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Home > 輸配送・TMS> 運送会社を狙う国交省なりすまし詐欺が急増!巧妙な手口と3つの防衛策
輸配送・TMS 2026年5月19日

運送会社を狙う国交省なりすまし詐欺が急増!巧妙な手口と3つの防衛策

運送会社を狙う国交省なりすまし詐欺が急増!巧妙な手口と3つの防衛策

「物流2024年問題」や法令遵守の波が押し寄せる物流業界において、その「焦り」や「行政指導への恐怖」を逆手に取った新手の詐欺被害が深刻化しています。国土交通省などの行政機関や実在する企業を名乗り、配車担当者や経営層を言葉巧みに追い詰める事案が各地で報告されています。

関西の運送会社では、国交省を装った人物から「運行管理体制の不備」を指摘され、至急の書類提出を求められる不審電話が発生しました。また、実在する通信会社を装ったAI音声による海外発信の電話や、トラック協会の名を騙ったLINEグループへの誘導など、手口はアナログとデジタルを融合させ、年々巧妙化しています。

本記事では、運送会社を狙う詐欺電話がなぜ今多発しているのか、その真の狙いとサプライチェーン全体に及ぼす致命的な影響を整理し、現場で明日から実践すべき防衛策を物流専門家の視点から徹底解説します。

なぜ今、運送会社が標的に?相次ぐ不審電話の背景

トラックGメンの監査を盾にした心理的攻撃

運送業界は現在、国交省が創設した「トラックGメン(適正取引推進特別調査班)」による監査や、労働環境改善に向けたコンプライアンス要件の厳格化に直面しています。詐欺グループはこの状況を巧みに利用し、運送会社の「行政指導や監査を避けたい」という心理的動揺を誘っています。

実際に関西の運送会社へかかってきた電話では、「御社の運行管理体制について必要書類の提出が確認できていない。このままでは是正指導や監査対象になる可能性がある」と脅しをかけ、至急責任者と面会して話すよう要求しました。幸いにも電話を受けた配車担当者が違和感に気づき被害には至りませんでしたが、運行管理の専門用語を交えた巧みな話術は、通常の業務連絡や本物の行政からの指導と見分けがつきにくいのが特徴です。

AI音声や海外発信を駆使したハイテク手法の流入

大阪府八尾市の運送会社では、実在する通信会社を装った不審電話が確認されています。担当者によれば、明らかなAI音声による自動発信であり、会話が成立しない状態だったため電話を切って番号を確認したところ、海外からの発信であったことが判明しました。

こうした自動音声(ロボコール)の目的は、電話番号が現在使われているか(アクティブかどうか)を確認する「死活確認」や、AIによる音声認識を利用した自動情報収集である可能性が高いとされています。また、滋賀県トラック協会では、同協会や会長名を装いLINEグループを作成して個人情報を引き出そうとする「なりすましメール」も確認されるなど、業界全体がハイテクなサイバー攻撃の標的となっています。

参考記事: 自動ハッキングAIの脅威!物流インフラをサイバー攻撃から守る3つの防衛策

詐欺電話の真の狙いとサプライチェーンへの影響

金銭奪取から「組織の内部情報」収集へのシフト

これまでの詐欺電話の多くは、振り込め詐欺やリース機器の架空請求といった直接的な「金銭奪取」が主目的でした。しかし、現在多発している手口の真の狙いは、代表者名、経理担当者名、配車担当者名、そして直通の携帯電話番号やメールアドレスといった「組織の内部情報」を収集することにあります。

詐欺の手口 名乗る組織 心理的プレッシャー 真の狙い
監査や指導の示唆 国土交通省などの行政機関 是正指導や監査対象になると脅す 責任者の氏名や連絡先など企業情報の奪取
AI自動音声によるアプローチ 実在する通信会社やIT企業 不明瞭な要件で応対を迫る 番号の有効性確認やシステム的な攻撃準備
SNSグループへの誘導 トラック協会や業界団体 業界の公式な連絡であると誤認させる 個人情報の収集や悪意あるリンクへの誘導

配車担当者は日々、多数の協力会社や荷主と電話でやり取りを行っているため、外部からの問い合わせに対して無防備に担当者名を教えてしまう傾向があります。詐欺グループは、こうした物流現場特有の「オープンでスピーディーなやり取り」を足掛かりにしています。

標的型ランサムウェア攻撃やなりすましの二次被害

奪取された内部情報は、より高度なサイバー攻撃である「ビジネスメール詐欺(BEC)」や「標的型ランサムウェア攻撃」の初期侵入ベクトルとして悪用されます。

例えば、聞き出した配車担当者の名前を使い、実在する取引先を装って「〇〇運送の配車担当の〇〇様宛てに、明日の運行指示書を至急送ります」という極めて自然なメールを送りつけます。添付されたファイルを開くとランサムウェア(身代金要求型ウイルス)に感染し、自社のTMS(輸配送管理システム)やWMS(倉庫管理システム)が暗号化され、配車や出荷網が完全に寸断される事態に陥ります。一度システムが停止すれば、自社だけでなく荷主やサプライチェーン全体に甚大な損害と操業停止を強いることになります。

参考記事: 中部経産局が警告!物流網を寸断するランサムウェア脅威と自社を守る3つの対策

LogiShiftの視点:アナログ依存が招く「人間の脆弱性」

業界の法令遵守の焦りを突くソーシャルエンジニアリング

最新のセキュリティソフトを導入しても、現在の高度化する脅威を完全に防ぐことはできません。なぜなら、攻撃者はシステムの脆弱性ではなく、人間の心理的な隙や業務プロセスの盲点を突く「ソーシャルエンジニアリング」を駆使しているからです。

現在の物流業界は、2026年に施行予定の「トラック新法」に向けた対応に追われています。法改正により、元請け企業には多重下請けを可視化する「実運送体制管理簿」の作成が義務付けられ、自社だけでなく下請け事業者の詳細な情報まで厳格に管理するようになります。詐欺グループから見れば、運送会社の配車部門から情報を引き出せれば、サプライチェーン全体の連絡網(情報の宝庫)を一網打尽にできることになります。「至急対応しないと監査に入る」と言われれば、冷静な判断力を失い、普段なら教えないはずの内部情報を口にしてしまう。この「人間の脆弱性」こそが、物流業界における最大のセキュリティホールです。

WMSやTMSを守るための「ゼロトラスト思考」の導入

運送業界は他産業に比べてアナログなコミュニケーション(電話やFAX)に依存する割合が高く、情報の真偽を確認するプロセスが属人化しています。この状況から脱却するためには、現場に「ゼロトラスト(何も信頼しない)」という思考を根付かせることが不可欠です。

「電話口の相手は本当に国交省なのか」「送られてきたメールの送信元は本当に取引先なのか」を常に疑い、少しでも違和感を覚えた場合は、システムや規定のフローに従ってクロスチェックを行う仕組みを構築しなければなりません。いくらクラウド型のWMSやTMSを堅牢にしても、電話一本の対応ミスでいとも簡単に突破されてしまう現実を直視すべきです。

参考記事: 物流DXの死角!電話1本で数百億の損害を生む「人間の脆弱性」を防ぐ3つの対策

明日から現場で徹底すべき3つの防衛策(まとめ)

警察庁も詐欺電話への注意喚起を強化していますが、被害を未然に防ぐためには、会社全体でのルール作りと警戒意識の共有が急務です。明日から物流現場で実践すべき具体的な対策をまとめました。

「至急」「今日中」の要求には一度電話を切って事実確認

詐欺グループはターゲットに考える時間を与えないため、「至急」「今日中」「今すぐ」といった言葉を多用します。電話口で急かされた場合ほど、相手のペースに乗らず「担当者が不在のため、後ほどこちらから折り返します」と一度電話を切ることが鉄則です。その後、相手が名乗った機関や企業の公式な代表電話番号を自ら調べ、事実関係を冷静に確認してください。

担当者名や連絡先を外部に開示しないルールの厳格化

代表者の携帯番号はもちろんのこと、経理、配車、運行管理担当者の氏名や直通の連絡先を、電話口で安易に教えない運用ルールを徹底します。取引先からの問い合わせであっても、初回は必ず会社の代表番号や共通の窓口を案内し、身元が確実に確認できた相手にのみ情報を開示するフローを全社マニュアル化することが重要です。

定期的なセキュリティ教育とインシデント事例の共有

配車担当者や事務スタッフに対し、最新の詐欺手口やサイバー攻撃の事例を共有する場を定期的に設けます。また、社内で不審な電話やメールを受信した際は、被害がなくても必ず管理者に報告し、全社に向けて「現在、〇〇を名乗る不審電話が流行しているため注意せよ」とアラートを出せるインシデント共有体制を構築することが、組織全体の防御力を高める鍵となります。


出典: 物流ウィークリー
出典: 国土交通省(トラックGメンの活動について)

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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