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Home > 倉庫管理・WMS> 特定技能「物流倉庫」追加決定|航空グラハン含む新制度の影響と対策
倉庫管理・WMS 2026年1月29日

特定技能「物流倉庫」追加決定|航空グラハン含む新制度の影響と対策

特定技能制度の受け入れ対象に「物流倉庫」など3分野追加、「航空」の業務に空港グラハンも

2024年問題の渦中にある物流業界に、政府から極めて重要な「解」の一つが提示されました。

政府は外国人材受け入れ制度(育成就労・特定技能)の対象分野を拡大し、2027年4月より「物流倉庫」を含む3分野を新たに追加する方針を固めました。さらに、航空分野ではボトルネックとなっていた「空港グランドハンドリング」も業務範囲として明記されます。

これは単なる「人手不足の穴埋め」ではありません。これまで国内のパート・アルバイトや派遣スタッフに依存してきた庫内オペレーションが、長期就労可能な「プロフェッショナルな外国人材」によって支えられる構造へと転換することを意味します。

本記事では、このニュースの全容を整理し、経営層や現場リーダーが2027年に向けて準備すべき「外国人材活用の新戦略」について解説します。

ニュースの背景と詳細:2027年からの大転換

政府は現行の「技能実習制度」を廃止し、人材確保と育成を目的とした新制度「育成就労」を創設します。これに伴い、長期就労が可能な「特定技能」への移行パスが強化され、対象分野も拡大されました。

今回の決定で最も注目すべきは、これまで対象外であった「倉庫内作業」がついに解禁された点です。以下に、発表された主要な事実関係を整理します。

項目 詳細
制度開始時期 2027年4月より運用開始予定
新規追加分野 1. 物流倉庫、2. リネンサプライ、3. 資源循環(計19分野へ拡大)
航空分野の拡充 「空港グランドハンドリング(手荷物・貨物の積み降ろし等)」を正式追加
受け入れ見込み数 物流倉庫分野:1万8,300人(2027年度からの2年間)
参考:運送業 自動車運送業:2万2,100人(同上)
全体上限数 全分野合計:123万1,900人(うち特定技能80万5,700人)

なぜ「物流倉庫」が追加されたのか

これまで倉庫業務は「単純作業」とみなされる傾向があり、専門性が求められる特定技能の対象外でした。しかし、EC市場の拡大と労働人口の減少により、庫内作業員の不足は限界に達しています。政府は物流を「国民生活維持に不可欠なインフラ」と再定義し、ドライバー(自動車運送業)だけでなく、倉庫内作業(荷役、仕分け、ピッキング等)も特定技能の対象とすることで、サプライチェーン全体の強靭化を図る狙いがあります。

業界への具体的な影響:各プレイヤーはどう変わるか

今回の制度変更は、サプライチェーンの各段階にポジティブな影響と、同時に新たな競争をもたらします。

1. 倉庫事業者・3PLへの影響

「期間工的発想」からの脱却
従来、庫内作業の調整弁は短期アルバイトや派遣社員でした。しかし、新制度により「日本語能力があり、一定の技能試験に合格した外国人材」をフルタイムで、かつ(特定技能2号へ移行すれば)無期限で雇用できる可能性が生まれます。
これにより、熟練度が求められるWMS(倉庫管理システム)の操作や、複雑な梱包業務においても、長期的な戦力として外国人材を育成・配置することが可能になります。1万8,300人という枠は決して多くはありませんが、コア人材としての活用が進むでしょう。

2. 航空貨物・フォワーダーへの影響

空港物流の目詰まり解消へ
コロナ禍明けの航空需要回復に伴い、空港ではグランドハンドリング(グラハン)要員が圧倒的に不足しており、欠便や貨物の滞留が発生していました。今回、グラハン業務が明確化されたことで、貨物の積み降ろしや搬送業務における人員確保に目処が立ちます。これは国際物流のリードタイム安定化に直結する重要な要素です。

3. トラック運送事業者への影響

荷待ち時間削減への期待
倉庫側の人員不足は、トラックドライバーの「荷待ち時間」の主因の一つです。庫内作業員が確保され、荷役作業がスムーズになれば、結果としてドライバーの待機時間が削減され、2024年問題対策としても機能します。自動車運送業自体の受け入れ枠(2万2,100人)と合わせ、物流の両輪での人員補強が期待されます。

LogiShiftの視点:外国人材は「安価な労働力」ではない

ここからは、ニュースの事実を超えて、物流企業が今後どう動くべきかについて独自の視点で考察します。今回の制度改正を「安い労働力が手に入る」と捉えている企業は、2027年以降、深刻な淘汰の危機に瀕するでしょう。

「選ばれる企業」しか生き残れない時代の到来

新設される「育成就労制度」の最大の特徴は、一定の要件下で「転籍(転職)」が可能になる点です。従来の技能実習制度では原則転籍が認められていませんでしたが、新制度では労働者に職業選択の自由が拡大されます。

つまり、賃金が安い、労働環境が劣悪、キャリアパスが見えないといった企業からは、せっかく受け入れた外国人材もすぐに流出してしまいます。国内の人材獲得競争と同様に、外国人材からも「選ばれる魅力」が必要になるのです。

自動化(DX)と外国人材のハイブリッド戦略

「人が確保できるなら、マテハン機器への投資は後回しでいい」という判断は危険です。1万8,000人という枠は、業界全体の不足数を補うには到底足りません。
勝ち残る企業は、自動倉庫やAMR(自律走行搬送ロボット)による省人化を進めつつ、「ロボットでは代替できない高度な判断業務」や「例外対応」に、スキルを持った特定技能外国人を配置するというハイブリッド戦略をとるはずです。

日本の物流の「社会的地位」そのものが問われる

外国人労働者は、日本だけでなく韓国や台湾、欧米とも奪い合いになっています。円安傾向が続く中、日本で働く経済的メリットは薄れつつあります。それでも彼らに来てもらうためには、給与水準だけでなく、物流という仕事への誇りや、安心して暮らせる生活支援体制が不可欠です。

この点は、以下の記事でも詳しく解説していますが、物流業界全体が「社会的地位向上」に取り組まなければ、日本人からも外国人からも見放される未来が待っています。

併せて読む: 社会的地位向上へ|現場から描く変革のシナリオと2万社淘汰の危機

まとめ:2027年に向けて今から準備すべきこと

物流倉庫の特定技能追加は、業界にとって大きなチャンスですが、同時に「外国人材マネジメント能力」が問われる試金石でもあります。2027年4月のスタートダッシュを切るために、経営層・現場リーダーは以下の3点を意識してください。

  1. 受け入れ体制の整備:
    単なる作業員ではなく「社員」として迎え入れるための社内規定、マニュアルの多言語化、生活支援体制の準備を始めること。
  2. キャリアパスの明確化:
    「育成就労」から「特定技能1号」、そして熟練の「2号」へとステップアップできるキャリアプランを提示し、定着率を高める施策を練ること。
  3. 既存社員への意識改革:
    現場の日本人スタッフに対し、外国人材をパートナーとして尊重する文化を醸成すること。

制度開始まであと2年。この準備期間をどう過ごすかが、10年後の企業の存続を左右すると言っても過言ではありません。情報は待つのではなく、取りに行く姿勢で、新制度の要件定義や運用ルールの詳細発表を注視していきましょう。

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