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Home > 輸配送・TMS> 大手企業のラストワンマイルに向けた取り組みを徹底解説!
輸配送・TMS 2025年12月6日

大手企業のラストワンマイルに向けた取り組みを徹底解説!

ラストワンマイル 大手企業の取り組み

物流現場で日々業務に励む担当者や倉庫管理者の皆様の中には、「増え続ける小口配送にどう対応すればいいのか」「ドライバー不足やコスト高騰が深刻で、将来が不安だ」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。特に、EC市場の拡大に伴い、お客様に商品を届ける最後の区間、いわゆる「ラストワンマイル」の重要性と課題は、日増しに大きくなっています。

この記事では、物流業界の最重要テーマである「ラストワンマイル」について、その基礎知識から、業界をリードする大手企業がどのように課題解決に取り組んでいるのかを分かりやすく解説します。この記事を読めば、自社のラストワンマイル戦略を考える上でのヒントが得られるはずです。

ラストワンマイルの基礎知識

まずは、「ラストワンマイル」という言葉の定義と、なぜ今これほどまでに注目されているのかを理解しましょう。

ラストワンマイルとは何か?

ラストワンマイルとは、物流センターや配送拠点、店舗といった最終拠点から、お客様である個人宅やオフィスへ商品を届ける「物流の最後の区間」を指す言葉です。文字通り「最後の1マイル」という意味ですが、実際の距離に関わらず、最終配送プロセス全体を指すことが一般的です。

この区間は、物流プロセスの中で唯一、企業がお客様と直接顔を合わせる(あるいは商品を届ける)接点であり、顧客満足度に直結する非常に重要な部分です。時間通りに、丁寧な対応で商品を届けられるかどうかで、企業のブランドイメージは大きく左右されます。

なぜ今、ラストワンマイルが重要課題なのか?

ラストワンマイルが業界全体の重要課題となっている背景には、いくつかの複合的な要因があります。

  1. EC市場の爆発的な拡大: スマートフォンの普及により、誰もが手軽にオンラインショッピングを楽しむようになりました。これにより、企業から個人宅への小口・多頻度の配送件数が急増し、配送網に大きな負荷がかかっています。
  2. 深刻化するドライバー不足と「2024年問題」: 少子高齢化を背景に、トラックドライバーのなり手は減少・高齢化しています。さらに、2024年4月から「働き方改革関連法」が適用され、ドライバーの時間外労働に上限が設けられました(通称:2024年問題)。これにより、一人のドライバーが運べる荷物量が減少し、輸送キャパシティの低下が懸念されています。
  3. コスト構造の問題: ラストワンマイルは、物流コスト全体の中でも特に費用がかさむ領域です。一軒一軒個別に配送するため非効率になりやすく、物流コスト全体の約4割を占めるとも言われています。燃料費の高騰も、このコストをさらに押し上げています。
  4. 再配達問題: 受取人の不在による再配達は、ドライバーの負担を増大させ、CO2排出量の増加にもつながる社会問題です。国土交通省の調査では、宅配便の約1割が再配達となっており、この非効率をいかに解消するかが大きな課題です。

これらの課題を解決できなければ、配送料の値上げや配送サービスの品質低下は避けられません。だからこそ、多くの企業、特に業界を牽引する大手企業が、莫大な投資を行い、知恵を絞ってラストワンマイルの革新に取り組んでいるのです。

大手企業が取り組むラストワンマイル戦略の全体像

では、大手企業は具体的にどのようなアプローチでラストワンマイルの課題に立ち向かっているのでしょうか。その戦略は、大きく3つのカテゴリーに分類できます。

1. 配送効率化へのアプローチ

まずは、既存の配送プロセスそのものを効率化し、ドライバー一人あたりの生産性を向上させる取り組みです。

AIによる配送ルート最適化

ベテランドライバーの経験と勘に頼っていた配送ルート計画を、AI(人工知能)が代替する動きが加速しています。AIは、交通状況、天候、配達先の時間指定、荷物の量やサイズといった膨大なデータをリアルタイムで分析し、最も効率的な配送ルートと順番を瞬時に算出します。これにより、新人ドライバーでもベテラン並みの効率で配送業務を行えるようになり、教育コストの削減と業務品質の平準化に繋がります。

共同配送

通常、A社の商品はA社のトラックが、B社の商品はB社のトラックが配送します。しかし、同じエリアに向かうトラックの荷台が双方とも空いているのは非効率です。共同配送は、複数の運送会社が荷物を持ち寄り、方面が同じ荷物を一台のトラックにまとめて積んで配送する仕組みです。これにより、トラックの積載率が向上し、運行するトラックの台数を削減できます。結果として、コスト削減、ドライバー不足の緩和、そして環境負荷の低減に貢献します。

2. 受け取り方法の多様化

再配達を減らし、顧客の利便性を高めるために、商品の「受け取り方」の選択肢を増やす取り組みも活発です。

置き配の推進

お客様の在宅・不在に関わらず、玄関前や指定の場所に荷物を置かせてもらう「置き配」。再配達削減の切り札として、多くのECサイトや運送会社が標準的な選択肢として導入を進めています。専用の配送バッグを配布したり、配達完了を写真で通知したりするなど、盗難や汚損のリスクを低減する工夫も凝らされています。

宅配ボックス・宅配ロッカー(PUDOなど)の設置拡大

駅やコンビニ、スーパーマーケット、ドラッグストアなどに、誰でも利用できるオープン型の宅配ロッカー(例:PUDOステーション)を設置する動きが全国で広がっています。お客様は、通勤・通学のついでや買い物の際に、自分の好きなタイミングで荷物を受け取ることができます。これにより、再配達がゼロになるだけでなく、顧客のライフスタイルに合わせた利便性を提供できます。

店舗受け取り(BOPIS)

BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)とは、オンラインストアで購入した商品を、実店舗で受け取る仕組みです。お客様にとっては送料が無料になるメリットがあり、企業にとっては店舗への来店を促し、ついで買い(クロスセル)に繋がるチャンスが生まれます。

3. 新技術・新サービスの活用

より抜本的な課題解決を目指し、未来の物流インフラを構築するための先進的な取り組みも進んでいます。

ドローン配送

山間部や離島など、トラックでのアクセスが困難な地域への配送手段として、ドローンが注目されています。医薬品や緊急物資の輸送から始まり、近年では日用品や食料品の配送実証実験も各地で行われています。法整備や安全性の確保といった課題はありますが、特定の条件下での実用化が目前に迫っています。

自動運転ロボット配送

歩道を走行する小型の自動運転ロボットが、近距離の住宅街やオフィス街で商品を配送するサービスです。人手不足が特に深刻となる短距離配送の省人化・自動化が期待されています。こちらも実証実験が活発に行われており、一部の地域では限定的なサービスが開始されています。

ギグワーカーの活用

「ギグワーカー」とは、インターネットのプラットフォームを通じて単発の仕事を請け負う個人事業主のことです。フードデリバリーでお馴染みの仕組みを物流に応用し、一般の人が空き時間を使って自転車や自家用車で配達を代行するサービスが登場しています。物量が増加するセール時期など、一時的な需要の波に柔軟に対応できる点が大きなメリットです。

【一覧】大手企業の具体的な取り組み事例

各社がどのような戦略でラストワンマイルの革新を進めているのか、具体的な事例を以下のテーブルにまとめました。

企業名 主な取り組み 狙い・効果
ヤマト運輸 EAZY(置き配や多様な時間帯指定に対応)、PUDOステーションの活用推進、法人向けに複数企業の物流を最適化する「Value Networking」構想 顧客利便性の向上と再配達削減の両立。業界全体を巻き込んだオープンな物流プラットフォームの構築を目指す。
佐川急便 先進的ロジスティクスチーム「GOAL®」による顧客へのコンサルティング、TMS(輸配送管理システム)の高度化による効率化、スマートクラブでの受け取り場所変更サービス 単なる配送だけでなく、顧客企業のサプライチェーン全体の課題解決を支援。データ活用による配送品質と効率の向上。
日本郵便 全国の郵便局ネットワークを活用した宅配ロッカー「はこぽす」の設置、ドローンや配送ロボットによる過疎地配送の実証実験、他社との共同輸送の推進 全国津々浦々に広がる郵便局網という独自の強みを活用。ユニバーサルサービス(全国一律のサービス)維持のための新技術導入。
Amazon ギグワーカーを活用した「Amazon Flex」、宅配ロッカー「Amazon Hub」の展開、自社配送網(デリバリープロバイダ)の強化、ドローン配送「Prime Air」の開発 旺盛なEC需要を支えるための配送キャパシティの確保とコストコントロール。自社で物流をコントロールすることによる顧客体験の向上。
楽天 自社配送網「Rakuten EXPRESS」の構築、ドローン配送サービス「Rakuten Drone」の実証実験、日本郵便と連携した物流のDX推進 楽天経済圏における物流の内製化と効率化。EC事業と物流事業のシナジーを創出し、出店者とユーザー双方の利便性を高める。

導入・運用の注意点と課題

大手企業の華々しい取り組みの一方で、ラストワンマイルの改革にはいくつかのハードルも存在します。

コストの問題

AIシステム、自動運転ロボット、ドローンといった新技術の導入には、高額な初期投資が必要です。また、投資した分だけの効果(コスト削減や生産性向上)が得られるかどうかを慎重に見極める必要があります。特に中小企業にとっては、この投資負担が大きな壁となります。

法規制や社会受容性の問題

ドローンや自動運転ロボットを公道や上空で自由に活用するには、航空法や道路交通法といった法律の整備が不可欠です。また、墜落や事故のリスクに対する安全性の確保はもちろん、「家の前をロボットが走る」「上空をドローンが飛ぶ」ことに対する地域住民の理解や合意(社会受容性)を得ることも重要なプロセスです。

連携の難しさ

共同配送は理想的な仕組みですが、本来ライバルである企業同士が協力するには、情報共有のルール作り、システム連携の標準化、利益配分の方法など、乗り越えるべき課題が数多く存在します。各社の利害が複雑に絡み合うため、調整が難航するケースも少なくありません。

まとめ:自社で取り組むための第一歩

今回は、物流業界の最重要課題である「ラストワンマイル」について、その基礎から大手企業の先進的な取り組みまでを網羅的に解説しました。

ECの拡大と人手不足という大きな潮流の中で、ラストワンマイルの効率化はもはや避けて通れない経営課題です。大手企業は、AI、共同配送、受け取り方法の多様化、そしてドローンやロボットといった新技術を駆使して、この難題に挑んでいます。

「大手だからできることだ」と考えるのではなく、これらの取り組みの中から自社でも応用できるヒントを見つけ出すことが重要です。では、明日から何を始めるべきでしょうか。

  1. 現状の可視化から始める: まずは、自社の配送状況をデータで正確に把握しましょう。エリアごとの配送件数、再配達の発生率、ルートごとの配送コストなどを分析し、「どこに、どのような課題が潜んでいるのか」を明らかにすることが全てのスタート地点です。
  2. 情報収集を怠らない: 大手企業の事例だけでなく、自社と同じような規模の企業がどのような工夫をしているのか、安価に導入できる配送ルート最適化ソフトはないかなど、積極的に情報を集めましょう。業界のセミナーや展示会に参加するのも有効です。
  3. スモールスタートで試す: いきなり大規模なシステム投資に踏み切るのはリスクが伴います。まずは「お客様への置き配の案内を強化してみる」「近隣の同業者に共同配送の可能性を打診してみる」「特定のエリアで試験的に新しいルート計画を試す」など、小さく始められることから実行し、その効果を検証していくことが成功への近道です。

ラストワンマイルの改革は、一朝一夕には成し遂げられません。しかし、現状を正しく理解し、着実に一歩を踏み出すことで、必ず未来は変わります。この記事が、その第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

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