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Home > 輸配送・TMS> 国土交通省が2026年6月26日告示改正、他営業所での対面確認を遠隔点呼とみなす運用緩和で中継輸送が加速
輸配送・TMS 2026年7月2日

国土交通省が2026年6月26日告示改正、他営業所での対面確認を遠隔点呼とみなす運用緩和で中継輸送が加速

国土交通省が2026年6月26日告示改正、他営業所での対面確認を遠隔点呼とみなす運用緩和で中継輸送が加速

日本の物流業界が「2024年問題」に続く「2026年問題」という構造的な変革期を迎える中、運行管理のあり方を根本から変える画期的な規制緩和が実施されました。国土交通省物流・自動車局は2026年6月26日、遠隔点呼に関わる告示および安全規則の解釈通達を改正・施行しました。

本改正の最大のポイントは、同一事業者内や事業者間において、遠隔点呼機器を介して運転者の情報が共有できる環境が整っていれば、移動先などの他営業所の運行管理者が行う対面での確認を「遠隔点呼」とみなして認める新制度の創設です。

これまでのルールでは、長距離輸送のドライバーが運行途中の他営業所に立ち寄った際、その営業所に運行管理者が在籍していても、所属が異なるために正規の「対面点呼」として成立させにくいという運用上の非効率が存在していました。今回の告示改正は、こうした現場のボトルネックを解消し、中継輸送の拡大や運行管理業務の集約・省力化を強力に後押しするものです。安全運行の確保と持続可能な物流体制の構築を両立させるため、運送事業者が今すぐ対応すべき新制度の全貌と、業界に与えるインパクトを徹底的に解説します。

国土交通省による告示改正の背景と改正の全貌

今回の告示改正は、これまでの点呼制度が抱えていた物理的な制約をデジタル技術と運用緩和によって解決する、極めて実務的な変革です。まずは、その具体的な背景と改正内容の5W1H、および法的な要件を整理します。

規制改革実施計画に基づく運用非効率の解消

自動車運送事業における点呼は、輸送の安全を担保するための大原則として「運転者が所属する営業所において、原則対面で実施する」ことが義務付けられてきました。しかし、長距離バスやトラックの運行においては、ドライバーが移動先の他営業所や中継拠点に立ち寄った際、現地に有資格の運行管理者がいるにもかかわらず、所属営業所が異なるために正規の対面点呼を受けられないという不合理な事態が生じていました。

この運用上の非効率を解消するため、政府が閣議決定した「規制改革実施計画(2025年6月13日閣議決定)」および国土交通省の「運行管理高度化ワーキンググループ」における検討を経て、必要な措置が講じられました。今回の改正は、遠隔点呼機器を介して営業所間または事業者間で点呼に係る運転者情報の共有が可能であることを前提に、他拠点の運行管理者等から対面で確認を受けることで、正式に「遠隔点呼を受けたもの」とみなす規定を新たに創設したものです。

告示・通達改正の事実関係と時系列整理

今回の法改正における重要な事実関係、実施日、改正された具体的な告示・通達の内容を以下のテーブルに整理しました。

項目 詳細内容 業界における重要度 関連する国の施策
発表・施行日 2026年6月26日(公布・即日施行) 運行管理の実務を即座に変える超重要日 規制改革実施計画に基づく規制緩和
改正された告示 対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示(2023年国土交通省告示第266号) 遠隔点呼の適用要件を定義する基本法令 運行管理高度化ワーキンググループでの検討
改正された通達 「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」の一部改正について(通達) 行政監査や現場運用における具体的な判断基準 監査対策やコンプライアンスの遵守
創設された新規定 他営業所の運行管理者が行った対面確認を「遠隔点呼」とみなす規定の創設 拠点・事業者間を跨ぐ点呼業務の相互補完が可能に 中継輸送の拡大と2024年・2026年問題対応
アルコール検知器の「みなし規定」 他営業所の遠隔点呼機器と連動した検知器の使用を自営業所のものとみなす 異なる拠点間での機器の相互利用・共通化を許容 設備投資コストの削減とインフラ共通化

点呼告示第5条および安全規則解釈の改正ポイント

具体的にどのような要件が満たされていれば、他拠点での対面確認が「遠隔点呼」とみなされるのでしょうか。改正後の告示では、以下の要件を随時明瞭に確認できる機能を有する遠隔点呼機器を介して、運転者情報の共有がリアルタイムで行われていることが条件となります。

  • 運転者等の顔の表情:顔色や目の充血、表情の不自然さがないか。
  • 運転者等の全身:ふらつきや姿勢の乱れ、疲労の度合い。
  • 運転者の酒気帯びの有無:アルコール検知器の数値。
  • 安全な運転を阻害するおそれの有無:疾病、疲労、睡眠不足などのその他の兆候。

また、輸送安全規則の解釈に関する通達の改正では、点呼を実施する運行管理者の所属営業所に備え付けられた遠隔点呼機器と連動するアルコール検知器を使用し、他営業所に所属する運転者に対して測定を行う場合、その検知器を「当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器」を用いたものとみなす規定(第7条第2項第4項関係の(8))が新設されました。これにより、機器の所有や設置場所に関する物理的・法的なハードルが大幅に下がりました。

参考記事: 遠隔点呼とは?IT点呼との違いや導入メリット、国交省の厳格な要件を徹底解説

遠隔点呼の新制度が物流業界に与える具体的な影響

今回の「他営業所の運行管理者による対面確認を遠隔点呼とみなす」という制度変更は、単なる手続きの簡素化にとどまりません。運送事業者、SaaS・テクノロジーベンダー、そして物流の構造そのものに対して、極めて深い波及効果をもたらします。

① 運送事業者:運行管理の「センター化」と中継輸送の飛躍的効率化

全国に複数の営業所や中継拠点を展開する運送事業者やバス事業者にとって、本改正は運行管理業務の「センター化(集約化)」を強力に進めるための決定打となります。

これまで、長距離輸送のドライバーが運行途中で自社他拠点のシャワー室や仮眠室、あるいは共同運行先の中継所に立ち寄った際、その場にいる他拠点の運行管理者に「対面点呼」をしてもらうことは、法的な所属の違いから原則として認められませんでした。そのため、ドライバーはわざわざ自社の所属営業所に電話をかけて「電話点呼(※一定の条件下のみ)」を行ったり、高い投資を行って拠点ごとに独立した遠隔点呼システムを構築したりする必要がありました。

新制度により、遠隔点呼システムで繋がっていれば、移動先の営業所にいる運行管理者がその場でドライバーを直接「対面確認」するだけで、正式な遠隔点呼として受理されます。これにより、以下のような具体的な効果が期待できます。

  • 深夜・早朝の点呼人員の劇的な削減:主要な24時間稼働拠点に運行管理者を置き、地方拠点や移動先での対面確認をこれに同期させることで、地方営業所の深夜当直を廃止できる。
  • 中継輸送の労務管理を適正化:中継拠点でのドライバー交代や車両乗り換え時において、対面確認とクラウドでのデータ共有が即時に完了するため、運行指示の変更や健康状態の把握がシームレスに行える。
  • 運行管理者の過重労働の是正:パズルのようなシフトを組んでいた運行管理者の労働時間を削減でき、離職防止や有資格者の有効活用につながる。

参考記事: 運行管理者とは?実務に必要な基礎知識から選任基準、最新の運行管理DXまで分かりやすく解説

② SaaS・テクノロジーベンダー:拠点間クラウド統合とバイタル共有プラットフォームの需要爆発

遠隔点呼システムを提供するITベンダーやアルコール検知器メーカーにとっては、製品の「クラウド統合」と「多拠点間データ連携」が必須の競争要件となります。

従来のIT点呼や遠隔点呼システムは、同一営業所内、あるいは自社の限られた拠点間での一対一の通信を前提とした設計が多く見られました。しかし今後は、異なる営業所や、事業者間遠隔点呼を見据えた他社間で、リアルタイムに運転者のプロファイル(免許証情報、健康状態、前日の睡眠時間など)や測定データを瞬時に共有・同期できる「マルチテナント型クラウドプラットフォーム」への需要が爆発的に高まります。

特に重要となる製品スペックや機能要件は以下の通りです。

  • 高速・高精度な顔認証機能:どの拠点に立ち寄ったドライバーであっても、カメラの前に立つだけで瞬時に本人特定とデータ照会が行えること。
  • アルコール検知器のマルチ連動:他拠点の検知器で測定した結果が、APIを介してリアルタイムでドライバーの所属営業所の台帳に書き戻される仕組み。
  • バイタルデータの統合解析:映像からの表情解析や血圧計、体温計といったバイタルデータを統合し、他拠点の管理者が対面で確認した際の「主観的な健康チェック」を客観的に補正・サポートするAI技術の導入。

参考記事: IT点呼キーパーが牽引する物流DX|完全自動化で実現する3つの働き方改革効果

③ 安全管理インフラのボーダレス化:営業所単位から「デジタルネットワーク単位」へのシフト

本改正がもたらす最大の構造的変化は、物流の安全管理インフラが「営業所」という物理的かつローカルな壁を越えて、「デジタルネットワーク単位」でボーダレス化していく点にあります。

これまでの貨物自動車運送事業法および輸送安全規則は、各営業所に配置された運行管理者が、自営業所の管轄する車両とドライバーを直接囲い込んで管理する「クローズドな運用」を基本としていました。しかし、2025年の「事業者間遠隔点呼」の解禁、そして2026年の「他営業所での対面確認のみなし適用」により、安全管理は「物理的にどこに所属しているか」ではなく、「どの信頼ネットワーク(クラウドプラットフォーム)に接続しているか」によって担保される時代へと進化します。

物流大手のみならず、地域の中小運送事業者が協同組合やアライアンスを組み、共通の遠隔点呼システムを導入することで、互いの営業所を中継拠点として活用し合う「共同点呼・シェアリング点呼」が本格的に社会実装される土壌が整ったと言えます。

参考記事: IT点呼とは?遠隔点呼との違いや導入メリット、2025年最新の法令に基づく実務知識を徹底解説

LogiShiftの視点:点呼シェアリングの到来とDXサバイバル戦略

国土交通省による今回の規制緩和は、2024年・2026年問題で輸送力不足に苦しむ運送事業者にとって、点呼という「守りのオペレーション」を「効率化の武器」へ転換する絶好のチャンスです。LogiShiftでは、この法改正の先に待ち受ける業界の未来と、企業が取るべき生存戦略を3つの視座から提言します。

1. 2025年事業者間遠隔点呼との融合がもたらす「点呼シェアリング」の衝撃

2025年に解禁された「事業者間遠隔点呼」により、他社の運行管理者に点呼を委託することが法的に可能となりました。そして2026年6月の今回の改正により、「他拠点での対面確認を遠隔点呼とみなす」というハイブリッドな緩和が加わりました。

この2つの制度が高度に融合することで、今後は「点呼シェアリング(拠点の共同利用)」という新たなビジネスモデルが一般化するでしょう。

例えば、長距離幹線輸送のハブとなる主要高速道路のサービスエリア近隣や、共同配送センターにおいて、複数の運送事業者が一つの「共同点呼ブース」を設置します。そこにはどこか1社の運行管理者が常駐、あるいは交代で配置され、立ち寄った各社のドライバーに対して対面で健康状態やアルコールチェックの「対面確認」を実施します。その測定データと映像は、クラウドを介してそれぞれの所属会社へ瞬時に同期され、適法な「遠隔点呼」として処理されます。

これにより、自社単独では全国に点呼拠点を整備できなかった中小運送事業者であっても、アライアンスを通じて大手並みの24時間適法かつ安全な運行管理体制を最小のコストで構築できるようになります。

2. 日本郵便の「3200局デジタル点呼完了」に見る、ガバナンスと現場教育の教訓

ここで、同じく2026年の大きな動きとして注目すべきなのが、日本郵便株式会社(以下、日本郵便)による再発防止策の進捗です。日本郵便は、過去の点呼不備事案に対する安全確保命令を受け、2026年5月末までに全国約3,200のすべての集配局において、四輪・二輪すべての車両を対象とした「デジタル点呼」の運用を完了したと発表しました。わずか1年半前には局の約70%で点呼の不備が指摘されていた状態から、全社員へのテストや「安全推進部」の新設、トップ参画のPDCA会合(計11回開催)を経て、驚異的なスピードでデジタルガバナンスを確立しました。

日本郵便の事例が示す最大の教訓は、「デジタル点呼の導入には、ハードウェアの配備だけでなく、ソフト面(ガバナンス、教育、組織体制)の改革が不可欠である」という点です。

どれほど今回の「みなし遠隔点呼」のような便利な制度が整備され、高度なシステムを導入したとしても、現場の運行管理者やドライバーがその意図を理解せず、「形だけのボタン押し」や「映像の形骸化」を許してしまえば、監査時に「不適切点呼」として一発で車両停止処分などのペナルティを受けるリスクがあります。

新制度を導入する企業は、以下のステップを確実に踏む必要があります。

  • 経営トップによる関与と明確な方針提示:点呼の適正化は経営リスクの排除であると明言する。
  • 現場リーダーへの教育と理解度テストの実施:他営業所のドライバーを対面確認する際の責任範囲と、自社ドライバーが他拠点で受ける際の手順をマニュアル化(SOPの整備)する。
  • 組織の横断的な連携:物流部門だけでなく、情報システム部門やコンプライアンス部門を巻き込み、データのセキュリティや改ざん防止対策を検証する。

参考記事: 安全運行管理規程を徹底解説|監査対策からDX化まで実務担当者必見の完全ガイド

3. デジタル依存時代のリスク:通信障害を想定した「アナログBCP」の重要性

他営業所での対面点呼を遠隔点呼とみなす運用は、すべて「リアルタイムなデータおよび映像・音声の共有」というデジタル通信インフラの上に成り立っています。裏を返せば、通信回線が途絶した瞬間に、その拠点はただの「管理機能を持たない物理スペース」へと逆戻りします。

朝夕の出荷ラッシュ時にクラウドサーバーや光回線がダウンした際、「システムが動かないから、とりあえず出発して後から辻褄を合わせよう」という運用を行えば、即座に「点呼未実施(法令違反)」となります。

デジタル化が極限まで進むからこそ、企業は「現場を止めないアナログBCP」を設計しておかなければなりません。

  • 通信の冗長化:メインの固定回線に加え、5G対応のモバイルルーターや複数キャリアのSIMカード(デュアルSIM)を各拠点に配備し、障害発生時に自動で切り替わるシステムを構築する。
  • オフライン時の一時保存・後同期プロトコル:通信が切れても、ローカル端末にアルコール測定結果や本人確認ログをタイムスタンプ付きで一時保存し、復旧後に自動同期する機能を持つシステムを採用する。
  • 電話点呼・紙台帳への緊急移行手順:システム復旧に時間を要する場合、即座に「補助者による対面点呼+電話での報告記録」へ数分以内に切り替え、運行管理簿を手書きでバックアップする訓練を定期的に実施する。

参考記事: 改善基準告示を完全解説!2024年4月改正のポイントと実務での対応策

まとめ:明日から始めるべき「みなし遠隔点呼」導入へのロードマップ

2026年6月26日に施行された国土交通省の告示改正は、輸送効率化と労務管理の柔軟性を両立させるための強力な武器です。この変化をチャンスと捉え、自社の競争力を高めるために、経営層や実務リーダーが明日から取り組むべき具体的なアクションは以下の3点です。

1. 自社の輸送ネットワークと点呼の「重複・非効率」の可視化

まずは、自社のトラックやバスの運行ルート、中継拠点、各営業所の位置関係を白地図にプロットしてください。深夜・早朝の点呼を対面で行うために運行管理者が無理なシフトを組んでいる拠点や、他営業所の近くを通りかかっているにもかかわらず電話点呼で済ませているルートはないでしょうか。「みなし遠隔点呼」を導入することで、どこの夜勤シフトを廃止でき、どの拠点に点呼を集約できるか、費用対効果(ROI)を定量的にシミュレーションしましょう。

2. クラウド統合とAPI連携を前提とした点呼システムの選定

システム選定の基準は、「他拠点の機器とデータをシームレスに同期できるか」です。自社が現在導入している、あるいは導入を計画しているデジタコ、ドライブレコーダー、勤怠管理システムとAPIを介してリアルタイムに連携できるクラウド型遠隔点呼システムを選定してください。また、24時間365日の稼働に耐えうるベンダーのサポート体制が整っているかどうかも、システム選定時の必須チェック項目です。

3. 「対面×デジタル」を正しく運用するための社内教育とBCPの策定

他拠点の管理者が自社ドライバーを対面確認する、あるいはその逆の運用を行うにあたり、誰が・どこまで・どのように確認するのかという責任分界点と運用手順(SOP)を明文化してください。同時に、ネットワーク障害や機器エラーが発生した際でも、法令を守りつつ運行を止めないための「アナログバックアップ手順(BCPマニュアル)」を作成し、現場に徹底的に周知・訓練することが、監査対策と事業継続の要となります。

安全管理のデジタル化とボーダレス化は、これからの時代を生き抜くための必須のインフラです。今回の国土交通省の告示改正を契機に、先進的な安全ガバナンス体制へと舵を切り、持続可能で強靭な物流体制の構築を進めていきましょう。

出典: トラックニュース

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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