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サプライチェーン 2026年7月9日

フィジカルインターネット成熟度モデル「PIMM」2026年7月3日認証開始でCLO改革が加速

フィジカルインターネット成熟度モデル「PIMM」2026年7月3日認証開始でCLO改革が加速

2026年7月3日、一般社団法人フィジカルインターネットセンター(JPIC)は都内で「フィジカルインターネットフェス2026」と「CLOカンファレンス2026」を同時開催しました。本イベントにおける最大のトピックは、共同物流やサプライチェーンの進捗を客観的に評価する認証制度「フィジカルインターネット成熟度モデル(PIMM)」のバージョン1.0の策定完了、および同日付での認証審査受付開始です。これにより、これまで抽象的だった各企業の物流効率化・標準化の進捗が客観的な数値として可視化される基盤が整いました。

また、同イベント内では、改正物流効率化法によって選任が義務化された「物流統括管理者(CLO)」の役割についても熱い議論が交わされ、単なる法令遵守(コンプライアンス対応)にとどまらず、社会課題の解決や経営戦略の主軸として物流を捉え直す「あるべき姿」が強く提示されました。


ニュースの背景:可視化指標「PIMM」策定とCLOに求められる経営的役割

深刻化する輸送力不足(2024年・2026年問題)と持続可能な物流体制の構築に向け、荷主企業と物流事業者の強固なパートナーシップが不可欠となっています。今回のイベントで発表された内容と、議論された主要なアジェンダは以下の通りです。

「フィジカルインターネットフェス2026」&「CLOカンファレンス2026」の概要

セッション / 発表項目 主な発表主体・登壇者 主な発表内容・議論のテーマ 業界に提示された重要メッセージ
PIMMバージョン1.0策定完了 フィジカルインターネットセンター(JPIC)奥住智洋事務局長 共同物流やサプライチェーンの進捗を評価・認証する制度の開始(2026年7月3日受付開始)。 物流改善の進捗を客観的な指標で評価。自社の立ち位置を把握し、改善の道標とする。
先進企業によるPI実装事例紹介 オプティマインド、souco、東京海上ホールディングス、日清食品、JR貨物、SST、ハコベルなど 自動車部品の共同配送、フレキシブル建材拠点、物流コンソーシアムbaton、鉄道モーダルシフト連携、リソースオープン化など。 個社最適の限界を突破する、業界の垣根を越えた「共創」の具体的事例。
行政・学術講演「CLOのあるべき姿」 経済産業省(平林孝之課長)、流通経済大学(矢野裕児教授) 改正物流効率化法におけるCLOの意義と、法令上の職責を超えた「社会課題対応」「経営戦略としての先導」の必要性。 CLOは単なる法令遵守担当者ではない。広く社会課題に対応し、企業活動全体の改革を牽引すべき。
パネルディスカッション「CLOの役割とパートナーシップ」 矢野裕児教授(司会)、ダイキン工業(生地幹氏)、梅の花グループ(三井田浩二氏)、ロジスティード(櫻田崇治氏)、経産省(平林氏) 荷主と物流事業者の信頼関係、トレードオフの調整と課題共有、物流事業者側からの積極的な共同化提案。 物流を社会インフラと捉え、対等なパートナーシップで必要なトレードオフを乗り越える。

参考記事: フィジカルインターネットセンターが示す2026年4月CLO義務化への必須対応


荷主・物流事業者・テクノロジーベンダーに与える業界インパクト

PIMMバージョン1.0の認証開始と、CLOの「あるべき姿」の提示は、サプライチェーンに携わる各プレイヤーの役割や関係性を大きく変容させます。

1. 製造業者・メーカー・小売業(荷主企業)への影響

荷主企業にとって、CLOは単なる「物流部長の肩書変更」であってはなりません。改正物流効率化法が求めるCLOの選任(2026年4月本格義務化)に伴い、経営層として営業や生産部門の慣行にメスを入れる強い覚悟が必要です。

これまでは「顧客優先」の営業が突発的な特急便を要請し、生産部門が「工場稼働率」を優先して在庫を押し出すことで、物流現場に深刻なトレードオフ(負荷)を強いてきました。CLOはこれらの部門間サイロを打破し、PIMMを客観的な「健康診断書」として活用しながら、全社最適なサプライチェーン改革を牽引することが義務付けられます。

参考記事: 改正物流効率化法で特定荷主3000社超に2026年4月CLO選任が義務化へ

2. 倉庫事業者・3PL(サードパーティ・ロジスティクス)への影響

物流事業者側も、「言われた通りに荷物を運ぶ・保管する」という受託型ビジネスからの脱却が必要です。ロジスティードの櫻田崇治氏がカンファレンスで指摘したように、事業者側も積極的に共同物流や効率化を提案する「ロジスティクスプロデューサー(LPD)」への進化が求められます。

PIMMの認証を受けることで、自社の標準化レベルや共創対応力を可視化し、荷主企業のCLOに対して「協調領域における最適なパートナー」として論理的な提案を行うことが、今後の最大の差別化要因となります。

3. SaaS・テクノロジーベンダーへの影響

フィジカルインターネット(PI)の実装やPIMMのスコアアップ、さらには荷待ち時間削減(原則2時間以内、目標1時間以内)をクリアするためには、アナログな管理は完全に限界を迎えます。

バース予約受付システムや動態管理システム(TMS)、倉庫管理システム(WMS)などを提供するテクノロジーベンダーには、単一ツールとしての機能提供にとどまらず、各社や各拠点を結びつける「データ連携のインターフェース」としての役割がさらに重要になります。Hacobuが推進するような「国内物流拠点のデジタルネットワーク化」を支えるインフラとして、標準化されたデータ連携を可能にすることが求められています。

参考記事: 株式会社Hacobuが11万拠点連携へ、2026年4月CLO義務化への必須対応


LogiShiftの視点(独自考察):PIMMは将来の「参入資格」へ。物流はコストから成長インフラへ

物流は、これまでの個別企業による「競争領域(囲い込み)」から、社会全体で共通化する「協調領域(シェアリング)」へと、歴史的なパラダイムシフトの渦中にあります。この変革において、PIMMの策定完了と認証開始が持つ意味は極めて重大です。

PIMMはポジティブな「自己診断」から、事実上の「ライセンス」へ変貌する

現在、PIMMは任意の認証制度としてスタートしましたが、数年以内にはこれが荷主・物流事業者双方にとってサプライチェーンへの「参入資格(ライセンス)」になると予測します。

政府が主導するPI(フィジカルインターネット)ロードマップにおいて、各種補助金の交付要件や公共入札の参加資格、さらには大手メーカー同士の共同配送ネットワークへの参加基準に「PIMMレベル〇以上」といった条件が盛り込まれる可能性は極めて高いでしょう。

「自社の物流がどれだけ特別か」を誇る時代は終わりました。これからは、「自社の物流がどれだけ標準化されており、誰とでも繋がれるか(PIMMによる証明)」が企業の競争優位性を左右します。

「トレードオフの現実的解決」を担う、CLOのリーダーシップ

梅の花グループの三井田浩二氏が語ったように、物流には常に「営業」「製造」「物流」の間のトレードオフが存在します。これを綺麗事の全体最適で片付けるのではなく、CLOはデータを起点に「どちらの痛みを許容し、どこを標準化するか」を決定しなければなりません。

PIMMバージョン1.0という世界初の定量指標が誕生したことで、CLOは自社の現在地を客観的に役員会で示すことができるようになりました。物流を「コスト」から「企業成長を先導する最大の経営戦略インフラ」へと転換するための最強の武器が手に入ったのです。

参考記事: 物流総括管理者設置義務とは?2026年施行に向けた対象基準と実務対応を徹底解説


まとめ:明日から経営層と現場リーダーが実践すべきアクション

2026年4月の改正物流効率化法の施行、そして2026年7月3日のPIMM受付開始により、物流改革は「構想」から「完全なる実装」のフェーズへと移りました。明日から着手すべきアクションプランは、以下の3点に集約されます。

  • アクション1:PIMMの評価軸をベースにした「自社物流の簡易自己診断」の実施
    • 自社のデータ標準化レベル、他社との連携可能性が現在どの位置にあるのか、公開されているPIMMの評価基準と照らし合わせて客観的に点検する。
  • アクション2:CLOを中心とした、営業・生産・ITを内包する「横断チーム」の組織化
    • 物流部門だけで解決しようとせず、経営トップ直轄で他部門を巻き込む「CLO室(仮)」等の組成を急ぐ。営業のリードタイム緩和やパレット標準化(11型など)のルール設計に他部門を参画させる。
  • アクション3:特定の配送ルートや協力会社との「共同物流(協調領域)」のスモールスタート
    • 最初から完璧な全社最適を目指さず、特定の取引先や主要路線を1つ選定し、中継輸送やモーダルシフト、共同配送のテスト運用を開始して社内に成功体験を創出する。

物流は、企業価値を高めるための「最優先の経営課題」です。PIMMという羅針盤と、CLOとしての経営的覚悟を手に、次世代のサプライチェーン構築に向けて力強い第一歩を踏み出しましょう。


出典: カーゴニュースオンライン

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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