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Home > サプライチェーン> CLO選任済み43%!改正物流法の実態と各社が直面する3つの壁と対策
サプライチェーン 2026年4月10日

CLO選任済み43%!改正物流法の実態と各社が直面する3つの壁と対策

CLO選任済み43%!改正物流法の実態と各社が直面する3つの壁と対策

2024年の法改正を経て、2026年度(令和8年度)に本格施行を控える「改正物流効率化法」。この法律により、一定規模以上の荷主企業や物流事業者(特定事業者)には厳しい対応義務が課せられます。その準備のリアルな現在地を示す最新データが明らかになりました。

EV商用車や付帯設備の導入支援を手掛ける株式会社CUBE-LINXが実施した調査によると、義務化の目玉である「物流統括管理者(CLO)」について、既に「選任済み」の企業が43%に達していることが判明しました。これは、物流部門の課題が単なる現場のオペレーション改善から「経営の最重要アジェンダ」へと明確に格上げされたことを示しています。

本記事では、この調査結果から浮き彫りになった法対応への高い障壁と、運送・倉庫・荷主の各プレイヤーが直面する課題、そしてシステム投資の壁を突破するための具体的な戦略を徹底解説します。

ニュースの背景・詳細:CUBE-LINXが紐解く改正物流法の実態

CLO選任は9割超が対応中も現場には重い負担感

CUBE-LINXが2024年3月に実施した「改正物流効率化法への対応実態に関する調査」は、物流特定事業者の最終責任者304人を対象に行われました。法規制への対応がどこまで進んでいるのか、その生々しい実態が以下の表の通り示されています。

調査項目 主な回答割合 現場の実態と傾向
CLOの選任状況 選任済み43%、選任予定48% 合計9割超の企業が法対応へ向けた組織体制の構築に動き出している。
義務化への負担感 やや負担47%、非常に負担32% 約8割の担当者が特定事業者への指定や法的義務付けに重圧を感じている。
計画の策定状況 詳細詰め32%、未着手22%、実行中20% 計画策定のハードルが非常に高く実行フェーズに移行できている企業は少数派である。
具体的な取り組み 運賃交渉59%、荷待ち削減58%、システム導入40% 属人的な交渉やオペレーション改善に加えバース予約などのDX投資が必須となっている。

計画策定を阻む「予算」と「投資対効果」の壁

調査結果から読み取れる最大の課題は、中長期的な計画策定における「実行の難しさ」です。特定事業者に義務付けられる「荷待ち時間・荷役時間の削減」や「積載率の向上」は、現場の属人的な努力だけで達成できるものではありません。

具体的な取り組みとして「バース予約や動態管理システムの導入」を検討・実施している企業が40%に達していることからもわかる通り、デジタルツールによる輸配送の可視化は法的遵守の必須条件になりつつあります。しかし、これらのシステム導入やマテハン機器への設備投資には多額のコストがかかり、投資対効果(ROI)の算出が難しいため、経営会議での承認が得られず計画が停滞している企業が半数以上を占めているのが実情です。

参考記事: 【徹底解説】物流統括管理者(CLO)の選任が4月から義務化|荷主企業が直面する経営変革と対策

業界への具体的な影響:各プレイヤーが直面する課題

荷主企業に求められるサプライチェーン全体の最適化

メーカーや小売、卸売といった荷主企業は、自社の物流コスト削減という「部分最適」の思考から脱却しなければなりません。CLOを選任した荷主企業は、物流事業者でのトラック待機時間が発生している場合、その根本原因である自社の入荷・出荷体制を見直す責任を負います。

生産部門の急な計画変更や営業部門の特急手配など、社内の商慣習が物流現場の非効率を生んでいるケースは少なくありません。CLOはこれらの部門と対等に交渉し、全社的なルール変更を断行する強いガバナンスを発揮する必要があります。

物流事業者におけるシステム導入の原資確保と運賃交渉

運送事業者や倉庫事業者にとっても、法対応のハードルは極めて高いものです。実車率の向上や多重下請け構造の是正を証明するためには、アナログな紙の伝票管理から脱却し、荷主とリアルタイムで情報を共有するデータ連携基盤(TMSやWMS)の構築が急務となります。

しかし、2024年問題に伴う人件費高騰や燃料費の高止まりにより、多くの中小企業ではIT投資の原資が不足しています。そのため、調査結果の上位に挙がった「運賃や料金の適正化に向けた運賃交渉・価格転嫁」を成功させ、システム投資のコストを適正に回収する好循環を作り出せるかどうかが、事業存続の生命線となります。

参考記事: 動態管理システムとは?基礎から導入メリット・失敗しない選び方まで完全ガイド

LogiShiftの視点:巨大な投資障壁を突破する戦略

「守りのコスト」から「攻めのロジスティクス戦略」への転換

物流インフラへの投資を単なる「法規制への対応コスト」と捉えている限り、経営陣の決裁は下りません。CLOが主導すべきは、この物流投資を「ビジネスの成長を支える価値創造」へとパラダイムシフトさせることです。

システム導入による需要予測精度の向上、適正在庫の配置によるキャッシュフローの改善、そして物流停滞による事業継続リスク(BCP)の回避といった「見えにくいリターン」を定量化し、財務的な価値として提示する高度な経営手腕が求められます。

補助金活用とスモールスタートによる初期費用の圧縮

数千万円から数億円規模の資本的支出を一括で負担することが難しい場合、戦略的なアプローチの変更が必要です。

国は現在、物流革新を急務と位置づけ、物流効率化法に基づく税制優遇や、省力化・脱炭素化に向けた多様な補助金制度を展開しています。これらの支援策を徹底的に活用することで、持ち出しコストを大幅に圧縮できます。

また、システム導入においては、クラウド型SaaSの利用や、ロボットのサブスクリプションモデルである「RaaS(Robotics as a Service)」を活用し、初期投資を抑えつつ経費として処理するスモールスタート戦略が極めて有効です。

参考記事: CLOが担う「物流の経営課題化」と組織改革のステップ【2026年04月版】

まとめ:明日から意識すべき組織変革の第一歩

CUBE-LINXの実態調査は、改正物流効率化法という外圧に対し、多くの企業が危機感を抱きながらも手探りで準備を進めている現状を鮮明に映し出しました。CLO選任済み企業が43%に達した事実は、業界全体の意識が確実に変わりつつある証拠です。

明日から取り組むべきは、以下の3点です。

  • 現場課題の徹底的な可視化
    自社のサプライチェーンのどこに「荷待ち」や「非効率」が潜んでいるのかをデータで正確に把握する。
  • 多角的なROIに基づく投資計画の策定
    人件費削減だけでなく機会損失の防止やコンプライアンス遵守を含めた投資対効果を算出し、クラウドサービス等を活用した段階的なDXを推進する。
  • 部門の壁を越えた全社プロジェクトの組成
    物流部門単独ではなく、営業や製造および情報システム部門を巻き込み、経営層直轄のプロジェクトとして推進体制を整える。

法改正を単なる規制強化と悲観するのではなく、持続可能で強靭なロジスティクスを構築するための「最大のチャンス」として捉え、迅速に行動を起こすことが次世代の勝者となる条件です。


出典: Yahoo!ニュース(日本ネット経済新聞)
出典: 株式会社CUBE-LINX 公式サイト
出典: 国土交通省|流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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