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Home > ニュース・海外> 日通・ニコンのSAF航空輸送契約更新|物流選定基準が「脱炭素」へシフトする理由
ニュース・海外 2026年3月27日

日通・ニコンのSAF航空輸送契約更新|物流選定基準が「脱炭素」へシフトする理由

日本通運/ニコンとSAF利用航空貨物輸送で2年連続契約締結 - LNEWS

物流業界は今、過去に例を見ないパラダイムシフトの真っ只中にあります。かつて、物流パートナーを選定する際の絶対的な基準は「輸送コストの安さ」と「リードタイムの短さ」でした。しかし、グローバル規模で環境規制が強化され、ESG投資が主流となる中、その常識は劇的に変わりつつあります。

この変化を決定づける象徴的なニュースが飛び込んできました。NIPPON EXPRESSホールディングス傘下の日本通運(NXグループ)と大手精密機器メーカーのニコンが、SAF(持続可能な航空燃料)を利用した航空貨物輸送サービスにおいて、2年連続となる契約を締結したのです。

本契約は、単に「環境に優しい燃料を使いました」という表面的なアピールにとどまりません。輸送に伴うCO2削減量を証書化し、荷主企業の「Scope3(自社以外のサプライチェーンにおける排出量)」削減に直接寄与する仕組みを構築している点が最大の核心です。

この記事では、このニュースがなぜ業界内で大きな衝撃を与えているのか、そして運送会社や荷主企業が明日からどう動くべきかを、独自の視点を交えて徹底解説します。

ニュースの背景と詳細情報の整理

まずは、今回発表された日本通運とニコンの契約締結に関する事実関係を整理しましょう。

契約締結の概要とNX-GREEN SAF Programの仕組み

日本通運が展開する「NX-GREEN SAF Program」は、SAF(Sustainable Aviation Fuel)を活用することで、航空貨物輸送におけるCO2排出量を削減するサービスです。SAFは廃食油や植物、都市ごみなどを原料として製造されており、化石燃料由来の従来のジェット燃料と比較して、ライフサイクル全体で大幅なCO2排出量の削減効果が期待できます。

今回の契約の全体像を以下の表にまとめます。

項目 内容 影響・意義
当事者企業 日本通運(NXグループ)、株式会社ニコン グローバル企業同士の強力なパートナーシップの継続
対象サービス NX-GREEN SAF Program 廃食油等を原料とするSAFを用いた航空貨物輸送の提供
契約期間 2025年5月から12月までの輸送分 2年連続の契約となり継続的な脱炭素化の取り組みが定着
核心となる価値 CO2削減証書の発行とScope3排出量の可視化 荷主企業が自社の脱炭素目標達成に直接活用可能

この取り組みで注目すべきは、輸送に伴って削減されたCO2排出量が「削減証書」としてニコン側に発行される点です。これにより、ニコンは自社のScope3排出量削減実績として公式に算定・報告することが可能となります。

東京都のSAF活用促進事業と官民一体の脱炭素シフト

本件の背景には、行政機関による積極的な後押しも見逃せません。日本通運は、東京都が実施する「企業のScope3対応に向けた航空貨物輸送でのSAF活用促進事業」において、2年連続で事業者に選定されています。

東京都が主導するこの事業は、都内に本社や拠点を置く荷主企業に対して、SAFを活用した航空輸送の導入にかかるコストの一部を支援するものです。高コストが課題とされがちなSAFの普及において、行政が経済的支援を行い、物流企業がソリューションを提供し、荷主企業がそれを活用するという「官民一体の脱炭素エコシステム」が機能し始めていることを証明しています。

参考記事: 航空輸送とは?基礎から実務フロー、海上輸送との比較まで徹底解説

業界各プレイヤーへの具体的な影響と波及効果

日本通運とニコンの契約更新は、一組の企業間のニュースにとどまらず、物流業界全体に多大な影響を及ぼします。それぞれのプレイヤーにどのような変化が訪れるのかを解説します。

フォワーダーおよび実運送事業者への影響

「脱炭素メニュー」の有無が受注競争力を左右する

これまでフォワーダーや運送事業者の競争優位性は、運賃の安さや輸送網の広さ、緊急時の対応力にありました。しかし、今回のニュースが示す通り、今後は「脱炭素への貢献度」がコンペティションの重要な評価指標に加わります。

グローバル企業を顧客に持つ物流企業は、SAFの活用オプションや、EV(電気自動車)・FCEV(燃料電池車)を用いたトラック輸送など、具体的なGHG(温室効果ガス)削減メニューを持っていなければ、入札の土俵にすら上がれなくなる恐れがあります。

荷主企業(メーカー・小売業)への影響

Scope3削減に向けたサプライチェーンの再構築が急務に

ニコンのようなグローバルメーカーにとって、製品のライフサイクル全体におけるCO2排出量の削減は、企業価値の向上や投資家からの評価に直結する経営課題です。特に、自社工場での排出(Scope1・2)の削減が限界に近づく中、部品調達や製品配送などサプライチェーン上での排出(Scope3)の削減が最大のテーマとなっています。

荷主企業は今後、既存の物流パートナーがどの程度Scope3削減に協力できるかを見極める必要があります。単なるコストダウンの要求から、CO2削減とコストのバランスをいかに取るかという高度な戦略策定へとシフトしていくでしょう。

参考記事: 改正省エネ法報告義務化の開始と、物流GXの実行フェーズ【2026年03月版】

テクノロジーベンダー・IT企業への影響

排出量の可視化と算定証書発行ツールの需要急拡大

CO2削減を「証書」として可視化し、国際的な基準に則って算定するためには、高度なデータ管理システムが不可欠です。属人的なエクセル管理では、監査に耐えうる正確なScope3の算定は困難です。

このため、物流データと連携して自動でGHG排出量を算定し、ダッシュボードで可視化するSaaS型システムの需要が爆発的に伸びています。物流業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、GX(グリーントランスフォーメーション)と表裏一体となって進展していくことになります。

参考記事: 物流脱炭素を支える「GHG算定ソフト」の選び方と、Scope3対応の重要性【2026年03月版】

LogiShiftの視点(独自考察と今後の予測)

今回の「日通×ニコン」のSAF利用に関するニュースから、物流業界の未来についてどのような示唆が得られるのか。LogiShift独自の視点で考察します。

「コスト・スピード」の2軸から「環境価値」を加えた3軸評価時代へ

これまで物流業界の改善活動は、いかに速く、いかに安く運ぶかという「効率化」に主眼が置かれてきました。しかし、SAFの導入コストは依然として従来のジェット燃料よりも高価です。それでもニコンが2年連続で契約を締結した理由は、「環境価値に対する投資」を経営の根幹に据えているからです。

今後、物流企業の提供価値は「コスト・スピード・環境価値」の3軸で評価されるようになります。この3つのバランスをどのように顧客へ提案できるかが、今後の物流営業の鍵を握ります。「環境に良いですが、その分高いです」という単純な提案ではなく、「複数の輸送モード(航空と海上の組み合わせなど)を最適化し、トータルコストの上昇を抑えつつCO2削減目標を達成する」といった、コンサルティング型の提案力が求められます。

Scope3対応を「コスト」ではなく「競争力」に変える発想の転換

多くの日本企業は、環境対応やScope3の算定を「規制への対応」や「追加コスト」と捉えがちです。しかし、視点を変えれば、これは市場シェアを拡大するための強力な武器になります。

例えば、競合他社よりも早く正確にScope3のデータを提示し、かつ削減に向けた具体的なソリューション(NX-GREEN SAF Programのような仕組み)を提供できる物流企業は、グローバル荷主から「指名買い」される確率が高まります。脱炭素化の波は、古い体質の企業を淘汰する一方で、先進的な取り組みを行う企業に巨大な利益をもたらすチャンスでもあるのです。

参考記事: 【海外事例】Scope 3報告のリスク削減と市場シェア拡大|トレーサビリティの最新動向と日本への示唆

日本通運の戦略から読み解く物流再定義の潮流

日本通運が展開するSAFプログラムや、削減証書の発行スキームは、物流会社が「単なるモノの運び屋」から「サプライチェーンの価値向上パートナー」へと進化していることを示しています。

物流企業は今後、フィジカルな輸送網の提供だけでなく、データという無形資産(CO2排出量データや削減証書)を管理・提供するプラットフォーマーとしての役割を担うことになります。大手のみならず、中小の運送会社も自社のトラックの燃費データや運行データを正確に把握し、荷主に対して「可視化された環境データ」を提供できる体制を整えることが急務です。

参考記事: 【日本通運】2026年組織改正の衝撃|物流の再定義と企業が備えるべき3つのポイント

まとめ:明日から意識すべき3つのアクション

日本通運とニコンのSAF利用航空輸送における2年連続の契約締結は、物流業界における脱炭素化がテストフェーズを終え、本格的な実装・継続フェーズに入ったことを強く印象付けました。

この激動の時代において、物流関連企業の経営層や現場リーダーが明日から意識・実行すべきアクションは以下の3点です。

  1. 自社のCO2排出量(現状)の正確な把握
    • 荷主からの急なScope3開示要請に応えられるよう、まずは自社の運行データや燃料使用量をデジタルツールを用いて正確に可視化する体制を整えましょう。
  2. 環境価値を組み込んだ提案力の強化
    • 「安く運びます」という営業トークから脱却し、「当社の輸送網を使えば、御社のCO2排出量をこれだけ削減できます」というデータに基づいた提案ができる営業スタッフを育成することが重要です。
  3. 官民の支援制度の積極的な活用
    • SAFやEVの導入には多額のコストがかかります。東京都の事業のように、国や自治体が提供する補助金や支援事業を常にウォッチし、初期投資の負担を軽減しながらグリーン物流への移行を進めましょう。

物流の脱炭素化はもはや「未来の課題」ではなく「今日の必須条件」です。持続可能なサプライチェーンの構築に向けて、自社がどのような価値を提供できるのか、改めてビジネスモデルを見直す絶好のタイミングと言えるでしょう。

出典: LNEWS

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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