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Home > 事例・インタビュー> ソフトバンクロボのSBフレームワークス向け自動倉庫が示す、人手不足解消への道筋【事例あり】
事例・インタビュー 2025年12月12日

ソフトバンクロボのSBフレームワークス向け自動倉庫が示す、人手不足解消への道筋【事例あり】

ソフトバンクロボ、SB C&Sの物流センター運営を担うSBフレームワークスにオートストアなど自動化機器提供について

「またピッキングミスか…」「棚のどこに商品があるか探すだけで時間が過ぎていく」「募集をかけても人が集まらない」。倉庫の現場を預かる管理者や担当者の皆様にとって、これらは日常的に頭を悩ませる問題ではないでしょうか。

2024年問題による労働時間規制の強化は、これらの課題をさらに深刻化させ、従来の「人海戦術」による倉庫運営は限界に達しつつあります。しかし、こうした逆境を乗り越え、次世代の物流へと舵を切る動きも加速しています。

本記事では、ソフトバンクロボティクスがSB C&Sの物流センター運営を担うSBフレームワークスへ提供する最先端の自動化ソリューションを事例に、あなたの倉庫が抱える課題を解決するための具体的な手法と実践プロセスを徹底解説します。

1. 人手と時間に頼る倉庫運営の限界(Before)

多くの物流現場では、以下のような課題が山積しています。一つでも当てはまれば、それは変革のサインかもしれません。

  • 非効率な作業動線: 作業者が広大な倉庫を歩き回り、商品を探す「ウォーキング」に大半の時間が費やされる。
  • 属人化したオペレーション: ベテラン作業員の経験と勘に頼りがちで、新人との生産性の差が大きく、教育にも時間がかかる。
  • 保管スペースの圧迫: 平置きや固定ラックでは空間効率が悪く、事業拡大に伴う物量増加に対応できない。
  • ヒューマンエラーの頻発: 似たような商品や品番の取り違えによる誤出荷がなくならず、クレーム対応や再配送コストが発生する。
  • 深刻な人手不足: 募集をかけても人が集まらず、少ない人数で現場を回さざるを得ない。結果として、従業員の負担が増加し、離職につながる悪循環に陥る。

これらの課題は、互いに絡み合い、倉庫全体の生産性を低下させる原因となっています。まずは、自社の倉庫がどのような状態にあるのか、客観的に把握することが第一歩です。

従来の倉庫運営が抱える課題

項目 Beforeの状態(従来型倉庫)
保管方法 平置き、固定棚。通路スペースが多く、空間効率が低い。
ピッキング 人がリストを元に歩き回って商品を探す(摘み取り方式)。
生産性 作業者の熟練度に依存。1時間あたりのピッキング数は50〜100程度。
正確性 ヒューマンエラーによる誤出荷が一定数発生(ミス率0.1%など)。
労働環境 長時間の歩行や重量物の運搬など、身体的負担が大きい。
人材確保 募集難と高い離職率に悩まされる。

2. 次世代物流の答え:AutoStoreとAIロボットの連携

こうした課題を根本から解決するソリューションとして注目されているのが、ソフトバンクロボティクスがSBフレームワークスの「新川崎ロジスティクスセンター(仮称)」に導入する自動化システムです。これは単なる機械の導入ではなく、倉庫運営のあり方を根底から覆す「物流DX」の先進事例と言えます。

主要なテクノロジーとその役割

高密度保管を実現する「AutoStore(オートストア)」

AutoStoreは、格子状に組まれたグリッド内にコンテナ(ビン)を隙間なく積み重ね、上部をロボットが走行して目的のコンテナをピッキングステーションまで自動で搬送するシステムです。

  • 圧倒的な保管効率: 通路スペースが不要なため、従来の平置き棚に比べて保管効率を最大4倍に高めることが可能です。
  • GTP(Goods to Person)方式: 人が商品を探しに行くのではなく、商品が人の元へ運ばれてくるため、ピッキング作業者は定位置で作業に集中できます。これにより、無駄な歩行時間がゼロになります。

多様な商材に対応する「AI搭載ピッキングロボットアーム」

ピッキングステーションに搬送されたコンテナから、実際に商品を取り出す作業を担うのがAIロボットです。

  • AIによる画像認識: 内蔵されたカメラとAIが、コンテナ内の様々な形状・素材の商品を瞬時に認識し、最適な掴み方を判断してピッキングします。
  • 24時間365日の稼働: 人と違い、休憩なしで稼働し続けることができ、夜間や休日も安定した出荷能力を維持します。

システム連携がもたらす相乗効果

このソリューションの真価は、AutoStoreとAIロボットが、WCS(倉庫制御システム)やWMS(倉庫管理システム)とシームレスに連携することにあります。受注データを受け取ると、WMSがWCSに指示を出し、AutoStoreとロボットが全自動で出庫作業を実行します。これにより、受注から出荷までのリードタイムを大幅に短縮し、人手を介さない高効率・高精度なオペレーションが完成するのです。

この画期的な取り組みは、2024年問題や人手不足に直面する物流業界にとって、一つの大きな指針となるでしょう。

この先進的な物流センターの全体像については、以下の記事でも詳しく解説しています。
参照: ソフトバンクロボ/SBフレームワークスの川崎事業所に自動倉庫システムなど提供について

3. 自動化導入を成功させるための5つのステップ(How)

SBフレームワークスのような大規模な事例を見ると、「自社には無理だ」と感じるかもしれません。しかし、成功の要諦は、企業の規模に関わらず共通しています。ここでは、自動化導入を検討する際の具体的なプロセスを5つのステップに分けて解説します。

ステップ1: 課題の可視化とKPI設定

まずは現状を正確に把握することから始めます。

  • データ収集: ピッキング生産性(人時生産性)、保管効率(坪効率)、誤出荷率、在庫回転率などのデータを収集・分析します。
  • ボトルネックの特定: どの工程に最も時間とコストがかかっているのか、ボトルネックを特定します。
  • 目標設定: 「ピッキング生産性を3倍にする」「保管効率を2倍にする」など、具体的で測定可能な数値目標(KPI)を設定します。

ステップ2: ソリューションの調査と比較検討

設定した目標を達成するために、どのような自動化技術が最適かを見極めます。

  • 情報収集: AutoStore以外にも、GTP(Goods to Person)型AGV、プロジェクションマッピングを活用したピッキングシステムなど、様々なソリューションが存在します。自社の商材(サイズ、重量、形状)や物量、倉庫レイアウトに合ったものを調査します。
  • RFP(提案依頼書)の作成: 複数のベンダーにRFPを送り、具体的な提案と見積もりを比較検討します。この際、ハードウェアの性能だけでなく、ソフトウェア(WMS/WCS)との連携実績やサポート体制も重要な選定基準となります。

ステップ3: システム連携の要件定義

導入する自動化機器と既存の基幹システム(WMS、販売管理システムなど)をどう連携させるか、詳細な要件を定義します。

  • データフローの設計: 受注データ、在庫データ、出荷実績データなどが、どのシステム間で、どのタイミングで、どのような形式でやり取りされるかを明確に定義します。
  • マスタデータの整備: 正確な商品マスタやロケーションマスタがなければ、システムは正しく機能しません。導入前にデータクレンジングと整備を行います。

ステップ4: ROI(投資対効果)の試算と意思決定

自動化は大きな投資を伴います。経営層を納得させるためには、客観的なROIの試算が不可欠です。

  • コスト算出: 機器の導入費用、システム開発費、保守費用などの初期投資(CAPEX)とランニングコスト(OPEX)を算出します。
  • 効果測定: 人件費の削減額、生産性向上による売上増加、誤出荷削減によるコスト減など、得られる効果を金額換算します。
  • 投資回収期間の計算: 「(初期投資)÷(年間効果額)」で、何年で投資を回収できるかを試算し、投資判断の材料とします。

ステップ5: 導入・運用フェーズと継続的改善

計画が承認されたら、いよいよ導入です。しかし、導入して終わりではありません。

  • 段階的導入(スモールスタート): 全面展開の前に、特定のエリアや工程に限定して導入し、効果を検証しながら範囲を広げていくアプローチも有効です。
  • 従業員トレーニング: 新しいシステムと業務フローについて、従業員への十分なトレーニングと動機づけを行います。
  • PDCAサイクル: 稼働後も定期的にKPIをモニタリングし、設定した目標とのギャップを分析。改善策を立案・実行(Plan-Do-Check-Action)し、効果を最大化していきます。

4. 自動化がもたらす劇的な変化(After)

SBフレームワークスの事例のように、適切な自動化ソリューションを導入することで、倉庫の姿は劇的に変わります。Before/Afterでその効果を見てみましょう。

導入前後の比較

項目 Beforeの状態(従来型倉庫) Afterの状態(自動化倉庫)
保管方法 平置き、固定棚。通路スペースが多く、空間効率が低い。 AutoStoreによる高密度保管。従来の2〜4倍の保管効率。
ピッキング 人がリストを元に歩き回って商品を探す(摘み取り方式)。 商品が自動で作業者の元へ運ばれるGTP方式。歩行時間ゼロ。
生産性 作業者の熟練度に依存。1時間あたりのピッキング数は50〜100程度。 熟練度に依らず安定。1時間あたり300〜600の生産性を実現。
正確性 ヒューマンエラーによる誤出荷が一定数発生(ミス率0.1%など)。 システムによる照合で、出荷精度99.9%以上を達成。
労働環境 長時間の歩行や重量物の運搬など、身体的負担が大きい。 定点作業が中心となり、身体的負担が大幅に軽減。
人材確保 募集難と高い離職率に悩まされる。 作業が標準化され、誰でも即戦力に。定着率も向上。

定量・定性効果のまとめ

  • 定量的効果:

    • 生産性3〜5倍向上: ピッキング作業における無駄な歩行がなくなることで、人時生産性が飛躍的に向上します。
    • 保管効率2〜4倍向上: 同じ床面積でより多くの商品を保管でき、増床や外部倉庫の賃借コストを削減できます。
    • 人件費の削減: ピッキングや棚入れ作業に必要な人員を50%以上削減できるケースもあります。
    • リードタイム短縮: 受注から出荷までの時間が短縮され、顧客満足度の向上につながります。
  • 定性的効果:

    • 労働環境の劇的な改善: 身体的負担の大きい作業から解放され、従業員はより付加価値の高い業務に集中できます。これは、人材の定着率向上にも直結します。
    • 属人化の解消: システムが作業を標準化するため、新人もすぐに高いパフォーマンスを発揮でき、教育コストが削減されます。
    • データドリブン経営の実現: 正確な作業実績データが蓄積され、それに基づいた客観的な分析と改善活動が可能になります。

2026年稼働予定のこの次世代センターが、物流業界の構造的課題にどう貢献するのか、より広い視点からの解説はこちらをご覧ください。
参照: ソフトバンクロボ/SBフレームワークスの川崎事業所に自動倉庫システムなど提供について

5. まとめ:成功の秘訣は「業務プロセスの再設計」

ソフトバンクロボティクスとSBフレームワークスの取り組みは、未来の物流センターの姿を具体的に示しています。この事例から我々が学ぶべき最も重要なことは、自動化の成功は、単に高性能な機械を導入することではなく、機械の能力を最大限に引き出すための「業務プロセス全体の再設計」にあるということです。

  • 目的の明確化: 何のために自動化するのか?(生産性向上、省人化、品質向上など)その目的を常に念頭に置く。
  • 部分最適からの脱却: ピッキング工程だけでなく、入荷から保管、出荷までの全体フローを見直し、最適化を図る。
  • データ活用の徹底: 勘や経験に頼る運営から脱却し、収集したデータを分析して改善サイクルを回し続ける。
  • 人と機械の協働: 全てを自動化するのではなく、人は人にしかできない判断や管理業務に集中し、機械と協働する体制を築く。

人手不足やコスト高騰といった厳しい現実は、見方を変えれば、旧態依然とした物流現場を革新する絶好の機会です。今回ご紹介した事例と実践プロセスを参考に、ぜひ自社の倉庫改革への第一歩を踏み出してください。まずは、自社の課題を数値で把握し、どこに改善の可能性があるのかを探ることから始めてみてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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