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物流DX・トレンド 2026年4月6日

日立の複数コード一括スキャンで荷役効率化!特定荷主が知るべき3つの変革と対策

日立の複数コード一括スキャンで荷役効率化!特定荷主が知るべき3つの変革と対策

物流業界における「2024年問題」への対応が急務となる中、次なる大きな波として2026年4月に施行される「改正物流効率化法」が迫っています。特に一定規模以上の貨物を取り扱う企業が指定される「特定荷主制度」では、中長期計画の策定や物流改善の実績報告が義務付けられ、物流プロセス全体の可視化が不可避となります。

しかし、多くの物流現場では、依然として入出荷時の検品や荷役時間の記録がアナログな手作業や担当者の経験に依存しており、「正確なデータをどうやって集めるか」が最大のボトルネックとなっています。

こうした業界全体の課題に対し、日立ソリューションズが画期的なサービスを発表しました。同社は2026年4月7日より、スマートフォンのカメラを用いて1分間に最大480件の複数バーコードやQRコードを同時に読み取れる「複数コード対応高速スキャン提供サービス」の提供を開始します。

本記事では、この圧倒的な処理能力を誇る新サービスが物流業界の荷役業務にどのような衝撃を与えるのか、そして特定荷主をはじめとする各企業が今後どのように動くべきなのかを、専門家の視点から徹底的に解説します。

日立ソリューションズによる革新的スキャンサービスの全貌と背景

まずは、今回日立ソリューションズが発表した新サービスの事実関係と、その背景にある法改正の動きについて整理します。

複数コード対応高速スキャン提供サービスの概要

今回発表されたサービスは、スイスのScandit(スキャンディット)社が開発した高度な画像認識技術を中核に据えています。専用のハードウェアを必要とせず、一般的なスマートフォンにアプリケーションをインストールするだけで、高性能なバーコードリーダーとして機能する点が最大の特徴です。

以下の表に、本サービスの主要な情報とスペックを整理します。

項目 詳細内容
サービス名称 複数コード対応高速スキャン提供サービス
提供開始日 2026年4月7日
コア技術 スイスScandit社の高度な画像認識技術を活用したスマートフォンアプリ
最大処理能力 1分間に最大480件の複数バーコード・QRコード同時一括読み取り
システム要件 専用スキャナ不要でスマートフォン1台から導入・運用が可能

従来の一次元バーコードやQRコードの読み取り作業は、作業者がハンディターミナルを使用して「1つのコードに対して1回トリガーを引く」という単一処理の連続でした。しかし、本サービスはスマートフォンのカメラをかざすだけで、視野に入る複数のコードを一瞬で一括認識し、データ化します。1分間で最大480件という処理速度は、パレット上の複数段積まれた段ボールのラベルなどを一気に読み取るようなシーンにおいて、劇的な作業時間の短縮をもたらします。

参考記事: バーコード/二次元コード(完全ガイド)| 基礎から2027年問題・実務運用まで徹底解説

開発の背景にある「特定荷主制度」への危機感

本サービスがこのタイミングで投入された背景には、2026年4月1日に施行される「改正物流効率化法」の存在が大きく影響しています。この法改正では、事業活動に伴って一定規模以上の貨物の発送・受領を行う製造業や流通業などの企業が「特定荷主」として指定されます。

特定荷主には、単なる努力義務ではなく、「中長期計画の策定」や「物流業務の改善状況に関する定期的な実績報告」という厳格な義務が課せられます。国交省などが求める実績報告の中には、トラックの荷待ち時間や、積卸し(荷役)にかかる時間の短縮状況が含まれます。

しかし、実際の現場では「どのトラックが何時に到着し、誰が何分かけて検品や荷降ろしを行ったのか」を秒単位・分単位で正確に記録している企業はごく少数です。多くは紙の受付簿への記入や、現場担当者の目視による大まかな記録に留まっており、エビデンスとしての信頼性に欠けるという課題を抱えていました。

日立ソリューションズの新サービスは、入出荷のフローに「スマホでの一括スキャン」を組み込むことで、検品作業そのものを高速化しつつ、同時に「いつ・誰が・何を・どれだけ処理したか」というタイムスタンプを正確なデジタルデータとして自動取得することを可能にします。

物流業界の各プレイヤーにもたらす具体的な影響

この「複数コード一括スキャン」という技術は、単なる作業の時短ツールにとどまらず、サプライチェーンを構成する様々なプレイヤーに複合的な影響を与えます。

現場作業を担う運送・倉庫事業者への影響

専用ハンディターミナルからの脱却によるコスト削減

物流倉庫や運送会社の拠点において、バーコードスキャンの主役は長らく専用のハンディターミナルでした。ハンディターミナルは堅牢で読み取り精度が高い反面、1台あたりの導入コストが高価であり、繁忙期に合わせて十分な台数を揃えることが財務上の負担となっていました。

本サービスは、市販のスマートフォンで稼働するため、専用端末の購入費用を大幅に削減できます。作業者の個人スマホを活用するBYOD(Bring Your Own Device)の導入や、安価なAndroid端末の一括導入など、柔軟なハードウェア戦略を描くことが可能になります。また、機器故障時の代替手配も容易になり、現場のダウンタイムを最小限に抑えることができます。

参考記事: ハンディターミナルとは?導入メリットから最新トレンド、選び方まで徹底解説

検品・荷受作業の高速化と属人化の解消

1分間に最大480件という圧倒的な読み取りスピードは、入荷検品や出荷時の個数確認作業のボトルネックを解消します。特に、複数個口の荷物を扱う路線便の仕分けや、パレット単位での一括納品時において、一つひとつのラベルを読み取る手間が省けるため、作業者の肉体的な負担軽減にも直結します。操作もスマートフォンのカメラをかざすだけと直感的なため、新人スタッフや外国人労働者への教育コストを削減し、即戦力化を早める効果が期待できます。

実績報告の義務を負う特定荷主(メーカー・小売)への影響

管理者向けWebアプリによるエビデンスの自動収集

荷主企業にとって最も重要なメリットは、現場に大きな負荷をかけることなく、法律で求められる「実績データ」を収集できる点です。

日立ソリューションズのサービスには、管理者向けのWebアプリケーションが標準搭載されています。ここでは、現場から送信されたスキャンデータをもとに、検品開始から受領完了までの作業時間がリアルタイムで集計されます。さらに、「時間帯別」「着荷便(運送会社)単位」「作業者単位」といった細かい粒度でデータを可視化できるため、国への報告書類作成に必要なエビデンスを自動で蓄積することが可能となります。

SCMや在庫管理システム連携によるサプライチェーン全体の高度化

収集されたデータは、単なる報告用データとして終わらせるべきではありません。日立ソリューションズは、既存のSCM(サプライチェーン管理)システムやWMS(倉庫管理システム)、在庫管理システムとのデータ連携も支援するとしています。

これにより、荷主企業は「どの商品が、いつ、どの拠点で検品を終え、在庫として計上されたか」をリアルタイムで把握できるようになります。入荷の遅延が販売機会の損失に直結する小売業や、ジャストインタイムでの部品調達が求められる製造業にとって、入荷情報の迅速な可視化は経営効率を大きく引き上げる要因となります。

参考記事: 【改正物流効率化法】特定荷主に課される3つの義務と罰則リスク回避のポイント

LogiShiftの視点:データ化の先にある「真の改善」に向けた提言

日立ソリューションズの発表は、物流業界が長年抱えてきた「アナログな現場作業」と「高度なデータ管理要求」のギャップを埋める画期的な一歩です。しかし、専門メディアの視点から言えば、新しいシステムを導入しただけで自動的に物流が効率化されるわけではありません。

ここでは、本ニュースから読み取るべき今後の業界動向と、企業が取るべき具体的な戦略について独自に考察します。

「サンプリング計測」から「全量リアルタイム計測」へのパラダイムシフト

現在、国交省が示している荷待ち・荷役時間の把握手法において、企業は最初からすべてのデータを取得するのではなく、特定の期間や拠点を抽出して計測する「サンプリング手法」の活用も認められています。これは現場の計測負荷を考慮した苦肉の策です。

しかし、スマートフォンによる高速スキャンが日常の作業フローに完全に溶け込めば、わざわざ計測のための特別な人員を配置することなく、日々の検品作業の中で自然と「全量」の作業時間がログとして記録されるようになります。

これにより、一部のサンプリングでは見落とされがちな「特定の曜日や天候条件でのみ発生する異常な荷役時間」や「特定ドライバーとの間で生じているコミュニケーションのロス」など、ミクロな課題を発見できるようになります。データ化の解像度が上がることで、改善施策の精度は飛躍的に向上するはずです。

参考記事: 改正物流法|荷待ち時間計測の「サンプリング」とは?特定荷主の対応策を解説

可視化された「不都合な真実」に直視する覚悟

データが時間帯別・着荷便別に可視化されるということは、現場に潜む「不都合な真実」が明らかになることを意味します。

例えば、「荷役時間が長い原因は運送会社の作業が遅いからだ」と現場が主張していたとしても、データを見た結果「実は自社のバース誘導の遅れや、特定の庫内作業者の検品スピードが極端に遅いことが原因だった」という事実が判明するかもしれません。また、荷主側の無計画な発注により、特定の時間帯にトラックが集中して荷役能力の限界を超えている「キャパシティオーバー」が数値として証明されることもあります。

経営層や物流部門のリーダーは、システムが弾き出したこれらの客観的データに対して目を背けず、自社の業務プロセスそのもの(発注ルールの見直し、バース予約システムの導入、人員配置の最適化など)を抜本的に見直す覚悟が必要です。

参考記事: 無償の荷待ち・荷役は解消されるのか?着荷主規制の衝撃と物流企業が取るべき対策

スモールスタートによる「現場の成功体験」の創出

大規模なシステム改修や全社一斉のツール導入は、現場の強い反発を招くことが少なくありません。現場の作業者は「新しいことを覚えさせられる」「管理部門に監視される」というネガティブな感情を抱きがちです。

本サービスが「スマートフォン1台から段階的に適用範囲を拡大可能」としている点は、DX推進において非常に理にかなっています。まずは特定の拠点や、特に作業負荷が高い一部の入荷ラインだけで試行導入を行うべきです。

「スマホをかざすだけで一気に検品が終わる」という圧倒的な利便性を現場の作業者自身に体感させ、「これは自分たちの仕事を楽にしてくれるツールだ」というポジティブな成功体験を創出することが重要です。現場の支持を得たツールは、その後の全社展開や他業務への応用もスムーズに進みます。

参考記事: 荷待ち時間とは?2024年問題の実態と劇的に削減する実践的アプローチ

まとめ:2026年4月に向け、明日から意識すべきこと

日立ソリューションズが提供を開始する「複数コード対応高速スキャン提供サービス」は、単なるバーコードリーダーの進化版ではありません。それは、2026年4月の「改正物流効率化法」施行という国家レベルの規制強化に対し、企業がエビデンスを持って立ち向かうための強力な武器です。

経営層や物流部門のリーダーが明日から意識すべきアクションは以下の3点です。

  1. 自社の現在地の把握: 現状の入荷・検品プロセスにおいて、どこに時間的ロスが生じているか、アナログな記録作業がどれだけ残っているかを改めて棚卸しする。
  2. テクノロジーの活用検討: 高価な専用端末に固執せず、スマートフォンと画像認識技術を活用した最新ソリューションの導入可能性を評価する。
  3. データドリブンな改善体制の構築: データを収集して国に報告して終わりではなく、得られたデータを分析し、荷主・運送事業者・倉庫事業者の三者で共有してプロセス改善につなげる座組を構築する。

2026年はもう目の前に迫っています。システムの選定と現場への落とし込みには十分な助走期間が必要です。法令遵守への対応を「コスト」と捉えるか、あるいは物流現場を根底から効率化し企業競争力を高める「投資」と捉えるか。次世代のテクノロジーを賢く取り入れ、いち早くデータ活用に踏み切った企業こそが、次代の物流網を牽引していくことになるでしょう。


出典: IT Leaders

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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