株式会社ネバーマイルは、FIA Formula 1 World Championship(F1)に参戦する「TGR Haas F1 Team」とグローバルパートナーシップ契約を締結しました。世界中を転戦しながら分刻みの過酷な輸送・管理を行うF1の最先端サプライチェーンマネジメント(SCM)の知見を取り入れることで、国内物流の高品質化と海外市場展開を加速させる先進的な試みとして注目されています。
ニュースの背景・詳細:F1という極限環境から得られるロジスティクス知見
社会インフラや基幹産業向けにソフトウェア開発および業務改革(DX支援)を展開する株式会社ネバーマイル(本社:東京都中央区、代表取締役CEO:深作康太、以下「ネバーマイル」)は、F1世界選手権に参戦する「TGR Haas F1 Team」(チーム代表:小松礼雄、以下「Haas」)とのオフィシャルパートナーシップを開始しました。
本提携は単なるスポンサーシップにとどまらず、モータースポーツの最高峰であるF1の現場で培われた高度なサプライチェーンマネジメント(SCM)および複数拠点でのグローバルオペレーション知見を、ネバーマイルのビジネスやサービス開発に統合することを主な目的としています。
提携当事者の概要比較
今回のパートナーシップを構成する両者の概要と、本提携におけるそれぞれの役割は以下の通りです。
| 項目 | 株式会社ネバーマイル | TGR Haas F1 Team |
|---|---|---|
| 本社・拠点 | 日本(東京)、ベトナム(ハノイ) | 米国(ノースカロライナ)、英国(バンベリー)、イタリア(マラネロ) |
| 主な事業・活動内容 | 社会インフラ向けソフトウェア開発、DXコンサルティング | FIA F1世界選手権への参戦およびレーシングカーの開発 |
| 代表者 | 代表取締役CEO 深作康太 | チーム代表 小松礼雄 |
| 本提携における役割 | ソフトウェア開発力とDX技術による知見のプロダクト化 | 極限状態におけるSCMノウハウやオペレーションデータの共有 |
提携の時系列と実施スケジュール
今回のパートナーシップ契約の発表および具体的な活動開始までのスケジュールは以下の通り整理されます。
| 年月日 | アクション・出来事 | 内容と詳細 |
|---|---|---|
| 2026年6月24日 | パートナーシップの公式発表 | 両社よりグローバルパートナーシップの締結を同時発表 |
| 2026年6月26日〜28日 | 露出開始(オーストリアGP) | F1マシン「VF-26」、ガレージ、デジタル資産にネバーマイルロゴを掲載 |
| 2026年後半以降 | ノウハウ共有とグローバル展開 | オペレーション知見の共有推進、海外市場における事業機会の創出 |
当事者トップのコメントと狙い
本パートナーシップ締結にあたり、双方の代表者は以下のようにコメントを発表しています。
- 小松礼雄(TGR Haas F1 Team チーム代表)
「ネバーマイルのように卓越性と価値の創出に注力するパートナーを迎えられたことを大変嬉しく思います。彼らの専門知識と私たちのチームオペレーションを融合させることで、効率性をさらに高め、相互に大きなメリットを生み出していきたいと考えています」 - 深作康太(株式会社ネバーマイル 代表取締役CEO)
「F1はモータースポーツの最高峰であると同時に、世界最高水準のオペレーション精度が求められる現場です。本提携を通じて、グローバルなオペレーション知見の共有や海外市場での事業機会獲得を進め、当社のサービス価値向上と企業成長を加速させていきます」
なぜ「F1」なのか:極限のモータースポーツが求める「究極のSCM」
F1は年間20戦以上に及び、世界各国を転戦する世界最大のモータースポーツイベントです。しかしその実態は、数千トンに及ぶ機材、精密パーツ、レース車両、燃料を、寸分の狂いもなくタイムスケジュール通りに現地へ送り届け、設営・撤収を繰り返す「究極のグローバルサプライチェーン現場」でもあります。
特にHaasは、アメリカ(カナポリス)、イギリス(バンベリー)、イタリア(マラネロ)という3カ国に開発・運用拠点を分散させる多国籍オペレーションを採用しています。国境を跨ぐ複雑な物流管理、分刻みの輸送管理、パーツ欠品がレース棄権(即ち莫大な損害)に直結するダウンタイムゼロのプレッシャーなど、物流・SCMにおける課題が最も凝縮された環境と言えます。
ネバーマイルはこの極限状態で培われる「リソースの最適化」「リスクの未然防止」「迅速な意思決定プロセス」を直接学び取り、自社のソフトウェアやコンサルティングサービスに落とし込むことを狙っています。
業界への具体的な影響:モータースポーツの知見が国内物流を変革する
今回のパートナーシップは、国内の物流テック企業がグローバルなスポーツチームから最先端のオペレーション思想を導入する「知の逆輸入」の先駆けとなります。業界の主要プレイヤーに対して、以下のような具体的な影響が予測されます。
SaaS・テクノロジーベンダーへの影響:極限データの活用によるプロダクト進化
物流SaaSやSCMツールを提供するITベンダーにとって、本件はソフトウェアの機能要件を一段上のレベルへ引き上げる契機となります。
従来の国内向け物流ソフトウェアは、定型的な配車管理や倉庫内の在庫管理(WMS)を中心とした「実績管理」に重点が置かれていました。しかし、F1現場のような「例外事象(輸送遅延、悪天候、パーツ破損など)が前提の過酷な環境」で鍛えられたロジックを取り入れることで、予兆検知やリアルタイムな代替ルート算出といった高度な「実行系SCM」機能の開発が促されます。これにより、日本発の物流SaaSがグローバル市場でも通用する高い耐障害性を備えるようになります。
参考記事: Blue Yonderが描く2026年型SCM!AI実行ギャップゼロに直結する協業
倉庫事業者・3PLへの影響:「ダウンタイムゼロ」思想による現場効率の向上
倉庫事業者や3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業者にとっては、最先端のSCM思想が反映されたツールやコンサルティングを受けることで、従来の改善手法では限界があった現場オペレーションの飛躍的効率化が可能になります。
F1のピットストップやガレージ設営に見られる「1秒の無駄も許さない動線設計とリソース配置」は、物流倉庫におけるピッキング動線の最適化やバース管理、作業員の配置計画と極めて高い親和性を持っています。ダウンタイム(作業停止時間)を最小化するノウハウが現場にフィードバックされることで、人手不足に悩む日本の倉庫・配送現場において、稼働率の向上と作業負荷の軽減を同時に実現する道が開かれます。
参考記事: 4PL(フォースパーティ・ロジスティクス)とは?3PLとの違いや導入メリット、選定基準をわかりやすく解説
物流業界全体の構造的変化:国内完結型DXからの脱却と「知の逆輸入」の波
日本の物流業界は長らく、国内特有の商習慣や多重下請け構造に対応するための「国内最適化」を進めてきました。しかし、物流2024年問題以降の輸送能力不足や地政学リスクの高まりにより、従来の延長線上での改善には限界が見えています。
ネバーマイルの取り組みは、日本の物流スタートアップが「国内課題の解決」という小さな枠組みを脱し、グローバル最高峰の現場からSCMのスタンダードを汲み上げて国内へ還元する構造変化を象徴しています。異業種かつ世界水準のオペレーション手法を積極的に取り入れる「知の逆輸入」の動きは、今後の物流DXにおける新たな潮流となるでしょう。
参考記事: 【図解】ロジスティクスDXとは?サプライチェーンを最適化する5つの手順と効果を徹底解説
LogiShiftの視点(独自考察):予防型ロジスティクスと実行ギャップの解消
F1の現場において「輸送が遅れたためレースに出走できない」「パーツの届く順番がずれたためマシンが組み上がらない」といった事態は許されません。あらゆるリスクを事前に織り込んだサプライチェーン構築が重要となります。
この「パーツ1つの遅延も許されない極限環境」におけるSCMの思想は、2024年問題以降の日本国内の物流現場が直面している「限られたトラックと人員で、滞りなく商品を届ける」という課題の解に直結します。
これまでの物流管理は、トラブルが発生した後に人間が電話やメールで調整を行う「後追い型(受動的)」の対応が主流でした。しかし、ネバーマイルがTGR Haas F1 Teamとの提携で吸収しようとしているのは、トラブルが発生する前に異常を検知し、代替手段を自動で準備する「予防型ロジスティクス」の思想です。
アメリカ、イギリス、イタリアの3拠点間で複雑なパーツ供給ラインを同期させるHaasのノウハウを、ネバーマイルがシステムやアルゴリズムとして昇華できれば、計画と実行のタイムラグである「実行ギャップ」を極限までゼロに近づけることが可能になります。単なるコスト削減のためのIT化を超え、途切れない供給網(レジリエンス)を構築する手段として、このパートナーシップが日本の物流現場にもたらす示唆はきわめて大きいと言えます。
まとめ:明日から意識すべき3つのアクション
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自社現場のダウンタイム(非稼働時間)を可視化する
荷待ち時間や手持ち時間、情報伝達待ちなど、現場に潜む「1秒の無駄」を定量的に測定し、改善のインパクトを試算する。 -
「発生後の対応」から「予兆検知」へのシフトを検討する
遅延やミスが発生してから対処するのではなく、データを用いてトラブルの兆候を事前に把握するプロセスをWMSやTMSの運用に組み込む。 -
グローバル標準のSCM視点を取り入れる
自社内や自国のみの閉じたオペレーションにとらわれず、異業界や海外の高度なサプライチェーン手法をベンチマークとして評価・採用する。
出典: LOGI-BIZ online
出典: 株式会社ネバーマイル
出典: Haas F1 Team


