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Home > サプライチェーン> 改正物流効率化法の内容を知らない四国企業が7割、荷主の事業継続リスクに直結
サプライチェーン 2026年6月25日

改正物流効率化法の内容を知らない四国企業が7割、荷主の事業継続リスクに直結

改正物流効率化法の内容を知らない四国企業が7割、荷主の事業継続リスクに直結

2026年6月25日、四国地方の企業を対象とした衝撃的な調査結果が発表されました。2025年の施行(および2026年4月の主要義務本格適用)を経た「改正物流効率化法」について、四国の企業の7割強がその内容を「知らない」と回答したのです。

物流の「2024年問題」への強力な国主導の対策として成立した同法は、運送事業者だけでなく、荷主企業(製造業、小売、卸など)に対しても物流効率化に向けた努力義務や、特定規模以上の事業者への中長期計画作成・CLO(物流統括管理者)の選任といった、極めて厳格な義務を課しています。

すでに制度が本格稼働している現在、この驚くべき認知不足は、地方圏における対応の致命的な遅れを露呈する形となりました。法対応の遅れは、コンプライアンス違反(企業名公表、過料など)にとどまらず、配送網の停滞、そして「運送会社から選ばれない荷主」となることによる事業継続の危機に直結します。本記事では、この事態の深刻さと、荷主企業が今すぐ取るべき必須対応を専門的視点から解説します。


ニュースの背景・詳細

今回の調査は、四国地方のサプライチェーン関係企業を対象に、KSB瀬戸内海放送が実施したアンケート結果に基づいています。調査対象は、荷物を出す・受け取る「荷主企業」を含む多様な事業者です。

調査結果と法改正スケジュールの要点

以下に、今回のアンケート結果と、法改正が辿ってきた時系列の動きをテーブルに整理しました。

項目 詳細・事実関係 経営層や実務者が重視すべきポイント
調査発表日 2026年6月25日発表。 すでに改正法の主要義務が本格稼働しているタイミング。
調査主体と対象 KSB瀬戸内海放送。四国地方のサプライチェーン関係企業。 地方圏における中小荷主・事業者のリアルな現状を反映。
衝撃の数値 7割強の企業が改正物流効率化法の「内容を知らない」と回答。 制度の核となるべき「荷主側の当事者意識」の著しい欠如。
法改正のスケジュール 2024年5月に法改正成立・公布。2025年施行。2026年4月に特定荷主の義務が本格適用。 2025年度の取扱実績を基準に、すでに特定荷主の判定や義務化が始まっている。
法が課す主な義務 特定荷主(年間9万トン以上)へのCLO選任、中長期計画作成、定期報告。 違反時は最大100万円の過料や、最も致命的な「企業名公表」が下される。

この調査結果が示す最大の問題は、多くの企業が物流を依然として「他人事(運送会社任せ)」と捉えている点にあります。しかし、改正物流効率化法は「荷主の当事者責任」を法的義務として定めた歴史的な転換点です。知らなかったでは済まされないペナルティの影が、地方の荷主企業に迫っています。

参考記事: 2026年施行!改正物流効率化法で発・着荷主が負う3大義務と罰則回避の必須対策


業界への具体的な影響

今回の「認知不足」という事態は、サプライチェーンを構成する様々なプレイヤーに異なる影響と、構造的な地殻変動をもたらします。

製造業者・メーカー・小売業(荷主企業):知らなかったでは済まされない「法令違反」の罠

年間貨物取扱重量が9万トン以上の「特定荷主」に該当する大企業や、グループ全体で物量を合算して該当する企業にとって、この「知らない」という事態は致命的な経営リスクです。

特定荷主には、役員級の「物流統括管理者(CLO)」の選任や中長期計画の策定、年1回の定期報告がすでに義務付けられています。取り組みが不十分とみなされ、行政の指導や是正命令を無視し続けた場合、最大100万円の罰則や、ESG投資の評価や採用活動、取引先への信頼を失墜させる「企業名の公表」という社会的厳罰が下されます。

また、年間9万トンを下回る中小荷主であっても、改正法による「努力義務」は一律で課されており、荷下ろしや検品、ラベル貼りといった「付帯作業」の書面契約化や、長時間の待機の是正が求められます。認知していないこと自体が、コンプライアンス違反への道を突き進んでいると言っても過言ではありません。

行政・規制当局:形骸化する「物流革新」へのテコ入れと地方啓発の再強化

国交省や経産省は、「2024年問題」の報道やマスコミの過熱に対し、具体的な法規である「改正物流効率化法」が、大都市圏以外の地方圏にまで浸透していない現状に頭を悩ませています。

すでに「トラックGメン」などの稼働により、長時間の荷待ちや不当な手荷役を課す悪質な荷主への監視・勧告体制は強化されていますが、今回の調査が示すような「そもそも法律を知らない」層に対しては、単なる取り締まりだけでは効果が薄いという実態が明らかになりました。今後は、地方の商工会議所や地方運輸局を通じた、より実務に即した普及啓発活動や、個別の中小企業に対する「攻め」のDX支援(補助金制度の再アナウンス等)が急速に進められると予想されます。

運送事業者:法対応を武器にした「選ばれる運送会社」へのコンサル営業のチャンス

一方で、運送事業者(3PLや元請運送会社)にとっては、荷主企業の認知不足はピンチではなく、絶好の「ビジネスチャンス」に成り得ます。

荷主が法律の内容を知らないということは、運送会社側から「改正法に基づく適正な取引条件の改定」を主導できるチャンスです。例えば、以下のような交渉を強気に展開することが可能となります。

  • 「改正物流効率化法により、荷待ち時間の2時間以内(目標1時間以内)への短縮や、付帯作業の分離・料金化が法的義務とされています。当社のシステムを導入して、共同で改善を進めませんか?」
  • 「バース予約システムを導入して待機時間を可視化することで、御社が国に提出する中長期計画の策定データをサポートできます」

このように、法対応をコンサルティングの切り口とし、荷主企業のコンプライアンス対策を支援しながら「選ばれる運送会社」として強固なパートナーシップを築く営業戦略が有効です。

構造的変化:物流が「コスト」から「経営責任」へ強制シフト

この法改正の最大の意味は、物流を「運送会社だけの問題」から「荷主の経営責任」へと強制的にシフトさせた点にあります。これまでは、過酷な長時間労働や無償の手荷役は運送会社の自己犠牲によって隠蔽されてきましたが、法改正はそうした商慣習の打破に向けた最大の「武器」となります。

四国における「7割が内容を知らない」という認知の低さは、裏を返せば、これから改善・効率化を進めることで「無駄を削減できる余地が非常に大きい」ことをも意味しています。地方から始まる、物流の「経営課題化」という地殻変動が、今まさに起ころうとしています。

参考記事: 【改正物流効率化法】特定荷主に課される3つの義務と罰則リスク回避のポイント


LogiShiftの視点(独自考察):認知不足が引き起こす「地方物流難民化」と生き残るための3つの処方箋

四国の企業における「改正物流効率化法の認知の低さ」は、単なる地方都市の情報タイムラグとして片付けるべき問題ではありません。LogiShiftでは、この対応の遅れが「都市部と地方圏の物流格差(地方の物流難民化)」を決定的に広げる引き金になると危惧しています。

今後、この荒波を乗り越えるために企業はどう動くべきか、3つの戦略的提言を行います。

1. 「名ばかりCLO」を排除し、職務権限規定を改定せよ

特定荷主に該当する企業は、形だけのCLO(物流統括管理者)を選任する「名ばかりCLO」の罠に陥ってはいけません。CLOを真に機能させるためには、取締役や執行役員クラスを就任させ、職務権限規程に他部門(営業・製造)に対する「物流改善命令権」を明文化することが不可欠です。

  • 「CLOの承認を得ない特急配送・小口配送は、追加コストを原因となった営業部門の販管費に直接配賦する」
  • 「営業が要求する過剰な短納期納品を拒否する権限をCLOが持つ」

こうしたトップダウンの仕組みがなければ、部門間のセクショナリズムに阻まれ、荷待ち時間の削減も積載率の向上も絵に描いた餅に終わります。

2. 「選ばれる荷主」への投資:地方企業ほど待ったなし

2030年には国内の輸送能力が約34%不足すると試算される中、運送会社はすでに「荷主の選別」を始めています。特に、配送効率が低く、荷待ち時間が長い割に運賃の低い地方の仕事は、物流事業者から真っ先に敬遠されます。

地方の企業こそ、運送事業者から「選ばれる荷主」にならなければ、自社の商品を「運んでもらえない」という深刻な物理的供給途絶(物流難民化)に直面します。

  • バース予約受付システム(MOVO Berth等)の導入による待機時間の劇的削減
  • パレット(T11型)の標準化による手下ろしの削減
  • 「運賃」と「付帯作業料」の明確な分離と、適正な対価支払い

これらはコストではなく、地方企業が事業を継続するための「必須の投資」です。

3. 「総合効率化計画」を活用した攻めのDX投資

厳しい義務化の一方で、政府はモーダルシフトや共同配送などの物流改善に前向きな企業を強力に支援しています。

同業者や運送会社と連携して「総合効率化計画」を策定し、国の認定を受ければ、大型の補助金獲得(マテハン機器やシステムの導入支援)や法人税の特別償却、固定資産税の5年間軽減といった、絶大な税制優遇を受けることができます。

認知不足で立ち遅れている今こそ、この「アメ」の制度をいち早く活用し、国の補助金を回収サイクルに組み込んだ形で最新の自動化設備やWMS(倉庫管理システム)を導入すべきです。これにより、コンプライアンス遵守と同時に、競合他社を圧倒するサプライチェーンの筋肉質化を実現できます。

参考記事: 特定荷主とは?物効法・省エネ法の違いから実務対策まで徹底解説


まとめ:明日から意識すべきアクションプラン

改正物流効率化法は、すでに本格稼働のデッドラインを超えています。「知らない」では済まされない時代において、経営層や現場リーダーが明日から直ちに実践すべき4つのアクションを整理しました。

  • 1. 自社およびグループ全体の年間貨物取扱重量を正確にトラッキングする
  • 自社が特定荷主(9万トン以上)に指定される可能性があるか、データを全社横断で集計する。
  • 2. 権限と予算を持った「CLO(物流統括管理者)」の選任に向け、社内調整を開始する
  • 営業や製造にメスを入れられる、役員級のCLO体制を組織化する。
  • 3. バース予約システム等のデジタルツール導入を検討し、待機時間を「分単位」で可視化する
  • まずは荷待ち時間の正確な記録から始め、行政への定期報告のエビデンスを確保する。
  • 4. 運送会社に対し、運賃と付帯作業(荷役、ラベル貼り等)の明確な書面契約化を提案する
  • パートナーとしての信頼関係を築き、「選ばれる荷主」としての不動の地位を確立する。

物流は、これまでの「現場のコスト問題」から「企業の生存を左右する経営戦略」へと完全に再定義されました。地方圏の企業こそ、一刻も早くこの眠りから目覚め、変革の一歩を踏み出さなければなりません。

出典: エキサイトニュース

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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