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Home > 輸配送・TMS> 国土交通省2024年4月調査で非対面受取が31.0%突破|都市部高止まりへの必須対応
輸配送・TMS 2026年7月10日

国土交通省2024年4月調査で非対面受取が31.0%突破|都市部高止まりへの必須対応

国土交通省2024年4月調査で非対面受取が31.0%突破|都市部高止まりへの必須対応

国土交通省は2024年7月10日、大手宅配事業者を対象に実施した「宅配便の受取方法および再配達率に関する調査(2024年4月調査分)」の結果を公表しました。

今回の調査における最大のエポックメイキングは、宅配ボックスや「置き配」をはじめとする非対面での受取割合が「31.0%」に達し、調査開始以来初めて3割の壁を突破した点です。これは、前回調査(2023年10月)の29.9%から1.1ポイントの増加となり、消費者側における受取行動の変容が着実に進んでいることを裏付けています。

一方で、物流業界の持続可能性を占う最重要指標である「再配達率」は、前回調査から0.7ポイント減少し、約7.6%へと改善しました。ドライバーの労働時間規制が強化された「物流の2024年問題」のただ中にあって、この数値の低下は好材料です。しかし、地方部では6.0%まで低下が進む一方、都市部では8.5%と依然として高止まりしており、顕著な地域格差(エリアバイアス)という構造的課題が浮き彫りになっています。

本記事では、この最新の公的データが示す真の意味と、EC事業者、運送事業者、行政・規制当局などのステークホルダーに与える具体的なインパクトを多角的に検証します。


国土交通省発表:2024年4月調査のファクト整理

まずは、2024年7月10日に国土交通省が発表した調査結果の主要データをテーブルで整理します。

調査項目 最新数値(2024年4月調査) 前回数値(2023年10月調査) 変動幅・増減トレンド
非対面受取割合 31.0% 29.9% 1.1ポイント増(初の3割突破)
全国平均再配達率 約7.6% 約8.3% 0.7ポイント減(改善傾向)
都市部再配達率 8.5% 9.1% 0.6ポイント減(依然として高止まり)
地方部再配達率 6.0% 6.8% 0.8ポイント減(順調に改善進行)

調査結果から読み解く5W1Hと社会的背景

  • Who(発表主体):国土交通省
  • When(日時):2024年7月10日発表(2024年4月調査分。年に2回、宅配便の再配達率と併せて継続調査を実施)
  • Where(対象・場所):日本国内の宅配便配送網、および大手宅配事業者(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便など)
  • What(調査内容):宅配ボックス、「置き配」、対面手渡しなどの受取割合、および再配達率の推移
  • Why(背景と狙い):2023年3月31日に閣議決定された「総合物流施策大綱」および関係閣僚会議が策定した「緊急パッケージ」に基づき、再配達の削減と消費者の利便性向上を両立させるための進捗管理。政府は、2030年度までに「多様な受取方法の利用率」を50%程度(2023年2月時点の25.6%から倍増)に引き上げる意欲的な目標を堅持しています。
  • How(手段):大手宅配事業者の配送データおよびサンプリング調査の統合分析

業界別:受取非対面化「3割突破」がもたらす影響

非対面受取割合が3割を超え、再配達率が7.6%に低下したというファクトは、物流に関わる各プレイヤーに異なる変革を迫っています。

EC事業者:配送オプションの提示が「カート放棄」を防ぐ鍵に

EC市場の拡大に伴い、顧客が「どう受け取るか」を選択するプロセスを決済直前のカート画面で最適化することが、配送料高騰を抑える切り札となっています。

チェックアウト画面におけるUI/UXの改修

これまでは「日時指定」が主流でしたが、今後はデフォルトで「置き配」や「宅配ボックス」「最寄りの店舗受取」を推奨するUI設計が求められます。受取方法が限定されるECサイトは、多忙な消費者から敬遠され「カゴ落ち(カート放棄)」を招くリスクが高まっています。

補償スキームの構築とCS部門の対応

置き配や非対面受取の増加に伴い、発送後の「盗難・水濡れ・破損」における責任分界点(免責事項)の明確化が不可欠です。独自に置き配補償の保険を付帯させるなど、消費者が安心して非対面を選択できる制度設計が求められます。

参考記事: 置き配サービス完全ガイド|利用者・EC事業者・物件オーナー別の導入メリットと最新動向

運送事業者:都市部8.5%を切り崩す「ラストワンマイルの局所最適」

都市部での再配達率が8.5%と高止まりしている現状は、運送事業者の採算性を著しく圧迫しています。

都市部タワーマンションおよびオートロックの壁

都市部での再配達の最大の要因は、物理的なエントランスのオートロックを突破できない点にあります。各住戸の玄関前への置き配や戸別宅配ボックスへのアクセスを確保するため、スマートロック(一時解錠システム)を保有する管理組合や不動産テクノロジー企業とのアライアンスが喫緊の課題です。

配送密度(ラストワンマイルの積載効率)の向上

非対面配送は、対面手渡し(玄関先での呼び出しから受け取り完了まで平均3〜5分)に比べ、1件あたりの配送完了時間を大幅に短縮(約1分)できます。この空いたリソースを、高密度な巡回ルートの再設計(ルーティングの最適化)に投資することで、配送1件あたりのコスト(CPP)を極小化するフェーズに入っています。

参考記事: 宅配ボックス完全ガイド|種類・使い方から物流現場の最新トレンドまで徹底解説

行政・規制当局:インフラ整備の補助と制度的インセンティブの強化

政府が掲げる「2030年度までに多様な受取方法の利用率を50%程度にする」という数値目標は極めて高く、現状の31.0%からはさらなる飛躍が必要です。

宅配ボックス設置・スマートロック導入への補助金拡充

特に再配達率が下がらない都市部の中小規模アパートや、後付けの分譲マンションに対する宅配ボックス設置費用、スマート入館システムの導入費用の助成をさらに加速させる必要があります。

消費者へのエシカル訴求

「再配達=環境負荷(CO2排出増)」や「ドライバーの労働力浪費」という事実を、ポスターやポイント還元キャンペーンなどのPR素材を用いて社会に広く啓発する「エシカル消費(エシカル配送)」の定着を後押しする姿勢が鮮明になっています。

参考記事: 再配達削減とは?2024年問題を防ぐ具体的対策と次世代物流への展望


LogiShiftの視点:対人から「非同期の社会インフラ」への完全変質

今回の調査結果について、LogiShiftは「単なる配送効率化の数値が改善した」というレベルにとどまらず、日本の物流が「対人サービス」から「非同期のインフラサービス」へと完全に変質し始めたことを示す決定的な指標であると捉えています。

物流の非同期化(Asynchronous Logistics)の到来

従来の日本の宅配便は、世界に類を見ない「時間帯指定」と「玄関先での丁寧な対面手渡し」という、極めて労働集約的で過保護なサービスの上に成り立っていました。しかし、生産年齢人口の激減とドライバーの労働規制が課された現在、このビジネスモデルを維持することは不可能です。

非対面受取が3割を突破したということは、消費者が「リアルタイムでドライバーと時間軸を合わせる(同期する)」ことを放棄し、宅配ボックスや置き配、スマートロックを介して「自分の都合の良い時間に、モノを回収する(非同期化する)」という新しい生活様式を正式に受け入れたことを意味します。物流は、電気や水道と同じように、背後で静かに動き続ける「インフラ」へと進化を遂げつつあるのです。

2030年度目標「50%」へのマイルストーン

国交省の描く「2030年度までに50%」を達成するための現実的なロードマップを以下に提言します。

  • フェーズ1(2024〜2026年):物理インフラの強制設置と解錠の規格化
    都市部のオートロックマンションや、玄関先に置き配スペースがない狭小アパートに対する、スマートロック解錠キーのプラットフォーム連携(どの配送会社のドライバーでもワンタイムで解錠・入館できる通信規格の統一)を完了させる。
  • フェーズ2(2027〜2028年):ダイナミック・プライシングと配送ポイントの標準化
    「置き配」や「店舗・ロッカー受取」を選択した顧客に対する配送料金の割引、またはポイント付与をEC事業者のデフォルト機能とし、対面での一発受取が困難な単身世帯の配送選択を完全に誘導する。
  • フェーズ3(2029〜2030年):自動化ロボット・AGVとの非対面ドッキング
    マンションの共用宅配ボックスや各住戸の玄関前ポートが、自動運転配送ロボット(AGV)や将来的なドローンからの荷物を自動で受け取り施錠する「物理デバイスのIoT連携」を一般化させる。

今後、この非同期物流のネットワークをいち早く自社のサプライチェーンに組み込み、システムエラーや通信障害時にもアナログなフェイルセーフ(WMSのバッチ処理や手書き伝票の予備管理)を確立できた企業だけが、高騰するラストワンマイル料金を回避し、持続可能な競争力を手にすることになります。


まとめ:明日から意識すべきこと

  • 経営層・物流担当者:自社のECカートのデフォルト配送オプションを「対面」から「非対面(置き配・宅配ボックス・拠点受取)」へ変更する検討をただちに開始する。また、配送キャリアとの運賃交渉において、自社出荷分の「再配達率」を削減するためのアクション(注文確定後の伝票番号LINE通知など)を戦略的な切り札(交渉カード)として活用する。
  • 不動産オーナー・管理会社:都市部の再配達率8.5%という数字は、物件の価値(住みやすさ)に直結する課題です。宅配ボックスの新規設置や、スマートロックを活用した置き配対応は、入居率の維持・向上のための「必須インフラ投資」として予算化を推進する。
  • 消費者:1回で確実に受け取れる「スマートな受取行動」を選択することが、結果として配送料金の上昇を抑え、日本の迅速な配送網を次世代へ引き継ぐ唯一の方法であることを理解する。

出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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