- 概要:2026年2月の営業用普通トラックの積載効率は40.04%(実車率62.77%×実車時積載率63.79%)と改善傾向にある一方、実働率は55.33%へ低下しています。
- 実務への影響:中小型車の積載余白や中型車の空車回送など車格別の課題を特定し、改正物流効率化法の目標44%達成に向けた共同輸配送や発注ロット見直しが必要です。
積載効率40.04%の構造:空車走行と荷室の余白がもたらす輸送力の損失
国土交通省が公表した『自動車輸送統計月報』の最新確定値(2026年2月分、営業用普通車)によると、トラック輸送における積載効率は40.04%となりました。2021年2月の39.07%から5年間で0.97ポイント上昇しており、緩やかな改善傾向が続いています。
この「積載効率40.04%」という数値を実務で正しく把握するには、指標を2つの要素へ分解する必要があります。積載効率は、運行全体のうち荷物を積んで走った距離の割合を示す「実車率」と、荷物を積載している区間における最大積載量に対する実際の積載重量の割合を示す「実車時積載率」の掛け算で成り立っています。
- 積載効率 = 実車率 × 実車時積載率
- 実車時積載率 = 積載効率 ÷ 実車率
2026年2月の実績値をこの計算式に当てはめると、実車率は62.77%、実車時積載率は63.79%(40.04% ÷ 62.77%)となります。なお、実車時積載率は統計の公表指標ではなく、積載効率と実車率から算出した推計値です。また、自動車輸送統計における積載効率および実車時積載率はすべて重量ベースの指標であり、荷室の容積(かさ)を表すデータではない点に注意してください。詳しい計算定義は積載率とは?計算方法や実車率との違い・改善に向けた実践アプローチを解説でも解説しています。
この分解から見えてくるのは、輸送現場で2つの異なるロスが同時に起きているという事実です。
- 空車走行のロス:総走行距離のうち37.23%(100% – 62.77%)は荷物を積んでいない空車回送状態です。
- 積載重量のロス:実際に荷物を積んで走っている区間でも、車両の最大積載重量に対して36.21%(100% – 63.79%)の余白が生じています。
現場では「トラックの荷室が埋まらない」とひとまとめに語られがちですが、実際には「空車で走る区間の長さ」と「積載時の重量不足」という性質の異なる2つの課題が掛け合わさっています。

政府が「改正物流効率化法」の基本方針で掲げる積載効率の全体目標は44%(2028年度まで)です。2026年2月の40.04%は改善基調にあるものの、目標水準とは依然として3.96ポイントの距離があります。物流2026年問題とは?2024年問題との違いや法改正、実務で必要な対策を徹底解説でも取り上げている通り、輸送力の維持に向けた積載効率の引き上げは待ったなしの状況です。
5年間のデータが示す実態:改善する実車率と停滞する実車時積載率
最新期(2026年2月)における主要指標の前年同月比
自動車輸送統計月報における営業用普通車の各区分について、2026年2月の数値を前年同月(2025年2月)と比較した結果は次の通りです。
| 車格・区分 | 指標名 | 2026年2月最新値 | 前年同月比(増減率 / ポイント差) |
|---|---|---|---|
| 営業用普通車(合計) | 積載効率 | 40.04% | +2.33%(+0.91pt) |
| 実車率 | 62.77% | +1.67%(+1.03pt) | |
| 実働率 | 55.33% | -0.90%(-0.50pt) | |
| 3トン未満 | 積載効率 | 30.81% | -3.30%(-1.05pt) |
| 実車率 | 58.60% | -2.71%(-1.63pt) | |
| 3トン以上 6.5トン未満 | 積載効率 | 30.39% | -1.97%(-0.61pt) |
| 実車率 | 56.57% | -2.21%(-1.28pt) | |
| 6.5トン以上 11トン未満 | 積載効率 | 37.03% | -8.02%(-3.23pt) |
| 実車率 | 51.57% | -8.53%(-4.81pt) | |
| 11トン以上 16トン未満 | 積載効率 | 43.42% | +7.50%(+3.03pt) |
| 実車率 | 70.85% | +6.69%(+4.44pt) | |
| 16トン以上 | 積載効率 | 36.18% | -6.92%(-2.69pt) |
| 実車率 | 57.66% | +1.53%(+0.87pt) |
5年間の推移分析:空車削減の進展と積載余白の固定化
中長期の傾向を確かめるため、新型コロナの影響による一時的な変動を除外した各年2月の同月比較で推移を追います。
営業用普通車の積載効率は、2021年2月の39.07%から2026年2月の40.04%へ、5年間で0.97ポイント上昇しました。水準自体は40%近傍と低いものの、方向としては「低下」や「悪化」ではなく「緩やかな改善」を示しています。
この0.97ポイントの上昇要因を分解すると、改善のほぼすべてが実車率の向上によるものだと分かります。
- 実車率:2021年2月の61.36%から2026年2月には62.77%へ、1.41ポイント上昇。
- 実車時積載率:2021年2月の63.67%(39.07% ÷ 61.36%)から、2026年2月は63.79%(40.04% ÷ 62.77%)と、ほぼ横ばい。
積載効率の5年間の改善幅(+0.97ポイント)のうち、約9割は実車率の向上、つまり空車回送を減らした効果による計算になります。空車を減らす手立ては着実に効いている一方で、1便あたりに積む荷物の重量割合は5年間ほとんど変わっていません。
なお、実働1日1車当たりの輸送回数は2021年2月が2.51回、2026年2月も2.51回と同値です。この統計データのみを根拠に「多頻度小口化が一段と加速した」と判断することはできません。
5年間で明確に悪化している「実働率」
積載効率の推移とは独立した論点として、警戒すべき動きを見せているのが「実働率」です。実働率は、保有車両数に対する実際に稼働した車両数の割合を示します。
営業用普通車の実働率は、各年2月の比較で次のように推移しています。
- 2021年2月:59.04%
- 2022年2月:57.81%
- 2023年2月:59.76%
- 2024年2月:56.69%
- 2025年2月:55.83%
- 2026年2月:55.33%
2021年2月から2026年2月にかけて3.71ポイント低下(比率として約6.3%減少)しており、最新期では保有車両の約45%がその日に動いていません。厚生労働省の一般職業紹介状況で示される自動車運転従事者の高い有効求人倍率(2倍台)や、ドライバーの高齢化を背景とした稼働制約が、車両の稼働率を押し下げている実態がうかがえます。賃金や労働条件の実態についてはトラックドライバーの賃金推移:賃金構造基本統計が示す給与水準と労働時間の実態も参照してください。

車格ごとに異なるボトルの所在
車格別の数値を詳しく見ると、「車格が大きいほど積載効率が低い」という通説は当てはまりません。積載効率が最も低いのは小型車格であり、車格ごとに抱えるボトルネックは大きく異なります。
【2026年2月 車格別 実車率と実車時積載率の構造】
・3トン未満(積載効率30.81%)
├ 実車率: 58.60%
└ 実車時積載率: 52.58%(積載重量の約47%が余白)
・3トン以上 6.5トン未満(積載効率30.39%)
├ 実車率: 56.57%
└ 実車時積載率: 53.72%(積載重量の約46%が余白)
・6.5トン以上 11トン未満(積載効率37.03%)
├ 実車率: 51.57%(走行の半分近くが空車回送)
└ 実車時積載率: 71.81%(積載時は比較的高密度)
・11トン以上 16トン未満(積載効率43.42%)
├ 実車率: 70.85%(空車回送が全車格で最少)
└ 実車時積載率: 61.28%(政府目標44%にほぼ到達)
・16トン以上(積載効率36.18%)
├ 実車率: 57.66%
└ 実車時積載率: 62.75%(実車率・積載率ともに中位)

- 3トン未満および3トン以上6.5トン未満:
積載効率は30.81%、30.39%と全車格で最も低い水準です。実車時積載率は52.58%、53.72%にとどまり、荷物を積んで走っている時でも最大積載重量の半分近くが空いています。 - 6.5トン以上11トン未満:
実車時積載率は71.81%(37.03% ÷ 51.57%)と全車格で最も高い一方、実車率は51.57%と最低です。走行距離の半分近くが空車回送となっており、帰り荷の確保など片荷輸送の解消が最優先の改善ポイントとなります。 - 11トン以上16トン未満:
実車率が70.85%と群を抜いて高く、積載効率も43.42%に達しています。政府目標の44%に最も近い車格です。 - 16トン以上:
実車率は57.66%、実車時積載率は62.75%(36.18% ÷ 57.66%)とともに中位です。実働1日1車当たりの輸送トン数は34.23トンであり、3トン未満(2.28トン)や全体の加重平均(10.59トン)とは輸送特性が根本から異なります。

このように、車格によって打つべき手が「空車削減(実車率向上)」なのか「1便あたりの積載重量増加(実車時積載率向上)」なのかが分かれています。
現場への影響:荷主の法的義務化と運送事業者の収益圧迫
統計に表れた「実車時積載率の停滞(63%台)」と「実働率の低下(55.33%)」は、サプライチェーンの現場に具体的な影響を及ぼしています。
荷主企業:改正物流効率化法による中長期計画の義務化
2026年4月に本格施行された改正物流効率化法に基づき、年間の貨物取扱重量が9万トン以上の「特定荷主」(発荷主・着荷主)には、役員級の物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の策定・提出、年1回の定期報告が義務付けられました。制度の詳細は改正物流効率化法で2030年の輸送力25%不足を防ぐ計画策定でも解説しています。
特定荷主には、ドライバーの荷待ち・荷役時間を原則2時間以内(努力義務1時間以内)に抑える取り組みと並行して、積載効率の引き上げが求められています。対策が不十分な事業者には是正指導が行われ、従わない場合は最大100万円の過料や企業名の公表といったペナルティが科されます。
国土交通省のトラック・物流Gメンによる是正指導実績(2026年6月30日時点)では、「働きかけ」が2,472件、「要請」が197件、「勧告および社名公表」が5件に上り、違反原因行為の4割超を長時間の荷待ちが占めています。着荷主への勧告事例では、バース予約システムの未導入など現場任せの受入体制が問題視されました。
運送事業者:固定費負担の増加と運賃交渉の実務
運送事業者にとって、実働率が55.33%まで低下している状況は収益面での重荷です。保有車両の4割強が稼働していない状態では、車両の減価償却費や保険料、駐車場代などの固定費が動いている車両の運賃収入へ跳ね返ります。
加えて、資源エネルギー庁の調査によると給油所店頭の軽油小売価格は高止まりが続いています。コスト推移の詳細は軽油価格の推移:燃料コストと燃料サーチャージの根拠データで確認できますが、運賃転嫁が追いつかない中小事業者では人手不足と相まって倒産件数が増加しています。
2025年施行の関連法令により運送契約締結時の書面交付が義務付けられたことを踏まえ、運送事業者は待機時間料や付帯作業料を基本運賃と明確に分けて収受し、稼働率低下を補う料金体系の確立が急務となっています。市場の運賃動向はトラック運賃推移グラフ|運賃の高止まりと荷主の交渉戦略【2026年最新】で毎月確認できます。
今後の影響・予測とウォッチすべき指標
短期〜中期の影響予測(3〜12ヶ月)
総合物流施策大綱(2026〜2030年度)では、有効な対策を講じない場合、2030年度に国内の輸送力が最大25%不足すると試算されています。今後1年間の展開として、次の2つのシナリオが想定されます。
- 楽観シナリオ:
特定荷主による中長期計画の策定を機に、バース予約システムの導入やパレット化が浸透。荷待ち時間の短縮によって車両の回転率が上がり、実働率が57%台へ回復。共同輸送の定着により営業用普通車全体の積載効率が41%台へ前進する。 - 悲観シナリオ:
小口発注の見直しが進まず、中小型車の実車時積載率が50%近傍まで下落。ドライバー不足から実働率が53%台まで一段と落ち込み、幹線輸送でのトラック手配難が製造業や流通業の供給網へ直接波及する。
実務で毎月ウォッチすべき重要指標
輸送計画や運賃交渉の見直しに役立つ主要な指標は以下の通りです。
| 指標名 | 確認元 | 公表頻度 | 実務上の着眼点 |
|---|---|---|---|
| 営業用普通車の積載効率・実車率 | 国土交通省『自動車輸送統計月報』 | 毎月(約7か月遅れ) | 実車率の改善と実車時積載率(計算値)の推移を追い、自社の改善施策の評価軸とする。 |
| 営業用普通車の実働率 | 国土交通省『自動車輸送統計月報』 | 毎月(約7か月遅れ) | 車両の稼働状況から業界全体の車両供給余力を把握する。 |
| 軽油小売価格・インタンク価格 | 資源エネルギー庁『石油製品価格調査』 | 毎週 / 毎月 | 燃料サーチャージの基準値と突き合わせ、運賃見直しの根拠とする。 |
| 自動車運転従事者の求人倍率 | 厚生労働省『一般職業紹介状況』 | 毎月 | ドライバーの採用難易度や傭車費用の変動要因を見極める。 |
| トラック・物流Gメンの是正実績 | 国土交通省 報道発表 | 定期 | 長時間待機や不当な据置きなど、是正対象となった取引慣行の傾向を確認する。 |
先行事例と活用可能な国の支援制度
輸送効率の引き上げに向けて、業種の垣根を越えた連携事例が相次いでいます。
- 異業種3社による共同輸送(ダイオーロジスティクス等):
往路実車・復路空車という片荷輸送を解消するため、建材・製紙・飲料メーカー3社の拠点を三角形で結ぶ運行ルートを一括運行。空車走行を減らし実車率を高めたことで、CO2排出量を年間約34%削減する見込みです。 - 食品メーカー6社による保管・配送の共同化(F-LINE協力):
北海道地区で複数に分かれていた拠点を集約し、共同配送を実施。車両1台あたりの積載効率を高めることで配送回数を削減しています。 - 重量貨物と軽量貨物の異業種混載:
飲料などの重量貨物の上部空間にスナック菓子などの軽量かさ高貨物を混載し、重量・容積双方の余白を縮小させて積載率を引き上げています。
こうした取り組みを後押しするため、国は「地域の事業者間連携を通じた物流生産性向上推進事業」や「物流効率化推進事業費補助金」などで共同輸配送の計画策定や実証運行の経費を補助しています。中継輸送用機器の導入を支援する税制特例措置も設けられています。
まとめ:今後の対策
2026年2月時点の営業用普通トラックの積載効率は40.04%であり、走行距離の37.23%が空車で、積載時でも最大積載重量の36.21%が空いている状態です。政策目標である44%の達成には、自社の輸送課題が「空車の多さ」にあるのか「1便あたりの積載重量の少なさ」にあるのかを切り分けた対策が欠かせません。
今後やるべきこと
荷主企業向けアクション
- 輸送データの棚卸し:自社貨物の重量・容積データをTMS(輸配送管理システム)等で可視化し、発注ロットのまとめや出荷日の集約余地を検討する。
- バース予約システムの導入:ドライバーの荷待ち時間を原則2時間以内(努力義務1時間以内)に抑える体制を整え、行政指導リスクを防ぐ。
- 共同輸配送の検討:片荷輸送を解消するため、帰り荷のルートが合致するパートナー企業とのマッチングを進める。
物流事業者向けアクション
- 車格別の数値分析:中小型車における重量余白と、中型車(6.5〜11トン)における空車回送の課題を自社データで分離し、配車設計を見直す。
- 適正原価に基づく契約見直し:法改正に沿い、基本運賃と区分した「荷役料」「待機時間料」を書面契約に反映させる。
- 動態管理による帰り荷確保:リアルタイムな位置情報管理により復路の空車運行を減らし、実車率を引き上げる。
まず最初の一手
最初に取り組むべきは、自社が利用・運行するトラックの「実車率」と「実車時積載率」を車格別に算出し、課題が空車走行にあるのか積載余白にあるのかを突き止めることです。数値の構造を正しく把握することが、実効性のある物流改善のスタートラインになります。
出典: 統計ID: 0003422293 / 統計ID: 0003422413 / 統計ID: 0003426794(政府統計の総合窓口 e-Stat) / 統計最終更新: 2026年2月
よくある質問(FAQ)
Q. トラックの積載効率と積載率・実車率は何が違うのですか?
A. 積載効率は「実車率(荷物を積んで走った距離の割合)」と「実車時積載率(荷物を積んでいる時の最大積載量に対する重量割合)」を掛け合わせた総合指標です。実車率が高くても、荷室の重量に空きが多ければ積載効率は下がります。統計上の積載効率を上げるには、空車走行の削減と1便あたりの積載重量アップの双方が必要です。
Q. なぜトラックの積載効率は40%前後にとどまっているのですか?
A. 空車走行と荷室の重量余白という2つのロスが重なっているためです。2026年2月実績では、総走行距離の37.23%が荷物を積んでいない空車回送で、さらに荷物を積んで走っている区間でも最大積載重量の36.21%が未使用となっています。5年間で空車回送は徐々に減っていますが、1便あたりの積載重量はほぼ横ばいで推移しています。
Q. 改正物流効率化法で掲げる目標44%を達成するには何が必要ですか?
A. 車格に応じたアプローチが不可欠です。中小型車(6.5トン未満)は積載時の重量余白が4割以上あるため発注ロットや混載の見直しが有効です。一方、6.5〜11トン車は走行の半分近くが空車のため、帰り荷の確保や共同輸送による片荷輸送の解消が求められます。自社便のデータを「空車ロス」と「重量ロス」に分解して特定することが出発点です。