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Home > ニュース・海外> 【海外事例】NūMoveの革新的デパレタイズロボットに学ぶ!物流自動化の最新動向と日本への示唆
ニュース・海外 2025年12月17日

【海外事例】NūMoveの革新的デパレタイズロボットに学ぶ!物流自動化の最新動向と日本への示唆

NūMove introduces an innovative robot tool for layer picking automationについて

【Why Japan?】なぜ今、デパレタイズ自動化の海外トレンドを知るべきなのか

「2024年問題」によるドライバー不足、少子高齢化に伴う労働力人口の減少、そしてEC市場の拡大による物量の増加。日本の物流業界は今、構造的な課題に直面しています。特に、パレットに積まれた商品を一つひとつ下ろす「デパレタイズ」作業は、重量物の取り扱いが多く、作業者の身体的負担が大きいだけでなく、倉庫内プロセスのボトルネックになりがちな工程です。

この深刻な課題を解決する鍵として、海外では「層(レイヤー)単位」でのデパレタイズを自動化するロボット技術が急速に進化しています。中でも、カナダのNūMove Robotics & Vision社が発表した最新のロボットツールは、これまでの常識を覆す革新的な性能で注目を集めています。

本記事では、このNūMove社の事例を深掘りし、海外の物流自動化トレンドを分析。日本の物流企業が、この潮流から何を学び、自社のDX戦略にどう活かしていくべきか、具体的なヒントを解説します。

海外物流の最新動向:デパレタイズ自動化を巡るグローバル競争

世界の物流現場では、デパレタイズの自動化はもはや「あれば良い」ものではなく、「なくてはならない」インフラへと変わりつつあります。市場調査会社MarketsandMarketsによると、世界の物流自動化市場は2023年の626億ドルから、2028年には1,108億ドルに達すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は12.1%という高い水準で推移しています。

この成長を牽引しているのが、AI/マシンビジョンとロボティクス技術の進化です。

技術トレンドの潮流:AIと複合グリッパーが鍵

かつてのデパレタイズロボットは、同じ箱が綺麗に積まれた「シングルSKUパレット」の処理が中心でした。しかし、近年のECの発展は、多種多様な商品が混載された「レインボーパレット」を急増させ、自動化の難易度を飛躍的に高めました。

この課題に対応するため、現在の技術トレンドは2つの方向に集約されています。

  1. AI/マシンビジョンの高度化: 3Dカメラでパレット上の荷物の種類、位置、向き、さらには箱の潰れや傾きまで瞬時に認識し、最適なピッキングプランを自動で生成する技術。
  2. 多機能・複合グリッパーの開発: 単純な吸盤だけでなく、商品を側面から掴むクランプや、下からすくい上げるフォークなど、複数の機能を組み合わせたグリッパー(ロボットハンド)が主流に。これにより、段ボール、シュリンクパック、袋物、トレイなど、様々な荷姿に1台で対応可能になっています。

各国の動向:自動化を加速させる事情

国や地域によっても、デパレタイズ自動化へのアプローチには特徴が見られます。

国・地域 市場の特徴 主要プレイヤー(例)
米国 大手小売(Amazon, Walmart)が市場を牽引。3PL企業も積極投資。スタートアップによる革新的技術が次々登場。 Boston Dynamics, Pickle Robot, Honeywell Intelligrated
欧州 厳格な労働安全衛生規制が自動化の強い動機に。インダストリー4.0の流れを汲む高度なシステム連携が特徴。 Dematic (KION Group), Swisslog, Knapp AG
中国 ECの爆発的成長と人件費高騰が背景。AMR(自律走行搬送ロボット)ベンダーがデパレタイズ分野にも進出。 Geek+, Quicktron, Hikrobot

このように、世界では熾烈な開発競争が繰り広げられており、その最先端を走る一つが、次に紹介するNūMove社のソリューションなのです。

先進事例:NūMove社が示す「次世代デパレタイズ」の姿

カナダに本拠を置くNūMove Robotics & Vision社は、その名の通りロボティクスとビジョンシステムに強みを持つシステムインテグレーターです。同社が発表した新設計の層別デパレタイズツールは、まさに現代の物流現場が抱える課題を真正面から解決する画期的なソリューションと言えます。

成功要因①:3種のグリッピングメカニズムの完全統合

このツールの最大の特徴は、「吸引(Suction)」「クランプ(Clamping)」「ボトムフォーク(Bottom Forks)」という3つの異なる把持メカニズムを1つのツールに統合した点です。

  • 吸引: 天面が平らで密閉された段ボールケースの高速処理に最適。
  • クランプ: 開封されたケースやシュリンクラップされた飲料トレイなど、吸引が難しい荷物を側面から安定して把持。
  • ボトムフォーク: 袋物や不安定な形状の製品群を、層ごと下からすくい上げるように支え、荷崩れを防ぐ。

従来のロボットは、いずれか1つ、あるいは2つの機能しか持たないものが大半でした。そのため、レインボーパレットのように荷姿が混在する場合、処理速度が落ちたり、そもそも対応できなかったりするケースが少なくありませんでした。

NūMove社のツールは、AIビジョンシステムが荷姿を瞬時に判断し、最適なメカニズムを自動で選択・組み合わせて使用します。これにより、これまで人手に頼らざるを得なかった複雑なパレットのデパレタイズを、高精度かつ高速で実現したのです。

成功要因②:圧倒的な処理能力と製品保護の両立

そのスペックは驚異的です。

  • 最大積載量: 600 lbs/層 (約272kg/層)
  • 最大処理能力: 3層/分 (1時間あたり最大2,000製品に相当)

屈強な作業員でも困難な重量物を、1層あたりわずか20秒で処理する能力は、生産性を飛躍的に向上させます。

さらに、高精度の3Dビジョンセンサーが常に製品とツールとの距離を監視。製品への衝突や過度な圧力を回避し、荷物を傷つけるリスクを最小限に抑えます。これは、単なる効率化だけでなく、物流品質の向上にも直結する重要な機能です。

この「スピード」と「品質」の両立こそ、NūMove社が多くの物流企業から注目を集める理由です。

日本への示唆:海外事例を国内で活かすための3つの視点

このNūMove社の事例は、日本の物流企業にとって多くの学びを与えてくれます。しかし、海外の成功事例をそのまま持ち込むだけではうまくいきません。「日本の現場」という文脈で捉え直し、適用していく視点が不可欠です。

視点1:荷姿の「非標準性」という壁をどう越えるか

日本の物流は、荷主ごとの細やかな要求に応える「カイゼン」文化の中で、多種多様な荷姿が生まれてきました。これは高品質なサービスの一方で、自動化の障壁ともなっています。NūMove社のツールは高い柔軟性を持ちますが、それでもT11型パレット(1100mm×1100mm)への対応や、極端に小さい・柔らかいといった日本特有の荷姿への最適化は別途必要になるでしょう。

海外のトレンドを参考にしつつも、自社で扱う荷姿のパターンをデータ化・分析し、どこまでを自動化の対象とするか、戦略的な見極めが重要になります。

視点2:投資対効果(ROI)を多角的に算出する

高機能な自動化ソリューションは、当然ながら初期投資も高額になります。日本の経営層はROIに対してシビアな目を向けがちですが、その評価軸を「人件費削減」だけに限定してはいけません。

  • 採用・教育コストの削減
  • 労働災害リスクの低減(保険料への影響)
  • 製品破損ロス率の改善
  • 処理能力向上による機会損失の削減

これらの間接的な効果も含めてROIを算出することで、戦略的投資としての妥当性を判断すべきです。

視点3:今すぐ始められる「デパレタイズDX」の一歩

「NūMoveのような最先端ツールはまだ早い」と感じる企業でも、今すぐ取り組めることがあります。

  • 現状のデータ化: まずは、自社のデパレタイズ工程を徹底的に可視化しましょう。どの製品(SKU)の、どのような荷姿のパレットが、どれくらいの頻度で入荷しているのか。作業にどれくらいの時間がかかり、どれくらいの製品破損が発生しているのか。この基礎データがなければ、適切なソリューションの選定は不可能です。
  • スモールスタートでの技術検証: 全倉庫への一斉導入を目指すのではなく、特定の製品ラインや課題の大きい工程に絞って、PoC(概念実証)を行うことが有効です。
  • 国内の先進技術にも目を向ける: 海外トレンドを追いかけると同時に、国内で開発されているユニークな技術にも注目すべきです。例えば、ブリヂストンが開発したソフトロボットハンドは、不定形な物や柔らかい物を優しく掴む技術で世界をリードしています。こうした要素技術を組み合わせる視点も重要です。
    • 参考記事:ブリヂストン ソフトロボティクス-【新製品】TETOTE ストロングモデル-12 販売開始!

まとめ:未来の倉庫は「柔軟な自動化」が鍵を握る

NūMove社の革新的なデパレタイズツールは、物流自動化が新たなステージに入ったことを象徴しています。それは、決められた作業を繰り返すだけの「固い自動化」から、AIと高度なハードウェアが連携し、変化する状況に柔軟に対応する「しなやかな自動化」への移行です。

日本の物流企業が今後、国際競争力を維持し、国内の労働力不足という大きな課題を乗り越えていくためには、こうした「海外物流」の最前線から学び、自社の「物流DX 事例」を創り出していくという強い意志が不可欠です。

今回のNūMove社の事例を一つの羅針盤とし、自社の未来の倉庫像を描き、その実現に向けた第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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