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Home > 物流DX・トレンド> 物流契約管理の5割超が紙・エクセル|法改正で高まるトラブルリスク
物流DX・トレンド 2026年1月26日

物流契約管理の5割超が紙・エクセル|法改正で高まるトラブルリスク

物流契約管理、5割超が紙・エクセルに依存

物流業界における「契約管理」の現状に、衝撃的なデータが突きつけられました。ロジテック株式会社の調査によると、物流企業の5割超がいまだに紙やエクセルといったアナログ手法で契約を管理しており、その結果、過半数の企業がトラブルを経験していることが判明しました。

2024年の物流関連法改正により「契約条件の明確化」が義務付けられ、コンプライアンスの要求レベルはかつてないほど高まっています。しかし現場では、法対応への理解はあっても「具体的な管理手法」が追いついていない実態が浮き彫りになりました。本記事では、この調査結果が示唆する業界の課題と、経営層が今すぐ着手すべき対策について解説します。

物流契約管理の現状と「5割超アナログ」の衝撃

物流DXが叫ばれて久しい昨今ですが、契約実務の現場は依然としてアナログ手法が支配的です。今回の調査結果は、業界が抱える「デジタル化の遅れ」と「リスク管理の甘さ」を如実に示しています。

ロジテック調査に見る業界の実態

調査によると、契約管理の方法として「システム(自社・他社問わず)」を利用している企業は約3割にとどまり、半数以上が属人的な管理に依存していることが明らかになりました。

【調査結果の要点まとめ】

項目 データ詳細 示唆される課題
管理手法 アナログ計 53.0%(紙・PDF保管 35.0%、エクセル・スプレッドシート 18.0%) 検索性が低く、更新漏れや紛失のリスクが高い。
トラブル経験 54.8%の企業が契約関連のトラブルを経験済み。 2社に1社が実害を被っており、管理不備が常態化している。
主なトラブル 認識違い、契約更新漏れ、契約書が見当たらない。 「言った言わない」の論争や、無契約状態での業務進行が発生。
デジタル化障壁 「着手方法が不明」「コストが高い」「現状で回っている(誤認)」 課題は認識していても、具体的な解決策への移行が停滞。

このデータから読み取れるのは、多くの企業が「いつか問題が起きるかもしれない」という時限爆弾を抱えながら日々の業務を回しているという危うい現状です。

2024年法改正とアナログ管理が招く経営リスク

なぜ今、契約管理のアナログ依存がこれほどまでに問題視されるのでしょうか。最大の要因は、物流関連2法の改正(いわゆる2024年問題対応)による規制強化です。

月間配送50本で急増する「言った言わない」トラブル

調査では、月間の輸配送案件が50本を超える企業において、トラブルのリスクが急増する傾向が見られました。

案件数が少ないうちは、担当者の記憶やエクセル管理でも対応可能です。しかし、月50本を超えると、スポット対応や条件変更の頻度が増し、属人管理の限界を迎えます。特にエクセル管理では「最新版がどれかわからない」「変更履歴が追えない」といった事態が頻発し、これが「運賃の不一致」や「附帯作業費の未払い」といった金銭トラブルに直結します。

改正法が求める「契約条件の明確化」と現場のギャップ

2024年の法改正において、トラックGメンによる監視強化や、契約内容の書面化(電子化含む)義務化は避けて通れないテーマです。

従来の口頭発注や、「とりあえず運んでおいて」という曖昧な指示は、現在では法令違反のリスクとなります。紙やエクセルでの管理は、こうした法改正が求める「即時性」や「透明性」に対応しきれません。契約条件を明確に記録し、双方がいつでも確認できる状態にしておくことは、もはやマナーではなく法的義務となりつつあります。

特に、荷主から運送会社への委託に関しては規制が強化されています。
併せて読む: 改正下請法「取適法」始動|荷主の運送委託も規制対象へ。実務への影響と対策

LogiShiftの視点:なぜ「脱アナログ」が生存戦略なのか

ここからは、単なるニュース解説を超えて、今後の物流経営においてこの問題がどう影響するかを考察します。

ツール導入を阻む「着手方法不明」の壁をどう越えるか

調査結果で気になったのは、デジタル化が進まない理由として「着手方法が不明」という声が多い点です。これは、システム導入を「高機能なERPの導入」や「大規模な改修」と難しく捉えすぎている可能性があります。

物流契約管理に必要なのは、複雑な機能ではなく、以下の3点が担保されることです。

  1. 一元管理: 契約書と最新の覚書が紐づいていること。
  2. アラート機能: 契約更新期限や料金改定時期を自動で通知すること。
  3. 検索性: 必要な時に、誰でもすぐに契約条件を取り出せること。

いきなり全社的なシステム刷新を目指すのではなく、まずは契約管理に特化したクラウドサービスの導入など、スモールスタートで「可視化」を実現することが、現場の混乱を防ぐ鍵となります。

デジタル管理体制が「選ばれる荷主・運送会社」の条件へ

今後、契約管理のデジタル化は、企業の信頼性を測るバロメーターになります。

  • 荷主企業: 明確な契約条件を提示し、コンプライアンスを遵守する姿勢を示すことで、質の高い運送会社を確保しやすくなる。
  • 運送会社: 契約内容を適切に管理し、適正運賃や附帯作業費を根拠を持って交渉できる体制を作ることで、収益性を向上させる。

特に2026年に向けては、CLO(物流統括管理者)の設置義務化など、経営レベルでの物流管理が求められます。アナログ管理のままでは、経営層が正確なリスクを把握できず、迅速な意思決定ができません。
併せて読む: 2026年物流大転換|CLO義務化と改正下請法で経営はどう変わる?

また、適正な契約管理は「値上げ交渉」の基盤でもあります。どんぶり勘定のままでは、交渉のテーブルにつくことさえ難しくなるでしょう。
併せて読む: TDBC対談|「値上げ交渉なしは廃業」トラック経営者が語る生存戦略

まとめ:明日から始める契約管理の適正化

ロジテックの調査は、物流業界における契約管理のリスクを浮き彫りにしました。5割超が依存する紙・エクセル管理からの脱却は、単なる業務効率化ではなく、法令遵守と事業継続のための緊急課題です。

明日から意識すべきアクション:

  1. 自社の管理状況の棚卸し: 契約書がどこにあり、どのように更新管理されているかを確認する。
  2. 月間案件数の確認: 特に「月50本」のラインを超えている場合、管理ツールの導入を優先的に検討する。
  3. 法改正との照らし合わせ: 現在の契約書や発注書が、最新の法令(書面化義務など)を満たしているかチェックする。

契約管理のデジタル化は、攻めの物流経営への第一歩です。「着手方法がわからない」で立ち止まることなく、低コストで導入できるツールから検討を始めましょう。それが、トラブルを未然に防ぎ、持続可能な物流体制を構築する唯一の道です。

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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