産業雇用安定助成金(熊本地震特例)の目的と実施主体
「産業雇用安定助成金(令和八年熊本地震災害特例人材確保支援コース)」は、令和8年熊本地震の影響により一時的な事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、「在籍型出向」によって労働者の雇用維持を図る取り組みを支援する制度です。厚生労働省(各都道府県労働局・ハローワーク)が実施主体となり、出向元事業主と出向先事業主の双方に対して出向期間中に支払う賃金の一部を助成します。
出向元(熊本県内)と出向先(全国)の対象要件
助成対象となる事業主および出向の主な要件は以下の通りです。
- 対象事業主
- 出向元事業主: 令和8年熊本地震の影響(経済上の理由)により、事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた熊本県内に所在する事業所の事業主。
- 出向先事業主: 上記の出向元事業主から出向を受け入れた全国の事業主。
- 助成対象となる出向の要件
- 雇用の維持を図ることを目的として実施される在籍型出向であること。
- 出向した労働者が、出向期間終了後に元の事業所に戻って働くことが前提であること。
- 出向計画届に基づく出向であり、出向期間が「1か月以上1年以内」であること。
- 出向中の賃金が、出向前と概ね同額であること。
助成の対象となる経費
- 令和8年10月1日から令和9年9月30日までの出向期間中に支払う賃金の一部
中小企業4/5・日額上限9,110円の助成内容
助成率は事業主の区分(中小企業か否か)に応じて設定されており、支給額には上限が設けられています。
| 区分 | 助成率 | 上限額(出向元・出向先の合計) |
|---|---|---|
| 中小企業 | 4/5 | 9,110円/日 |
| 中小企業以外 | 2/3 | 9,110円/日 |
※上限額は、雇用保険の基本手当日額の最高額(令和8年8月1日時点)に基づき設定されており、毎年8月に改定されます。
<支給イメージ例(中小企業の場合)>
出向中の賃金10,000円/日を「出向元2割・出向先8割」で負担した場合:
- 出向元企業: 負担額2,000円のうち助成金支給額1,600円(実質負担400円)
- 出向先企業: 負担額8,000円のうち助成金支給額6,400円(実質負担1,600円)
- 合計: 助成金支給額8,000円(助成率4/5適用)
特例対象期間と申請タイミング
- 特例対象期間: 令和8年10月1日〜令和9年9月30日(この期間内に実施された出向が対象)
- 対象となる出向期間: 1か月以上1年以内
- 計画届の提出: 原則は出向開始前(特例措置として事後提出も可能)
- 支給申請の受付頻度: 毎月、または6か月以内の任意の期間(月単位)ごとに支給申請が可能
受給までの4つのステップと提出方法
申請窓口および受給までの手続きステップは以下の通りです。
- 提出先: 都道府県労働局またはハローワーク
- 提出主体: 出向元事業主が出向先事業主の分も取りまとめて提出
<受給までの4つのステップ>
- ステップ1: 出向先との契約、労働組合等との協定、出向予定者の同意
- 出向元と出向先の間で、出向期間、処遇、賃金額、賃金の負担割合等を取り決めます。
- 出向前と概ね同額の賃金であることなど、要件を満たす契約・協定内容になっているか確認します。
- 社内手続きとして、出向期間中の賃金等の労働条件明示、出向後の処遇、労働者本人の同意取得や出向規程の整備を行います。
- ステップ2: 出向計画届の提出
- 出向元・出向先の双方が作成した出向計画届を、出向元事業主が管轄の労働局またはハローワークへ提出します(本特例では事後提出も可能です)。
- ステップ3: 出向の実施
- 計画に基づき、1か月〜1年の期間で出向を実施します。
- ステップ4: 支給申請・助成金の受給
- 毎月、または6か月以内の任意の期間(月単位)ごとに出向先分の申請書も取りまとめ、出向元事業主が申請を行います。
申請に向けた事前合意と必要書類
申請にあたり、事業主側で確認・作成する実務事項は以下の通りです。
- 自社が対象かを確認するポイント
- 出向元は熊本県内に所在し、地震影響により一時的に事業活動を縮小していること。
- 出向先は全国の事業主であり、一時的に人材を受け入れる体制があること。
- 出向期間終了後に元の事業所へ復帰する前提の「在籍型出向」であること。
- 揃える書類・データ
- 出向契約書(企業間で締結する出向期間、職務内容、勤務時間、社会保険の取り扱い、賃金負担割合等の合意文書)
- 労使協定書および出向対象労働者の同意書
- 就業規則等の出向規程
- 出向計画届(出向元・出向先それぞれの作成分)
- 支給申請書および賃金台帳・出勤簿等の賃金支払実績が確認できる書類
- 進め方
- 出向元・出向先間で労働条件や賃金負担割合を協議・合意した上で協定を締結し、出向計画届を労働局またはハローワークへ提出します(事後提出も認められています)。出向開始後は、取り決めた周期(毎月または6か月以内の月単位)ごとに支給申請書類を取りまとめて提出します。
ガイドブックの参照先と相談窓口
- 詳細な支給要件や対象要件については、厚生労働省発行の「産業雇用安定助成金(令和八年熊本地震災害特例人材確保支援コース)ガイドブック」に記載されています。
- 公益財団法人産業雇用安定センターにおいて、在籍型出向の無料マッチング支援およびフォローアップが提供されています(熊本事務所:096-359-3526)。助成金制度自体の内容や申請手続きの問い合わせ先は都道府県労働局またはハローワークです。
- 都道府県労働局・ハローワークの各種問い合わせ先一覧は厚生労働省公式ページ( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/toiawase2.html )に掲載されています。
制度の性質と関連する法規動向
- 本助成金は、雇用保険法に基づく「雇用関係助成金」であり、事業主が要件を満たして計画届と支給申請を行う随時受付・審査型の制度です。採択件数や公募回次が設定されるコンペティション形式の補助金とは手続き体系が異なります(厚生労働省案内による)。
- 在籍型出向のマッチング支援を行う(公財)産業雇用安定センターは、昭和62年に国と事業主団体などが協力して設立された公益法人であり、28万件以上の出向・移籍の成立実績を有しています。
- 災害発生時における事業継続やサプライチェーン維持に関連して、公正取引委員会は2026年8月に「震災等緊急時における公正取引委員会の対応」を公表し、委託者被災時における受領拒否の制限や、救援物資共同配送における独占禁止法適用除外の3要件(社会公共的目的・期間の限定・非差別性)などの法的基準を整理しています。
よくある質問
Q. 熊本県外の企業でもこの助成金の対象になりますか?
A. 出向を受け入れる「出向先事業主」であれば、全国の事業主が助成対象になります。一方、労働者を送り出す「出向元事業主」については、熊本県に所在する事業所の事業主に限られます。
Q. 助成金は出向元と出向先のどちらに支払われますか?
A. 出向元・出向先の双方に支払われます。企業間で合意した賃金の負担割合に応じて助成額が按分され、中小企業の場合は負担額の4/5、中小企業以外は2/3が助成されます(出向元・出向先の合計上限額は1人1日あたり9,110円です)。
Q. 出向計画届は必ず出向開始前に提出しなければなりませんか?
A. 通常は出向開始前の提出が必要ですが、本特例コースでは出向開始後の「事後提出」も可能とされています。
Q. 出向先が見つからない場合、マッチングを支援してくれる機関はありますか?
A. 公益財団法人産業雇用安定センターが在籍型出向の無料マッチング支援を行っています。熊本県のセンター事務所(096-359-3526)などで出向元・出向先双方の希望情報をもとに企業間面談や職場見学の設定などの支援を受けられます。
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出典
- 実施主体: 厚生労働省(都道府県労働局・ハローワーク)
- (リーフレット)「産業雇用安定助成金(令和八年熊本地震災害特例人材確保支援コース)」[431KB](PDF)
- 掲載ページ
免責
本記事は公募情報を記事作成時点の内容で整理したものです。締切・補助率・上限額・対象経費は変更される場合があるため、応募前に必ず公募要領および公式ページで最新情報をご確認ください。対象経費に該当するか、また採択されるかどうかは実施主体・事務局の判断によります。多くの制度では交付決定前に発注・契約した経費は補助対象外となるため、発注のタイミングは公募要領でご確認ください。
