大和ハウス工業は2026年8月18日、大阪府茨木市のパナソニック旧茨木工場跡地において、地上4階建て・延床面積約3.1万平方メートルのマルチテナント型物流施設「DPL茨木II」を着工する。
本プロジェクトは、約12万平方メートルに及ぶ「物流タウン」構想の最終章であり、名神高速道路「茨木IC」からわずか1kmという優れた交通アクセスと、JR総持寺駅から徒歩15分という「職住近接」による雇用確保を両立させた次世代型物流拠点の完成を意味している。
パナソニック旧工場跡地12万㎡に広がる「物流タウン」の全貌とDPL茨木IIの施設スペック
「DPL茨木II」が建設される地は、かつてパナソニック(旧松下電器産業)が世界に向けてテレビを量産していた歴史的拠点「旧茨木工場」の跡地である。大和ハウス工業は2014年9月にパナソニックホールディングスから同地を取得し、約12万平方メートルにおよぶ広大な敷地を一体的な「物流タウン」として再開発するメガプロジェクトを推進してきた。
これまでにヤマト運輸の大型物流ターミナル「関西ゲートウェイ」など2棟の専用型(BTS型)物流施設を供給してきたが、その最終開発区画として着工するのが、タウン内初となる汎用マルチテナント型施設「DPL茨木II」である。
本開発の歴史とプロジェクトの全体像は以下の通りである。
| 年月 | 開発フェーズ | 施設概要と主な特徴 |
|---|---|---|
| 2014年9月 | 用地取得 | パナソニックホールディングスより旧茨木工場跡地(約12万㎡)を取得 |
| 2015年12月〜2017年10月 | 第1弾開発(BTS型) | ヤマト運輸「関西ゲートウェイ」(地上6階建て、延床面積約9万㎡)着工・竣工 |
| (第2弾開発) | 第2弾開発(BTS型) | 専用型物流施設を建設・稼働 |
| 2026年8月18日 | 第3弾開発(マルチ型) | 「DPL茨木II」(地上4階建て、延床面積約3.1万㎡)着工 |
| 2028年1月14日 | 全体竣工(予定) | 「DPL茨木II」竣工に伴い、12万㎡の「物流タウン」全体開発が完了 |
「DPL茨木II」の施設スペックは、現代の物流現場が直面する課題を解決するために極めて高度に洗練されている。主要な仕様と運用上の利点を以下の表に整理する。
| 項目 | 詳細仕様・数値 | 現場運用における実務的価値 |
|---|---|---|
| 施設名称 | DPL茨木II | 最大2テナントが入居可能なマルチテナント型物流施設 |
| 事業主 | 茨木松下開発特定目的会社 | 大和ハウス工業が100%出資する特定目的会社 |
| 所在地 | 大阪府茨木市松下町2-13 | パナソニック旧茨木工場跡地の一角 |
| 敷地面積 / 建築面積 | 16,322.07㎡(4,937.43坪) / 8,065.63㎡(2,439.85坪) | 効率的な車線動線と荷役スペースを確保した設計 |
| 延床面積 / 賃貸面積 | 31,245.97㎡(9,451.91坪) / 30,924.48㎡(9,354.66坪) | 1区画あたり約1.5万㎡(約4,600坪)から利用可能 |
| 構造・規模 | RC造+S造、耐震構造、地上4階建て | 堅牢な構造によりBCP(事業継続計画)に寄与 |
| 床荷重 / 梁下有効高 | 1.5t/㎡ / 5.5m | 大型マテハン機器や高層ラックの導入に対応 |
| 荷役設備 | 1階両面バース、貨物用エレベーター、垂直搬送機 | トラックの滞留を防止し、庫内縦方向の貨物移動を高速化 |
| 交通アクセス | 名神「茨木IC」約1.0km、JR「JR総持寺駅」徒歩約15分 | 関西主要都市への広域配送と徒歩通勤による雇用確保を実現 |
| 設計 / 施工 | フクダ・アンド・パートナーズ / フジタ | 設計・施工のプロフェッショナルによる高スペック施工 |
| 工期スケジュール | 2026年8月18日着工 / 2028年1月14日竣工予定 | 2028年1月中旬より順入居開始予定 |
陸・海・空を網羅する関西屈指の好立地
「DPL茨木II」の最大の強みは、その卓越した交通利便性にある。関西圏の物流大動脈である名神高速道路「茨木IC」からわずか1.0km(車で約5分)という至近距離に位置し、名神高速を経由して京都市内の「京都南IC」や兵庫県の「西宮IC」へもそれぞれ車で約30分で到達できる。
さらに、一般道を利用して大阪市中心部まで約30分でアクセスできるほか、「大阪国際空港(伊丹空港)」へ車で約20分、「大阪港」へ約50分と、陸路のみならず空路・海路を活用したグローバルサプライチェーンにも即座に対応可能なロケーションを誇る。
脱炭素社会に対応する環境性能とエネルギー設備
環境負荷の低減とテナント企業のESG経営支援においても、「DPL茨木II」は最先端の設備を備えている。
屋上には大規模な太陽光発電システムを設置し、発電したクリーン電力を施設内で直接消費する「オンサイトPPA」方式を採用。これにより、テナント企業は初期投資を負担することなく再エネ由来の電力を利用でき、CO2排出量(Scope2)の削減に直結させることができる。
また、全館LED照明、節水器具、加温自動水栓、全熱交換器などを標準装備することで、建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」における最高ランクの6つ星取得と、「Nearly ZEB(ニアリー・ゼブ)」以上の達成を目指している。
参考記事: 寒川町で大和ハウス工業が8.9万㎡の施設着工、配送の高速化に直結
物流サプライチェーンの各プレイヤーに及ぼす地殻変動と具体策
大阪府茨木市という関西物流の超重要エリアにおいて、最新スペックを備えた「DPL茨木II」が誕生することは、運送事業者、3PL・倉庫事業者、現場作業員、そして地域産業全体に大きな構造的メリットをもたらす。
運送事業者:名神IC至近と両面バースが実現する荷待ち時間の削減
トラックドライバーの時間外労働上限規制が強化された「2024年問題」以降、運送事業者にとって「いかに荷待ち・荷役時間を削減し、車両回転率を高めるか」が企業の生死を分けるテーマとなっている。
「DPL茨木II」は、名神「茨木IC」から約1kmという近さに加え、1階部分に効率的な搬出入を可能にする「両面バース」構造を採用している。複数テナントが入居した場合でも十分な間口を確保できるため、朝夕のトラック集中時においても敷地内でのトラック滞留を劇的に抑えることが可能である。
これにより、ドライバーの拘束時間を短縮し、法令遵守と輸送効率の最大化を同時に達成できる環境が整う。
倉庫事業者・3PL:1区画1.5万㎡の絶妙な規模と高度マテハン導入の拡張性
3PL事業者や倉庫事業者にとって、「DPL茨木II」が提示する1区画約1.5万平方メートル(約4,600坪)〜という賃貸面積は、大規模な自動化投資の投資対効果(ROI)を最大化しやすい非常に使い勝手の良いスケールである。
床荷重1.5t/㎡、梁下有効高さ5.5mという高スペック仕様に加えて、垂直搬送機や貨物用エレベーターがあらかじめ配置されているため、庫内での貨物の上下移動がスムーズに行える。これにより、AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)、自動倉庫システム(AS/RS)などの先端マテハン設備をスムーズに配置でき、人手不足に対応した高密度保管と省人化オペレーションを構築できる。
倉庫内作業員と採用:JR駅徒歩15分の「職住近接」が実現する人材獲得力
物流業界において最も深刻なボトルネックとなっているのが、庫内作業員(パート・アルバイト・正社員)の採用難である。郊外の臨海部や高速道路のインターチェンジ周辺に建つ多くの大型倉庫は、バス通勤やマイカー通勤が必須となり、人手の確保に苦しむケースが多い。
しかし、「DPL茨木II」はJR京都線「JR総持寺駅」から徒歩約15分という徒歩通勤が十分可能な立地に位置する。周辺には広大な住宅地が広がっており、完璧な「職住近接」の条件を満たしている。乗用車駐車場や駐輪場も整備されているため、徒歩・自転車・マイカーといった多様な通勤形態に対応でき、今後の人材争奪戦において他社倉庫に対して大きな採用アドバンテージを保持できる。
製造業・地域経済:モノづくりの聖地から高度な都市型「物流タウン」への産業転換
かつて日本の高度経済成長を支えたパナソニック旧茨木工場の跡地が、約12万平方メートルの「物流タウン」へと完全に脱皮したことは、日本の産業構造の変化を象徴している。
モノづくり(製造業)の拠点から、脱炭素機能と高度な労働環境を備えた「都市型物流ハブ」への転換は、単なる倉庫の建設にとどまらない。ヤマト運輸の「関西ゲートウェイ」による高度な仕分け・輸配送機能と、今回着工した「DPL茨木II」のマルチテナント型保管・加工機能が同一敷地内に揃うことで、地域全体のサプライチェーンの最適化が加速する。
参考記事: DPL大阪南港Ⅰが2026年竣工、最大高6m・駅徒歩100mの仕様で人手不足を解決に導く
参考記事: アサヒロジスティクスが関西初の4温度帯共配拠点を新設、食品物流の最適化が加速
LogiShiftの視点(独自考察):都市型「物流タウン」が関西の配送網を再編する
『LogiShift』の視点から、今回の「DPL茨木II」着工が示唆する物流不動産とサプライチェーンの将来像を考察する。
第一に注目すべきは、同一敷地内における「専用拠点(ヤマト運輸 関西ゲートウェイ等)」と「マルチテナント型施設(DPL茨木II)」の近接シナジーである。大量の荷物を高速で処理する大型輸配送ターミナルのすぐ隣に、高度な在庫保管と流通加工が可能なマルチテナント倉庫が存在することは、出荷から幹線輸送への載せ替えにかかる「横持ち輸送」の時間とコストを限りなくゼロに近づける。これは、EC事業者や消費財メーカーにとって、受注締め切り時間の延長と配送リードタイムの短縮を同時に可能にする強力な配置戦略となる。
第二に、大和ハウス工業自体の開発手法における差別化である。資材価格の高騰や労務費の上昇により、多くの不動産デベロッパーが新規開発の抑制や延期を余儀なくされる中、同社は建設機能を担うグループ企業(フジタ等)や電気設備大手の住友電設との連携を強化し、開発から設備構築までをグループ内で掌握する垂直統合モデルを強みとしている。
この基盤があるからこそ、名神IC至近という超一等地において、オンサイトPPAやBELS 6つ星といった高コストになりがちな脱炭素インフラを標準実装した「Nearly ZEB」基準の施設を計画通り着工・供給できるのである。
今後、単に「広いスペース」を提供するだけの倉庫は淘汰され、「駅チカ(雇用のしやすさ)」「IC至近(荷待ち時間の無さ)」「脱炭素(GX対応)」という3大要素を兼ね備えた高機能アセットのみが、荷主企業から選ばれる時代へ完全に移行していくことは確実である。
参考記事: 大和ハウスが物流施設開発を「最大の好機」と断言する3つの理由と賃料高騰への備え方
参考記事: 大和ハウス工業通期見通しと全利益減益の要因!物流市場と賃料相場への3つの影響
まとめ:激変する物流環境を勝ち抜くための3つのアクション
大和ハウス工業が着工した「DPL茨木II」は、これからの時代に求められる「立地・雇用・荷役効率・脱炭素」のすべてを高水準で具現化した次世代モデルである。本ニュースを受けて、物流関係者や経営層が明日から実践すべきアクションは以下の3点である。
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坪単価比較から「採用コスト・荷待ち削減」を織り込んだトータルROI評価への転換
拠点選定の際、単純な「家賃(坪単価)」のみで比較するのではなく、駅から徒歩15分という好立地がもたらす「求人応募率の向上と採用費削減効果」、名神IC1kmと両面バースによる「トラックの荷待ち時間・拘束時間短縮価値」を合算した統合的な投資対効果(ROI)で拠点を評価する。 -
名神IC直結ハブと「両面バース」を活用した配送ネットワークの効率化
2024年問題および法改正に伴うドライバーの時間管理に対応するため、一般道の走行距離が極めて短い「DPL茨木II」のような高速IC至近のハブ拠点を活用し、中継輸送や近隣都市への高頻度配送網を再設計する。 -
オンサイトPPA・Nearly ZEB対応施設による脱炭素(GX)と固定費抑制の両立
荷主企業からのESG対応要求が強まる中、自社で巨額の初期投資をすることなく再エネ電力を調達できるオンサイトPPA導入施設を積極的に選択し、脱炭素化(Scope2の削減)と将来の電気代高騰リスクへの防壁を構築する。
参考記事: ヤマト運輸、滋賀4.2万㎡の統合拠点稼働で翌日配送の締め切り延長に直結
出典: LNEWS
出典: 大和ハウス工業株式会社 公式サイト
出典: LOGI-BIZ online


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