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事例・インタビュー 2026年1月19日

ブルボン・不二製油ら5社|31ft冷蔵コンテナ「ラウンド輸送」の衝撃

ブルボン、不二製油など5社 31フィート冷蔵コンテナでラウンド輸送を開始

物流業界における「協調」と「共創」が、また一つ新たなステージへと進化しました。

ブルボン、不二製油、センコー、中越通運、JR貨物の5社が連携し、31フィート冷蔵コンテナを活用した新潟〜関西間の「鉄道コンテナラウンド輸送」を開始したというニュースは、単なるモーダルシフトの事例にとどまらない重要な意味を持っています。

なぜ今、この取り組みが業界の注目を集めているのでしょうか。それは、長年の課題であった「片荷(かたに)による空回送のムダ」と、温度管理が必要な「食品物流のモーダルシフト」という2つの難題を、異業種連携によって同時に解決したからです。

本記事では、この先進事例の詳細を整理しつつ、物流2024年問題やカーボンニュートラルへの対応に迫られる経営層・現場リーダーが、このニュースから何を学び、どう動くべきかを解説します。

5社連携によるラウンド輸送の全貌

まずは、今回のプロジェクトの事実関係を整理します。この取り組みは、荷主企業(メーカー)と物流事業者が一体となり、専用アセットを効率的に運用する「共創型物流」のモデルケースです。

プロジェクトの概要と仕組み

今回のスキームの核心は、新潟と関西という離れた拠点を結ぶ往復(ラウンド)輸送の確立です。通常、特定の納品先へ向かう輸送は、帰りの荷物が確保できなければ「空回送」となり、コストもCO2排出も無駄が生じます。

これを解消するために、新潟に拠点を持つ「ブルボン」と、関西に拠点を持つ「不二製油」がペアを組みました。

▼ ラウンド輸送の運用フロー

  1. 往路(新潟→関西): ブルボンが製品を積載し、関西へ輸送。
  2. 復路(関西→新潟): 関西で空になったコンテナに、不二製油が製品を積載し、新潟へ輸送。

これにより、コンテナの稼働率を最大化し、実車率を向上させています。

輸送スキームの要点整理

項目 内容
参画企業(荷主) ブルボン、不二製油
参画企業(物流・鉄道) センコー、中越通運、JR貨物
使用資材 31フィート冷蔵コンテナ
輸送区間 新潟エリア 〜 関西エリア
主要目的 空回送の解消、CO2削減、ドライバー負荷軽減

なぜ「31フィート冷蔵コンテナ」なのか

ここで注目すべきは、使用されている機材が「31フィート冷蔵コンテナ」である点です。

  • 積載量: 10トントラック(大型車)とほぼ同等の積載量を持ちます。これにより、既存のトラック輸送からの切り替え(モーダルシフト)がスムーズに行えます。
  • 温度管理: 冷蔵機能を備えているため、チョコレートや油脂製品など、厳密な品質管理が求められる食品の鉄道輸送が可能になりました。

従来の12フィートコンテナでは小口すぎて効率が悪く、通常のドライコンテナでは品質が守れない。このギャップを埋める31フィート冷蔵コンテナの採用が、今回の成功の鍵を握っています。

業界各プレイヤーへの具体的な影響

この取り組みは、単に特定の5社が得をする話ではありません。物流業界全体に対して、今後の「勝ち筋」を示唆しています。それぞれのプレイヤー視点で影響を分析します。

荷主企業(メーカー)へのメリット

輸送コストの安定化と調達BCP

トラック運賃の高騰やドライバー不足による「運べなくなるリスク」に対し、鉄道という安定したモードを確保することは、事業継続計画(BCP)の観点から極めて重要です。また、往復利用によるコストシェアの可能性も、長期的な物流コストの抑制に寄与します。

Scope3におけるCO2削減

脱炭素経営が求められる中、トラックから鉄道への転換はCO2排出量を大幅に削減(一般的に約10分の1とも言われる)します。これは投資家や消費者への強力なアピール材料となります。

物流事業者(運送・通運)へのメリット

アセットの回転率向上

高額な31フィートコンテナを保有する場合、いかに稼働率を上げるかが収益の生命線です。片道利用では投資回収が困難ですが、ラウンド輸送が確約されることで、積極的な設備投資が可能になります。

2024年問題への現実解

長距離運行(新潟〜関西など)をトラックドライバーが行う場合、拘束時間の上限規制に抵触するリスクが高まります。幹線部分を鉄道に任せ、集荷・配送(ラストワンマイル)のみをトラックで行うことで、ドライバーの労働環境を守りつつ、輸送網を維持できます。

LogiShiftの視点:共創型物流の未来と課題

ここからは、単なるニュース解説を超えて、この事例が示唆する物流の未来について独自に考察します。

「異業種マッチング」が物流戦略の核心になる

これまでの共同物流は、「同業種(例:飲料メーカー同士)」でのパレット共通化や共同配送が主流でした。しかし、今回のブルボンと不二製油のような「異業種かつ、発着地が逆方向の企業」のマッチングこそが、今後のトレンドになると予測します。

  • 同業種: 繁忙期が重なりやすく、車両確保が同時に困難になる。
  • 異業種: 季節波動が異なる場合があり、アセットを融通し合える可能性がある。また、今回のように「A地点からB地点」と「B地点からA地点」という地理的な補完関係が成立しやすい。

今後は、自社の物流ルートを「点と線」だけで見るのではなく、「逆方向の線を求めている誰か」を探すマーケティング視点が物流担当者に求められます。

通運事業者の「コーディネート力」が問われる

今回の事例で重要な役割を果たしたのは、センコーや中越通運、JR貨物といった物流プレイヤーです。荷主企業同士が直接「一緒にやりましょう」と手を組むのは、商流や契約の観点からハードルが高いのが現実です。

今後は、物流事業者が「自社のアセットを埋めるために、逆方向の荷主を積極的にマッチングさせる仲介機能」を持てるかどうかが、競争優位性を左右するでしょう。単に「運びます」ではなく、「帰りの便を提供するので、御社のコストを下げられます」という提案ができる事業者が勝つ時代です。

温度管理モーダルシフトの加速

食品業界では、「鉄道は振動や温度管理が不安」という懸念が根強くありました。しかし、31フィート冷蔵コンテナの実績が積み上がることで、この心理的ハードルは下がっていきます。

特に、冷凍食品や生鮮品など、これまでトラック一択だった商材が鉄道へシフトする動きは加速するでしょう。これに備え、倉庫側もクロスドック機能の強化や、鉄道コンテナのバンニング(積み込み)に対応したバース設計など、インフラ側の見直しが必要になるかもしれません。

まとめ:明日から意識すべきこと

ブルボン、不二製油ら5社によるラウンド輸送の開始は、物流危機に対する一つの「解」を明確に示しました。

今回のニュースから、私たちが持ち帰るべきポイントは以下の通りです。

  1. 「片道」思考からの脱却: 自社の輸送ルートにおいて、空回送が発生している区間はないか? その「空き」は他社にとっての「宝」かもしれないと再認識する。
  2. 31フィートコンテナの活用検討: 大型トラックチャーター便を多用している幹線輸送は、31フィートコンテナへの切り替えが可能かシミュレーションを行う。
  3. パートナー探しの視点拡大: 同業種だけでなく、輸送ルートが対となる異業種企業との連携を模索する。あるいは、そうした提案を持ってくる物流事業者を選定する。

物流の2024年問題は、一社の努力だけで乗り越えられる壁ではありません。今回の5社連携のように、企業や業界の枠を超えた「共創」の実践こそが、持続可能なサプライチェーン構築への最短ルートとなるでしょう。

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