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Home > 事例・インタビュー> 【現地取材】ANA Cargo成田新拠点|AGV60台が担う「集約×自動化」戦略の全貌
事例・インタビュー 2026年3月2日

【現地取材】ANA Cargo成田新拠点|AGV60台が担う「集約×自動化」戦略の全貌

【現地取材・動画】ANA Cargo、成田空港の大規模貨物上屋で活用AGVを公開

日本の空の玄関口、成田国際空港において、国際航空貨物の物流構造を根底から変える巨大プロジェクトが始動しました。

ANAグループの貨物事業を担うANA Cargoは、新貨物上屋「ANA Cargo Base+(プラス)」を報道陣に公開。そこで披露されたのは、60台ものAGV(無人搬送車)が整然と走り回る、未来の物流拠点の姿でした。

単なる「省人化」のニュースではありません。これまで空港内に分散していた6つの上屋を1カ所に集約し、自動化技術と組み合わせることで、貨物処理能力を従来比25%増(年間約50万トン)へ引き上げるという、極めて攻撃的な経営戦略です。

本記事では、ANA Cargoが成田で仕掛ける「集約×自動化」の全貌と、Phoxter(フォックスター)やeve autonomy(イーブオートノミー)といった注目企業の技術がどう実装されているのか、現地取材の情報をもとに詳細に解説します。また、この事例が示唆する物流業界全体のトレンドについても考察します。


ニュースの背景:なぜ今、「ANA Cargo Base+」なのか?

航空貨物需要は、越境ECの拡大やサプライチェーンの多様化により、依然として高いポテンシャルを持っています。しかし、成田空港におけるANA Cargoのオペレーションは、長年「分散」という課題を抱えていました。

これまでは空港内の6カ所に上屋が点在しており、貨物の横持ち(拠点間移動)や、それに伴うタイムロス、人員配置の非効率が発生していました。これを解消し、アジア太平洋のゲートウェイとしての競争力を高めるために建設されたのが「ANA Cargo Base+」です。

プロジェクトの概要と数値目標

今回のプロジェクトの核心は、「物理的な統合」と「デジタルによる自動化」を同時に実行した点にあります。主要なファクトを以下に整理しました。

項目 詳細内容
施設名称 ANA Cargo Base+(成田国際空港内)
稼働開始 2024年10月供用開始
主な目的 分散していた6カ所の上屋を1カ所に集約
導入技術 Phoxter製AGV(60台)、eve auto(自動搬送)
成果目標 貨物取扱能力 25%増(年間約40万t→50万t)
提携企業 Phoxter、eve autonomy、芙蓉総合リース

このプロジェクトの最大の特徴は、単に建物を新しくしただけでなく、オペレーションの設計段階からAGVの導入を前提としている点です。トラックからの荷降ろし後、仕分けエリアへの搬送を自動化することで、人がフォークリフトを運転して走り回る時間を劇的に削減しています。


現場への実装:AGV60台による「群制御」の衝撃

公開された現場で最も注目を集めたのは、やはりその規模感です。数台の実証実験レベルではなく、60台という規模でAGVが実運用されている光景は、日本の物流現場における「自動化フェーズ」が変わったことを印象づけました。

1. Phoxter製AGVによる屋内搬送の自動化

屋内の主要な搬送を担うのは、スタートアップ企業Phoxter(フォックスター)製のAGVです。

  • 役割: トラックドックから荷降ろしされた貨物を、検量・ラベリングを経て、所定の仕分けエリアまで自動搬送する。
  • 特徴: 60台が連携して動くことで、突発的な貨物量の変動にも柔軟に対応。
  • 効果: 従来、フォークリフト作業員が行っていた「単純な移動」をロボットが代替。人はより付加価値の高い検品やビルドアップ(航空コンテナへの積み付け)作業に集中可能となります。

2. eve autonomyによる「屋外・長距離」の自動化

もう一つの注目技術が、ヤマハ発動機とティアフォーの合弁会社であるeve autonomyが提供する「eve auto」です。

  • 役割: 比較的長距離の移動や、上屋間の連携搬送、または大型貨物の牽引。
  • 特徴: 自動運転EV技術を応用しており、屋外環境や多少の段差がある環境でも走行可能。
  • 導入スキーム: 芙蓉総合リースを含む3社連携により、導入ハードルを下げるサブスクリプション型などの柔軟な運用が期待されています。

この2種類の自動搬送システムを組み合わせることで、屋内・屋外、短距離・長距離のすべてにおいて、シームレスな自動化ラインを構築しています。

併せて読む: 特定技能「物流倉庫」追加決定|航空グラハン含む新制度の影響と対策
※航空貨物と同様に、空港グラウンドハンドリング業務でも人手不足は深刻化しており、自動化と外国人材の活用はセットで考えるべき課題です。


業界への具体的な影響:各プレイヤーが受ける恩恵とは

この大規模な自動化と拠点集約は、ANA Cargo一社の利益にとどまらず、サプライチェーンに関わる多くのプレイヤーに影響を与えます。

荷主・フォワーダーへのメリット

  • リードタイムの短縮: 拠点間移動(横持ち)がなくなることで、貨物の搬入から航空機への搭載までの時間が短縮されます(カットオフタイムの延長など利便性向上に期待)。
  • ダメージリスクの低減: AGVによる一定速度・一定ルートでの搬送は、有人フォークリフトに比べて接触事故や荷崩れのリスクを低減させます。

物流機器メーカー・SIerへの示唆

  • スタートアップ技術の本格採用: 大手航空会社が、実績重視の海外大手メーカー製ではなく、Phoxterやeve autonomyといった国内スタートアップ/ベンチャーの技術を基幹システムに採用したことは大きな転換点です。「尖った技術」を持つ日本企業にとって、大きなチャンスであることを証明しました。

運送事業者への影響

  • 待機時間の削減: 施設が集約され、荷降ろし後のフローが自動化されることで、トラックバースの回転率向上が見込まれます。これはドライバーの待機時間問題の緩和に直結します。

LogiShiftの視点:単なる「自動化」ではない、勝負の分かれ目

ここからは、一連のニュースを深掘りし、物流経営者が読み解くべき「本質」について考察します。

1. 「ブラウンフィールド」ではなく「グリーンフィールド」的発想への転換

既存の倉庫にロボットを後付け導入するのではなく、今回のANA Cargo Base+は、「ロボットが動くことを前提に」フローが再設計されています。
拠点集約というハードウェアの刷新(グリーンフィールド的なアプローチ)のタイミングを逃さず、一気にDXを実装した決断力が成功の鍵です。多くの日本企業が「既存オペレーションの部分最適」に留まる中、オペレーション全体を再構築した点は高く評価されるべきです。

2. マルチベンダー・オーケストレーションの重要性

今回、屋内はPhoxter、屋外・牽引はeve autonomyと、異なるベンダーのロボットが共存しています。
今後の物流倉庫は、単一メーカーですべてを賄うことは不可能です。今回の事例のように、「適材適所」でベストなロボットを選定し、それらを統合的に管理する力(オーケストレーション能力)が、現場リーダーには求められます。

併せて読む: 倉庫は「保管」から「戦略拠点」へ。スループット50%増を実現する統合制御の極意
※複数のロボットやシステムを束ね、スループットを最大化するための「統合制御」の考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

3. 「人手不足対策」を超えた「競争力強化」

ANA Cargoは「25%の能力増強」を掲げています。これは、単に「人がいないからロボットを使う」という守りの姿勢ではありません。「同じ人員数で、より多くの貨物をさばく」という攻めの姿勢です。
国際物流の競争が激化する中、処理能力の向上はそのまま売上の拡大に直結します。DXをコスト削減手段ではなく、トップライン(売上)を伸ばす投資と捉えている点が、このプロジェクトの最も重要なメッセージです。


まとめ:明日から意識すべきこと

ANA Cargoによる成田空港でのAGV60台導入は、日本の物流現場における自動化の基準を一段階引き上げました。

本ニュースの要点まとめ
・規模: 成田新上屋でAGV60台を一挙導入。
・戦略: 6拠点を1カ所に集約し、貨物処理能力を25%向上(50万t/年)。
・技術: 屋内(Phoxter)と屋外(eve auto)を使い分けるハイブリッド構成。
・意義: 守りの省人化ではなく、攻めのキャパシティ増強投資。

経営層や現場リーダーの皆様は、自社の倉庫や拠点を振り返ってみてください。「部分的な自動化」に留まっていませんか?
拠点の統廃合やレイアウト変更といった大きなイベントは、DXを一気に進める千載一遇のチャンスです。ANA Cargoの事例は、ハード(施設)とソフト(デジタル・ロボット)を同時に刷新することの破壊力を示しています。

次なる一手として、自社の現場で「人間がただ運んでいるだけの工程」がどれだけあるか、それをAGVに置き換えたとき、どれだけのスループット向上が見込めるか、再計算してみることをお勧めします。

参照元:https://online.logi-biz.com/140499/

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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