- キーワードの概要:LED照明(倉庫)とは、物流倉庫の高天井や作業エリア、冷蔵・冷凍スペースなどに導入される、発光ダイオードを採用した照明器具のことです。従来の主流であった水銀灯や蛍光灯と比較して、消費電力が極めて低く、寿命も約4倍から10倍と非常に長いのが特徴です。水俣条約の合意に基づき、2026年末をもってすべての一般照明用高圧水銀灯の製造・輸出入が禁止されるため、現代の倉庫運営における標準設備となっています。
- 実務への関わり:倉庫のLED化は、電気代を60〜70%削減できるため、施設運営の営業利益率改善に直結します。JIS規格に適合した適切な照度(明るさ)を確保することで、ピッキングや検品時の視認性が向上し、誤出荷や作業時の事故を未然に防ぐことができます。また、LEDは虫が好む紫外線をほとんど放出しないため、製品への虫混入や汚れを防ぎ、品質管理の向上にも寄与します。
- トレンド/将来予測:現在は、ただLEDに交換するだけでなく、フォークリフトや作業員の動きを検知して必要なエリアだけを点灯・減光する人感センサーや、配線工事不要で調光グループを切り替えられる無線制御システムを活用した「調光DX」が主流となっています。また、初期投資を抑えるために、国や自治体が提供する省エネ補助金や税制優遇制度を申請・活用してリプレイスを進める企業が増加しています。
水俣条約の合意に基づき、2026年12月31日をもってすべての一般照明用高圧水銀灯の製造および輸出入が全面的に禁止されます。これは、国内の多くの物流倉庫で高天井用光源として使われてきた水銀灯が、将来的に故障・寿命を迎えた際に交換バルブすら入手不可能になることを意味します。この規制対応と電気料金高騰への対策として、消費電力を約60〜70%削減できるLEDへの移行は、施設運営における営業利益率の改善に直結する喫緊の実務課題です。
- 2026年水銀灯の製造・輸出入禁止への実務対応とLED移行のコスト削減効果
- 水俣条約に伴う「水銀灯の代替・全廃」へ向けた猶予期限と実務スケジュール
- 電気代削減率60%超を達成する「倉庫 照明 節電」シミュレーションの計算手法
- 設備投資としてのLED移行における「イニシャルコストと投資回収期間」の算定基準
- JIS規格「倉庫 LED 照度基準」を満たす適切な明るさと安全性確保のポイント
- JIS Z 9110に基づく倉庫内エリア別の推奨照度と安全基準の適合性
- 「手元が暗い・棚間が見えない」を防ぐ鉛直面照度と適切な配光角の設計方法
- 作業効率を高めて事故事例を未然に防ぐ「グレア対策」と「演色性(Ra)」の最適値
- 「高天井 LED 水銀灯代替」製品の選定基準と特殊環境に合わせたスペック設計
- 天井の高さとラック配置に応じた「広角・中角・狭角」の配光使い分け基準
- 冷蔵・冷凍倉庫や防爆エリアなど特殊環境下に適合する「保護等級(IP)」と耐性スペック
- 施工コストを削減する「既存配線の活用」と落下の危険を防ぐ器具重量・耐震対策
- 「人感センサー LED 倉庫」と無線調光システムで省エネを極大化するDXアプローチ
- 「エリア別・稼働時間別」に自動減光する人感センサーの導入効果と配置設計
- 配線工事なしでグループ制御を可能にする「無線制御システム(調光DX)」の利便性
- 紫外線カット機能による「防虫・防退色効果」がもたらす保管製品の品質管理向上
- 失敗を防ぐ「倉庫LEDリプレイス実施・業者選定チェックリスト」
- 導入計画から現場調査、見積もり比較、工事実施までの5ステップ
- メーカー保証期間と長寿命化を裏付ける「保守・アフターフォロー」の確認ポイント
- 実質負担額を半減させる「省エネ補助金・税制優遇制度」の活用要件と申請フロー
2026年水銀灯の製造・輸出入禁止への実務対応とLED移行 of コスト削減効果
水俣条約に伴う「水銀灯の代替・全廃」へ向けた猶予期限と実務スケジュール
2013年に採択された「水俣条約(水銀に関する水俣条約)」に基づき、2020年以降、一定以上の水銀を含有する蛍光ランプや高圧水銀灯の製造および輸出入が順次規制されてきました。さらに、2023年に開催された同条約の第5回締約国会議(COP5)において、すべての一般照明用の高圧水銀灯について、2026年末までに製造および輸出入を段階的に廃止することが決定しました。
この決定により、2027年以降は国内市場における高圧水銀灯ランプの新規供給が停止します。現在使用している水銀灯が寿命を迎えた際、交換用バルブの調達が不可能になり、最悪の場合は倉庫内の一部エリアが不点灯のまま稼働せざるを得ない事態が生じます。そのため、物流施設の管理においては、期限直前の駆け込み需要による工事渋滞を避け、計画的にLEDへのリプレイスを完了させる必要があります。現地調査から基本設計、見積もり、施工完了までには通常3カ月から半年を要するため、遅くとも2025年中には施工業者との調整を開始するのが実務上推奨されます。
電気代削減率60%超を達成する「倉庫 照明 節電」シミュレーションの計算手法
床面積1,000平米、天井高8メートルの常温営業倉庫において、メタルハライドランプ(水銀灯)400Wを40台使用している環境を、高天井用LED器具(消費電力110W)へリプレイスする場合の削減効果を算出します。設計にあたっては日本産業規格の「JIS Z 9110」(照度基準)に基づき、作業安全性が確保できる照度(150ルクス〜300ルクス程度)を満たす条件で設計します。
| 項目 | 従来の水銀灯(400W形) | 高天井用LED器具(代替品) |
|---|---|---|
| 灯数(台) | 40 | 40 |
| 消費電力/台(安定器含む) | 415W(器具消費400W+安定器15W) | 110W |
| 総消費電力 | 16.6 kW | 4.4 kW |
| 年間稼働時間(12時間/日 × 300日) | 3,600時間 | 3,600時間 |
| 年間消費電力量 | 59,760 kWh | 15,840 kWh |
| 電気料金単価(1kWhあたり) | 27円(高圧電力目安) | 27円(高圧電力目安) |
| 年間電気料金 | 1,613,520円 | 427,680円 |
この結果が示す通り、LED化によって総消費電力は4分の1以下に抑制され、年間で1,185,840円(削減率約73.5%)の電気代削減を達成できます。また、水銀灯の寿命(約12,000時間)に対して高天井用LEDは約60,000時間と5倍長持ちするため、高所作業車の手配に伴うメンテナンス費用の発生頻度も劇的に減少します。
設備投資としてのLED移行における「イニシャルコストと投資回収期間」の算定基準
LEDへのリプレイスは、一時的な修繕費ではなく、中長期的な施設価値向上と運営コスト削減をもたらす設備投資として捉えるべきです。前述した1,000平米のモデル倉庫において、導入にかかる初期投資額と投資回収期間(ROI)を定義します。
イニシャルコストの構成要素は、LED器具代金と施工工賃(既存器具撤去・処分費、高所作業車使用料、新規配線・取付工事費)です。高天井用LED器具が1台あたり45,000円、施工工賃一式が80万円の場合、初期投資額の目安は以下の通りです。
- 器具代金:45,000円 × 40台 = 1,800,000円
- 施工工賃一式:800,000円
- 初期投資合計(概算):2,600,000円
この投資額に対し、年間の電気代削減効果(1,185,840円)を適用すると、投資回収期間は約2.2年となります。3年未満で初期投資が回収可能であり、それ以降の期間は削減された経費がそのままキャッシュフローの改善に寄与します。
さらに、フォークリフトの往来が少ないエリアや時間帯による調光を可能にする人感センサーの搭載や、エリアごとに照度設定を可変する「無線調光」機能を併用することで、省エネ効果をさらに積み増すことが可能です。初期投資を抑制する実務手段として、国や自治体が公募する「省エネ補助金」を活用すれば、初期費用の3分の1から2分の1を補助金で賄い、回収期間を1年半以下へと大幅に短縮できます。
JIS規格「倉庫 LED 照度基準」を満たす適切な明るさと安全性確保のポイント
物流倉庫のLED化を検討する際、電気代削減効果だけに目を奪われると、現場の作業安全性を著しく損なう恐れがあります。最も重要となるのは、日本産業規格(JIS Z 9110)で定められた「倉庫 LED 照度基準」を遵守し、作業者の視覚環境を適切に保つことです。
JIS Z 9110に基づく倉庫内エリア別の推奨照度と安全基準の適合性
JIS Z 9110(照明基準総則)では、安全かつ効率的な作業を維持するために、物流倉庫内のエリアや作業内容に応じた「推奨照度」を規定しています。単に倉庫全体を一律の明るさにするのではなく、作業負荷や視覚的な危険度に合わせて設計することが求められます。
| エリア・作業内容 | 推奨維持照度(ルクス:lx) | 主な要求水準と視覚的特徴 |
|---|---|---|
| 粗な仕分け・保管エリア(パレットラック等) | 50 以上 | 移動時の安全確保、パレット単位の荷姿確認に必要な最低限の明るさ |
| 通路・フォークリフト走行路 | 50〜100 | 歩行者と車両の接触防止、床面の障害物や段差の視認 |
| ピッキング・精密な仕分け・梱包・荷捌きエリア | 150 以上 | 伝票や段ボールの文字確認、ピッキングリストの視認性確保 |
| 検品・外観検査・事務エリア | 300〜750 | 製品の傷・汚れの検査、精密な事務作業。色彩確認が必要なエリア |
コストのみを優先して低スペックな照明器具を選んだり、灯数を削減して間引き点灯を行ったりすると、この照度基準を割り込むエリアが発生します。例えば、1日2,000件規模の出荷業務を行う倉庫において、保管エリアの照度が10 lxを下回る暗がりが発生した場合、フォークリフトのラック支柱への接触事故リスクが高まるほか、製品ラベルの『3』と『8』などの見間違いによる誤出荷率が25%以上跳ね上がると試算されます。性能面での妥協は、結果的に事故対応コストや信頼失墜による損失を招くため、基準に準拠した設計が不可欠です。現在は、エリアごとに明るさを最適化する無線調光システムや、必要な場所だけを照らすセンサー照明を組み合わせ、安全基準を満たしながら省エネ効果を両立させる設計が主流です。
「手元が暗い・棚間が見えない」を防ぐ鉛直面照度と適切な配光角の設計方法
物流倉庫の照明設計において、床面を照らす「水平面照度」だけで評価を行うのは不十分です。倉庫特有の課題である「保管棚の荷札が見えない」「奥の棚から商品を取り出す際、手元が暗い」という問題を解決するには、棚の側面(垂直な面)を照らす「鉛直面照度」の確保が不可欠です。
高天井の物流施設(天井高8m〜12mなど)でリプレイスを行う場合、直下のみを強く照らす狭角配光の器具を採用すると、光が棚の最上段で遮られ、中段から最下段にかけて急激に暗くなります。この現象を防ぐためには、器具の配光角(光の広がり方)を緻密に設計しなければなりません。
具体的には、棚間通路の幅と天井高の比率を計算し、光を横方向に拡散させる「中角配光」や、通路に沿って長方形に光を落とす「楕円配光(アサメトリック配光)」を持つLED器具を選定します。これにより、棚の側面に対してもJIS Z 9110の推奨値である50 lx以上の鉛直面照度を均一に確保できます。配光設計を適正化し、棚面へ均一に光を行き届かせることで、作業員がバーコードリーダーを何度もかざし直す無駄な動作が解消され、1棚あたりのピッキング時間を平均4.5秒短縮する効果が得られます。
作業効率を高めて事故事例を未然に防ぐ「グレア対策」と「演色性(Ra)」の最適値
適切な照度の確保に加え、現場の作業効率向上と安全運行のために無視できないのが「グレア(眩しさ)の抑制」と「演色性の最適化」です。
グレアとは、高輝度な光源が直接目に入ることで生じる不快な眩しさや、一時的な視覚障害を指します。特にフォークリフトのオペレーターが、高層ラックの最上段からパレットを降ろすために天井を見上げた際、眩しさで数秒間視界を失うグレア現象は、パレットの落下や荷崩れといった重大な労働災害を引き起こす引き金になります。このリスクを避けるために、発光部が視野に直接入りにくい遮光バッフルの設置や、乳白カバーによる光の拡散、UGR(統一グレア評価値)が「22以下」に抑えられている製品の選定など、光学設計に基づいた器具対策を徹底します。
また、光が物体の色をどれだけ正確に再現できるかを示す指標「演色性(平均演色評価数:Ra)」の選定も重要です。アパレル商品や配線コードを取り扱う物流現場において、JIS Z 9110が推奨する「Ra80以上」の高演色LEDを採用することは、類似色の見間違いを防ぎ、作業効率を向上させる上で極めて有効です。実例として、Ra85のLEDにリプレイスした現場では、作業員の眼精疲労からくる集中力低下が軽減され、夕方以降の時間帯におけるピッキングの確認ミスが3割削減されました。
規格適合と安全性向上のための設備投資は、国や自治体の「省エネ補助金」(省エネルギー投資促進支援補助金など)の適用対象となるため、公募条件を満たす設計を行うことで初期コストの大幅な圧縮が可能です。
「高天井 LED 水銀灯代替」製品の選定基準と特殊環境に合わせたスペック設計
高天井の倉庫では、単に明るいLED製品を選ぶだけでは「床面は明るいが棚の中身が見えない」「光が広がりすぎて作業効率が落ちる」といった不具合が発生します。無駄な投資を避け、節電効果を最大化するための選定基準を解説します。
天井の高さとラック配置に応じた「広角・中角・狭角」の配光使い分け基準
天井高とラック配置に応じた配光角の選定基準は、以下の通り整理されます。
| 天井高 | 配置環境 | 推奨される配光角 | 設計上のポイント |
|---|---|---|---|
| 8m未満 | 平置きエリア、出荷検品場 | 広角(110°〜120°) | エリア全体の均一な明るさを確保し、作業死角をなくす。 |
| 8m〜10m | 中層ラックエリア(通路幅3m前後) | 中角(60°〜90°) | 通路床面の照度を確保しつつ、ラック中段までの鉛直面照度を維持。 |
| 10m以上 | 高層ラックエリア(通路幅2m以下) | 狭角(30°〜45°) | 光を直下に集中させ、棚深部の荷札視認性を高める。 |
このように、配光特性を適切に使い分けることで、フォークリフトドライバーへのグレア(眩しさ)を防止しつつ、作業エリアに必要な光を均一に届け、JIS Z 9110が定める照度基準をクリアすることができます。
冷蔵・冷凍倉庫や防爆エリアなど特殊環境下に適合する「保護等級(IP)」と耐性スペック
特殊環境の倉庫では、標準仕様のLED照明を使用すると、結露による基板ショートや熱こもりによるLED素子の早期劣化、最悪の場合は発火事故につながる恐れがあります。
屋外の軒下や水洗い洗浄を行う場所、湿気がこもりやすい環境では、防水・防塵性能を示すIP等級の確認が必要です。軒下には「IP55(防塵・防噴流形)」以上、水気が直接かかる場所には「IP65」または「IP66(耐塵・耐暴噴流形)」を基準として選定します。
冷凍倉庫(マイナス20度〜マイナス40度)では、低温によるコンデンサの動作不良を防ぐため、専用の「極低温対応外部電源」と結露対策用の完全密閉型器具の組み合わせが求められます。LEDは低温下で発光効率が向上する特性がありますが、電源ユニットの耐寒設計が不十分であれば故障率が跳ね上がります。
また、化学薬品や可燃性ガス、特定の有機溶剤、微細な可燃性粉塵(小麦粉やプラスチック粉など)を扱う防爆エリア(危険物倉庫)では、労働安全衛生法に基づき、対象エリアの危険度区分(ゾーン0、1、2)に応じた防爆形LED(耐圧防爆・安全増防爆など)の設置が義務付けられています。
施工コストを削減する「既存配線の活用」と落下の危険を防ぐ器具重量・耐震対策
施工時の工夫として、既存の水銀灯配線(安定器のバイパス工事)を活かすことで工事費を抑制できます。既存の配線をそのまま流用して電源ユニットのみをメンテナンスしやすい低所に設置する「外部電源型」などを活用すれば、導入後の高所メンテナンスコストも削減可能です。
また、安全対策として、JIS C 8105-2-1等の耐振動性試験をクリアした「クラスS2」適合器具を選定し、落下防止ワイヤーで梁と強固に緊結する工法を採用します。近年は器具の軽量化(約1.5kg〜2.5kg)が進んでいますが、地震時の揺れやフォークリフト接触時の微振動による脱落を防止するマウント構造の確認は必須です。この施工設計の段階で、次章で解説する無線調光モジュール内蔵型を選定しておけば、追加の信号線工事が不要となり、施工コストのさらなる圧縮に繋がります。
「人感センサー LED 倉庫」と無線調光システムで省エネを極大化するDXアプローチ
物流倉庫における照明のLED化は、単なる器具の更新にとどまらず、センサー技術や通信技術を組み合わせることで、エネルギー管理を最適化する「照明DX」へと進化しています。
「エリア別・稼働時間別」に自動減光する人感センサーの導入効果と配置設計
人の出入りが不定期なパレットラックエリアや一時保管エリアでは、無人時に自動減光し、検知時のみフル点灯させる運用が効果的です。稼働率に応じた具体的な節電効果は以下の通りです。
| 運用エリア(想定される稼働状況) | センサー非搭載(常時点灯) | 人感センサー搭載(調光制御) | 想定される節電効果 |
|---|---|---|---|
| 通路・保管ラック間(稼働率30%) | 終日100%点灯 | 検知時100% / 無人時20%に自動減光 | 約60%削減 |
| 入出荷バース周辺(稼働率70%) | 終日100%点灯 | 検知時100% / 無人時50%に自動減光 | 約25%削減 |
人感センサーを効果的に機能させるためには、動線に合わせた配置設計が不可欠です。時速10〜15kmで走行するフォークリフトが通路に進入した際、点灯の遅れによるヒヤリハットを防ぐため、通路入り口の手前3〜5メートルで検知できるよう、感知範囲が15メートル以上の広角対応センサーを適切な角度で設置する手順を踏みます。
配線工事なしでグループ制御を可能にする「無線制御システム(調光DX)」の利便性
既設の電源線をそのまま利用して双方向通信を行う「無線調光」システム(例:アイリスオーヤマのLiCONEXなど)は、有線の信号線工事が不要なため、導入時の施工コストを劇的に抑えられます。導入後は、タブレット端末などの画面操作のみで、エリアごとのグループ設定や個別調光(0%〜100%)を自由に変更可能です。
これにより、JIS Z 9110の照度基準に準拠しつつ、精密なピッキングエリアは300 lx、保管エリアは50 lxといった「適所適光」の設定を配線変更工事なしで実行できます。ラック配置の変更にも即座に対応できるため、中長期的なレイアウト変更コストも発生しません。また、無線制御による高い省エネ効果は、省エネ補助金申請時の削減計画において、非常に有利な評価材料となります。
紫外線カット機能による「防虫・防退色効果」がもたらす保管製品の品質管理向上
LED照明の導入は、電力削減だけでなく、光源から紫外線(波長400nm以下)をほとんど放射しないという物理特性により、製品の保管品質を飛躍的に向上させます。
多くの昆虫は紫外線領域の光に引き寄せられる性質(走光性)を持っています。LEDに切り替えることで、照明に誘引される虫の数を約10分の1に抑制できるため、食品や医薬品、化粧品を扱う物流センターにおいて、虫の飛来による異物混入リスクを極限まで低減します。
さらに、紫外線はアパレル製品やパッケージ印刷の化学結合を破壊し、黄ばみや色褪せ(退色)を発生させる原因です。LEDの採用により、デリケートな衣類や化粧品のパッケージ劣化を防止し、保管中の製品価値を損なうリスクを未然に回避することが可能です。
失敗を防ぐ「倉庫LEDリプレイス実施・業者選定チェックリスト」
十分な計画なしにリプレイスを進めると、「導入したものの思ったより暗い」「工事費が予算をオーバーした」といったトラブルにつながります。確実な投資対効果を得るための実践的な選定手順をまとめました。
導入計画から現場調査、見積もり比較、工事実施までの5ステップ
リプレイスを円滑に進めるための5つのステップは、以下の実務手順に沿って進行します。
- 現状把握と導入計画の策定:自社の照明器具(水銀灯の口金・安定器の位置、灯数)をリストアップし、削減目標値を設定します。
- 現地調査と現状の課題抽出:専門業者による照度測定を行い、JIS Z 9110の適合状況や現行レイアウトにおける照度の過不足(特に鉛直面照度の有無)を確認します。
- 最適な製品選定と配光設計:天井高や棚の高さに基づき、必要な配光角と調光仕様(人感センサー、無線調光など)を決定します。
- 見積もり比較と削減効果のシミュレーション:複数社から相見積もりを取り、器具代金だけでなく高所作業車の手配費や、既存水銀灯の適正な廃棄処分費用の有無を精査します。
- 工事実施と完了検査:入出荷作業を妨げない工事工程(夜間や休日等でのエリア分割施工)を調整し、施工後は実測確認による完了検査を行います。
メーカー保証期間と長寿命化を裏付ける「保守・アフターフォロー」の確認ポイント
高天井用のLED照明は寿命が長い一方で、故障が発生した際、ランプ交換のために高所作業車の手配や作業員の安全確保が必要となり、高額なメンテナンスコストが発生します。以下のチェックリストを参考に、保守内容をあらかじめ確定させてください。
| 確認項目 | チェックすべき具体的内容と基準 |
|---|---|
| メーカー保証の適用範囲 | LED本体だけでなく、最も故障確率の高い電源装置(ドライバー)も同一期間(3〜5年)保証されるか。 |
| 故障時の代替品供給スピード | 万が一の不具合時、代替品が即座に納品されるか。安全運行に支障をきたさないよう、24時間以内の対応体制があるかを確認します。 |
| 高所作業費用の負担区分 | 保証期間内にLEDが不点灯となった場合、交換用の「器具代」だけでなく、高所作業車の手配代や「交換人件費」も無償保証に含まれているか。 |
| 定期保守点検の有無 | 特に粉塵の多い倉庫や、温度変化の激しい冷凍倉庫の場合、放熱フィンへの塵埃の堆積を防ぐための定期点検プランがあるか。 |
実質負担額を半減させる「省エネ補助金・税制優遇制度」の活用要件と申請フロー
LEDリプレイスの初期投資を下げるために、国や地方自治体が実施している「省エネ補助金」や税制優遇措置(中小企業経営強化税制など)を活用することで、実質的な初期投資額を最大で2分の1から3分の1に抑えることができます。利用時の最重要ルールは、「必ず工事契約・着工前に申請し、交付決定を受ける必要がある」という点です。事後申請は認められません。
補助金活用における一般的な実務フローは以下の通りです。
- 公募情報の収集と対象要件の確認:公募期間は限られているため、リプレイス計画の半年前から対象要件の情報収集を開始します。
- 省エネ計算と申請書類の作成:既存の水銀灯と導入予定のLED器具のスペック(消費電力等)を比較し、省エネ計算書を作成します。この作業は専門知識が必要なため、実績豊富な施工業者やメーカーと連携します。
- 申請書の提出:必要書類を揃え、ポータルサイト(jGrants等)経由で電子申請を行います。
- 交付決定通知の受領:審査を経て交付決定通知書を受領します。※この通知を受け取る前に発注・着工した場合は補助金が不交付となります。
- リプレイス工事の実施と支払い:計画に沿って工事を実施し、完了後に支払いを行います。領収書や施工前後の写真が証跡として必要です。
- 実績報告書の提出と確定検査:工事完了後、実績報告書を事務局へ提出します。
- 補助金の入金:報告書の審査完了後、指定口座に補助金が振り込まれます(通常、着工から入金までは数ヶ月〜1年のキャッシュアウト期間が発生します)。
よくある質問(FAQ)
Q. 倉庫の水銀灯はいつまでにLEDへ交換する必要がありますか?
A. 水俣条約の合意に基づき、2026年12月31日をもってすべての一般照明用高圧水銀灯の製造・輸出入が全面的に禁止されます。これ以降は故障時の交換バルブが入手困難になるため、同期限までの移行が必要です。LEDへ切り替えることで、倉庫の消費電力を約60〜70%削減でき、電気料金高騰への対策としても極めて有効です。
Q. 倉庫のLED照明における適切な照度(明るさ)の基準はありますか?
A. 日本産業規格「JIS Z 9110」に基づき、倉庫内のエリアや作業内容に応じた推奨照度が定められています。「手元が暗い、棚間が見えない」といった事態を防ぐため、適切な配光角による鉛直面照度の設計が必要です。また、作業効率の低下や事故事例を防ぐため、まぶしさを抑えるグレア対策や適切な演色性(Ra)の確保も求められます。
Q. 冷凍倉庫や高天井の倉庫に導入するLED照明の選び方は?
A. 天井の高さやラック配置に応じて、光の広がり方を「広角・中角・狭角」から適切に使い分けることが重要です。また、冷蔵・冷凍倉庫や防爆エリア等の特殊環境下では、低温や粉塵に耐えうる「保護等級(IP)」を満たす製品の選定が必要です。人感センサーや無線調光システムを組み合わせることで、さらなる省エネ効果を発揮します。