- キーワードの概要:採寸・計量とは、物流センターで荷物のサイズと重量を正確に測る作業のことです。現代の物流では単に測るだけでなく、バーコードの読み取りも含めたデータ収集の仕組みとして非常に重要な役割を持っています。
- 実務への関わり:正しいデータを取ることで、運送会社への無駄な運賃支払いを防いだり、倉庫内の保管スペースを無駄なく使ったりできます。また、重さをチェックしながら作業することで、商品の入れ間違いや不足といったミスを防ぐ効果もあります。
- トレンド/将来予測:手作業から、コンベヤなどに組み込まれた自動採寸計量機へと移行が進んでいます。システムと連携することで、物流全体の効率化を支える重要なデジタル化の第一歩となっています。
物流センターの運営において、荷物の「サイズ」と「重量」を正確に把握することは、すべての業務プロセスを最適化するための起点となります。しかし、日々の出荷業務に追われる現場では、いまだにメジャーとアナログ秤による手作業が横行し、見えないコストとミスの温床となっているケースが後を絶ちません。本記事では、物流現場における「計量」の真の意味を再定義し、計測業務の自動化がなぜ企業の生き残りをかけた急務となっているのか、その背景、機器の選定基準、そして実装に向けたロードマップを網羅的に解説します。
- 物流現場における「計量」と「荷物サイズ測定」の重要性
- 基本定義:ただ重さを量るだけではない物流の「計量」
- 自動化が求められる背景と「見えないコスト」の流出
- 自動採寸計量機(DWS)の種類と仕組み・特徴
- 静止型:コンパクトで持ち運び・初期導入に最適
- インライン(コンベヤ連携)型:高速処理で止まらない物流を実現
- パレット・大型貨物用:特殊な荷姿への対応
- DWS主要3タイプの機能と実務要件比較
- 計量・採寸業務を自動化する4つの導入メリット
- 1. 配送料金の適正化と運賃支払い過ぎの防止
- 2. 倉庫内スペースの最大化と保管効率の向上
- 3. WMS連携による手入力の排除とデータの一元化
- 4. 「計量ピッキング」と重量検品による誤出荷・欠品防止
- 自社に最適な自動採寸計量機の選び方・比較ポイント
- 出荷量と荷姿に合わせた処理能力(スループット)の選定
- 既存WMS・マテハン機器との連携互換性と通信フェイルセーフ
- 設置スペースと保守・メンテナンス体制(SLA)の確認
- 計量DXの実装手順と「止まらない物流」の実現
- 導入に向けた現状の課題分析とROIシミュレーション
- DX推進時の組織的課題と現場定着へのアプローチ
- サプライチェーン全体最適化に向けた3つのステップ
物流現場における「計量」と「荷物サイズ測定」の重要性
基本定義:ただ重さを量るだけではない物流の「計量」
一般的に「計量」とは単に「重さや長さを量ること」を指しますが、プロフェッショナルな物流現場において、この言葉ははるかに高度で戦略的な意味を持ちます。現代の物流における計量は、単独の作業ではなく、DWS(Dimensioning:採寸、Weighing:計量、Scanning:バーコード読み取り)という3位一体のデータ収集プロセスとして捉えるのが実務の常識です。
物流現場における「計量」と「荷物サイズ測定」から得られたデータは、即座にWMS連携(倉庫管理システムへの反映)を果たし、以下のような多岐にわたる重要な判断基準となります。
- 入荷・マスタ登録: 計測データが商品のマスターデータとなり、倉庫内のフリーロケーションにおける保管効率(容積率)の最適化や、出荷時の最適な梱包箱の自動引き当て(カートンサイズ推奨)を実現します。精緻なマスターデータは、後工程のすべての自動化設備の稼働精度を決定づける根幹となります。
- 出荷・検品: 事前に計算された「理論重量」と「実重量」を照合する重量検品を伴う計量ピッキングにより、類似品や数量違いによる誤出荷を物理的に防ぎます。バーコードが読めない商品や、同梱物の入れ忘れをも検知する強力なゲートキーパーの役割を果たします。
- 運賃計算: 運送会社に引き渡す直前の正確なサイズ・重量データに基づき、配送料金を確定させます。これは物流センターのコストコントロールに直結する最もシビアな領域です。
以下は、一般的な計量と、物流現場で求められる計量の違いをまとめたものです。
| 比較項目 | 一般的な「計量」の認識 | 物流現場における「計量(DWS)」のリアル |
|---|---|---|
| 目的 | 単なる重さ・長さの確認 | マスターデータの構築、誤出荷防止、運賃適正化 |
| プロセス | 個別で独立した作業 | 採寸・計量・バーコードスキャンを1アクションで完了 |
| データ連携 | 紙の帳票や手入力での記録 | WMSやTMS(輸配送管理システム)へのリアルタイム自動連携 |
| 許容誤差とリスク | 数センチ・数十グラムのブレは許容 | 1cm、10gの誤差が年間数百万単位の利益流出・クレームに直結 |
自動化が求められる背景と「見えないコスト」の流出
現場実務で最も深刻なのが、手作業による配送料金の決定プロセスに潜む「見えないコスト」の流出です。作業員がメジャーで測る場合、箱の膨らみやテープの浮きによって1〜2cmの誤差が容易に発生します。作業員は運送会社からのサイズ超過ペナルティを恐れるあまり、安全策として「ワンサイズ大きめ」に申告する傾向があります。
たとえば、本来は80サイズ(運賃800円と仮定)の荷物を、余裕を持たせて100サイズ(運賃1,000円)として申告した場合、1個あたり200円の過払いが発生します。1日1,000個を出荷し、そのうち30%(300個)で過大申告が行われていた場合、1日6万円、年間稼働240日で計算すると約1,440万円もの利益が流出していることになります。精緻な計測機器による運賃適正化は、もはや防衛策ではなく必須の利益創出アクションです。
さらに、計測業務を自動化する自動採寸計量機の導入が爆発的に進んでいる背景には、物流業界を揺るがす構造的な危機があります。
第一に、EC市場の拡大に伴う「多品種小ロット化」と「荷姿の多様化」です。B2Bの定型段ボールだけでなく、形状が不定形なポリ袋(宅配ビニール袋)やメール便など、手作業での採寸が極めて困難な荷物が激増しています。これらを熟練スタッフの「勘と経験」で処理する属人的な運用は、処理スピードの限界を迎えています。
第二に、トラックドライバーの時間外労働規制が強化された「2024年問題」、およびさらなる労働条件の抜本的見直しと輸送力不足が懸念される「2026年問題」への対応です。運送会社は積載効率を極限まで高めるため、荷主企業に対して「正確な荷姿データの事前提供」を強く求めるようになりました。事前の申告データと実際のサイズ・重量に差異があった場合、ペナルティ料金の請求や、最悪の場合は集荷拒否を通告されるケースも出始めています。正確なデータ提出は、物流網を維持するための「最低限のパスポート」となっているのです。
自動採寸計量機(DWS)の種類と仕組み・特徴
物流現場における荷物サイズ測定と重量検品の要となるのが、自動採寸計量機(DWS)です。DWSは単なる電子はかりやメジャーの代替品ではなく、寸法・重量・バーコードデータを瞬時に読み取り、上位システムへデータを転送するIoTエッジデバイスとして機能します。現場の運用フローや対象物の荷姿によって求められる機能とスペックは大きく異なります。ここでは、物流 効率化の成否を分けるDWSの3つの主要な種類と、ハードウェア・システム連携上の特徴を深く掘り下げます。
静止型:コンパクトで持ち運び・初期導入に最適
静止型DWSは、作業デスクや専用台車の上に設置し、作業者が手作業で荷物を置いて計測するタイプです。最新の機器では、3Dカメラ(ToF:Time of Flightセンサーやステレオカメラ)を利用して縦・横・高さの3辺を瞬時にスキャンし、下部のロードセル(荷重センサー)で重量を測定します。
- 機能とスペック:計測時間は約1〜3秒/個。1mmおよび10g単位の高精度な静的計測が可能です。コンパクトな設計が多く、バッテリー駆動に対応したモデルも存在します。
- 現場での運用実態:主に入荷検品時のアイテムマスタ登録(商品ごとの容積・重量データの初期設定)で使用されます。また、モバイルバッテリー搭載の小型モデルをピッキングカートに組み込み、各ロケーションで商品をスキャンしながら重量を照合する計量ピッキング用デバイスとしても活用されています。
- 実務上の落とし穴:手動で荷物を置くため、作業者が荷物を斜めに置いたり、計測エリアから少しはみ出したりするとエラーとなります。作業者の「置き方」に依存するため、エルゴノミクス(人間工学)に基づいた作業台の高さ調整や、スキャン漏れを防ぐための直感的なUI(画面表示や音声アラート)の選定が重要です。
インライン(コンベヤ連携)型:高速処理で止まらない物流を実現
インライン型は、既存または新規のコンベヤラインに組み込み、荷物が流れる過程でコンベヤを停止させることなく、動的計量と3Dカメラによる立体採寸を行うハイエンドモデルです。
- 機能とスペック:ベルトスピード60m/分〜120m/分といった高速搬送に対応し、1時間あたり1,500〜3,000個以上の処理能力を誇ります。多面全方位バーコードリーダーやRFIDゲートを組み合わせることで、完全無人でのデータ収集を実現します。
- 現場での運用実態:出荷ラインにおける段ボールの最終的な重量検品(入れ間違い・欠品チェック)や、出荷エリアでの自動仕分け(ソーター連携)の中核として稼働します。出荷待機時間を極限まで削り、スループットを最大化するための必須設備です。
- 実務上の落とし穴:「止まらない物流」を実現するには、ハードウェアの処理能力以上にWMS(またはWCS:倉庫制御システム)との通信レスポンス(レイテンシ)が問われます。たとえば、120m/分で流れるコンベヤ上では、荷物は1秒間に2メートル進みます。カメラが読み取ったデータを上位システムに送り、仕分け指示(NGシュートへの排出など)が機器に返ってくるまでに50ミリ秒(ms)の遅延が発生すれば、荷物はすでに10cm先へ移動しています。この通信遅延とコンベヤの物理的な同期(ギャップ制御)の設計を誤ると、正しい荷物がエラーシュートに排出される多重トラブルを引き起こします。
パレット・大型貨物用:特殊な荷姿への対応
不定形な大型家具や、パレット積みされた状態のまま寸法と重量を計測するための大型DWSです。上空から俯瞰して計測する構造が特徴です。
- 機能とスペック:天井や専用フレームに設置された高解像度レーザープロファイラが、下部にあるフロアスケール(大型計量器)上の貨物をスキャンします。フォークリフトやハンドリフトでパレットを計量器上に置くだけで、約3〜5秒で外寸のバウンディングボックス(仮想の直方体)を算出します。
- 現場での運用実態:航空貨物、特積便、越境ECなどにおける配送料金算出の根拠データ収集として活躍します。目視やメジャーでの手作業による採寸ミスを防ぎ、運賃適正化を図るため、計測結果と同時に「荷姿のエビデンス画像」を保存・出力する機能が重宝されています。
- 実務上の落とし穴:梱包に使用される黒いストレッチフィルムは光を吸収し、透明なシュリンクラップは光を乱反射するため、正確なエッジ(境界)の認識精度が極端に落ちるという物理的な課題があります。また、パレットからはみ出した歪な荷姿(オーバーハング)の認識も困難です。最新機器ではAIを用いたノイズ除去アルゴリズムが搭載されていますが、導入前の実証実験(PoC)では、自社が扱う最もイレギュラーな荷姿を持ち込み、センサーの限界値を把握しておくことが不可欠です。
DWS主要3タイプの機能と実務要件比較
現場の要件に合わせて最適な機器を選定するための比較表は以下の通りです。
| 種類 | 処理速度の目安 | 計測精度・対象物の適正 | WMS連携・システム運用上の主な課題 | 現場での主な用途・機能 |
|---|---|---|---|---|
| 静止型 | 1〜3秒/個(作業者の熟練度に依存) | ◎ 高精度(1mm/10g単位) 小型〜中型品向け |
作業者のスキャン漏れ防止、通信切断時のローカルデータ保持(キャッシュ機能)能力 | アイテムマスタ登録、計量ピッキング、抜き取り検品 |
| インライン型 | 1,500〜3,000個以上/時(動的計測) | ○ 高速処理優先(動的誤差の許容が必要) 定型段ボール・オリコン向け |
WCS応答速度(数十msのレイテンシ対応)、通信遅延時のフェイルセーフ動作とギャップ制御 | 高速ラインでの重量検品、自動仕分けシステムへのデータ供給 |
| パレット用 | 3〜5秒/パレット(フォークリフト搬送含まず) | △ 不定形対応 反射材や黒色フィルムのノイズに注意が必要 |
高解像度なエビデンス画像の大容量データ転送と、保管ストレージ容量の確保 | 運賃適正化のための配送料金算出、大型貨物・パレット品のエビデンス取得 |
計量・採寸業務を自動化する4つの導入メリット
現在の物流現場には多様な計測機器が存在しますが、実務において真に重要なのは「どのような機器を使うか」ではなく、それを導入することで「現場の業務プロセスやKPIが根底からどう変わるか」です。ここでは、自動採寸計量機(DWS)などの導入によって得られる4つの核心的なメリットについて、現場の実情と運用ノウハウを交えながら深掘りします。
1. 配送料金の適正化と運賃支払い過ぎの防止
出荷時の荷物サイズ測定の自動化は、前述した「安全策としての過大申告」によるコスト流出を完全に断ち切ります。ミリ単位の精緻な採寸とグラム単位の計量を行うことで、完全な運賃適正化が実現します。
データに基づいた正確な運賃算出が可能になるだけでなく、蓄積された実績データと「エビデンスとしての荷姿画像」は、配送キャリアとの運賃交渉において客観的かつ強力な武器として機能します。トラックドライバーの残業規制に端を発する2024年問題により、運賃のベースアップが避けられない昨今、1箱単位の厳密なコストコントロールとデータに基づく運賃交渉は、荷主企業にとって必須の防衛策です。
2. 倉庫内スペースの最大化と保管効率の向上
入荷時の商品マスタ登録(縦・横・高さ・重量のデータ化)は、WMSが最適な保管ロケーションを割り当てるための生命線です。手測りによってサイズデータが不正確になると、システムは余裕を持たせた過大な間口を指示してしまい、結果的に「空気を保管している」ような無駄なスペースが倉庫内に大量発生します。
入荷ラインに自動採寸計量機を設置し、正確な三辺サイズをもとにWMSが容積計算を行うことで、フリーロケーション運用における保管効率(容積充填率)を限界まで高めることが可能です。ただし、不定形物(アパレルの袋物など)は搬送中に形が変わるため、機器のカメラが最大外形を過大に認識してしまうことがあります。実務においては、不定形物を計測する際、専用の透明なアクリル治具を活用して軽く押さえるなど、機器の特性に合わせた運用ルール(標準作業手順)の策定が成功の鍵を握ります。
3. WMS連携による手入力の排除とデータの一元化
どれほど高性能な計測機器を導入しても、そのデータを手書きのメモやExcelで管理し、後からシステムに手入力しているようでは、真の物流 効率化とは呼べません。手入力によるヒューマンエラーは、後工程でのロケーション溢れやトラックへの積載計算の狂いなど、致命的なトラブルを引き起こします。
計測機器とシステムとのリアルタイムなWMS連携により、計測からマスタ更新、送り状やラベルの発行までがシームレスに完結します。労働力不足がさらに深刻化する2026年問題を見据え、徹底した省人化・ペーパーレス化を図るためには、このデータ一元化が不可欠です。重要KPIとしては「マスタ登録におけるデータ入力工数削減率」や「手入力に起因するデータ不整合の発生件数(ゼロ化)」が設定されます。
4. 「計量ピッキング」と重量検品による誤出荷・欠品防止
近年、品質向上と省人化を両立するソリューションとして注目を集めているのが、単なる荷姿の計測にとどまらない計量ピッキングおよび重量検品の概念です。これは、商品の「重量」を精緻な識別IDとして活用する画期的な手法です。
- 計量ピッキング:ピッキングカートや保管棚に高精度の計量器を組み込み、商品を取り出した(または入れた)際の重量変化で「正しい商品が、正しい数量ピックされたか」をシステムが即座に判定します。バーコードスキャンの手間を完全に排除しながら、欠品や過剰ピッキングをその場で防ぎます。これは、作業者が「間違えていないか」と不安になる精神的負荷(プレッシャー)を劇的に軽減し、作業の心理的安定性をもたらします。
- 出荷時の重量検品:梱包完了後、出荷ラインを流れる段ボールの「実測重量」と、WMS上の商品マスタから算出された「理論重量」を突き合わせ、誤差がある荷物のみを自動的にリジェクトします。
実務上の注意点として、梱包資材(段ボールや緩衝材)は、季節ごとの湿度の変化によって重量が数グラムから十数グラム変動します(風袋のばらつき)。また、アパレルや紙製品などの商材も湿気を吸って重量が変わります。そのため、重量検品を導入する際は、これらの自然変動を加味した「適切な許容誤差(閾値)」の設定と、定期的なチューニングの仕組みが必須となります。
自社に最適な自動採寸計量機の選び方・比較ポイント
設備導入の稟議を上げる現場責任者やSCM推進担当者が、運賃適正化と生産性向上を確実に実現するために押さえるべき、超実務的な3つの比較ポイントを解説します。「カタログスペックだけで選定した結果、現場の運用に合わず埃をかぶっている」という失敗を回避するための重要な観点です。
出荷量と荷姿に合わせた処理能力(スループット)の選定
まず決定すべきは、1時間あたりの処理目標(スループット)と、対象となる荷姿のバリエーションです。自社の出荷波動(ピーク時の物量)と荷物サイズ測定の対象物を見極め、オーバースペックによる無駄な投資や、処理能力不足によるボトルネックの発生を防ぐ必要があります。
ここで現場担当者が最も苦労するのが「荷姿のブレ」です。カタログ上は「最小10mmから計測可能」とあっても、黒いビニール梱包や光沢のある化粧箱、凹みのある段ボールなどでは赤外線や3Dカメラが乱反射を起こし、エラーとなるケースが多発します。事前に自社の「最も計測が難しい荷姿」のサンプルをメーカーに持ち込み、実機テスト(PoC)を行うことが失敗しない選定の絶対条件です。
既存WMS・マテハン機器との連携互換性と通信フェイルセーフ
データ通信のインターフェースには、シリアル通信から、LAN経由のTCP/IP、近年ではWeb APIによる連携まで幅広く存在します。ここで絶対に確認すべきは、「システムエラーやネットワーク障害が発生した際のバックアップ体制(フェイルセーフ)」です。
WMS連携が途絶えた瞬間に計測作業が完全にストップしてしまえば、当日の出荷遅延に直結します。通信切断時でも、計量機本体(エッジ端末側)で一時的に計測データをローカル保存し、ネットワーク復旧後にバッチ処理でWMSへデータを流し込める「オフライン運用(キャッシュ機能)」が実装されているか、必ず確認してください。現場は「いかなる時も止められない」という大前提をシステム要件に組み込む必要があります。
設置スペースと保守・メンテナンス体制(SLA)の確認
限られた倉庫レイアウトの中で、作業員の動線やフォークリフトの通路を確保しつつ設置できるか、入念な図面確認と現場の採寸が求められます。さらに、運用開始後に現場が最も泣かされるのが「精度低下によるトラブル」です。精密機器であるDWSは、コンベヤの微細な振動や、荷物から落ちる紙粉、倉庫内の埃がセンサーやカメラに付着することで、採寸や計量に狂いが生じます。
- 日常清掃の容易さとマニュアル化:現場のパートスタッフでも、工具なしで簡単にセンサーレンズや計量台の清掃ができる構造か。また、それを日常業務としてルーチン化できるか。
- キャリブレーション(校正):定期的な重量や寸法のズレを補正する機能が使いやすいか。運賃請求などの取引証明に使用する場合は、計量法に基づく「特定計量器」としての検定に合格している機材を選ぶ必要があります。
- メーカーの保守体制(SLAの締結):万が一機器が故障した際、リモート保守で原因切り分けが可能か。代替機の発送やフィールドエンジニアの駆けつけ時間(MTTR:平均修復時間)は「24時間以内」など、自社の出荷止めが許容できるタイムリミットに収まるよう、厳密なSLA(Service Level Agreement)を結ぶことが重要です。
計量DXの実装手順と「止まらない物流」の実現
最新のDWSをただ導入するだけでは、「止まらない物流」は実現しません。重要なのは、現場の泥臭い運用を理解し、トラブル発生時のバックアップまで想定したうえで、物流全体の最適化を描くことです。ここでは、失敗しない計量DXの実装手順と将来を見据えたロードマップを提示します。
導入に向けた現状の課題分析とROIシミュレーション
機器の選定前に絶対に行うべきなのが、現場の「見えないロス」の可視化です。手作業でのメジャーによる荷物サイズ測定や台はかりでの計量作業は、1件あたり数秒の遅れであっても、塵も積もれば月間数百時間の工数ロスを生みます。
ROI(投資利益率)のシミュレーションにおいては、単なる「採寸・入力作業の人件費削減」だけでなく、「サイズ過大申告の是正による運賃差額の削減(年間数百万円規模)」、「誤出荷発生に伴う再送・クレーム対応コストの削減」、「省スペース化による賃料換算の削減」など、複合的な指標を定量化することが、経営層の決裁を通す最大のポイントとなります。初期投資額に対し、静止型であれば0.5年〜1.5年、インライン型であれば2年〜3.5年程度での投資回収を一つの目安とします。
DX推進時の組織的課題と現場定着へのアプローチ
新しいシステムを導入した直後、現場から「前の手作業のほうが早かった」「機器の操作が面倒だ」という反発が必ずと言っていいほど起きます。これは、一時的に生産性が低下する「生産性の谷(Jカーブ効果)」と呼ばれる現象です。
この組織的課題を乗り越えるためには、強力なチェンジマネジメントが必要です。導入前から現場のキーマンをプロジェクトに巻き込み、「なぜこの自動化が必要なのか(2024年問題への対応、会社の利益確保、結果的な作業負担の軽減)」という目的を徹底的に共有します。また、イレギュラー発生時の例外処理ルールを事前にマニュアル化し、現場が迷わず対処できる環境を整えることが、早期定着への最短ルートとなります。
サプライチェーン全体最適化に向けた3つのステップ
労働力人口の急減と環境規制・配送網の維持難が交差する2026年問題のフェーズでは、もはや「人がマンパワーでエラーをカバーする」という前提は通用しません。自動採寸計量機を起点とした正確なデータ群を、いかにサプライチェーン全体に還元するかが勝負となります。全体最適化は、以下の3ステップで進めます。
- ステップ1:計量データの取得と「運賃適正化」の即時実現
まずはDWSを導入し、全出荷物の正確なサイズ・重量データを取得します。これにより、運送会社への正確な運賃申告が可能となり、同時にトラックの積載率(トラックヤードでの配車計画)を極限まで高めるための基礎データが完成します。 - ステップ2:「計量ピッキング」と「重量検品」の融合による作業レス化
ピッキングカートに計量器を搭載し、商品を取った瞬間に重量差分で検品を完了させる計量ピッキングを導入します。最終工程のインライン型DWSでの重量検品と二重チェックを行うことで、誤出荷率を限りなくゼロに近づけ、検品スタッフを他の付加価値業務(例外処理や品質管理)へシフトさせます。 - ステップ3:WMS・TMSとの完全同期による「止まらない物流」
取得した高精度なマスターデータをWMSだけでなく、TMS(輸配送管理システム)へリアルタイム連携させます。WMSが推奨する最適サイズの梱包箱を自動製函機が組み上げ、DWSで最終チェックを行い、TMSが最適なトラックを自動手配する。ここまで到達して初めて、次世代の物流クライシスに耐えうる強靭な自動化センターが完成します。
採寸・計量業務のDXは、単なる「作業の機械化」ではありません。物流センターが自らの血流である「荷姿データ」を正確に把握し、利益を生み出す体質へと生まれ変わるための「心臓部」の構築です。自社の取扱物量と荷姿特性に最適なソリューションを見極め、確実なシステム運用体制を構築することが、次世代のサプライチェーンを牽引する不可欠な要素となります。
よくある質問(FAQ)
Q. 物流における「採寸・計量」とは何ですか?
A. 物流の「採寸・計量」とは、荷物のサイズ(寸法)と重量を正確に測定・把握する業務のことです。ただ重さを量るだけでなく、保管スペースの最適化や配送料金の算出など、すべての物流プロセスの起点となります。近年では、手作業によるミスや見えないコストの発生を防ぐため、専用機器を用いた自動化が急務となっています。
Q. 採寸・計量業務を自動化するメリットは何ですか?
A. 主なメリットは、正確な計測に基づく配送料金の適正化と運賃の過払い防止です。また、倉庫内の保管スペースを最大化できるほか、WMS(倉庫管理システム)とのデータ連携により手入力の手間やミスを排除できます。さらに、重量データを活用した検品プロセスを組み込むことで、誤出荷や欠品を未然に防ぐことが可能です。
Q. 自動採寸計量機(DWS)にはどんな種類がありますか?
A. 主に3つのタイプが存在します。コンパクトで初期導入や持ち運びに適した「静止型」、コンベヤと連携して荷物を止めずに高速処理する「インライン型」、特殊な荷姿に対応する「パレット・大型貨物用」です。導入の際は、自社の出荷量や荷姿に合わせた処理能力(スループット)を基準に最適な機種を選定することが重要です。