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Home > 事例・インタビュー> 【徹底解説】デジタルピッキング導入事例|基礎知識と成功の3大メリット
事例・インタビュー 2025年12月6日

【徹底解説】デジタルピッキング導入事例|基礎知識と成功の3大メリット

デジタルピッキング 導入事例

「ピッキングリストを片手に広い倉庫を歩き回り、商品を探すのに時間がかかる…」
「ベテランと新人の作業スピードに差がありすぎて、生産性が安定しない…」
「品番の思い込みで誤出荷が発生し、クレーム対応に追われてしまった…」

物流倉庫の現場で働く担当者や倉庫管理者の皆様なら、一度はこのような課題に頭を悩ませたことがあるのではないでしょうか。人手不足が深刻化する一方で、EC市場の拡大により、より速く、より正確な出荷が求められる現代において、従来の「紙と人手」に頼ったピッキング作業は限界を迎えつつあります。

この記事では、こうした課題を解決する強力な一手として注目されている「デジタルピッキングシステム」について、その基礎知識から導入事例、メリット、そして導入時の注意点までを分かりやすく解説します。

デジタルピッキングとは?~「誰でも、速く、正確に」を実現する仕組み

デジタルピッキングとは、一言でいえば「紙のピッキングリストの代わりに、デジタル機器の指示に従って商品を集める(ピッキングする)作業方法」のことです。

ランプや音声、プロジェクター、ハンディターミナルといったデジタル機器が、ピッキングすべき商品の「場所(ロケーション)」と「数量」をナビゲートしてくれます。これにより、作業者は倉庫のどこにいても、次に何をすべきかを直感的に理解できるため、「探す・考える・迷う」といった時間を大幅に削減できます。

この仕組みは、総称して「DPS(Digital Picking System)」と呼ばれることもあり、その目的は「作業の標準化」を通じて、経験やスキルに関わらず「誰でも・速く・正確に」ピッキング作業を行える環境を構築することにあります。

デジタルピッキングの主な種類と仕組み

デジタルピッキングには様々な方式があり、それぞれに特徴と得意な分野があります。ここでは代表的な5つの方式を、それぞれの仕組みや向いている現場と合わせて見ていきましょう。

種類 仕組み 特徴 向いている現場
表示器方式(DPS) 商品棚に設置されたデジタル表示器(ランプとボタン付き)が光り、ピッキングする商品と数量を指示します。作業者はランプが光った棚へ行き、表示された数量の商品を取り、ボタンを押して完了を知らせます。 直感的で分かりやすく、新人でもすぐに作業できます。高速・高精度なピッキングが可能です。棚ごとに表示器の設置が必要なため、初期コストがかかる傾向があります。 少品種多量の商品を扱うECの出荷センターなど、高速なピッキングが求められる現場に適しています。
ゲートアソートシステム(GAS) 間口(ゲート)に設置されたデジタル表示器とバーコードリーダーを使用します。商品をスキャンすると、投入すべき間口の表示器が光り、数量が表示されます。「種まき方式(アソート)」と呼ばれる仕分け作業に特化しています。 1つの商品を複数の出荷先へ同時に仕分ける作業(種まき)を高速化・効率化できます。オリコンやコンテナ単位の仕分けに最適です。 クロスドックセンターや、多店舗への一括出荷など、仕分け作業が中心の現場で力を発揮します。
ハンディターミナル(HHT) ハンディターミナル(携帯端末)の画面に表示される指示に従いピッキングを行います。商品のバーコードをスキャンして照合(検品)することで、間違いを防ぎます。 比較的低コストで導入可能で、ロケーション管理や在庫管理機能も併せ持つことが多いです。ただし、片手がふさがり、都度画面を見る必要があります。 多品種少量の商品を扱う倉庫や、ロケーションが頻繁に変わる現場、デジタル化の第一歩として導入を検討している場合に適しています。
プロジェクションピッキング プロジェクターを使い、商品棚や商品自体に直接、ピッキング指示(場所、数量、画像など)を投影します。作業者は投影された指示に従って作業を進めます。 視覚的に分かりやすく、直感的な作業が可能です。ハンズフリーで作業できるため、両手を使う作業にも向いています。言語の壁がない点もメリットです。設置環境(明るさや棚の形状)に制約がある場合があります。 細かい部品の組み立てラインや、形状が似ている商品が多いピッキング作業で効果的です。
スマートグラス メガネ型のウェアラブルデバイスです。作業者の視界に直接、ピッキング指示(場所、数量、商品画像など)をAR(拡張現実)で表示します。 ハンズフリーで両手が使えるため作業効率が非常に高いです。視線移動が少なく、疲労軽減にも繋がります。広大な倉庫での移動を伴うピッキングに最適ですが、導入コストは比較的高価です。 広大な敷地を持つ物流センターや、両手を使う必要がある複雑なピッキング作業が求められる現場に向いています。

これらのシステムは、多くの場合WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)と連携して機能します。WMSから送られてくる出荷指示データに基づき、各デジタル機器が作業者へリアルタイムに指示を出す、という流れが一般的です。

なぜ重要?デジタルピッキング導入の3大メリット

デジタルピッキングを導入することで、倉庫オペレーションはどのように変わるのでしょうか。ここでは、導入によって得られる代表的な3つのメリットを、具体的な導入事例のイメージを交えながら解説します。

メリット1:生産性の飛躍的な向上

最も大きなメリットは、ピッキング作業の生産性が劇的に向上することです。

  • 「探す」時間の削減
    従来の紙リストによる作業では、作業時間の多くが「商品を探す時間」に費やされていました。デジタルピッキングでは、ランプやプロジェクターが次に取るべき商品の場所をピンポイントで示してくれるため、この「探す」という行為がほぼゼロになります。これにより、作業者は純粋に「歩く・取る」という動作に集中でき、作業スピードが大幅に向上します。

  • 作業スピードの均質化
    ベテラン作業員は、商品の配置を記憶しているため作業が速い一方、新人は覚えるまで時間がかかります。デジタルピッキングは、誰が作業しても同じ指示・同じ手順で進められるため、経験による作業スピードの差がほとんどなくなります。これにより、倉庫全体の生産性が安定し、出荷計画も立てやすくなります。

あるアパレルECの導入事例では、表示器方式(DPS)を導入したことで、ピッキング生産性が従来の約2倍に向上したという報告もあります。

メリット2:ピッキングミスの劇的な削減による品質向上

誤出荷は、顧客からの信頼を損なうだけでなく、返品対応や再発送など、余計なコストと手間を発生させます。デジタルピッキングは、こうしたヒューマンエラーを限りなくゼロに近づける仕組みを持っています。

  • ヒューマンエラーの防止
    「品番のBと8を見間違えた」「似たようなパッケージの商品を取り間違えた」といったミスは、デジタルシステムが正確に指示することで防げます。また、ピッキングした後に完了ボタンを押したり、バーコードをスキャンしたりする工程が挟まるため、「数量を間違える」「商品を棚に戻し忘れる」といったうっかりミスも防止できます。

  • リアルタイム検品
    ハンディターミナルやゲートアソートシステムでは、商品のバーコードをスキャンする工程が必須です。これにより、「ピッキング=検品」となり、間違った商品を取った瞬間にエラーが通知されるため、誤出荷が倉庫から外に出るのを未然に防ぎます。

ある化粧品メーカーの倉庫では、ハンディターミナル導入後、誤出荷率が1/10以下にまで激減し、顧客満足度の大幅な向上に繋がりました。

メリット3:教育コストの削減と人材不足への対応

慢性的な人手不足に悩む物流業界において、このメリットは非常に重要です。

  • トレーニング期間の短縮
    デジタルピッキングは「光った場所から、表示された数を取る」という直感的な作業が中心です。そのため、新人でも数時間のトレーニングで、ベテランに近いレベルで作業できるようになります。従来のように、先輩作業員が数週間つきっきりで教える必要がなくなり、教育担当者の負担と教育コストを大幅に削減できます。

  • 属人化の解消と多様な人材の活用
    「あの商品の場所はAさんしか知らない」といった属人化された状態は、組織にとって大きなリスクです。デジタルピッキングは作業を標準化し、誰でも同じ品質で作業できる環境を提供します。また、言語に依存しにくいシステム(特に表示器方式やプロジェクションピッキング)は、外国人労働者にとっても分かりやすく、多様な人材が活躍できる職場づくりに貢献します。

繁忙期に短期スタッフを多く採用する現場では、即戦力化が課題となりますが、デジタルピッキングはその課題を解決する切り札となり得ます。

導入前に知っておきたい注意点と課題

多くのメリットがあるデジタルピッキングですが、導入を成功させるためには、事前に把握しておくべき注意点や課題も存在します。

注意点1:初期投資コスト

デジタルピッキングシステムの導入には、当然ながらコストがかかります。機器の購入費用(表示器、ゲート、プロジェクター、ハンディターミナルなど)、ソフトウェア費用、設置工事費、WMSとの連携開発費など、方式や規模によって費用は様々です。
「どれくらいの期間で投資を回収できるのか」という費用対効果(ROI)を、導入前にしっかりとシミュレーションすることが不可欠です。

注意点2:WMS(倉庫管理システム)との連携

前述の通り、デジタルピッキングシステムの多くはWMSと連携して稼働します。現在使用しているWMSが、導入したいシステムと連携可能かどうかを確認する必要があります。場合によっては、WMSの改修や、システム間の連携をスムーズにするための追加開発(ミドルウェアなど)が必要になることもあります。

注意点3:現場オペレーションの変更とスタッフへのケア

新しいシステムの導入は、これまでの作業フローを大きく変えることを意味します。作業スタッフからは「新しいことを覚えるのが大変」「今までのやり方の方が慣れている」といった抵抗感が生まれる可能性もあります。
なぜシステムを導入するのか、導入によって現場がどう良くなるのかを丁寧に説明し、十分なトレーニング期間を設けるなど、現場スタッフの不安を取り除く配慮が成功の鍵を握ります。

注意点4:システムトラブルへの備え

デジタルシステムである以上、停電やシステム障害、ネットワークトラブルのリスクはゼロではありません。万が一システムが停止した場合でも、業務を完全にストップさせないための代替策(例:紙リストによるマニュアル作業への切り替え手順)を事前に準備し、周知しておくことが重要です。また、導入後の保守・サポート体制が充実しているベンダーを選ぶこともポイントです。

まとめ:次の一歩を踏み出すために

この記事では、デジタルピッキングの基礎知識から、そのメリット、そして導入時の注意点までを解説しました。

デジタルピッキングは、単なる作業効率化ツールではありません。ピッキングミスを削減して物流品質を高め、新人でもすぐに活躍できる環境を整えることで人材不足の課題に対応し、結果として顧客満足度と企業競争力を向上させるための戦略的な投資です。

もし、あなたの倉庫が「生産性が上がらない」「ミスが減らない」「人が定着しない」といった課題を抱えているなら、デジタルピッキングの導入は検討する価値が大いにあります。

では、具体的に何から始めればよいのでしょうか。次のアクションとして、以下の3つのステップをお勧めします。

  1. 自社の課題の「見える化」:まずは、自社の倉庫で「どこで」「どのような」ミスや非効率が発生しているのかを具体的に洗い出しましょう。作業動線の分析や、ミスの発生傾向などをデータで把握することが第一歩です。
  2. 情報収集と比較検討:この記事で紹介した各種方式の特徴を参考に、自社の課題や扱う商品の特性(多品種少量か、少品種多量か)、倉庫のレイアウトに合ったシステムはどれかを検討します。
  3. 専門家への相談:システムを提供している複数のベンダーに相談し、デモンストレーションを見せてもらったり、より詳細な導入事例を聞いたりしてみましょう。自社の課題を伝えることで、最適なシステムや導入プランの提案を受けることができます。

デジタル化の波は、物流業界にも確実に押し寄せています。この変化をチャンスと捉え、次世代の倉庫運用に向けた第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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