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事例・インタビュー 2026年3月15日

トラック確保難を解決!「それでも、鉄路を選びます」――JR貨物は不正危機をどう乗り越え、輸送量7.5%増を実現した…

「それでも、鉄路を選びます」――JR貨物は不正危機をどう乗り越え、輸送量7.5%増を実現したのか?

物流現場で日々出荷業務に追われる倉庫管理者や実務担当者の皆様にとって、長距離トラックの確保はかつてないほど困難な課題となっています。「明日出荷したいのに配車が決まらない」「運賃の改定要請が相次ぎ、物流コストが利益を圧迫している」といった声が、全国の物流センターから聞こえてきます。

この「2024年問題」に端を発する長距離輸送の崩壊に対し、多くの企業が鉄道輸送へのモーダルシフトを検討してきました。しかし、ダイヤの乱れや自然災害による運休リスク、そして近年ニュースとなったデータ改ざんなどの不正問題を目にして、「本当に鉄道に切り替えて大丈夫なのか?」と二の足を踏んでいる現場も少なくないでしょう。

本記事では、一連の危機の中でも荷主企業が鉄道を支持し続け、さらなる輸送力強化に成功した事例を紐解き、倉庫現場から実践できる具体的なモーダルシフトの手法とノウハウを解説します。

逆風下での決断:なぜ企業は鉄道輸送を継続したのか

物流業界に大きな衝撃を与えた一連の出来事に対し、多くの物流担当者は代替手段の確保に奔走しました。しかし、結果として先進的な荷主企業は鉄道輸送から離れることはありませんでした。

ここで注目すべきテーマが、「それでも、鉄路を選びます」――JR貨物は不正危機をどう乗り越え、輸送量7.5%増を実現したのか?という問いです。

不正発覚による全列車の一斉運休という最悪の危機を経験しながらも、特定の共同輸送スキームや主要路線においては、結果として輸送量を前年比で増加させた企業が存在します。彼らが鉄路を選び続けた理由は「鉄道事業者にすべてを丸投げする」ことをやめ、「荷主・倉庫・鉄道が連携して弱点を補い合う運用体制」を構築していたからです。

長距離トラックという選択肢が物理的に消滅していく中、鉄道の「大量・長距離・低環境負荷」という強みを享受するためには、遅延や運休といったリスクを前提としたサプライチェーンの再設計が必要です。危機を乗り越え、輸送量を7.5%増加させた企業群は、まさにこの「運用によるリスクヘッジと効率化」を徹底していました。

倉庫現場から始める鉄道モーダルシフトの導入・実践ステップ

鉄道輸送を成功させるためには、単に運送会社をトラックから鉄道コンテナに変更するだけでは不十分です。倉庫現場の出荷フローや在庫管理のあり方そのものを、鉄道の特性に合わせて変革する必要があります。

以下の表は、鉄道モーダルシフトを現場に導入するための基本的な手順です。

実践ステップ 現場での具体的な実施内容 関与する部門 成功のポイント
1. コンテナ適合性の評価 荷姿とコンテナサイズのマッチング確認 倉庫・物流企画 パレット積載効率の最大化
2. 出荷スケジュールの再構築 貨物列車のダイヤから逆算したピッキング計画 倉庫・配車担当 駅への持ち込み時間の厳守
3. BCPと在庫配置の見直し 遅延を前提とした在庫バッファの設定 営業・需給管理 拠点間での在庫の分散配置
4. ラウンド輸送の構築 行きと帰りのコンテナを共有し空車を削減 ロジスティクス 他業種との共同輸送マッチング

ここからは、各ステップにおける現場向けの具体的な実践ノウハウを解説します。

ステップ1:出荷ロットとコンテナサイズの最適化

トラック輸送(10トン車など)を前提とした出荷ロットを、そのまま鉄道コンテナに当てはめると、積載効率が悪化したり積み残しが発生したりします。まずは自社の荷物に最適なコンテナサイズを選定し、パレットの積み付けパターンを見直す必要があります。

一般的な12ftコンテナは、1100mm×1100mmのパレット(T11型)であれば6枚積載可能です。しかし、大型トラックと同等の積載量を求める場合、31ftコンテナの活用が鍵となります。31ftコンテナであれば、10トントラックと同じくT11型パレットを16枚積載でき、荷姿を変えることなくそのままスライド導入することが可能です。

倉庫現場では、コンテナの内寸に合わせて隙間なく積み付けるための割付図(バンニングプラン)を作成し、荷崩れを防ぐためのラッシング(固定)作業の手順を標準化することが求められます。

参考記事: 武田薬品らが国内初導入|31ft温度管理コンテナで変える医薬品物流

ステップ2:列車の発車時刻から逆算した庫内作業の再設計

トラック輸送の場合、集荷時間をある程度柔軟に調整できることがありましたが、鉄道輸送は「列車の発車時刻」という絶対的なタイムリミットが存在します。貨物駅への持ち込み時間を1分でも過ぎれば、翌日の列車に回されてしまい、大幅な納品遅れに直結します。

これを防ぐため、倉庫現場では以下の運用を徹底します。

  • コンテナ集荷便(トラック)の到着時刻から逆算し、ピッキングと検品を完了させる
  • 鉄道向けの貨物を優先的に作業する「特急レーン」を庫内に設ける
  • 荷役作業時間を短縮するため、バラ積みからパレット積みへの転換を図る

「いつまでに作業を終えなければならないか」を現場の作業員全員に可視化し、デジタルサイネージやWMS(倉庫管理システム)のアラート機能を活用して進捗を管理することが重要です。

ステップ3:遅延・運休を前提とした在庫バッファと代替ルートの確保

「それでも、鉄路を選びます」――JR貨物は不正危機をどう乗り越え、輸送量7.5%増を実現したのか?の核心部分が、このリスクマネジメントです。鉄道の弱点である「自然災害による数日間の不通」や「突発的な運休」に備え、荷主企業は在庫配置を大きく見直しました。

これまでのように「注文が入ってから長距離輸送する」のではなく、「消費地に近いデポ(中継拠点)へ、鉄道を使って計画的に在庫を前倒しで移動させておく」という運用へ切り替えるのです。これにより、仮に鉄道が数日間ストップしても、現地デポの在庫から顧客へ納品できるため、欠品リスクを極小化できます。

また、有事の際には新幹線や航空機、フェリーなどを活用する「マルチモーダルBCP」の事前契約を結んでおくことも有効です。近年では、旅客用新幹線の空きスペースを活用した貨物輸送サービスも拡充されており、緊急時のバックアップとして現場の選択肢を広げています。

参考記事: 配送遅延を解消!JR東海も参戦、日通「新幹線貨物」拡大の舞台裏と導入手順

ステップ4:帰り荷を確保する「ラウンド輸送」によるコスト最適化

片道だけの利用では、空コンテナの返送料金が発生するなどコスト高になる傾向があります。鉄道輸送のコストメリットを最大化するためには、往路で自社の製品を運び、復路で原料や他社の製品を載せて戻ってくる「ラウンド輸送(往復利用)」の構築が不可欠です。

例えば、関東から関西へ自社製品を出荷した後、関西の仕入先から自社工場向けの原材料を同じコンテナに積み込んで関東へ戻す運用です。自社内で往復の荷物が揃わない場合は、同業他社や異業種と連携し、コンテナをシェアする共同輸送スキームを立ち上げます。これにより、運送コストの削減だけでなく、CO2排出量の大幅な削減(グリーン物流の推進)にも直結します。

参考記事: ブルボン・不二製油ら5社|31ft冷蔵コンテナ「ラウンド輸送」の衝撃

鉄道シフトによる現場の変革効果(Before / After)

これらの実践プロセスを経て鉄道モーダルシフトを定着させた現場では、単なる輸送手段の変更にとどまらない、多角的な改善効果が得られます。

評価指標 長距離トラック依存(Before) 鉄道モーダルシフト導入後(After) 期待される具体的な変化
車両確保 毎日トラックを探し回る状況 定期列車による安定枠の確保 突発的な配車手配業務が8割削減
庫内作業 ドライバーの到着待ちによる残業 ダイヤに基づく計画的な荷役作業 作業の平準化と残業時間の削減
輸送コスト 運賃高騰により年々上昇 ラウンド輸送で往復運賃を最適化 トンキロあたりの輸送単価を抑制
環境対応 トラックによるCO2排出 鉄道利用による大幅な削減 CO2排出量をトラック比で約11分の1に削減

定量的なコスト削減やCO2削減効果はもちろんのこと、倉庫管理者にとって最も大きいのは「定性的な効果」です。

トラックドライバーの到着遅れによる夜間の残業や、突発的なバラ積み作業による現場の疲弊が解消されます。鉄道ダイヤという絶対的なスケジュールに基づくことで、庫内の人員配置計画が立てやすくなり、パートタイム従業員のシフト管理も容易になります。結果として、現場の離職率低下や労働環境の改善に直結するのです。

成功の秘訣は「鉄道に合わせた現場の最適化」

本記事では、「「それでも、鉄路を選びます」――JR貨物は不正危機をどう乗り越え、輸送量7.5%増を実現したのか?」というキーワードを軸に、逆風下でも物流を止めないための具体的な現場改善プロセスを解説しました。

鉄道輸送は、決してトラック輸送と全く同じ使い勝手ではありません。時間的な制約が厳しく、一度トラブルが起きれば復旧に時間を要することもあります。しかし、それらの弱点を理解し、出荷スケジュールの前倒しや31ftコンテナへのパレット積み、ラウンド輸送の構築など、現場側が「鉄道に合わせた運用」へと自己変革を遂げた企業だけが、長距離ドライバー不足の恐怖から解放され、安定したサプライチェーンと輸送量の増加を実現しています。

トラック運賃の高騰や手配難に頭を悩ませる今こそ、既存の出荷フローを見直し、鉄道という巨大なインフラを使いこなすための第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。自社の荷姿の再確認や、貨物駅へのリードタイムの計測など、今日からできる現場の調査から始めてみてください。

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