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Home > 事例・インタビュー> 花王・トラスコ中山の事例から学ぶ!物流を付加価値に変える3つの実践ステップ
事例・インタビュー 2026年5月1日

花王・トラスコ中山の事例から学ぶ!物流を付加価値に変える3つの実践ステップ

花王・トラスコ中山の事例から学ぶ!物流を付加価値に変える3つの実践ステップ

物流倉庫の現場で働く実務担当者や管理者の皆様は、日々こんな悩みを抱えていませんか。

「運賃が高騰しているのに、荷主からはコスト削減ばかり求められる」
「人手不足で現場が回らないのに、システム投資の稟議が通らない」

これは、経営層が物流を単なる「コストセンター(経費部門)」と見なしていることが原因です。
国土交通省のデータによれば、日本の営業用トラックの積載率は約38%まで低下しています。
荷物を積まずに走る非効率な輸送が常態化し、現場の疲弊を招いているのが現実です。

しかし、業界を牽引するトップ企業はすでに考え方を根本から転換しています。
本記事では、花王、トラスコ中山…「物流はコスト」を打ち破った企業たち 物流を差別化して付加価値を高める …というテーマを軸に、現場の課題を解決する具体的なノウハウを解説します。

物流をプロフィットセンターに変えた先進企業の戦略

物流を差別化するとは、具体的にどのようなことでしょうか。
業界をリードする2社の革新的な取り組みを見てみましょう。

異業種連携によるデータドリブンな共同配送網の構築

日用品大手の花王は、同業他社や異業種と連携する「協調領域」の拡大へシフトしています。
その象徴が、2026年4月に発足する共同配送コンソーシアム「CODE」です。
従来は自社専用のトラックで店舗へ配送する、サイロ化された非効率な仕組みでした。

しかし、三菱食品などの卸・メーカー大手9社と配送データを共有する決断を下しました。
AIを用いたコースマッチングツールを活用し、最も効率化が難しい支線配送を共同化します。
これにより、年間約300台相当のトラック運行を削減し、CO2排出量の大幅な削減を見込んでいます。
物流を単なる自社の裏方から、社会全体の共有インフラへと進化させています。

参考記事: 共同輸配送事業計画完全ガイド|総合効率化計画のメリットからDX戦略まで徹底解説

究極の在庫保有と即納体制による顧客事業の支援

機械工具卸のトラスコ中山は、物流を「最大のサービス」と明確に位置づけています。
あえて自社の巨大な物流拠点に膨大なアイテム数の在庫を抱えるという逆張りの戦略です。
顧客が欲しい時に即座に届ける「即納体制」を構築し、他社との圧倒的な差別化を図りました。

さらに、顧客の工場内に「MROストッカー」という置き薬方式の在庫棚を設置しています。
使った分だけを後から請求する仕組みで、顧客の在庫管理の手間を完全にゼロにしました。
欠品による工場のライン停止という致命的なリスクを防ぐことで、強烈な付加価値を提供しています。

現場への導入と実践を成功に導く3つのステップ

これらの先進的な戦略を、自社の現場にどう落とし込めばよいのでしょうか。
明日から実践できる具体的な導入プロセスを解説します。

自社コア業務の可視化とボトルネックの特定

まずは現状のコストと作業プロセスを徹底的に洗い出します。
どの作業にどれだけの時間がかかっているか、正確なデータで把握することが第一歩です。
例えば、ピッキング作業での歩行距離や、トラックの荷待ち時間を分単位で計測します。
勘や経験に頼るのではなく、数値を基に無駄な作業を特定します。

データ規格の標準化による他社連携の準備

自社だけで解決できない課題は、他社と協力する「協調領域」として切り出します。
将来的な共同配送を見据え、パレットのサイズや商品マスターのデータ形式を標準化します。
独自のローカルルールを廃止し、業界標準のフォーマットへ統一することが重要です。
これにより、いつでも他社のシステムとシームレスに連携できる状態を作ります。

WMS導入による属人化の排除と自動化

現場の負担を減らすため、WMS(倉庫管理システム)などのITツールを積極的に導入します。
アナログな配車計画や紙ベースのピッキング作業をシステムへ置き換えます。
浮いた人材を、流通加工などのより利益を生み出す業務へ再配置します。

実行ステップ 実施する具体的内容 現場でのアクション 最終的な目標
ステップ1 業務フローの完全可視化 作業時間の計測とデータ化 ボトルネックの特定
ステップ2 データと設備の標準化 パレットや伝票規格の統一 他社連携の基盤構築
ステップ3 ITシステムへの投資 WMSや自動配車ツールの導入 属人化排除と生産性向上

参考記事: 物流センターとは?機能や種類、倉庫との決定的な違いを徹底解説

付加価値の提供がもたらす現場の劇的な変化

物流をプロフィットセンター化することで、現場は劇的に変化します。
具体的な導入前後の違いを以下の表で比較します。

評価指標 改善前のアナログな現場 改善後のシステム化された現場
利益構造 コストとして利益を圧迫する 投資対効果が見える資産となる
作業環境 属人的で長時間残業が常態化 計画的で定時退社が可能になる
企業価値 安さだけが求められ買い叩かれる 顧客の事業継続を支える武器になる

輸送コスト20%削減と稼働率の最大化

データドリブンな配車や共同配送を実践することで、トラックの積載率が飛躍的に向上します。
実車率が高まることで、全体の輸送コストを20%以上削減することも決して夢ではありません。
ドライバーの待機時間も減少し、労働環境の抜本的な改善と人材の定着に直結します。

誤出荷ゼロによる顧客信頼度の圧倒的向上

WMSとバーコード検品を導入することで、人間の目視によるミスを完全に排除できます。
誤出荷がゼロになれば、返品対応にかかる無駄なリカバリー費用が発生しません。
正確で迅速な納品は顧客からの強い信頼を生み、結果として売上規模の拡大に貢献します。

まとめ:考え方の転換が未来のサプライチェーンを救う

物流は決して単なるコストを消化するだけの部門ではありません。
自社の強みを見極め、データを活用することで新たな価値を生み出す最大の源泉です。
花王やトラスコ中山のように、固定観念を捨てて一歩を踏み出す勇気が求められています。
現場の小さなデータ収集から始め、次世代の強いサプライチェーンを構築していきましょう。

出典: 国土交通省 自動車輸送統計調査
出典: 花王株式会社 ニュースリリース
出典: トラスコ中山株式会社 統合報告書

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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