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倉庫管理・WMS 2026年4月14日

1.8万トン収容!日本GLPの次世代冷凍施設が横持ち輸送を排除する3つの仕組み

1.8万トン収容!日本GLPの次世代冷凍施設が横持ち輸送を排除する3つの仕組み

国内の冷凍食品需要が急速に拡大する中、コールドチェーン(低温物流)の拠点戦略に大きな変革の波が押し寄せています。日本GLPは兵庫県西宮市において、全館冷凍・冷蔵仕様の物流施設「Marq鳴尾浜2」を開発することを発表しました。

このニュースが物流業界に与える衝撃は、単に「収容能力は約1.8万トン…日本GLP、兵庫・西宮に全館冷凍・冷蔵物流施設 – ニュースイッチ」と報じられた規模の大きさだけにとどまりません。最大の注目点は、庫内で動物検疫の検査を受けられる体制を整え、輸入から配送までを一箇所で完結させる「ワンストップ化」を実現した点にあります。本記事では、この次世代型物流施設がサプライチェーン全体にどのような影響を与えるのか、そして企業が今後取るべき戦略について独自の視点で徹底解説します。

「Marq鳴尾浜2」開発の背景と施設詳細

日本GLPが手掛ける本施設は、今後のコールドチェーン需要を見据えた極めて高いスペックを誇ります。まずはプロジェクトの事実関係を整理し、施設が持つ戦略的な優位性を紐解いていきます。

プロジェクトの基本情報と5W1H

本施設の開発に関する基本的な情報を以下の表に整理しました。

項目 詳細内容 備考
開発主体(Who) 日本GLP 今後Marqブランドへ順次刷新予定
開発内容(What) 全館冷凍・冷蔵物流施設「Marq鳴尾浜2」 延べ床面積約1万2044平方メートル
所在地(Where) 兵庫県西宮市 阪神高速5号湾岸線「鳴尾浜IC」から約1.2km
スケジュール(When) 11月着工で2028年4月竣工予定 最新のコールドチェーン需要に対応
開発目的(Why) 冷凍食品市場の拡大に伴う幅広い荷物ニーズの取り込み 保管効率性と機能の集約性を追求
施設仕様(How) 全館マイナス25度対応の地上4階建てボックス型施設 収容能力は約1.8万トンを確保

ワンストップ・コールドチェーンを実現する検疫機能

本施設の最も革新的な点は、生鮮・冷凍品の輸出入に必須である「動物検疫検査」を庫内で受けられる立地と機能を備えていることです。

通常、海外から輸入された食肉などは港湾エリアで通関や検疫を済ませた後、内陸の加工拠点や配送センターへと二次輸送(横持ち輸送)されます。しかし、本施設では輸入、通関、検疫、流通加工、そして広域配送という一連のプロセスを一つの施設内で完結させることが可能です。これにより、複数拠点間を移動する際の温度逸脱リスクを極限まで排除し、厳格な温度管理を維持することができます。

BCP対策と高スペックな庫内環境

施設構造は地上4階建てで、1階から4階まですべてにマイナス25度設定の冷凍スペースを完備しています。有効天井高6メートル、最大床荷重は1平方メートル当たり2トンという高スペックを確保しており、自動倉庫や重量のあるマテリアルハンドリング機器の導入にも幅広く対応します。

さらに、事業継続計画(BCP)の観点から、受変電設備を屋上に配置し、事務所機能を2階以上に設けることで、沿岸部特有の水害リスクを低減しています。万が一の災害時でもコールドチェーンの中核である電力供給とシステム管理を維持する強靭な防災対策が施されています。

参考記事: フローズン輸送完全ガイド|温度管理の裏側から3PL選定・物流DXまで徹底解説

サプライチェーン各社に与える具体的な影響

「Marq鳴尾浜2」の開発は、単なる倉庫スペースの供給にとどまらず、関西圏の物流ネットワークに関わる各プレイヤーに多大な影響をもたらします。

運送事業者にもたらす横持ち輸送の排除と待機時間削減

時間外労働の上限規制が適用された現在、運送事業者が直面する最大の課題は、荷待ち時間の長さと非効率な横持ち輸送です。

本施設が検疫から流通加工までをワンストップで提供することにより、従来発生していた港湾部から内陸倉庫への無駄な拠点間輸送が排除されます。また、機能が集約された大型施設での効率的な荷役作業は、トラックの待機時間を大幅に削減し、ドライバーの労働環境改善と輸送生産性の向上に直結します。

参考記事: 働き方改革関連法(物流)を徹底解説|2024年問題と現場の実務対応

荷主企業のリードタイム短縮と品質向上

食品メーカーや輸入商社にとって、輸入生鮮品や冷凍食品の鮮度維持はブランド価値そのものです。庫内で動物検疫検査が可能になることで、拠点移動にかかるタイムロスが劇的に短縮されます。

結果として、海外から到着した商品が消費者の手元に届くまでのトータルリードタイムが圧縮され、より新鮮な状態で市場に供給することが可能になります。さらに、全館マイナス25度の安定した保管環境は、温度変化による商品の劣化を防ぎ、食品ロスの削減にも大きく貢献します。

倉庫事業者のアセットライト戦略の推進

フロン排出抑制法の強化や既存の冷凍・冷蔵倉庫の老朽化が進む中、自社で新たな低温設備を建設・維持することは莫大なコストとリスクを伴います。

日本GLPのような大手デベロッパーが、最新鋭のスペックとBCP対策を備えた賃貸型冷凍・冷蔵施設を供給することは、倉庫事業者や3PL事業者にとって大きな追い風です。自社保有から賃貸型へのシフトを進めることで、初期投資の負担を抑えつつ、荷主に対して高品質で安定したコールドチェーンサービスを提案できるようになります。

LogiShiftの視点|次世代コールドチェーンが描く未来図

ここからは、日本GLPの「Marq鳴尾浜2」開発が示唆する物流業界の今後のトレンドと、企業が取るべき戦略について独自の考察を展開します。

「止まらない物流」を実現する行政手続きの内包化

今後の物流不動産開発において、本施設のように「検疫や通関といった行政手続きの機能」を物理的な倉庫内に取り込む動きは、強力なトレンドになるでしょう。

サプライチェーンの脆弱性は、多くの場合「結節点」でのモノの滞留によって引き起こされます。施設内で検疫をクリアできるということは、単なる時間の節約にとどまらず、外部環境に左右されない「自律的で止まらない物流」を実現することを意味します。付加価値の高い輸入食品を扱う企業にとって、こうした特区的な機能を持つ施設を押さえることは、そのまま競争優位性に直結します。

沿岸部におけるBCP対策の新たなスタンダード

沿岸部の埋め立て地は、港湾や高速道路へのアクセスが良いため広域配送のハブとして最適である反面、津波や高潮といった自然災害リスクと常に隣り合わせです。

「Marq鳴尾浜2」が採用した受変電設備の屋上設置や、事務所機能の上層階配置といった設計は、この立地上のジレンマに対する明確なアンサーです。特に冷凍・冷蔵倉庫においては、長時間の停電による温度上昇が致命的な商品ロスを招きます。エネルギー供給の心臓部を物理的な高所に避難させるハードウェアの工夫は、今後の湾岸エリア開発におけるBCPの標準的なベンチマークとなっていくはずです。

ブランド刷新が意味するグローバル戦略の転換

本施設は、アレス・マネジメントのグローバル戦略に基づき、今後「GLP」から「Marq」へと名称が刷新されるブランド戦略を象徴するプロジェクトでもあります。

欧米で培われた高度なESG投資の基準や、次世代テクノロジーの運用ノウハウが、よりダイレクトに日本の物流施設開発に流入することを意味しています。今後の施設は、環境配慮や自動化設備との親和性がさらに高まり、日本の物流不動産市場のスペックを底上げしていく牽引役となるでしょう。

参考記事: 都市型物流施設とは?需要急増の背景から実務における活用メリット・最新トレンドまで徹底解説

まとめ|明日から見直すべき拠点戦略の再構築

日本GLPによる「Marq鳴尾浜2」の開発は、庫内での動物検疫対応や徹底したBCP対策を通じて、次世代のコールドチェーンが目指すべき理想形を提示しています。経営層や現場のリーダーが明日から意識・行動すべき重要なポイントは以下の3点です。

  • 無駄な横持ち輸送の洗い出し
    輸入港から保管拠点、加工拠点までの輸送ルートを再点検し、機能が集約された複合型施設への移行によって削減できるコストと時間をシミュレーションする。

  • BCPと温度管理リスクの再評価
    現在利用している倉庫が水害時の電源喪失リスクにどう備えているかを確認し、自然災害発生時でも確実な温度帯を維持できるハードウェア基準を見直す。

  • 持たざる経営を前提とした拠点再編
    老朽化した自社保有の冷凍倉庫に固執せず、高機能な最新の賃貸型施設を活用してサプライチェーン全体を身軽かつ強靭な構造へシフトさせる。

物流は今や、企業価値を左右する最も重要なインフラです。最新の施設動向を常にキャッチアップし、変化を先取りした柔軟な拠点戦略を描き続けることが、不確実性の高い現代ビジネスを生き抜くための鍵となります。

出典: ニュースイッチ
出典: LOGI-BIZ online

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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