Skip to content

LogiShift(ロジシフト)

  • 物流DX・トレンド
  • 倉庫管理・WMS
  • 輸配送・TMS
  • 事例
  • ツール紹介
  • 統計分析
  • 用語辞典
Home > マテハン・ロボット> ロジスネクストが氷点下20度対応のナトリウムイオン電池フォーク実証、冷凍倉庫DXへ
マテハン・ロボット 2026年7月8日

ロジスネクストが氷点下20度対応のナトリウムイオン電池フォーク実証、冷凍倉庫DXへ

ロジスネクストが氷点下20度対応のナトリウムイオン電池フォーク実証、冷凍倉庫DXへ

物流業界においてカーボンニュートラルの実現と持続可能なグリーン物流への移行が急務となる中、フォークリフトの次世代動力源を巡る新たな地殻変動が起きています。

株式会社ロジスネクスト(旧商号:三菱ロジスネクスト株式会社、2026年4月30日付で改称)は、自社が製造・販売する小型バッテリー式フォークリフトに搭載する次世代の二次電池として、資源制約の少ない「ナトリウムイオン電池」を活用する実証実験を行い、データ収集を完了したと発表しました。

今回の実証実験は、住宅・ビル建材大手である株式会社LIXILの協力のもと、同社の一関工場(岩手県一関市)において、ロジスネクスト製の3.5t仕様バッテリー式フォークリフト「ALESIS(アレシス)」を用いて実施されました。

現在、物流現場で主流となっている鉛蓄電池や、移行が進むリチウムイオン電池に次ぐ「第3の選択肢」として、地政学的リスクに左右されない持続可能なエネルギー自立の確立へ向けた、大きな一歩を踏み出しました。


ニュースの背景と実証実験の詳細

物流現場の荷役を支えるフォークリフトは、環境規制の強化や屋内作業の改善に伴い、ディーゼルなどのエンジン式から電動の「バッテリー式」への移行が急速に進んでいます。

現在、主流である「鉛蓄電池」に対し、2023年12月には急速充電や長時間稼働に対応する「リチウムイオン電池」が実用化され、現場の生産性向上に貢献しています。しかし、リチウムはレアメタル(希少金属)であり、特定の国への偏在や価格高騰、地政学的リスクに伴う供給不安というサプライチェーン上の脆弱性を抱えています。

これに対し、今回実証されたナトリウムイオン電池は、塩の主成分であるナトリウムを主原料とするため、資源量が極めて豊富で調達の地政学的リスクがほぼありません。

今回の実証実験の概要を以下のテーブルに整理します。

項目 詳細内容 実務上の意義
実施主体 株式会社ロジスネクスト 株式会社LIXIL マテハン大手と大手荷主が共同で実用性を検証。
実証場所 LIXIL一関工場(岩手県一関市) 実際の製造・物流現場における高負荷な実作業環境で試験。
対象車両 バッテリー式フォークリフト「ALESIS」3.5t仕様車 重量物荷役に耐えうる中・大型クラスでの適応力を測定。
検証目的 ナトリウムイオン電池の採用可否判断、稼働時間、車両性能データの収集 鉛蓄電池やリチウムイオン電池に次ぐ次世代二次電池としての実用性評価。
今後のプロセス 品質・性能面の詳細データを整理し、実用化・量産化に向けた要素開発を推進 レアメタルフリーによる将来的な資材調達コストの安定化。

参考記事: カウンターフォークリフトとは?実務担当者が知るべき基礎知識と最新トレンド


業界への具体的な影響

ナトリウムイオン電池の物流機器への社会実装は、サプライチェーンを構成する様々なプレイヤーに異なるメリットと構造的な変化をもたらします。

1. 倉庫事業者・3PL:冷蔵・冷凍倉庫における「バッテリー劣化問題」の特効薬に

多くの倉庫事業者や3PL(サードパーティ・ロジスティクス)を悩ませてきたのが、冷蔵・冷凍倉庫内におけるバッテリー式フォークリフトの著しい性能劣化です。

従来の鉛蓄電池やリチウムイオン電池は、0度を下回る極低温環境下において、化学反応の低下により放電容量が急激に減少し、稼働時間が極端に短くなるという技術的課題を抱えていました。このため、冷凍庫内では頻繁なバッテリー交換や、一時的な車両の退避・加温が必要となり、作業効率低下の大きな要因となっていました。

一方、ナトリウムイオン電池は「低温環境下でも性能が劣化しにくい」という極めて優れた物理的特性を持っています。氷点下20度以下の環境でも安定した充放電性能を維持できるため、フローズン・チルド物流を手掛ける倉庫事業者にとって、車両の連続稼働時間を劇的に延ばす特効薬となる可能性を秘めています。これは、低温倉庫における予備バッテリーの保有台数削減や、充電インフラへの投資計画を根本から見直す契機となるでしょう。

2. 製造業者・メーカー・荷主:サプライチェーンを通じた「環境価値」と「供給安定性」の獲得

実証実験に協力したLIXILは、独自の「インパクト戦略」に基づき、事業活動を通じた社会・環境課題の解決を推進しています。今回のような大手荷主が、先端モビリティやエネルギーの検証段階から参画するケースは、今後の荷主とマテハンメーカーの新たな協調モデルを示しています。

荷主企業やメーカーにとって、物流委託先や自社工場内におけるCO2排出量の削減(Scope3の削減)は、企業のサステナビリティ評価を左右する生命線です。ナトリウムイオン電池は、製造時およびライフサイクル全体における環境負荷が極めて低く、持続可能なグリーン物流を推進する強力なアピール材料となります。

さらに、調達の安定性はメーカーの操業安定に直結します。地政学的リスクによってリチウムやコバルトの調達が滞り、フォークリフトの新車調達リードタイムが数ヶ月〜数年単位に長期化する事態は、工場の出荷ラインの停止リスクそのものです。レアメタルを一切使用しないナトリウムイオン電池の量産化は、資材調達コストの安定化をもたらし、メーカーにおける物流子会社や自社フリートの長期的な調達計画に絶大な安心感を与えます。


LogiShiftの視点(独自考察):物流ハードウェアは「性能向上」から「地政学リスクと資源自立」のフェーズへ

多くのメディアは、今回のニュースを「フォークリフトの動力源多角化に向けた技術実証」として報じています。しかし、LogiShiftはこれを、世界のエネルギーおよびモビリティ市場を揺るがしている「EV経済安保」の流れが、ついに物流現場の荷役ハードウェア領域にまで到達した歴史的な転換点であると定義します。

「安さ・スペック」から「経済安全保障とサイバーリスク回避」へ

現在、EVトラックの調達基準において、中国メーカーなどの安価なハードウェアを採用することに伴う「補助金除外リスク」や「ソフトウェアアップデートの地政学的制限」といったリスクが浮き彫りになっています。

参考記事: BYD補助金激減!「EV経済安保」から日本の物流企業が学ぶ3つの対策と教訓

これまでは「バッテリー容量が大きい」「充電スピードが速い」「初期導入コストが安い」といったスペック重視の引き算・足し算で機器選定が行われてきました。しかし、これからは「そのバッテリーはどの国で採掘された資源で作られているか」「そのサプライチェーンは途絶リスクに耐えられるか」という、調達のサステナビリティと地政学的自立がフォークリフト選定の決定的な評価軸となります。

ナトリウムは日本を含む世界中の海水からほぼ無限に採取できるため、地政学的な封鎖や特定国による輸出規制のカードにされる心配がありません。まさしく「エネルギーの自立」を現場単位で実現する究極のソリューションです。

RaaSや自動化(AGF)と「高耐久次世代バッテリー」のシナジー

もう一つの重要な視点は、物流自動化(AGF/無人フォークリフト)の普及と次世代バッテリーの相性です。深刻な労働力不足の解決策として導入が進む自動化フォークリフトは、24時間365日の連続稼働を前提にROI(投資対効果)が計算されます。

参考記事: コスト削減の罠?「無人フォークリフト」で倉庫は本当に救えるのか?――1台1000万円超、前向きだった現場担当者が突然沈黙する理由と打開策

従来の鉛蓄電池は、充電に長時間を要するため予備バッテリーへの交換作業(有人)が発生し、完全自動化のボトルネックとなっていました。リチウムイオン電池は急速充電が可能ですが、高頻度の超急速充電(継ぎ足し充電)はバッテリーセルに大きな熱負荷を与え、製品寿命を縮める要因となります。

ナトリウムイオン電池は、急速充電性能に優れ、かつ熱安定性が高いため、充電に伴う劣化リスクが低いとされています。これは、AGF(無人フォークリフト)が人間の手を借りずに自動で非稼働時間(数分間の待機時など)に超急速充電を繰り返し、寿命を損なうことなく動き続ける「ノンストップ自律稼働現場」の実現に最適なパーツです。

マテハン機器のトップ企業であるロジスネクストが、新商号の「株式会社ロジスネクスト」として、モノ売り(車両単体の販売)からコト売り(次世代の高度自動化・環境ソリューション)へと事業ドメインをシフトする中、ナトリウムイオン電池は「止まらない自動化インフラ」をエネルギー面から支える中核技術となるでしょう。

参考記事: AGF(無人フォークリフト)とは?AGVとの違いや失敗しない選び方・導入手順を徹底解説


まとめ:経営層と現場リーダーが明日から意識すべきこと

株式会社ロジスネクストとLIXILによる「ナトリウムイオン電池」フォークリフトの実証実験完了は、単なる実験室の研究成果ではなく、近未来の物流現場のエネルギーインフラがどのように変化するかを示す羅針盤です。

激変する事業環境の中で、経営層や現場リーダーが明日から意識し、準備すべきアクションは以下の通りです。

  • 低温・冷凍倉庫における車両・バッテリー運用の棚卸し
    自社がチルド・フローズン物流を手掛けている場合、低温によるフォークリフトのバッテリー稼働低下、および予備バッテリーの維持にどれだけの余計なコスト(CAPEX/OPEX)がかかっているかを再算出してください。ナトリウムイオン電池などの低温耐性技術が実用化された際、速やかに投資対効果を評価できる基準を構築しておくことが重要です。
  • 機器導入における「経済安全保障リスク」の評価項目の追加
    フォークリフトやEVトラック、産業用蓄電池を導入する際、カタログ上のスペックや目先の見積もり価格だけでなく、「主要部材(セル)の製造国」「調達網の地政学リスク」「将来的な補助金適用の持続可能性」をサプライチェーン上の重大リスクとして評価項目に組み込んでください。
  • 「自動化(AGF)」と「次世代バッテリー」をセットにした未来設計
    今後、マテハン自動化や無人フォークリフトの導入を検討する場合、単に「人を減らす」という視点だけでなく、バッテリーの充電効率や長寿命化を踏まえた「24時間連続稼働が可能なエネルギー・システムデザイン」をメーカーやシステムインテグレーター(SIer)と共に描くマインドセットを持ってください。

物流機器は、もはや「荷物を運ぶための道具」ではなく、データとエネルギーを最適化して企業の生存確率を高めるための「戦略的インフラ」へと進化しています。最新のテクノロジーがもたらす構造変化を先読みし、強靭で持続可能なサプライチェーンを構築していきましょう。


出典: LOGI-BIZ online(ロジビズ・オンライン)

Share this article:

監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

関連記事

豊田自動織機がIHI物流子会社を買収!現場の自動化を加速させる3つの影響と戦略
2026年5月8日

豊田自動織機がIHI物流子会社を買収!現場の自動化を加速させる3つの影響と戦略

目指すは構内物流の完全自動化!! ヤマハとティアフォーが設立したイブオートノミーが新製品を発表
2026年3月26日

構内物流の完全自動化へ!イブオートノミー新製品発表が示す物流DXの未来

豊田自動織機トヨタL&F、国内向け産業車両を26年3月に値上げへ
2025年12月22日

豊田自動織機、26年3月値上げへ|フォークリフト最大15%増の衝撃と対策

表示できるコメントはありません。

LogiShift

物流担当者と経営層のための課題解決メディア。現場のノウハウから最新のDX事例まで、ビジネスを加速させる情報をお届けします。

カテゴリー

  • 物流DX・トレンド
  • 倉庫管理・WMS
  • 輸配送・TMS
  • マテハン・ロボット
  • サプライチェーン

もっと探す

  • ツール紹介
  • 海外トレンド
  • 事例
  • 統計分析
  • 物流用語辞典

サイト情報

  • 運営者情報
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー
  • LogiShift Global
  • FinShift

© 2026 LogiShift. All rights reserved.