「物流の2024年問題」に端を発した労働時間規制の波に続き、現在物流業界の各企業に重くのしかかっているのが、法改正に伴う「実運送体制管理簿」の作成と運用義務化である。多重下請け構造が常態化し、末端で実際に誰がトラックのハンドルを握っているのかがブラックボックス化していた従来の商慣行に対し、国は強力なメスを入れた。しかし、紙や電話、メールに依存したアナログな情報伝達を続ける現場にとって、全階層の運行情報を正確に記録・管理することは、もはやマンパワーの限界を超えている。
そんな中、2026年4月にインテックス大阪で開催された「第7回 関西物流展 KANSAI LOGIX 2026」において、株式会社ロジテックが出展した運送現場らくらく連携アプリ「25(ニーゴー)アプリ」が、現場の実務担当者から爆発的な反響を呼んだ。なぜこのアプリの機能紹介動画に多くの来場者が釘付けになったのか。本記事では、展示会で浮き彫りになった現場のリアルな課題と、デジタル化がもたらすサプライチェーン全体への影響、そして今後の物流業界が取るべき生存戦略を独自の視点で徹底解説する。
関西物流展2026における株式会社ロジテックの発表概要
「25アプリ」を中心とした出展の事実関係
株式会社ロジテックは、売上高1,251億円を誇るキャムコムグループにおいて物流IT部門を牽引する企業である。同社は「運送会社まるっと360°サポート」というコンセプトを掲げ、物流業界が直面する喫緊の課題に向けた包括的なソリューションを関西物流展で提示した。
| 項目 | 詳細内容 | 補足情報 |
|---|---|---|
| イベント名称 | 第7回 関西物流展 KANSAI LOGIX 2026 | 2026年4月8日から10日にかけてインテックス大阪で開催 |
| 出展企業 | 株式会社ロジテック | 多様な人材サービスを展開するキャムコムグループに属する |
| 主要ソリューション | 運送現場らくらく連携アプリ「25アプリ」 | 2026年2月に提供開始されたばかりの最新ITツール |
| アプリのコア機能 | 配送依頼から実運送体制管理簿の自動作成までをカバー | 車番連絡や画像付きの完了報告を一気通貫でデジタル化する |
オープンセミナーでは、新規事業推進マネージャーの朝倉一雅氏が登壇し、法改正への対応と「25アプリ」の具体的な活用シーンを解説した。会場はほぼ満席となり、参加者が熱心にメモを取る姿が見受けられ、関心の高さが客観的に証明された。
来場者の声から浮き彫りになる物流現場の悲鳴
展示ブースには連日多くの来場者が詰めかけ、スタッフとの活発な対話を通じて現場のリアルな悩みが吐露された。そこで挙がった声は、現在の物流業界が抱える構造的な弱点を如実に表している。
- 実運送体制管理簿の作成や運用にかかる膨大な事務負荷
- 中長距離ドライバーを中心とした慢性的な人材確保の困難さ
- 繁忙期における庫内作業員や一時保管スペースの手配不足
- 元請けから実運送事業者に至る多重下請け構造での情報連携の欠如
特に「これまで紙やメールに分散していた情報が、ここまでシンプルに一元化できるのか」「管理簿が自動でできるのは本当にありがたい」といった感嘆の声は、法規制の強化に対して現場のツールや運用体制が全く追いついていない現状を浮き彫りにしている。
参考記事: 働き方改革関連法(物流)を徹底解説|2024年問題と現場の実務対応
法改正に伴う実運送体制管理簿の義務化と業界への影響
元請けおよび利用運送事業者における管理責任の厳格化
貨物自動車運送事業法の改正により、元請け事業者は実運送を担う末端の事業者までを正確に把握し、その情報を「実運送体制管理簿」として記録・保存する義務を負うこととなった。これは、長年の悪習である中抜きや、不適切な労働環境を助長する過度な多重下請けを是正するための措置である。
従来、元請けや一次下請けの配車担当者は「荷物が届けば問題ない」という結果主義のもと、二次・三次請けへの再委託状況を詳細に把握していなかった。しかし今後は、当日朝に変更された車番やドライバーの氏名、さらには荷役などの附帯作業の有無に至るまで、全階層の情報をタイムリーに収集しなければならない。「25アプリ」が注目を集めた最大の理由は、このバラバラに点在する情報をシステム上で紐づけ、監査に耐えうる管理簿を「自動作成」できる点にある。
実運送事業者への情報入力負荷と報告フローの変革
一方で、実際に荷物を運ぶ末端の実運送事業者(中小運送会社や個人事業主)にとっても、報告業務のあり方は大きく変わる。これまでは納品完了後に電話やFAXで元請けに報告を済ませていたが、今後は法的根拠となる正確なデータ連携が求められる。
画像付きの完了報告や位置情報の共有をスマートフォンアプリで完結できる仕組みは、ドライバーの報告手間を省くだけでなく、「言った・言わない」のトラブルを防ぐ強力なエビデンスとなる。運賃の不当な据え置きや、契約外の荷役作業を強いられた際の客観的な交渉材料としても機能するため、適法に事業を営む実運送事業者にとっては自らの身を守る武器となる。
参考記事: 輸配送ステータス可視化とは?現場の課題解決と物流DXの始め方
荷主企業に求められるサプライチェーンの透明性確保
実運送体制管理簿の整備は、運送業界内部だけの問題ではない。荷主企業に対しても、自社の荷物が適正なルートと労働環境下で運ばれているかを確認する「荷主責任」が強く問われる時代となっている。もし下請けの果てに無許可の白ナンバートラックが紛れ込んでいたり、違法な長時間労働が行われていたりした場合、発注元である荷主企業も厳しい指導やレピュテーションリスクに晒される。
情報をデジタル化し、サプライチェーンの末端まで透明性を確保できる運送事業者は、荷主企業にとって「安心して荷物を任せられるコンプライアンスの防波堤」として高く評価される。ITツールによる可視化は、単なる業務効率化を超えた強力な営業優位性をもたらすのである。
LogiShiftの視点:ツール導入だけでは終わらない現場定着と労働力確保の融合
多重下請け構造における高齢ドライバーへのデジタル浸透
「25アプリ」のような画期的なツールが登場したとしても、それを現場で稼働させるためには乗り越えるべき組織的課題が存在する。物流業界の現場は高齢化が進んでおり、最新のスマートフォンアプリに対する「デジタルアレルギー」を持つドライバーも少なくない。
多重下請け構造の末端にいる協力会社のドライバーにまでアプリのダウンロードと正確な情報入力を徹底させるには、機能の豊富さよりも「圧倒的な使いやすさ(UI/UXの洗練)」が成否を分ける。アプリを開いて数タップで完了報告が終わる、あるいは直感的に写真を送信できるといった「現場ファースト」の設計でなければ、入力漏れが頻発し、結果として実運送体制管理簿に欠損が生じてしまう。ツールを選定する経営層は、自社の配車担当者の利便性だけでなく、末端のドライバーがいかにストレスなく操作できるかを最優先に評価すべきである。
HRテックの知見を活かした外国人ドライバー確保へのアプローチ
今回のロジテックの展示において高く評価すべきもう一つのポイントは、ITツールの提供に留まらず、キャムコムグループが持つHRテックの知見を活かした「アナログな労働力確保」へのアプローチを並行して展開している点だ。
どれほど優れた配車システムや管理簿の自動化ツールを導入しても、最終的にトラックのハンドルを握る人間がいなければ物流は機能しない。ロジテックは「ドライバーピット」や「外国人ドライバー紹介」といったソリューションを提示し、深刻化する人材不足に対して具体的な手立てを用意している。特定技能制度の拡充により、今後外国人ドライバーの受け入れは運送業界の重要な経営戦略となる。事前教育や言語の壁をサポートする人材サービスの統合は、現場のペインポイントを根本から解決する「コンパウンド(複合的)なソリューション」として極めて有効である。
参考記事: 合格率4%突破!入国14日で外国人ドライバーを即戦力化する事前教育3つのポイント
システム障害を見据えたBCP(事業継続計画)の重要性
実運送体制管理簿をはじめとする基幹業務をデジタルに依存する際、物流プロフェッショナルとして絶対に忘れてはならないのが、通信障害やクラウドサーバーのダウンに備えたBCP(事業継続計画)の策定である。
もし朝の出発ラッシュ時にアプリがフリーズし、車番の確認や配送指示が閲覧できなくなれば、現場はたちまち大混乱に陥る。デジタル化を推し進めると同時に、「システムが停止した場合は直ちに紙の台帳とホワイトボードでのアナログ管理に切り替え、事後にシステムへ一括入力する」といったエスカレーションルールをあらかじめ定めておくことが、真に強靭な物流体制を構築する絶対条件となる。
まとめ:明日から始めるべきアナログ管理からの即時脱却
「第7回 関西物流展」における株式会社ロジテックの発表は、法改正という巨大な外圧に対して、物流業界がいかにして適応すべきかを示す明確な道標となった。「25アプリ」に代表されるデジタルツールを活用し、配送依頼から完了報告、そして実運送体制管理簿の作成までを一気通貫で処理する体制への移行は、もはや選択肢ではなく義務である。
経営層や現場のリーダーが明日から意識すべきことは、紙や電話のバケツリレーによる属人的な管理から即時脱却する決断を下すことだ。システム導入コストを惜しんでコンプライアンス違反による事業停止リスクを抱えるか、それとも積極的なDX投資によって荷主からの絶対的な信頼と価格交渉力を勝ち取るか。激動の物流業界を生き抜くためのタイムリミットは、すでに切られている。
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