、工場のレイアウト、障害物、商品棚の位置を3次元でリアルタイムに認識します。
  • 汎用性: 大規模な工事が不要なため、既存の工場や倉庫にそのまま投入し、即座にマップを作成して稼働を開始できます。

3. 車輪型による「24時間365日」の連続稼働

Galbot S1の最大の特徴は、下半身がオムニホイール(全方向移動車輪)であることです。

  • 移動効率: 二足歩行のような「揺れ」がないため、センサーのノイズが少なく、高速かつ正確な位置合わせが可能です。
  • バッテリー交換: 1回の充電で8時間稼働しますが、特筆すべきは「自律バッテリー交換機能」です。充電ステーションで待機するのではなく、ロボット自身がバッテリーを交換(あるいは専用設備で交換)することで、ダウンタイムを極小化しています。

これにより、CATLの工場のような「止めることが許されない」ラインにおいて、24時間365日の無停止運用をクリアしました。

日本への示唆:Galbot S1から何を学ぶべきか

「中国の巨大工場だからできることだ」と片付けるのは早計です。むしろ、人手不足が深刻化する日本の物流現場こそ、この「車輪型ヒューマノイド」の導入メリットが大きいと言えます。

既存倉庫への「後付け自動化」の可能性

日本の物流倉庫は、通路幅が狭く、レイアウトが複雑な場合が多くあります。従来の大型自動倉庫システムを入れるには建屋ごとの改修が必要でした。

しかし、Galbot S1のようなタイプであれば、以下のメリットがあります。

  • インフラ工事不要: ピュアビジョン技術により、現状の通路や棚をそのまま使用可能。
  • 人とロボットの共存: 人間と同じサイズ感で、人間と同じ動線で動けるため、完全無人化が難しい「ハイブリッドな現場」に適応しやすい。

「補助」から「主役」への転換

これまでの協働ロボットは、人が行う作業の一部を「手伝う」存在でした。しかし、50kgを持てるGalbot S1は、人が行うには負担が大きすぎる「重量物の積み替え」や「パレタイジング」を、人間に代わって「主役」としてこなせます。

特に日本では「腰痛による労災」が物流現場の課題となっています。単純搬送はAGVに任せ、棚からのピッキングや積み替えといった「高さ」と「力」が必要な作業をこの種のロボットに任せるという分業が見えてきます。

日本企業が直面する課題

もちろん、そのまま導入するには壁もあります。

  1. 安全性への懸念: 日本の厳格な安全基準に対し、自律移動する重量級ロボットがどう適合するか。法規制の整備やリスクアセスメントが必要です。
  2. コスト対効果: 中国製ロボットは低価格化が進んでいますが、サポート体制やシステム連携のコストを含めたROI(投資対効果)の検証が不可欠です。

しかし、技術的なブレイクスルーはすでに起きています。あとは「どう使うか」という実装の知恵が問われるフェーズに入っています。

まとめ:エンボディドAIの実戦時代へ

Galbot S1のCATL工場への導入は、人型ロボットが「夢の技術」から「利益を生む設備」へと進化したことを示す象徴的な出来事です。

  • 50kgの可搬重量: 実用レベルのパワーを確保。
  • 車輪移動: 安定性と稼働時間を優先した現実的な設計。
  • ピュアビジョン: インフラ工事不要の高い柔軟性。

これらの要素は、日本の物流・製造業が直面する「2024年問題」や労働力不足に対する、一つの明確な回答です。

これからは、「人型だから二足歩行でなければならない」という固定観念を捨て、「現場の課題を解決するための最適な形態(Form Factor)」として、車輪型ヒューマノイドやモバイルマニピュレーターの活用を検討すべき時期に来ています。

海外のトレンドは、もはや「実験」ではありません。「実戦」です。この波に乗り遅れないよう、最新情報のキャッチアップと、小規模からでもPoC(概念実証)を超える実導入の検討を始めることをお勧めします。

併せて読む:動画を見るだけで「物理」を学習?1X社「World Model」が壊すロボット導入の常識

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