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Home > 倉庫管理・WMS> AZ-COM丸和、松伏に8.4万㎡の低温拠点公開!食品物流を強靭化
倉庫管理・WMS 2026年8月24日

AZ-COM丸和、松伏に8.4万㎡の低温拠点公開!食品物流を強靭化

AZ-COM丸和、松伏に8.4万㎡の低温拠点公開!食品物流を強靭化

AZ-COM丸和ホールディングスは2026年8月21日、埼玉県松伏町でグループ初となる自社開発の大型低温物流拠点「AZ-COM Matsubushi EAST」を報道関係者向けに公開しました。総投資額約250億円を投じた本施設は、厳格な3温度帯管理と強固なBCP設備、さらに現場教育や運行DXの機能を同一拠点内に統合しており、逼迫するコールドチェーンの維持と効率化を支える重要なインフラとなります。

松伏拠点の全貌と「AZ-COM Matsubushi EAST」の開発経緯

AZ-COM丸和ホールディングス(傘下の丸和運輸機関)が公開した「AZ-COM Matsubushi EAST」は、2026年2月に本格稼働を開始した地上5階建て、延床面積8万4460㎡の大型低温物流センターです。同社グループとして初めて自社開発を手掛けた低温食品物流の旗艦拠点であり、食品スーパー「マミーマート」を展開するマミーマートホールディングスや、外食・清掃用品大手のダスキンが入居しています。

本拠点の主要スペックとプロジェクトの概要は以下の通りです。

項目 詳細スペック・運用内容
施設名称 AZ-COM Matsubushi EAST(アズコム松伏イースト)
所在地 埼玉県北葛飾郡松伏町(松伏田島産業団地内)
敷地・延床面積 敷地面積:約3万6000㎡、延床面積:8万4460㎡
総投資額 約250億円(借入限度額100億円のシンジケーションローン等を活用)
構造・階数 鉄骨造、免震構造、地上5階建て
温度帯構成 3温度帯対応(1階:冷蔵・常温、2階:冷凍・冷蔵、3〜5階:常温・一部低温)
主要テナント マミーマートホールディングス、ダスキン(ミスタードーナツ事業)等
BCP・環境設備 インタンク(燃料30万L備蓄)、非常用発電機2基(23日間連続稼働)、端材室
特殊機能 5階に「安全道場」およびデジタコ・渋滞情報を統合する「統合配車室」を設置

土地取得からEAST稼働・WEST着工までの時系列

AZ-COM丸和グループは、首都圏における幹線道路網の整備進捗を見据え、戦略的に松伏エリアでの用地確保と開発を進めてきました。

年月 開発および運用の進捗
2022年7月 埼玉県北葛飾郡松伏町の「松伏田島産業団地」内に約11.6万㎡の用地を取得。
2023年4月 第1期「AZ-COM Matsubushi EAST」の開発決定と資金調達契約を発表。
2023年6月 EAST棟の本体新築工事に着工(設計・監理はフクダ・アンド・パートナーズ)。
2026年2月 EAST棟が本格稼働を開始。マツキヨココカラ向け「WEST棟」の建設を決議。
2026年3月 隣接地にて「AZ-COM Matsubushi WEST」(延床約12.1万㎡)が着工。
2026年8月 報道関係者向けに「AZ-COM Matsubushi EAST」の施設内を公開。
2028年9月 「AZ-COM Matsubushi WEST」が竣工予定(総投資額約489億円)。

EAST棟の隣接地で建設が進むWEST棟は、地上5階建て・延床面積12万1370.16㎡を誇り、株式会社マツキヨココカラ&カンパニー向けの専用基幹センターとして2028年9月の竣工を予定しています。東西2棟を合わせた総延床面積は約20.5万㎡、総投資額は約740億円規模に達し、東埼玉エリアにおける巨大な物流集積拠点が形成されつつあります。

テナント企業の運用実態とフロア構成

現在、EAST棟は全体の約8割のスペースが稼働および入居決定しており、2026年中に稼働率100%の達成を目指しています。

入居テナント各社は、施設の温度管理機能とフロア特性を以下のように活用しています。

  • マミーマートホールディングスの活用(1〜2階、4〜5階)
    • 1階冷蔵庫で牛乳やヨーグルトなどのチルド日配品を取り扱い、2階の冷凍庫・冷蔵庫で精肉・鮮魚などの生鮮食品や冷凍食品を管理。
    • 4〜5階は加工食品・菓子・飲料などの常温保管エリアとして使用。4階の一角にはカーテンで区切られた24度以下の低温室を新設し、チョコレートやグミなど熱に弱い商品の品質を保持。
  • ダスキンの活用(3階)
    • ミスタードーナツ事業の原材料や資材の供給ハブとして運用。関東および長野・新潟エリアの店舗へ向けて配送を展開。
    • 丸和運輸機関が冷凍対応車両を配備し、冷凍品・ドライ品・チルド品の3温度帯を1台に混載することで、1台あたり5〜6店舗を効率的に巡回配送する体制を確立。

マミーマートは年間10店前後のペースで出店を続けており、主力業態である「生鮮市場TOP!」の1店舗あたり年商は平均30億円超と、従来型店舗の2倍以上に伸長しています。取り扱い物量の急増に伴い、2022年7月に立ち上げた既存の三郷物流センターの荷捌き能力が限界に近づいたため、約3年半の短期間でより拡張性の高い本拠点へ中核機能を移転しました。

マミーマートホールディングスの執行役員商品管理事業部長兼商品管理部長の髙橋史生氏は、「TOPの年商は平均して30億円を大きく超える。さらにディスカウントで量販するスタイルなので物量の増え方は2倍じゃきかない」と述べており、急増する物量を滞りなく捌くキャパシティが不可欠であった背景を明かしています。また、同社執行役員商品管理事業部物流部長の藤原淳平氏も「我々の考えを伝えると、真摯に受け止め応えてくれる。丸和さんの強みは、突き詰めれば『人』だ」とパートナーシップを評価しています。

参考記事: 丸和運輸機関、松伏に8.4万㎡新拠点|マミーマートらが選ぶ「BCP×人材」戦略の全貌

参考記事: コールドチェーンとは?仕組み・メリットと現場のDX実装ポイントを徹底解説

労働環境の改善と「安全道場」「統合配車室」の実装

本施設では、作業負荷の軽減と安全性の向上、運行DXを推進するための先進的な設備が導入されています。

極低温作業を局所化する温度設計

冷凍食品の仕分け作業において、作業員が氷点下の冷凍庫内に長時間滞在することは大きな身体的負担となっていました。本拠点では、マイナス25度の冷凍保管室の手前にプラス5度の前室仕分けエリアを設置。店舗別の仕分け作業を5度の環境下で行った後、仕分け済みパレットを冷凍室へ速やかに格納するオペレーションを採用し、氷点下環境での滞在時間を最小限に抑制しています。

実機を用いた体験型研修施設「安全道場」

5階フロアには、グループ全体の労働災害防止と安全水準向上を目的に「安全道場」を開設しました。実物のかご台車やマテハン機器を配置し、運搬時の死角確認や挟まれ事故防止のポイントなどを、グループ内で実務を担当する約1000名のオペレーターに対して実地指導しています。

リアルタイム運行を一元監視する「統合配車室」

同じく5階に配置された「統合配車室」には大型モニター群が設置され、グループ各社のトラックに搭載されたデジタルタコグラフの運行ログ、気象データ、高速道路のリアルタイム渋滞情報が一元的に可視化されています。センター業務を統括する専用管理システムとの連動を進めており、将来的には荷主企業のサプライチェーン管理システムとのAPI連携を見据えています。

丸和運輸機関アズコム松伏事業部副課長の飯野裕二氏は、輸配送管理システム(TMS)の導入効果について「従来電話で行っていた状況確認や運行調整の手間がなくなり、効率化につながっている」と現場の実感を語っています。

23日間の連続稼働を担保するBCP設備

「AZ-COM Matsubushi EAST」は、自然災害時にもサプライチェーンを寸断させない「止まらない物流」を体現するため、高度なBCPスペックを備えています。

  • 免震構造の採用: 建物基礎に免震装置を組み込み、大地震発生時の揺れを大幅に低減。保管商品の落下・破損やラック倒壊を防ぎ、被災直後からの荷役再開を可能にしています。
  • 30万リットルの自家用燃料インタンク: 敷地内に大型トラック約2000台分の軽油を貯蔵できるインタンクを設置。災害時に外部のガソリンスタンドが機能停止した場合でも、自社配送便への安定給油を維持します。
  • 非常用発電機2基による長期自立稼働: インタンクの燃料を直接供給できる非常用発電機を2基配備。停電時でも冷蔵・冷凍設備の冷却機能を維持し、約23日間にわたる連続稼働を可能にしています。
  • リサイクルを推進する端材室: 1階に専用の「端材室」を設け、大量に発生する使用済み段ボールやプラスチック資材の分別・再資源化を徹底しています。

参考記事: AZ-COM丸和ホールディングスの850億円低温倉庫投資で食品供給網強化が加速

物流サプライチェーンの主要プレイヤーに及ぶ影響

自社開発の大型低温拠点の稼働と、DX・BCP機能の高度な統合は、食品サプライチェーンに関わる多様なステークホルダーに実質的な変革をもたらします。

小売業者・外食チェーン:欠品防止と出店拡大を支える供給基盤の獲得

スーパーマーケットや外食チェーンにとって、店舗の売上拡大とブランド価値の維持には、精度の高い定時配送と鮮度管理が直結します。

特に多店舗展開を進める企業では、既存デポの処理能力不足が店舗拡大のボトルネックになるケースが少なくありません。「AZ-COM Matsubushi EAST」のように、3温度帯の保管・仕分け能力と3温度帯混載配送を同一拠点でワンストップ運用できるインフラを活用することで、荷主企業は拠点分散による管理コストを抑制しつつ、配送リードタイムの短縮と積載効率の向上を同時に実現できます。

さらに、23日間稼働可能な自家発電機とインタンクの存在は、台風や地震などの有事においても店頭への商品供給を継続できる強力な事業継続基盤となります。

倉庫内作業員・現場スタッフ:作業環境の改善による定着率の向上

低温倉庫の現場は、氷点下環境での身体的負荷やマテハン事故のリスクから、人手不足が最も深刻化しやすい領域の一つです。

本施設が導入した「5度エリアでの仕分けによる氷点下滞在時間の削減」は、現場スタッフの肉体的ストレスを大幅に軽減する実効性の高いオペレーション設計です。また、「安全道場」を通じた体系的な研修制度により、経験の浅い作業員でも安全手順を身体で理解できるため、業務不安の解消と事故発生率の低減に寄与します。

就労環境の整備と教育インフラの充実は、従業員のエンゲージメントと定着率を高め、安定した庫内オペレーションを長期的に維持するための重要な要素となります。

3PL・物流事業者:施設開発の内製化とデータ統合による高付加価値化

物流不動産市場において、外部デベロッパーが開発した汎用マルチテナント倉庫を賃借する「アセットライト」モデルから、自社のオペレーションに最適化した拠点を直接開発する動きへのシフトが注目されています。

冷凍冷蔵倉庫は特殊な断熱工事や冷媒設備が必要であり、汎用施設では入居企業の運用に合わせた柔軟なレイアウト変更が難しい側面がありました。自社開発によってバース設計、温度帯区画、BCP設備を初期段階から最適化し、さらに「統合配車室」による運行データを自社管理することで、単なる保管スペースの提供を超えた「輸配送一体型3PL」としての差別化が図られます。

荷主の配送データとセンター内の在庫状況をリアルタイムに連動させる仕組みは、配送便の運行効率化や積載率向上に直結し、受託単価の適正化と利益率の改善を可能にします。

参考記事: AZ-COM丸和・セイノー・福山通運が物流BCP共同協議を開始!丸和社長の西濃会長就任と平時共配の狙い

LogiShiftの視点:不動産から「LaaS型プラットフォーム」への進化

AZ-COM丸和ホールディングスによる松伏拠点の展開は、物流企業が目指すべき事業モデルの構造的転換を如実に示しています。

従来の3PL事業は、荷主から委託された貨物を「預かり、運ぶ」という受託作業が中心であり、拠点は単なる作業場としての不動産アセットに過ぎませんでした。しかし、「AZ-COM Matsubushi EAST」の実装内容は、物流拠点が「Logistics as a Service(LaaS)」としての統合プラットフォームへと進化していることを裏付けています。

同社は、施設という物理ハードウェアの中に、以下の3つの機能を垂直統合しています。

  1. インフラの自律性(BCP機能): 30万Lの燃料インタンクと23日間自立稼働する電源により、外部インフラが寸断されてもサービス提供を継続する能力。
  2. データの結合(運行DX): 統合配車室を通じて、デジタコ、気象、渋滞情報、庫内進捗をリアルタイムに集約し、配車計画を動的に最適化する仕組み。
  3. 技能の標準化(人材育成): 安全道場により、1000名規模のオペレーターに対して事故リスクを低減する標準作業を直接インストールする教育基盤。

同社事業戦略部長の谷津恭輔氏が「単にスペースを埋めるための営業はしていない。どの市場や顧客が伸びていくかを選定し、経営資源を集中投下している」と語る通り、高成長を見込める荷主に対して、センター運営から輸配送、ラストワンマイルまでを一括して提供するモデルは極めて合理的です。

2028年竣工予定の「WEST棟」を含め、東埼玉道路の延伸に伴う交通利便性の向上を取り込むことで、同社が掲げる売上高1兆円規模への成長基盤が松伏の地に確立されつつあります。拠点の価値は「広さや立地」から、「データと人材とBCPをどれだけ高密度に組み込めるか」へと明確に移行しています。

まとめ:明日から意識すべき経営・現場アクション

「AZ-COM Matsubushi EAST」が提示した高度な低温物流モデルを参考に、物流部門の責任者や経営層が明日から自社のサプライチェーンで見直すべき実践的なアクションは以下の通りです。

  1. 自社サプライチェーンのBCP耐用日数を再算定する
    自社が利用・委託している主要物流拠点において、大規模停電時に非常用発電機が何日間稼働できるか、燃料の備蓄体制が整っているかを再確認し、有事の供給停止リスクを定量的に洗い出す。

  2. 冷凍・冷蔵現場における作業員の身体的負荷を低減する動線へ見直す
    極低温下での作業時間を局所化するため、前室(チルド帯)での事前仕分けやマテハンの適切な配置など、オペレーション工程とレイアウトの改善を検討する。

  3. 運行管理データと拠点オペレーションの連携度を点検する
    デジタコデータやバース予約システム、動態管理ツールが個別に運用されていないかを棚卸しし、配車室と倉庫現場がリアルタイムで車両到着状況を共有できる体制づくりに着手する。

  4. 中長期的な道路インフラ整備を見据えた拠点配置を計画する
    東埼玉道路のように、今後数年で開通・延伸が予定されている主要幹線道路の計画を把握し、将来的な配送効率向上と用地確保を見据えたネットワーク再編を前倒しで検討する。


出典: LOGI-BIZ online
出典: LNEWS
出典: LNEWS
出典: 激流オンライン

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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