Skip to content

LogiShift(ロジシフト)

  • 物流DX・トレンド
  • 倉庫管理・WMS
  • 輸配送・TMS
  • 事例
  • ツール紹介
  • 統計分析
  • 用語辞典
Home > サプライチェーン> 荷待ち2時間超ゼロへ!SM物流研究会の2026年物流変革と3つの影響
サプライチェーン 2026年4月4日

荷待ち2時間超ゼロへ!SM物流研究会の2026年物流変革と3つの影響

荷待ち2時間超ゼロへ!SM物流研究会の2026年物流変革と3つの影響

国内の主要スーパーマーケット(SM)で構成される「SM物流研究会」が、2026年度に向けた極めて野心的な物流効率化方針を発表しました。物流業界に大きな衝撃を与えているのが、改正物流効率化法の施行に合わせ、「荷待ち・荷役作業が2時間超」となるトラック台数を完全にゼロにするという目標です。

これまで小売業、特にスーパーマーケットの物流センターは、消費者ニーズに応えるための多頻度小口配送、厳格な温度管理、そして複雑な検品作業により、トラックドライバーの長時間拘束が常態化しやすい環境にありました。バラ積み・バラ降ろしといった手荷役の割合も高く、2024年問題への対応において最も改善が困難とされてきた領域の一つです。

しかし今回の発表は、この長年の課題を「法遵守」の観点から根絶する姿勢を鮮明にしたものです。2026年5月のCLO(最高物流責任者)選任を皮切りに、ドライ(常温)部門だけでなく、管理が極めて難しいチルド・生鮮・冷凍センターにまでメスを入れる画期的な取り組みが始まります。

本記事では、SM物流研究会が掲げた2026年度方針の詳細を紐解きながら、運送事業者やメーカー、そして小売業自身にどのような影響をもたらすのかを徹底的に解説します。製・配・販の壁を越えた物流変革の最前線を捉え、今後の経営戦略のヒントを探っていきましょう。

SM物流研究会「2026年度方針」の全貌と具体策

SM物流研究会が発表した「2025年度活動報告と2026年度方針」は、改正物流効率化法への対応を単なる書類上の手続きに留めず、現場の実態を根本から変革するための具体的なロードマップを示しています。

まずは、今回発表された方針の事実関係とスケジュールを整理します。

2026年度に向けた主要目標とスケジュール

項目 詳細内容 期限・対象時期
トラック待機削減 荷待ち・荷役作業2時間超過のトラック台数を0台にする 2026年度中
CLOの選任 特定荷主に該当する場合、最高物流責任者を選任し届出 2026年5月
計画策定・届出 物流効率化に向けた中長期計画を策定し国へ届出 2026年10月頃
対象領域の拡大 ドライDCに加え、チルド・生鮮・冷凍センターの時間集計開始 2026年度から順次

この目標達成に向けて、SM物流研究会は参加企業(マルエツ、ライフ、ヤオコー、サミット、イトーヨーカ堂、平和堂など業界大手)の知見を結集し、課題ごとに4つの分科会を設置して具体的な改善策を協議・実行します。

参考記事: 【徹底解説】物流統括管理者(CLO)の選任が4月から義務化|荷主企業が直面する経営変革と対策

課題解決に向けた4つの分科会アプローチ

目標達成の鍵となるのが、競合の枠を超えて結成された分科会による活動です。各分野で以下のような取り組みが推進されます。

分科会テーマ 担当企業(代表例) 主な取り組みと方針
パレット納品の拡大 マルエツ、ライフ、原信など メーカー・卸・小売間での協議、先端技術の活用検討
共同配送の推進 カスミ、西友、ヤオコーなど 空きトラック・センター空間の活用、運送事業者間の連携支援
生鮮物流の効率化 サミット、東急ストアなど 青果物流のリードタイム延長、水産物流の課題解決
チルド物流の改善 いなげや、とりせんなど 荷役作業における付帯作業の定義、納品条件の見直し

さらに、関西SM物流研究会(オークワ、平和堂、万代、ライフコーポレーションなど)とも連動し、ASN(事前出荷情報)を活用した検品レスの推進や、空きトラックを有効活用した共同配送の研究が進められます。これにより、首都圏だけでなく全国規模での波及効果が期待されます。

参考記事: 荷待ち時間とは?2024年問題の実態と劇的に削減する実践的アプローチ

業界別・各プレイヤーへの具体的な影響

SM物流研究会が掲げた「荷待ち2時間超ゼロ」という目標は、小売業界内だけの問題にとどまりません。サプライチェーンを構成するすべてのプレイヤーに多大な影響を及ぼし、これまでのビジネスモデルの転換を迫るものとなります。

小売業・スーパーマーケットにおけるセンター運営の抜本的見直し

スーパーマーケット各社にとっては、自社の物流センター(DC/TC)の運営方法を根底から見直すことになります。これまでは「商品が揃うこと」や「店舗での作業を減らすためのセンター側での仕分け」が最優先されてきましたが、今後は「トラックを止めないこと」が同等以上の重要課題となります。

ASNを活用した検品レスや、パレット納品の受容は、センター内のシステム改修やマテハン機器の導入といった多額の先行投資を伴います。また、特売等のイベントによる物量波動をどう平準化するか、店舗への納品時間をどう分散させるかなど、物流部門だけでなく商品部や店舗営業部を巻き込んだ全社的な改革が不可避となります。

運送事業者・ドライバーの労働環境改善と契約の適正化

運送事業者にとっては、極めて前向きなニュースと言えます。スーパー向け配送における長時間拘束は、ドライバーの離職を招く大きな要因となっていました。

荷待ち・荷役が2時間以内に収まることが担保されれば、ドライバーの回転率(1日あたりの運行回数)が向上し、車両の稼働効率が劇的に改善します。また、チルド・生鮮分科会で「付帯作業の定義」や「納品条件の見直し」が進むことで、これまで曖昧になっていた「誰が荷降ろしをするのか」「検品時の待機時間は労働時間か」といった課題が明確化され、適正な運賃・料金の収受(付帯作業費の請求など)に繋がることが期待されます。

食品メーカー・卸売業者に求められる出荷形態の変革

食品メーカーや卸売業者も、従来の出荷スタイルからの脱却が求められます。これまで手荷役(バラ積み)で行っていた納品をパレット化するためには、自社の工場や倉庫の出荷バースの改修、パレットの回収・運用ルールの策定が必要です。

また、生鮮物流における「リードタイムの延長」は、受発注サイクルの見直しを意味します。従来のように「当日発注・翌朝納品」といった極端に短いリードタイムが緩和されれば、計画的な生産と配車が可能となり、メーカー側の物流コスト削減や余剰在庫の圧縮にも大きく寄与するでしょう。

参考記事: パレット標準化とは?導入メリットから現場の課題・解決策まで徹底解説

LogiShiftの視点:物流インフラを維持する「協調と標準化」の波

今回のSM物流研究会の発表から読み取るべき本質は、物流がもはや単なる「コスト削減の対象」から、企業が生き残るための「経営戦略のコア」へとパラダイムシフトしたという事実です。LogiShiftの視点から、今後の業界動向について3つの重要ポイントを考察します。

法規制対応を超えた「経営戦略」としての物流改革

2026年5月に迫るCLO(最高物流責任者)の選任と中長期計画の届出は、改正物流効率化法に基づく義務ですが、SM物流研究会の動きはそれを「受け身のコンプライアンス対応」としてではなく、「業界全体のインフラを維持するための攻めの戦略」として捉えています。

小売業は熾烈な価格競争を繰り広げていますが、「モノが運べなくなれば店舗の棚は空になる」という強烈な危機感が経営層に浸透しています。CLOという役職が形骸化することなく、商品調達から店舗運営までを横断的に統括する強い権限を持つことで、初めて「荷待ち時間ゼロ」という難題がクリアできると考えられます。

競合から協調へシフトする共同配送ネットワーク

注目すべきは、カスミ、西友、ヤオコーなど、本来であれば商圏を争うライバル企業同士が「共同配送ネットワークの構築」に踏み込んでいる点です。

人口減少とドライバー不足が進む中、各社が個別にトラックをチャーターし、自社のセンターに納品させる従来の自前主義は限界を迎えています。既存インフラの空きスペース(積載率の低いトラックや倉庫の空きスペース)をシェアリングする取り組みは、物流の最適化において最も効果的なアプローチです。今後、情報システムを連携させた業界共通の共同配送プラットフォームが誕生する可能性が高く、この「競合協調」のモデルは他の小売・流通業界へも波及していくでしょう。

参考記事: 共同配送とは?仕組みやメリット・デメリット、導入成功のポイントを徹底解説

難易度MAXの「3温度帯物流」改革が業界標準を創る

ドライ(常温)品に比べ、チルド(冷蔵)・生鮮・冷凍品の物流は、厳格な温度管理、極端に短い消費期限、そして不定貫(重量やサイズが一定でない)商品の存在により、自動化や標準化が最も遅れている領域でした。

今回、あえてこの「3温度帯物流」を時間集計と改善の対象に含めたことは、業界に対する強いメッセージです。付帯作業の定義や納品条件の緩和がこの領域で成功すれば、それは間違いなく日本の食品物流全体における「新たなスタンダード」となります。物流機器メーカーやシステムベンダーにとっても、この領域のDX(ASN活用や温度管理トラッキング)は今後最大の成長市場となるはずです。

まとめ:明日から意識すべき3つのアクション

SM物流研究会が打ち出した「荷待ち・荷役作業2時間超ゼロ」の目標は、2026年度という明確な期限に向けて、すでにカウントダウンが始まっています。この激動の変革期において、物流に関わるすべての企業が明日から意識すべきアクションは以下の3点です。

  1. 自社の荷待ち・荷役時間の実態把握と可視化
    まずは自社の物流センターや納品先でのトラック待機時間を正確に計測することです。感覚値ではなく、デジタルツールを活用した客観的なデータ(動態管理システムやバース予約システムなど)を取得し、ボトルネックを特定する必要があります。

  2. 法規制対応に向けたCLOの選任と社内体制の構築
    2026年5月の届出に向け、経営陣の中で誰が物流の全責任を負うのか(CLO)を早期に決定し、物流部門だけでなく営業・調達部門を巻き込んだ横断的なプロジェクトチームを発足させることが急務です。

  3. 製・配・販の枠を超えた対話と協調の開始
    自社単独での改善には限界があります。荷主、運送事業者、そして納品先が同じテーブルに着き、「どうすればトラックの回転率を上げられるか」「パレット化の障壁は何か」をオープンに協議する場を設けることが、持続可能なサプライチェーン構築の第一歩となります。

2024年問題は単なる通過点であり、真の変革は2026年の法規制完全施行に向けて本格化します。SM物流研究会のような先駆的な取り組みをモデルケースとし、自社の物流戦略を今一度見直してみてはいかがでしょうか。


出典: トラックニュース

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

Share this article:

関連記事

人手不足時代の物流をどう変える?日立が考えるSCM全体最適化と3つの手順
2026年4月8日

人手不足時代の物流をどう変える?日立が考えるSCM全体最適化と3つの手順

ラピダス進出で沸く千歳倉庫ラッシュ!半導体物流を制する3つの条件
2026年4月29日

ラピダス進出で沸く千歳倉庫ラッシュ!半導体物流を制する3つの条件

【PR】JILS/「ストラテジックSCMコース」受講説明会を1月26日開催
2026年1月6日

JILS「SCMコース」説明会|次世代リーダー育成と修了生の変革事例

最近の投稿

  • 組織的小売犯罪対策法が可決。貨物盗難の50%を占める偽業者への必須対応
  • 物流DXが加速!アクセンチュアなど3社による2026年の人型ロボット実証実験の全貌
  • 三井物産が5月20日に出資したエッジAIで数百ミリ秒の通信遅延解消が加速
  • 株式会社神戸デジタル・ラボ、5月20日に物流DX開始|3機能で省人化に直結
  • ヤマト運輸が4万2816平方メートルの統合型拠点を稼働、EC受注延長が加速

最近のコメント

表示できるコメントはありません。

LogiShift

物流担当者と経営層のための課題解決メディア。現場のノウハウから最新のDX事例まで、ビジネスを加速させる情報をお届けします。

カテゴリー

  • 物流DX・トレンド
  • 倉庫管理・WMS
  • 輸配送・TMS
  • マテハン・ロボット
  • サプライチェーン

もっと探す

  • ツール紹介
  • 海外トレンド
  • 事例
  • 統計分析
  • 物流用語辞典

サイト情報

  • 運営者情報
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー
  • LogiShift Global
  • FinShift

© 2026 LogiShift. All rights reserved.