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ニュース・海外 2026年5月7日

東邦HD・サノフィの新幹線活用に学ぶ!強靭な医薬品物流を築く3つの海外事例

東邦HD・サノフィの新幹線活用に学ぶ!強靭な医薬品物流を築く3つの海外事例

物流の「2024年問題」が現実のものとなり、長距離トラック輸送の維持が困難になる中、日本の医療物流において画期的な実証実験が成功を収めました。製薬大手の仏サノフィと医薬品卸大手の東邦ホールディングス(東邦薬品)が、新幹線「のぞみ号」を活用して、厳格な温度管理が求められるインスリン製剤の緊急輸送を実現したニュースです。

なぜ今、日本企業がこの事例に注目し、さらに海外のトレンドを知る必要があるのでしょうか。それは、トラック輸送への過度な依存から脱却し、災害時にも「絶対に供給を止めない」強靭なサプライチェーン(BCP)を構築する動きが、日本だけでなく世界的な潮流となっているからです。

本記事では、この新幹線輸送の成功をフックに、米国や中国、欧州で加速している医薬品の高付加価値モーダルシフト(鉄道・航空連携)の最新動向を解説し、日本の経営層やDX推進担当者が今すぐ現場に応用できる実践的なヒントを紐解きます。

海外の最新動向:脱炭素とBCPが牽引する「トラック離れ」

世界中の製薬メーカーや物流企業は現在、パンデミックや地政学的リスク、そして異常気象という未曾有の危機に直面しています。これに対抗するため、欧米やアジアでは「輸送モードの多重化(マルチモーダル化)」が急速に進んでいます。

欧州では、厳格な環境規制(EUタクソノミーなど)に対応するため、Scope3(サプライチェーン排出量)の削減が至上命題となっています。そのため、長距離トラックの代わりに環境負荷が低い鉄道(インターモーダル輸送)への切り替えが急加速しています。
また、広大な国土を持つ米国では、トラックドライバーの労働時間規制(HOS)の厳格化に伴い、600から1000マイル(約960から1600km)の「中距離圏」において鉄道シフトが最も効果的なスイートスポットとして再評価されています。

一方、アジアに目を向けると、より「スピード」と「定時性」に特化した高速鉄道物流が巨大な市場を形成しつつあります。

先進事例:中国「高鉄快運」と欧米のインターモーダル網

サノフィと東邦HDによる新幹線輸送は、日本では先進的な取り組みですが、海外ではすでに高速鉄道や貨物鉄道網を利用した医薬品のコールドチェーン(低温物流)が実用化・スケール化されています。

中国:巨大市場を支える「高鉄快運(CR Express)」の衝撃

中国では、全国に張り巡らされた総延長4万キロを超える高速鉄道網(HSR)を活用した物流サービス「高鉄快運」が急成長しています。特に医薬品やワクチン、生鮮食品などの高付加価値商材の輸送において、圧倒的なシェアを獲得しています。

成功の要因は、旅客列車の空きスペース(荷物専用車両や座席の隙間)をオンデマンドで活用する柔軟性と、高性能なパッシブ保冷ボックスの標準化です。外部電源を必要としない特殊な蓄冷材を用いたボックスにより、北京から広州といった数千キロの距離を、トラックの数分の一のリードタイム(即日または翌日)で、かつ厳格な温度管理を保ったまま輸送しています。

米欧:可視化テクノロジーによるブラックボックスの解消

米国や欧州の鉄道シフトにおける最大の成功要因は「可視化テクノロジー」の導入です。鉄道輸送はトラックに比べて現在地が把握しづらいという弱点がありましたが、米国の物流大手などは自社コンテナにGPSセンサーや開閉検知カメラを取り付け、WMS(倉庫管理システム)と連携させています。これにより、医薬品輸送に不可欠なGDP(適正流通基準)を満たしたリアルタイムな状態監視を実現しています。

以下の表は、各地域の医薬品輸送における鉄道・高速鉄道活用のトレンドを比較したものです。

地域 主力となる輸送モード 解決している主な課題 日本への示唆・共通点
日本 新幹線および貨物鉄道 ドライバー不足対策。有事のBCP。 サノフィ事例のような定時性の担保。
中国 高速鉄道(高鉄快運) 広大な国土での即日・翌日配送。 パッシブ保冷技術による電源不要化。
欧州 インターモーダル輸送 環境規制対応(Scope3削減)。 GDP準拠の厳格な品質管理基準。
米国 中距離鉄道シフト スポット運賃高騰回避と労務管理。 IoTセンサーによるリアルタイム可視化。

参考記事: 米国に学ぶ「約1000kmの鉄道シフト」を成功させる3つの可視化戦略

日本への示唆:海外事例から学ぶ「次世代のBCP戦略」

サノフィと東邦HDの成功事例や海外の動向を踏まえ、日本の物流企業やメーカーが今すぐ取り入れるべきポイントは以下の3点です。

1. 「パッシブコンテナ技術」による制約の突破

東邦HDが独自開発した定温搬送装置「サルム(SARM)」は、外部電源なしで長時間の温度維持を可能にしました。中国の高鉄快運と同様に、インフラ側(鉄道の車両)に大掛かりな冷蔵設備を求めるのではなく、梱包技術(ハードウェア)の進化によって「どんな乗り物でも医薬品を運べる」状態を作ったことが最大のブレイクスルーです。日本企業は、このパッシブ技術への投資を最優先すべきです。

2. 「攻めのBCP」へのマインドチェンジ

災害が起きてから代替ルートを探す「受動的なBCP」は機能しません。新幹線や貨物鉄道といった代替インフラを平時から開拓し、小ロットでも日常的に流しておくことが重要です。平時の物流効率化(ドライバー不足対策)と有事の強靭化を同時に満たす「攻めのBCP」こそが、企業のブランド価値を守る盾となります。

参考記事: サノフィ・東邦薬品が新幹線輸送実証|医療物流BCPの新たな解

3. 「駅の物流ハブ化」とラストワンマイルの連携

新幹線や鉄道による幹線輸送が確立されても、駅から病院や納品先までのラストワンマイルが繋がらなければ意味がありません。武田薬品工業らが取り組む31ft大型コンテナによる貨物鉄道網の活用のように、トラックの荷台と同じ感覚で積み替えができ、かつIoTトラッカーで位置情報を荷主自身が監視できる仕組みづくりが不可欠です。都市部の主要駅に医薬品専用の一時保管・クロスドック拠点を設け、そこからEV軽バンで配送するような新しいエコシステムの構築が急務です。

参考記事: 武田薬品らが国内初導入|31ft温度管理コンテナで変える医薬品物流

まとめ

東邦HDと仏サノフィによる新幹線を活用した医薬品輸送の実証は、単なる国内の実験にとどまらず、世界中で進行している「物流インフラの強靭化とマルチモーダル化」という巨大なトレンドの最前線に位置しています。

環境対応、労働力不足の解消、そして災害時の安定供給。これら全てを同時に解決するためには、既存のトラック輸送の常識を捨て、鉄道や最新のテクノロジーを柔軟に組み合わせるアジャイルな思考が必要です。経営層やDX推進担当者は、この成功事例をベンチマークとし、自社のサプライチェーンを「絶対に止まらない」次世代のモデルへと変革させる第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


出典: 日刊工業新聞(東邦HD・仏サノフィ、有事に強靭な医薬品物流 新幹線活用 遅延最小限)
出典: China Railway Express (CR Express) 公式情報および関連報道

監修者プロフィール
近本 彰

近本 彰

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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