物流DXソリューションを展開する株式会社ナブアシストは、2026年9月17日に運送事業者を対象とした無料オンラインセミナー「適正原価に備える。自社の見える化と効率的なシステム運用構築」を開催します。2028年6月までに全面施行が予定される適正原価制度と5年ごとの事業許可更新制を控え、運行実績に基づく厳密な原価管理体制の構築が事業継続の必須要件となっています。
適正原価制度の法制化とセミナー開催の背景
トラック運送業界では、2024年4月の改善基準告示改正および時間外労働上限規制(年960時間)の適用以降、取引環境の健全化に向けた法改正が連続して進められています。
2025年6月11日に公布された「トラック適正化二法」(改正貨物自動車運送事業法等)により、2026年4月には実運送体制管理簿の作成義務や書面交付義務が施行されました。そして公布から3年以内となる2028年6月までに、事実上の最低運賃ラインとして機能する「適正原価制度」および「5年ごとの事業許可更新制」の全面施行が予定されています。
こうした制度環境の転換を見据え、ナブアシストは運送事業者が直面する一連の法改正を「拘束時間管理」「取引適正化」「適正原価」の3段階で捉え、システム運用による全体最適を提唱するWebセミナーシリーズを企画しました。
法改正ロードマップとセミナーシリーズの時系列
2024年の労働規制から2028年の適正原価制度本格施行に至る経緯と、ナブアシストのセミナー実施ロードマップは以下の通りです。
| 時期・期日 | 制度動向および発表事項 | 業界への具体的なインパクト |
|---|---|---|
| 2024年4月 | 改正改善基準告示・時間外労働上限規制(年960時間)施行 | ドライバーの労働時間短縮と労務管理の厳格化が義務化 |
| 2025年6月11日 | トラック適正化二法(改正貨物自動車運送事業法等)公布 | 許可更新制と適正原価制度の新設が法的に確定 |
| 2026年4月1日 | 実運送体制管理簿・書面交付の義務化施行 | 利用運送を含む多重下請け構造の可視化が必須に |
| 2026年7月9日・22日 | ナブアシスト第1回セミナー「配車段階での拘束時間違反防止」開催 | デジタコ連携による労務コンプライアンス管理を提示 |
| 2026年7月17日 | 国土交通省が第1回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」を開催 | 算定式アプローチと利潤を含まない原価定義の提示 |
| 2026年8月10日・20日 | ナブアシスト第2回セミナー「実運送体制管理簿の正しい作り方」開催 | 運送依頼書や体制管理簿のデジタル化手順を解説 |
| 2026年8月26日 | 国土交通省が第2回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」を開催 | 全ト協や日商など6団体へのヒアリング実施 |
| 2026年9月3日 | ナブアシストが第3回セミナー開催を発表(PR TIMES配信) | 適正原価制度の最新動向とクラウド収支管理をテーマに設定 |
| 2026年9月17日 | ナブアシスト第3回セミナー「適正原価に備える経営見える化」開催予定 | 100社限定で自社原価可視化とシステム運用を解説 |
| 2026年12月(予定) | 国交省有識者検討会による提言取りまとめ公表予定 | 適正原価の骨子および基本算定式の公表 |
| 2027年中(予定) | 国土交通省による「適正原価」の正式告示 | 約1年間の周知期間と移行準備期間の確保 |
| 2028年6月まで(予定) | 適正原価制度および事業許可更新制の全面施行 | 適正原価を下回る取引継続に対し許可更新拒否が適用 |
参考記事: 国土交通省が2028年6月適正原価を全面施行、取引見直しが必須に
「標準的な運賃」と「適正原価」の構造的相違
実務担当者が最も正確に理解すべき点は、従来の「標準的な運賃」と、新設される「適正原価」の法的性格の違いです。
従来の標準的な運賃は、能率的な経営原価に適正な利潤(事業報酬)を加えた「推奨運賃」であり、法的拘束力を持たない目安として提示されていました。しかし適正原価制度の導入に伴い、標準的な運賃は順次廃止される見通しです。
新設される適正原価は、「適正な利潤を一切含まない、事業継続に最低限必要なコストライン」として法的に義務化されます。この基準を継続して下回る運賃で運行を受託・委託することは、安全対策費用の削減やドライバーへの不当な買いたたきとみなされ、5年ごとの事業許可更新時に不許可処分が下される法的ペナルティへと直結します。
また、提示形式においても、固定的なタリフ(運賃表)から、各事業者の運行実績(走行距離、稼働時間、実車率など)を代入して自社固有の数値を導き出す「算定式」へと根本的にシフトします。
| 比較項目 | 標準的な運賃(現行・順次廃止予定) | 適正原価(2028年6月までに全面施行) |
|---|---|---|
| 制度上の位置づけ | 能率的な経営原価+適正利潤を含む推奨指標 | 安全運行と事業継続に最低限必要な床(利潤なし) |
| 法的拘束力 | なし(努力目標・運賃交渉の参考) | あり(継続して下回る取引を法令で禁止) |
| 不遵守時の処分 | 直接的な罰則なし | 事業許可の更新不許可(運送業免許の失効) |
| 提示形式 | 車種・距離・時間別の一覧タリフ表 | 実績データを代入する「算定式」 |
| 適用範囲 | 自社受託時の目安 | 自ら運送する場合および下請委託(再委託)の双方 |
参考記事: 2028年6月全面施行!国土交通省の適正原価制度で運送事業者の淘汰が加速
参考記事: 標準的な運賃の2024年改定ポイント|実務での計算・届出と荷主交渉術
中小事業者が直面する交渉力と原価把握の課題
2026年8月26日に開催された国土交通省の第2回有識者検討会において、全日本トラック協会は会員事業者の95%以上が中小零細事業者であり、荷主に対する価格交渉力が極めて弱い実態を報告しました。また、全国商工会連合会の調査では運輸業の97%で価格転嫁ができていないという極めて厳しい現状が公表されています。
国土交通省の大臣官房総括審議官である原田修吾氏は同検討会において、「荷主と物流事業者が運賃料金を見える化した形でお互い納得いく交渉基準とすること」の重要性を強調するとともに、「適正原価を継続して下回るような事業者に国から警告を出し、最終的には市場から退出していただく厳しい側面もある」と言及しました。
ナブアシストが開催するセミナーでは、こうした政策方針を踏まえ、自社のクラウド販売管理システム「Navisia運送販売クラウド」を活用して、受注・配車データとデジタコ実績を連動させ、運行ごとの正確な原価と収支を可視化する手法が提示されます。
【法改正3部作とナブアシストのシステム対応領域】
第1回:拘束時間管理(デジタコデータ連携・労務アラート)
↓
第2回:取引適正化(実運送体制管理簿の自動作成・書面交付)
↓
第3回:適正原価制度(運行実績を代入した収支分析・経営見える化)
参考記事: 国交省、8月26日に適正原価検討会を開催!6団体聴取で取引見直しへ
参考記事: 貨物自動車運送事業法第24条と2026年7月9日の原単価方式転換への必須対応
主要ステークホルダーに迫る影響
適正原価の法制化と運行データのデジタル管理は、運送事業者だけでなく荷主や行政、ITベンダーを取り巻く環境を大きく変容させています。
1. 運送事業者:「どんぶり勘定」の全廃と事業許可更新への直結
運送事業者にとって、自社の運行原価を正確に把握・証明することは、単なる利益管理を超えて「運送業の事業許可(ライセンス)を維持するための絶対条件」となります。
これまでの業界慣行で見られた「他社並みのタリフだから」「長年の付き合いだから」といった曖昧な価格設定は通用しません。国が示す算定式に対し、自社のデジタルタコグラフや配車データから「車両1台・1時間・1キロ走らせるためにいくらの固定費・変動費・労務費が発生しているか」を1円単位で立証できなければ、更新審査を通過できなくなるリスクがあります。
さらに、自社で車両を持たない元請事業者や利用運送事業者に対しても、下請(実運送事業者)への支払額が適正原価を下回らないようにする法的義務が課されます。中間マージンの過度な中抜きによるダンピング発注は、発注元自身の行政処分や許可更新拒否につながるため、下請取引における適正な手数料設計が不可欠です。
参考記事: Hacobuが解説する2026年4月改正トラック法と実運送体制管理簿の必須対応
2. SaaS・テクノロジーベンダー:業務省力化から「コンプライアンス基盤」への昇華
IT・SaaSベンダーに対する市場の要求は、単なる帳票作成や運行日報の電子化といった業務効率化ツールの提供から、複雑化する法制度を意識せずに遵守できる「コンプライアンス自動化プラットフォーム」の提供へと進化しています。
ナブアシストの「Navisia運送販売クラウド」のように、配車計画からデジタコ実績のワンタッチ取り込み、実運送体制管理簿の作成、さらには適正原価の算定に必要な収支分析までを一気通貫でカバーするソリューションが、事業者の生き残りを支える中核インフラとして位置づけられています。
データが分断された個別システムを運用していては、法改正ごとの二重入力や集計ミスが発生し、現場の管理負担が増大します。労務・配車・請求・原価がシームレスに連動する全体最適の仕組みをいかに低コストで導入できるかが、ベンダー選定の基準となっています。
3. 製造業・小売業(荷主企業):買いたたきによる「物流停止」の自爆リスク
製造業や流通業などの荷主企業にとって、物流費を「安く叩くべき外部コスト」と捉える姿勢は、自社のサプライチェーンを直接破壊する重大な経営リスクとなります。
荷主が優越的な地位を利用して運送事業者に適正原価未満の取引を強要した場合、トラック・物流Gメンによる是正指導や企業名公表の対象となるだけでなく、取引先の運送事業者が事業許可を失って廃業に追い込まれます。その結果、自社製品を輸送するトラックが手配できなくなる「物流難民化」が現実のものとなります。
2026年4月から年間9万トン以上の特定荷主に選任が義務付けられた物流統括管理者(CLO)は、国が示す算定式に基づき、荷待ち時間の削減や付帯作業料(手荷役、検品等)の別建て有償化を早期に受け入れ、持続可能な運賃契約への改定を主導しなければなりません。
参考記事: 改正物流効率化法、年間9万トン以上の特定荷主にCLO選任を義務化の必須対応
4. 構造的変化:自由競争の終焉と「経営品質競争」への完全移行
日本のトラック運送業界は、1990年の物流二法による規制緩和以降、30年以上にわたり激しい低価格競争にさらされてきました。しかし、国が安全確保費用や将来の事業継続投資(人財育成、DX、BCP対策)をあらかじめ「原価」として法的に担保し、これを下回る取引を禁止したことで、安さだけを武器にした過当競争の時代は完全に終焉を迎えました。
物流業界は、国が設定する適正原価を強固な「床(フロア)」とし、その上で「運行データを活用していかに積載効率を高められるか」「法令遵守と安全環境を整えてドライバーを確保できるか」を競い合う「準公的な社会インフラ産業」へと構造転換を遂げています。
参考記事: 国土交通省の適正原価策定で実車率50%見直しへ!運賃半減を防ぐ経営管理
LogiShiftの視点(独自考察)
ナブアシストが提起する「適正原価制度への備え」と国土交通省の有識者検討会の議論から、物流実務において留意すべき2つの論点が浮き彫りになります。
「適正原価=契約運賃」と誤認する経営リスク
実務現場において最も警戒すべきは、運送事業者や荷主企業が、国が示す「適正原価」をそのまま「契約運賃の着地点」と誤認してしまうことです。
制度上の適正原価は、法令を遵守してトラックを最低限走らせるための原価であり、企業の将来投資や株主還元、内部留保に充てるべき「適正な利潤(利益)」は一切含まれていません。
運送事業者が適正原価そのものの水準で荷主と妥結し続けた場合、行政処分や事業許可取消は免れたとしても、企業の営業利益は恒常的にゼロのままとなります。その結果、車両の更新や賃上げ原資が枯渇し、最終的には資金繰り悪化による事業停止へと追い込まれます。
事業者は、デジタコやクラウド販売管理システムを用いて自社の適正原価を精緻に導き出した上で、自社が存続するために必要な「適正利益」を堂々と上乗せした見積書を荷主に提示し、論理的に価格交渉を行う体制を整えなければなりません。
実車率の個別実態を織り込んだデータ武装の必要性
国土交通省の検討会でも最大の論点となっているのが、算定式における「実車率」の扱いです。従来の標準的運賃では往復運行を前提とした「実車率50%」が標準値として仮定されていましたが、原単価方式への移行に伴い、片道輸送や帰り荷の確保が難しい特定品目(農産品、出版物、建設資材等)において、復路コストが切り捨てられる懸念が生じています。
国が一律の標準算定式を示したとしても、自社の運行ルートにおける実際の積載率や実車率、荷待ち時間が反映されていなければ、実質的な赤字輸送を強いられることになります。
運送事業者が自社を守るためには、公的な算定式を待つだけでなく、自社の「Navisia運送販売クラウド」等の運行・動態データを基に、「自社の特定運行における実際の実車率と時間当たり原価」を客観的に証明できるデータ武装を進めておくことが不可欠です。
まとめ
2028年6月までの適正原価制度および5年ごとの事業許可更新制の全面施行に向け、運送事業者および荷主企業の経営層が明日から直ちに取り組むべき実務アクションを提示します。
1. 運行実績と原単価のデジタル集計体制を確立する
デジタコデータと販売管理システムを連動させ、自社トラックを1時間・1キロ走らせるために発生している固定費、変動費、人件費を正確に算出できる体制を早期に構築してください。客観的なデータを持つことが、事業許可の維持と荷主交渉の最大の武器となります。
2. 基本運賃と付帯作業料・待機時間料を契約上で完全分離する
手荷役や検品、長時間の荷待ちを無償のサービスとして運賃に内包させる商習慣を全廃してください。国交省の適正原価算定式に対応できるよう、運賃と各種作業料金を明確に別建て記載した契約書面へと改定を進めましょう。
3. 適正原価に「適正利益」を上乗せした価格交渉を荷主と開始する
適正原価はあくまで法令遵守のための最低ライン(床)にすぎないことを社内および荷主企業と共有してください。自社の持続的な経営基盤を維持するために必要な利益を明確に上乗せし、エビデンスに基づいた対等な価格対話を今すぐスタートさせましょう。
出典: プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
出典: 株式会社ナブアシスト セミナー情報
出典: 国土交通省(自動車局関係)
出典: LOGISTICS TODAY



