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Home > サプライチェーン> 国土交通省など3省が特定荷主の中長期計画作成要点を公開|10月末提出に対応
サプライチェーン 2026年10月14日

国土交通省など3省が特定荷主の中長期計画作成要点を公開|10月末提出に対応

国土交通省など3省が特定荷主の中長期計画作成要点を公開|10月末提出に対応

国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省は2026年10月5日、物流効率化法に基づき特定荷主事業者が策定する中長期計画の作成ポイントを公開した。2026年10月末に初回の提出期限を控える中、現場から寄せられた具体的な記載方法に関する問い合わせに対応し、定量的かつ追跡可能な計画策定を促す狙いがある。

物流効率化法における中長期計画義務化と3省による指針公開の経緯

2026年4月に全面施行された「物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)」に基づき、一定規模以上の貨物を取り扱う特定荷主事業者には、物流統括管理者(CLO)の選任届出とともに中長期計画の策定・提出が義務付けられている。

中長期計画の提出期限は法令上、原則として「毎年度7月末日」と定められているが、施行初年度である2026年度に限り経過措置として「2026年10月末日」に設定されている。提出期限が目前に迫る中、特定荷主事業者からは「計画書へ具体的に何をどう記載すればよいのか判断できない」という相談が所管官庁へ多数寄せられていた。

これを受け、国土交通省・経済産業省・農林水産省の3省は連携し、「判断基準省令」および「判断基準の解説書」から実務上の要点を抽出し、進捗状況の追跡・検証が可能な記載水準を整理した資料を公表した。

計画書において重点的な改善施策の提示が求められている項目は以下の3点である。

  • 運転者1人当たり1回の運送ごとの貨物重量の増加(積載効率の向上等)
  • 荷待ち時間の短縮
  • 荷役等時間の短縮

中長期計画の提出に至る法制度のタイムラインは以下の通りである。

年月 制度上の主な出来事・施策
2024年5月15日 改正物流効率化法が公布。
2025年2月18日 判断基準省令(効率化に関する判断基準となるべき事項)が公布。
2025年4月1日 全荷主・物流事業者への物流効率化努力義務が施行。
2026年4月1日 特定事業者規制が全面施行(特定指定制度、役員級CLO選任義務化)。
2026年7月29日 審査完了済みの特定事業者3,826者が国のポータルサイト上で公表。
2026年10月5日 3省合同で特定荷主事業者向け「中長期計画作成に当たってのポイント」を公開。
2026年10月末日 特定事業者による初回「中長期計画」の電子申請システム提出期限。

計画に盛り込む数値目標には客観的な根拠が求められる。政府は2028年度までの目標として、全国のトラック輸送の5割で1運行当たりの荷待ち・荷役等時間を1時間短縮することや、5割の車両で積載効率50%を達成することを掲げている。特定荷主事業者は自社拠点の稼働実態を把握した上で、これらの政策水準に整合する計画を構築しなければならない。

参考記事: 物流効率化法、2026年10月期限へアナログ管理からの脱却が急務

サプライチェーン各主体の実務対応と発生する業務課題

中長期計画の策定指針が明確化されたことにより、荷主企業、運送事業者、行政機関のそれぞれにおいて実務上の要件が具体化している。

製造業者・メーカー(特定荷主)における定量的計画の策定

年間取扱貨物重量が9万トン以上の特定第一種・第二種荷主には、工場や物流センターにおけるトラックの滞在時間削減や積載率向上を盛り込んだ計画策定が求められる。公表された作成ポイントでは、単なる抽象的なスローガンではなく、年度ごとの目標数値と具体的な実施施策を対比させて記載することが明示された。

計画に基づく取り組みが著しく不十分な場合は指導・助言、是正勧告、企業名公表、さらには最大100万円の罰金を伴う改善命令へと行政処分が進む。自社拠点内の荷待ち時間や荷役時間を正確に測定できていない荷主企業では、提出期限に向けて実態データの集約と実行計画のとりまとめを急ぐ必要がある。

参考記事: 特定荷主とは?改正物効法・省エネ法の違いと2026年施行に向けた実務対応策

運送事業者に対するデータ連携と実態把握の要請

荷主企業が実効性のある中長期計画を作成するためには、実運送を担うトラック事業者が保有する運行データの提供が不可欠となる。特定荷主からは、車両ごとの待機時間、荷役作業時間、積載効率などの実績値に関する開示要請が増加している。

保有車両150台以上の特定運送事業者自身にも計画策定義務があるが、中小規模の運送事業者にとっても、客観的なデータを荷主へ提供できるか否かが取引継続の条件となりつつある。デジタルタコグラフや動態管理システム未導入の事業者ではデータ集計に伴う事務負担が生じる一方、実態数値を荷主の計画に反映させることで、待機時間の是正や附帯作業料の収受に向けた協議を進めやすくなる側面もある。

行政・規制当局による審査基準の統一と実効性担保

国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省が合同で作成ポイントを提示したことで、産業分野ごとにばらつきが生じやすかった計画の審査基準が統一された。行政側は、特定荷主が提出した計画を受理するだけでなく、翌年度以降に提出される毎年度の定期報告と突き合わせて進捗状況を追跡・検証する体制を整えている。

すでに提出を完了している事業者や提出直前の事業者に対して直ちに差し替えを求めるものではないとされているが、記載内容が抽象的で検証不可能な場合、後日のヒアリングや改善勧告の対象となる可能性がある。

参考記事: 国土交通省など3省が8月18日に物効法説明会、10月末提出へ対応急げ

LogiShiftの視点:形式的書類作成からデータ連携基盤への移行

物流効率化法の全面施行により、荷主企業の物流改善は任意の努力目標から、100万円以下の罰金や企業名公表を伴う法的義務へと構造転換を遂げた。今回公開された作成ポイントは、10月末の初年度提出を乗り切るための実務指針であるが、本質的な課題はその後の運用体制にある。

中長期計画は一度提出して完了する書類ではなく、翌年度以降、計画の達成状況を毎年度の「定期報告」として国へ報告しなければならない。守衛所の紙の受付簿や運転手の手書き日報をExcelへ手入力して実績を集計している企業では、年次報告のたびに現場管理者の業務が圧迫され、データの精度不足から行政の是正勧告を受けるリスクが残る。

年間取扱貨物重量9万トン以上の特定荷主が法的リスクを回避し続けるには、トラック予約受付システム(バース予約システム)や輸配送管理システム(TMS)を導入し、車両の入退場時刻や荷役作業時間を自動で取得・蓄積できる仕組みが不可欠である。さらに、運送事業者側の動態管理データとAPI連携し、行政報告フォーマットへ直結させるデータ基盤を構築できているかどうかが、今後のサプライチェーン維持能力を分ける要因となる。

10月末の提出期限に向けて特定事業者が講ずべき対応

初回の提出期限である2026年10月末日に向け、特定事業者の実務担当者が確認すべき事項は以下の通りである。

  1. 提出予定の計画書に定量的目標と進捗検証基準が含まれているか再点検する

作成ポイントの内容と照らし合わせ、「積載効率の向上」「荷待ち時間の短縮」「荷役等時間の短縮」の各項目において、年度ごとの数値目標や具体的な導入設備・ルール変更が明記されているか確認を行う。定性的なスローガンのみにとどまっている箇所は、検証可能な表現へ補正する。

  1. 翌年度の定期報告を見据えたデータ収集プロセスのデジタル化を設計する

今回の提出完了直後から、計画に基づく進捗実績の測定が求められる。紙伝票の転記作業に依存せず、バース予約受付システムの稼働や運送事業者との運行ログ共有など、運行・荷役データを自動集約する体制の構築に着手する。

出典: トラックニュース
出典: 国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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