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物流DX・トレンド 2026年8月19日

ExotecとMujinが8月19日提携、全工程の統合で倉庫自動化を加速

ExotecとMujinが8月19日提携、全工程の統合で倉庫自動化を加速

倉庫ロボティクスを展開するExotec Nihonと知能ロボットコントローラを手掛けるMujin Japanは2026年8月19日、物流センター全体の自動化推進に向けた業務提携を発表しました。工程ごとに分断されていた自動化設備を一貫したシステムで統合し、深刻化する人手不足への対応とセンター全体の処理能力最大化を後押しします。

倉庫の「サイロ化」を打破するExotecとMujinの提携概要

EC市場の拡大に伴う物流量の増加や、人手不足への対応を背景に、多くの物流現場で自動化設備の導入が加速しています。しかし、従来の現場では入荷、保管、ピッキング、搬送、出荷といった工程ごとに異なるベンダーの設備を個別導入するケースが多く、システム間の連携不足による「サイロ化」が深刻な課題となっていました。

工程ごとに個別最適化された設備は、前後工程との接続部分で人手による積み替えやデータ連携の滞留を生み出し、運用の複雑化や将来的な拡張性の制約を招きます。今回の業務提携は、この「工程間の断絶」を解消し、物流センター全体を単一の構想で統合自動化(フルオートメーション)することを目的としています。

提携の概要と両社の役割分担

本提携では、Exotecが持つ保管・ピッキング領域のGoods to Person(GTP)技術と、Mujinが得意とするパレット荷役・搬送領域のロボティクス技術および統合プラットフォームをシームレスに結合します。

両社の担当領域と強みは以下の通りです。

企業名 代表者 / 拠点 カバー領域 中核技術・プロダクト
Exotec Nihon 代表取締役 アジアパシフィック地域社長:立脇 竜(東京都港区) 保管、G2P(Goods to Person)ピッキング 3次元立体走行ロボット「Skypod」
Mujin Japan 取締役CEO:荒瀬 勇(東京都江東区) パレット荷役(デパレタイズ・パレタイズ)、搬送、全体統括制御 知能ロボットコントローラ、統合オートメーションプラットフォーム「MujinOS」

Exotecの「Skypod」は、自律走行ロボットがラック内を縦・横・昇降の3次元で移動し、対象コンテナを作業者の手元まで高速搬送するソリューションです。トラスコ中山の大型拠点「プラネット愛知」や三菱食品の「草加FSDC」など、国内の先進的な物流拠点でも相次いで導入されています。

一方、Mujin Japanはロボットに「目(3Dビジョン)」と「脳(知能制御)」を与える知能ロボットコントローラ技術を強みとし、パレットからの荷降ろし(デパレタイズ)や積み付け(パレタイズ)、無人搬送車(AGV/AMR)の制御を含めた構想・設計・運用を「MujinOS」上で統合管理します。

参考記事: WES(倉庫実行システム)とは?WMS・WCSとの違いや導入メリット・選定ポイントを徹底解説

業務提携のロードマップと今後の展開

両社は提携発表に先立ち、共同セミナーなどの取り組みを進めてきました。今後の実機展示を含めたタイムラインは以下の通りです。

時期 主な取り組み・マイルストーン 詳細内容
2026年7月 共同セミナー先行開催 愛知県岡崎市にて、工程全体を見据えた自動化構想とインテグレーションの可能性を発表
2026年8月19日 業務提携を正式発表 入荷から出荷までの全工程をつなぐ統合自動化ソリューションの提供を開始
2026年9月(予定) 「国際物流総合展2026」共同展示 ExotecブースへのMujinロボット展示、Mujinブースでのライブ中継など連携実演を実施

参考記事: 物流ロボティクス入門|AGV・AMRの違いと導入手順・費用対効果を徹底解説

倉庫事業者から作業員まで広がる3つの業界インパクト

保管特化型ロボティクスと荷役搬送制御のリーディングカンパニーによる連携は、物流に関わる各プレイヤーに大きな影響を与えます。

1. 倉庫事業者・3PL:「点」の自動化から「面」の統合投資への転換

従来の倉庫投資では、ピッキング工程のみにAMR(自律走行搬送ロボット)を入れる、あるいはパレット荷役にデパレタイズロボットを単体で導入するといった「点の自動化」が中心でした。しかし、部分最適のアプローチでは前後工程にボトルネックが移動するだけで、施設全体の処理能力向上には限界がありました。

ExotecとMujinの連携により、3PLや倉庫事業者は「入荷荷受→高密度保管→ピッキング→仕分け→出荷パレタイズ」という一連のフローを標準化されたインターフェースで設計可能になります。部分導入によるシステムの陳腐化やサンクコスト化を防ぎ、将来の拡張を見据えた長期的な設備投資判断を下すことが可能になります。

参考記事: 世界大手DSVの事例から学ぶ4地域比較が3PLの柔軟な自動化への必須対応

2. EC・小売事業者:物流キャパシティの上限引き上げによる売上拡大

EC事業者や多品種小ロット出荷を扱う流通業者にとって、倉庫の出荷能力(スループット)はビジネスの成長上限を直接決定づける要素です。

Skypodによる高密度保管・高速ピッキングと、Mujinのパレット搬送・自動積み付けが一体化することで、夜間の無人自動補充やピーク時の高スループット出荷がシームレスに実現します。注文から出荷までのリードタイムを劇的に短縮し、突発的なセール需要にも柔軟に対応できる強靭なサプライチェーン基盤が整います。

参考記事: トラスコ中山が8.9万㎡の愛知拠点にSkypod本格導入、100万点即納が加速

3. 倉庫内作業員:重労働からの解放と「テクノロジーワーカー」への転換

パレットの積み降ろしや重量物の運搬、広大な庫内の歩行ピッキングといった身体的負荷の高い作業がロボットへ置き換わることで、労働環境の改善が進みます。

現場の作業員は、単純な肉体労働の担い手から、MujinOSなどの統合ソフトウェアを操作・監視し、トラブル対応や運用改善を担う「テクノロジーワーカー」への役割転換が求められます。企業側にとっても、作業員の定着率向上や多様な人材の雇用確保につながる利点があります。

参考記事: 三菱食品が草加拠点にSkypod44台導入で食品卸自動化が加速

LogiShiftの視点:ロボット単体導入の終焉と「OS統合時代」の到来

今回のExotecとMujinの提携は、物流自動化の競争軸が「ハードウェア単体の性能」から「倉庫全体を統括するロボットOSによる全体最適化」へと不可逆的にシフトしたことを示しています。

これまで多くの物流現場では、異なるマテハンメーカーの機器を導入するたびに個別のWCS(倉庫制御システム)や上位WMS(倉庫管理システム)との接続開発を行っており、膨大なSI費用と構築期間を費やしてきました。その結果、一度構築したラインのレイアウト変更や機器追加が困難になる「設備の硬直化」が常態化していました。

MujinOSのような統合プラットフォームがSkypodをはじめとする主要ハードウェアと標準接続される世界では、オープンなアーキテクチャ上で設備がオーケストレーションされます。これにより、特定ベンダーへの依存(ベンダーロックイン)を回避しつつ、物量増や商材変更に応じてロボットを自在に追加・再構成できる柔軟性が手に入ります。

今後は、ロボット単体をいくら安く調達できるかではなく、拠点全体のハードウェア群をひとつの有機体として協調制御できるプラットフォームを構築できるかどうかが、物流拠点の競争力を決定づける要因となります。

参考記事: 物流自動化とは?導入メリットや主要設備・失敗しない進め方を徹底解説

まとめ:明日から意識すべき3つの実践アクション

ExotecとMujin Japanによる業務提携は、物流センターのフルオートメーション化が現実的な選択肢となったことを象徴しています。自社の自動化構想をアップデートするために、以下の3点を意識して現場戦略を再構築してください。

  1. 現場の「工程間ボトルネック」を洗い出す
    入荷から出荷までの全工程を可視化し、既存の自動化設備と人手作業の接続部分で滞留や二重ハンドリングが発生していないかを特定してください。

  2. 「部分最適」の設備投資計画を見直す
    ピッキングや搬送など単一工程だけのロボット導入を検討している場合、将来的に他工程とデータ・ハードウェア連携が可能な拡張性(オープン性)を備えているかを再評価してください。

  3. 統合制御プラットフォーム(OS/WES)の選定を優先する
    ハードウェアを個別に選ぶ前に、複数メーカーのロボットを束ねてリアルタイムに全体最適化できる制御ソフトウェア基盤の導入を前提とした計画を策定してください。


出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: PR TIMES

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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