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倉庫管理・WMS 2026年7月24日

特定技能採用に53.9%が前向き!G.A.グループ調査が示す現場の必須対応

特定技能採用に53.9%が前向き!G.A.グループ調査が示す現場の必須対応

ピッキングや仕分けの欠員で出荷が遅れ、連日の残業や誤出荷の頻発に頭を痛める倉庫経営者や現場リーダーは少なくありません。2026年1月の在留資格「特定技能」への物流倉庫追加を受け、経営者の53.9%が外国人採用に前向きな姿勢を示していますが、単に人員を穴埋めするだけでは現場の課題は解決しません。言葉の壁や作業手順の不備、さらに制度が求めるDX要件への対応など、受け入れ体制の構築こそが稼働安定の鍵を握ります。

倉庫業経営者の53.9%が前向きな「特定技能外国人採用」の実態

G.A.グループの調査結果に見る人手不足のリアル

外国人材採用支援を手掛けるG.A.グループ株式会社が2026年7月22日に発表した「倉庫業の特定技能外国人の採用意向に関する調査」(全国の倉庫業経営者330人を対象)によると、自社の倉庫運営において人手不足を「非常に感じている(24.2%)」または「やや感じている(31.5%)」と答えた経営者は計55.7%に達しました。

特に欠員が深刻化している工程として、以下の作業が挙げられています:

  • 1位:ピッキング・仕分け(41.8%)
  • 2位:積み込み・荷下ろし(40.2%)
  • 3位:検品・梱包(31.5%)
  • 3位タイ:入出庫管理(31.5%)

電子商取引(EC)の急拡大に伴う多品種小ロット化や荷姿の多様化により、これらの工程は自動化機器の導入による投資回収が難しく、人手に頼らざるを得ないのが現状です。これらの工程で欠員が出ると、倉庫全体の処理能力(スループット)が低下し、出荷遅延や残業の常態化、最悪の場合は荷主からの受注制限に直結します。

特定技能の対象追加と倉庫オペレーションへの影響

2026年1月、政府は在留資格「特定技能1号」の対象産業分野に「物流倉庫分野」を追加することを決定しました(2026年6月に国土交通省告示が公布)。これにより、従来のトラックドライバーに続き、倉庫内のピッキング、仕分け、梱包、荷役、フォークリフト操作といったコア実務において外国人材の雇用が可能となりました。

G.A.グループの調査では、「積極的に採用したい(23.3%)」「前向きに検討したい(30.6%)」を合わせ、経営者の53.9%が特定技能外国人の採用に前向きな意向を示しています。現場の労働力を単なる「人件費削減の対象」から、倉庫の「処理能力を維持・向上させるための重要な経営資源」と再評価する動きが急速に広まっています。

調査項目 主な数値・データ 現場・経営への示唆
人手不足の実感 55.7%(非常に24.2%+やや31.5%) 過半数の倉庫が出荷処理能力の限界に直面
最も不足する作業 ピッキング・仕分け(41.8%) 自動化困難な人手依存工程で欠員が深刻化
外国人採用の意向 53.9%(積極23.3%+前向き30.6%) 労働力を「稼働維持の重要資源」と再定義
受入準備の状況 50.6%が未本格化(情報収集38.2%+未着手12.4%) 採用意欲と現場受入体制のギャップが顕在化

なぜ「外国人を入れるだけ」では物流倉庫の課題が解決しないのか

現場の受入体制と「言語・教育の壁」

同調査で「採用予定がない(46.1%)」と回答した経営者や、採用に前向きでありながら一歩を踏み出せない企業の背景には、現場の受入体制に対する強い懸念が存在します。

外国人材の受け入れに際して経営者が抱く不安要素の上位は以下の通りです:

  • 1位:言語・異文化理解の壁(39.4%)
  • 2位:安全管理や事故トラブル時の報連相(31.5%)
  • 3位:住環境整備や生活支援のコスト・手間(27.9%)
  • 4位:品質管理や業務スキルの確保(27.6%)

日本の物流現場で長年行われてきた「背中を見て覚えろ」「あうんの呼吸」といった属人的な教育方法のまま外国人材を投入しても、言葉の壁に阻まれて指示が正確に伝わりません。その結果、ピッキングミスやフォークリフト事故、早期離職を引き起こすリスクが高まります。人手を増やしても作業効率が上がらないどころか、教育負担によって日本人スタッフが疲弊するという本末転倒な事態に陥りかねません。

大手と中小企業で顕在化する「受け入れ格差」

調査結果では、特定技能外国人の受入準備について「情報収集段階(38.2%)」「未着手(12.4%)」を合わせ、全体の50.6%が本格的な準備を行えていないことが判明しました。

ここには企業規模による二極化が透けて見えます。資金力のある大手物流企業や3PL事業者は、登録支援機関の選定や自社寮の整備、多言語マニュアルの作成を速やかに進めています。一方で、資金やノウハウが乏しい中小倉庫事業者は、初期費用や支援委託費用の負担に躊躇し、準備を進められないまま人手不足によって受注上限(キャパシティオーバー)を迎えるリスクに晒されています。

国土交通省が突きつける「厳格な物流DX要件」

特定技能外国人を受け入れるためには、単に費用を用意するだけでは不十分です。国土交通省の告示では、受け入れ企業に対して以下の厳格な要件を課しています:

  • 倉庫管理システム(WMS)の導入・継続的な利活用(紙やExcel管理からの脱却)
  • 自動搬送ロボット(AGV/AMR)や自動ソーターなどのマテハン機器の活用
  • 協議会への加入と1年以内の生産性・労働安全衛生の改善実績報告

アナログな現場のまま「安価な穴埋め労働力」として外国人材を受け入れることは制度上認められません。DX投資を行えない企業は特定技能制度を活用することすらできず、人材確保の面でも淘汰される構造的な変化が起きています。

参考記事: 特定技能の物流倉庫追加で迫る!外国人材受入の5つの基準とDX要件

特定技能外国人の活用がもたらす具体的メリットと成果

稼働の安定化による出荷遅延・残業の削減

適切に受け入れ体制を整えた場合、外国人材の採用は倉庫経営に絶大な効果をもたらします。G.A.グループの調査でも、外国人採用に期待する効果として「繁忙期の人員確保(42.7%)」「安定的なシフト構築(42.1%)」「人件費の抑制(39.3%)」が上位を占めました。

安定したシフトを組めるようになることで、スポット派遣に頼る高コスト構造から脱却できます。また、出荷ピーク時にも処理能力を維持できるため、出荷遅延や常態化していた残業の削減に直結します。

育成就労から特定技能1号へ繋ぐ「最長8年」のキャリアパス

2027年以降に本格化する新制度「育成就労」と「特定技能1号」の連携により、同一または同産業分野で最長8年間の就労が可能となります。

従来の一時的な穴埋め採用ではなく、自社の作業手順や理念を熟知した「現場のリーダー候補」や「WMS・AMRを使いこなすシステムオペレーター」として外国人材を中長期的に育成・定着させることが可能になりました。

参考記事: 在留期間最大8年へ!特定技能と育成就労の連携が促す倉庫業のDX推進

作業標準化と多言語化による倉庫全体の生産性向上

外国人材を受け入れる過程で、現場の「暗黙知」を可視化し、作業標準書や直感的なピッキングシステムを整備することは、日本人スタッフを含む倉庫全体の生産性向上に寄与します。

デジタルツールやピッキングナビゲーションを活用することで、経験や言語に関わらず誰もが初日から高い精度で作業できるようになり、誤出荷率の劇的な低減が実現します。

参考記事: 特定技能に物流倉庫追加!DX必須化が各プレイヤーに与える3つの影響

物流倉庫での外国人採用・受入で失敗しないための3つの実践ステップ

ステップ1:業務の標準化と「動画マニュアル・やさしい日本語」の導入

外国人材を即戦力化するためには、現場の「見て覚えろ」を全廃し、マニュアル化を推進することが不可欠です。

30秒の短尺動画による作業の見える化

ピッキングや梱包、ハンディターミナルの操作方法を30秒程度の短尺動画として撮影し、タブレット等でいつでも確認できる環境を整えます。視覚的な理解を促すことで、言葉の壁を越えたスムーズな業務習得が可能になります。

ピクトグラムと「やさしい日本語」の活用

庫内の標識や注意事項にはピクトグラム(図記号)を多用し、指示書には難しい専門用語を避け「やさしい日本語」を用います。安全管理や報連相のルールを明確に定義し、事故トラブルを未然に防ぎます。

ステップ2:WMSと多言語インターフェースの導入による環境整備

国交省が求めるDX要件をクリアすると同時に、現場でのヒューマンエラーを防ぐためのシステム整備を進めます。

導入システム・機器 主な機能と効果 特定技能受け入れにおける役割
クラウド型WMS 在庫・作業のリアルタイム可視化 データ管理要件の充足と誤出荷防止
多言語対応ピッキングUI 端末画面の英語・ベトナム語表示 指示の誤解を防ぎ初日から高効率化
AMR/AGV(搬送ロボット) 歩行距離の削減と搬送の自動化 重労働の軽減と安全性の向上
バース管理システム トラック待機時間の削減と連動 庫内荷役オペレーションの最適化

多言語UIを搭載したハンディターミナルや音声ピッキングを活用すれば、数字や画像を確認するだけで作業を完結できるため、教育コストを大幅に削減できます。

参考記事: 株式会社天職市場が6月16日に示す物流倉庫での外国人採用の必須対応

ステップ3:入国前教育(Pre-departure Training)を行うパートナーの活用

受け入れ後の負担を激減させるためには、採用プロセス段階での工夫が欠かせません。

単に人材を斡旋するだけの仲介業者ではなく、現地で日本式の安全ルールや基礎的な倉庫実務、日本語教育を実施する「入国前教育(Pre-departure Training)」プログラムを提供する登録支援機関・パートナーを選定してください。来日時点で基礎的な業務理解ができている人材を採用することで、配属初日からの即戦力化と高い定着率を実現できます。

参考記事: 【2026年4月始動】物流倉庫「特定技能」受け入れ実務の核心とトラブル回避策【2026年07月版】

まとめ:単なる「人員追加」から「DX・標準化主導の外国人活用」へ

G.A.グループの調査結果が示す通り、2026年1月の特定技能への物流倉庫追加を受けて、過半数の倉庫経営者が外国人採用に前向きな姿勢を見せています。しかし、「とりあえず外国人を採用すれば人手不足が解決する」という安易な考え方は危険です。

外国人材を活かすためには、以下のサイクルを構築することが不可欠です:

  • 暗黙知を排除した作業標準化と動画マニュアル化
  • WMSや多言語指示端末など、国が求めるDX要件の充足
  • 入国前教育を伴う伴走型パートナーの活用とキャリアパスの提示

外国人採用を「単なる穴埋め」ではなく、現場のデジタル化と標準化を推進するための「絶好の変革の機会」と捉え直し、強靭な倉庫オペレーションを構築していきましょう。

出典: Merkmal(メルクマール)
出典: PR TIMES(G.A.グループ株式会社 プレスリリース)
出典: LOGISTICS TODAY

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにてSCM(サプライチェーン・マネジメント)改善に従事。 その後、物流系スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してLogiShiftを立ち上げ。 現在は物流DXメディア「LogiShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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