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倉庫管理・WMS 2026年6月18日

ロジザード株式会社、6月18日からのLzTimerで簡易損益管理に直結

ロジザード株式会社、6月18日からのLzTimerで簡易損益管理に直結

クラウド倉庫管理システム(WMS)のリーディングカンパニーであるロジザード株式会社は、2024年6月18日、同社のクラウドWMS「ロジザードZERO」のユーザー向けに、倉庫内の各作業時間を計測・可視化できる新ツール「LzTimer(エルゼットタイマー)」の無償提供を開始しました。

この機能は、物流倉庫における最大のブラックボックスと言われていた「作業工数(人の管理)」を客観的に数値化する画期的な無償オプションです。「2024年問題」に伴う深刻な人手不足に直面する物流業界において、追加のシステム投資費用をかけることなく、高精度な生産性管理と「データドリブンな現場改善」への移行を実現する強力な武器となります。本ツールの登場は、従来の「経験と感覚」に依存してきたアナログな倉庫運営を、数値で語る「科学的経営」へとシフトさせる重要なマイルストーンとなるでしょう。


LzTimer(エルゼットタイマー)提供開始の背景と詳細

配送効率化や労働時間管理が厳格化される昨今、倉庫内の生産性向上はあらゆる物流事業者の共通課題となっています。ロジザードが発表した新機能「LzTimer」が、どのような背景と目的のもとに開発され、具体的にどのような機能を有しているのか、事実関係を5W1Hで整理します。

「LzTimer」の基本情報とシステム機能の概要

項目 詳細な内容 備考・補足
提供主体 ロジザード株式会社 クラウドWMS「ロジザードZERO」の開発・運営企業
提供開始日 2024年6月18日 既存ユーザーは追加費用なしで即日利用可能
主要な機能 作業別の工数管理機能。シフト登録による人員配置管理機能。必要工数と実績の比較。 入荷、ピッキング、検品、出荷といった各工程をカバー
経営上の効果 精緻な生産性データの蓄積。案件金額(荷主への請求)と連動した簡易損益管理。 赤字案件の特定や適正な価格交渉(見積り)の土台に

属人的管理から脱却するための「実測データ」の重要性

これまでの多くの物流倉庫では、入荷、ピッキング、検品、梱包、出荷といった各作業にかかる時間が、現場責任者の「経験や感覚」によって管理されていました。しかし、この属人的な管理手法では、以下のような致命的な課題が発生していました。

  • 特定の時間帯や商材によって発生する、目に見えない「手待ち時間」や「停滞」を特定できない。
  • スタッフ個人の体感やスキル差に依存し、正確な標準作業時間が定義できない。
  • 荷主から「なぜこの料金(作業単価)なのか」と問われた際、客観的なエビデンスを提示できない。

「LzTimer」は、倉庫の現場スタッフが作業の開始・終了時に簡単なデバイス操作で記録を行うだけで、実作業時間をリアルタイムにデータ化します。蓄積された「作業時間×人件費」のデータは、必要工数とシフト人員の差から人手不足の状況を客観的に浮き彫りにするだけでなく、荷主から支払われる案件金額と照らし合わせることで、「どの作業・どの案件が赤字(または黒字)か」という簡易的な損益管理の構築を可能にします。

参考記事: WMS(倉庫管理システム)とは?導入メリットから選び方まで実務担当者向け完全ガイド


倉庫・3PLからEC事業者まで:各プレイヤーに波及する直接的な恩恵

WMSの基本機能に「作業時間の可視化」が無償オプションとして組み込まれることは、物流に関わるさまざまな関係者の業務プロセスを劇的に変革します。主要なプレイヤーごとに生じる具体的なメリットと影響を解説します。

倉庫事業者・3PLにおける「荷主別・案件別」採算性の適正化

複数の荷主の業務を請け負う倉庫事業者(3PL)にとって、最大の関心事は「どの荷主の、どの作業でどれだけの利益(または損失)が出ているか」を正確に把握することです。従来のWMSは「在庫(モノ)の管理」に特化していたため、特定の荷主のピッキングや流通加工に「何人が何時間費やしたか」までは別管理、あるいは記録自体がされていないケースがほとんどでした。

LzTimerによって、工程別かつ荷主別(案件別)の作業時間が正確に実測・蓄積されるようになると、以下のような変化が生じます。

  • 赤字の見える化と価格交渉の根拠獲得
    「A荷主の検品作業は、類似商品の多さから基準の1.5倍の工数がかかっており、実質的に赤字である」といった現状を、感覚ではなく客観的な損益データとして把握できます。荷主に対して、エビデンスに基づいた論理的な作業単価の改定(値上げ)交渉や、業務プロセスの共同改善提案を行うための強力なカードを手に入れることができます。
  • 倉庫内レイアウトと動線設計の最適化
    各工程の作業時間が異常に長いポイントを特定し、保管場所の配置(ロケーション設計)や歩行動線を見直すことで、無駄な移動時間を削ぎ落とすことができます。

参考記事: 動線最適化完全ガイド|生産性向上とコスト削減を実現する実践手法

EC事業者における繁閑差に最適化した人員配置とコスト圧縮

荷主側であるEC事業者にとっても、自社倉庫の運営や、委託している物流企業とのパートナーシップにおいて、工数管理データの存在は非常に重要です。

  • イベント時(波動)の精緻なシフト計画
    EC物流はセールや季節要因による出荷量の繁閑差(波動)が極めて激しいという特徴があります。LzTimerによって過去の「出荷個数あたりの必要作業時間」が実証データとして蓄積されていれば、「今回のメガセールで〇〇万件の出荷をこなすには、ピッキングに〇〇人、梱包に〇〇人のシフトを組めば定時内に完了する」という精緻な人員予測(キャパシティ計画)が立てられます。
  • 無駄な人員配置コストの削減
    過剰なスタッフ配置による「手待ち」を防ぎ、必要最小限の人件費で出荷リードタイムを維持することが可能になります。これにより、利益率の低いEC運営においても、物流費という変動費をコントロールしやすくなります。

参考記事: 在庫可視化とは?真の定義から現場・経営のメリット、失敗しないツール選びまで徹底解説

倉庫内作業員における評価の公平化と心理的ケアの重要性

生産性管理システムの導入は、現場で実際に作業を行う現場スタッフ(パート・アルバイト)にも大きな影響を与えます。

  • 「頑張りが数字で見える」ことによるモチベーションの向上
    「自分のピッキング速度が上がった」「丁寧で早い梱包ができている」といった成果がシステム上で客観的なデータとして評価されるため、感覚的な評価による不公平感が解消されます。時給の昇給査定や、優秀なスタッフの表彰に明確な基準を設けることができるようになります。
  • 監視ストレスに対するマネジメント側の心理的配慮
    一方で、「1秒単位で時間が計測されている」「サボっていると判定されるのではないか」といった、管理強化に伴う強い精神的ストレスや拒絶反応を招くリスクもあります。

    マネジメント層は、このLzTimerの導入目的が「スタッフを監視し、ペナルティを与えること」ではなく、「無駄な歩行距離を減らして体を楽にする」「特定のラインへの業務過多を平準化し、残業をなくすための支援ツールである」というメッセージを現場へ根気強く説明し、合意を形成することが求められます。


LogiShiftの視点(独自考察):「物の管理」から「人の管理(工数)」へシフトする物流DX

ロジザードが発表した「LzTimer」の無償提供は、単なる一WMSの機能追加という枠を大きく超え、日本の物流現場におけるデータマネジメントのあり方を根底から覆す構造的変化を象徴しています。当メディア(LogiShift)独自の視点から、このニュースの持つ本質的な意義と、今後の業界トレンドを分析します。

「WMSのコモディティ化」と「工数可視化」の民主化

これまで、倉庫内の精緻な工数管理(時間計測や生産性可視化)を行うためには、WMSとは別に専用の「LMS(労務管理システム:Labor Management System)」を数百万〜数千万円の予算をかけて導入するか、あるいは高価な生産性可視化専門のSaaSツール(株式会社KURANDOの「ロジメーター」など)を外付けで導入するのが一般的でした。

しかし、ロジザードが「ロジザードZEROの無償オプション」としてLzTimerを提供したことで、これまでは投資体効果(ROI)が見合わないとして見送られてきた、中小規模の倉庫やスタートアップEC事業者でも「1円も追加費用を払わずに工数管理を行える」ようになりました。これは、物流DXにおける生産性管理の「民主化」を意味しています。

既存のWMS市場において、入出荷や在庫の管理機能といった「物の管理」はほぼ全システムで標準化(コモディティ化)しています。だからこそ、今後は「そのモノを扱う『人』の労働時間をいかに有効に活用できるか」という「工数管理(人の管理)」のレイヤーに競争の軸が移っています。経験という名のブラックボックスを現場から完全に排除し、標準原価や生産性を数値で語る『科学的経営』への移行は、これからの生存戦略そのものです。

参考記事: 新ロジメーターで生産性管理を強化!KURANDOの3サービス統合による3つの影響

ロジザードが目指す「情報の共通基盤化」とのシナジー

ロジザードは、2026年5月に荷物ごとに独自の「統一番号」を付与して企業間データ(OMS-WMS-TMS)をシームレスに紐付ける新サービスを発表しています。この統一番号によるアプローチが「社外・サプライチェーン全体における情報のサイロ化(情報の分断)の解消」であるならば、今回のLzTimerは「社内・庫内における『人・モノ・時間』のサイロ化の解消」と位置づけることができます。

WMS上に格納された「どの荷物(在庫データ)」という情報と、LzTimerに記録される「誰が、どの作業に、何時間かけたか(工数データ)」が同一のプラットフォーム内で自動的に結合することのインパクトは計り知れません。

将来的にこれらのデータが統合分析されることで、単に「ピッキングが早い・遅い」だけでなく、「商品のパッケージデザインやバーコードの位置が原因で、特定商材の検品時間が伸びている」「この棚配置(レイアウト)は作業員の無駄な滞留を生んでいる」といった、モノの属性まで踏み込んだ超精密なボトルネック分析が、外付けのデータ変換なしで実現する可能性を秘めています。

参考記事: ロジザード株式会社が2026年5月に新サービス、統一番号で物流効率化に直結

将来の「映像AI」やロボティクス自動化を見据えたデータの価値

現在の「LzTimer」は、現場の作業員が「開始」と「終了」を自分で入力、もしくは端末操作を行う仕組みであり、依然として人間側の入力負荷が一部残ります。海外の物流先進事例(EPG社の「AURA Observer」など)では、すでに倉庫内の監視カメラ映像からAIが人間の動きやフォークリフトの滞留をリアルタイムに解析し、自動で工数や移動動線をデータ化する「映像AIビジョンシステム」による新たな可視化レイヤーが注目を浴びています。

日本において、このような映像AIや高価なAMR(自律走行搬送ロボット)などの自動化機器を、いきなり数千万円以上のリスクを背負って導入できる企業は極めて限られています。

だからこそ、まずは「LzTimer」を用いて、手動であっても「自社のピッキング・検品・出荷における平均作業時間(標準時間)」を蓄積し、現状の生産性のベンチマーク(基準値)を作ることが何よりも先決です。データが蓄積されて初めて、将来的な自動化へのシステム投資や、映像AIを用いた「後付けDX」に移行した際の投資対効果を正確にシミュレーションできるようになります。LzTimerは、未来の超高度な自動化倉庫へと進むための「必要不可欠なデータづくりの第一歩」と言えます。

参考記事: WMSの死角を映像AIで可視化!LogiMAT受賞技術に学ぶ後付けDX3つの教訓


まとめ:データドリブン倉庫への移行に向け明日から実行すべきアクション

ロジザードによる「LzTimer」の無償提供開始は、2024年問題、そしてその先に控える2026年問題という労働力不足の時代において、物流事業者が「利益を守るためのコンプライアンス対策」と「能動的な現場改善」を両立させるための格好の契機となります。この変化の波に乗り、持続可能な倉庫運営を構築するために、明日から自社で意識・実行すべきアクションは以下の通りです。

  1. 既存のロジザードZEROユーザーは、直ちにLzTimerのテスト稼働計画を立てる
    追加のシステム料金が発生しないという最大のメリットを活かし、まずは特定の荷主や、一部の小規模な作業ライン(例:出荷量の少ない時間帯や特定の製品カテゴリなど)から「スモールスタート」でテスト運用を開始しましょう。
  2. 現場スタッフの「監視される不安」を取り除く合意形成を図る
    データ取得を開始する前に、現場スタッフに対して「このツールの真の目的は、作業の無理・無駄を省き、定時退社を促進し、労働環境を安全にするためのものである」と誠実に説明し、全員が前向きに取り組める環境を整備します。
  3. 「記録」に終わらせず、月次の「予実・簡易損益管理」への転換を進める
    集計した作業時間をただの「グラフ」として眺めるのではなく、「作業工数×人件費」を算出し、荷主から支払われる作業費との差額を分析しましょう。「どの案件が我が社の利益を圧迫しているか」を具体的な数字として捉える習慣を会社全体に定着させることが、物流サプライチェーンを生き抜く強力な経営基盤となります。

物流DXは、決して莫大なシステム投資から始まるものではありません。足元の「1分・1秒」の時間を確実に把握し、それをデータという資産に変換していくという実直な取り組みこそが、次世代の「選ばれ続ける物流企業」になるための絶対的な条件なのです。


出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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