GMOメイクショップ、日本郵便、JPデジタルの3社は、7桁の英数字コード「デジタルアドレス」とECカートを連携させ、全国約7,000箇所の「PUDOステーション」における荷物受け取りをスムーズにする実証事業を2026年11月より開始します。EC購入時の住所入力の手間を解消しつつオープン型スマートロッカーへの集約を促す本取り組みは、ラストワンマイルの再配達削減とECコンバージョン率向上の両立を図る実効性の高い施策として注目を集めています。
GMOメイクショップと日本郵便らが挑む「デジタルアドレス」実証事業の全貌
EC市場の拡大に伴う宅配荷物の増加と、物流現場における深刻なドライバー不足を背景に、配送の効率化と再配達削減は物流・EC業界共通の最重要課題となっています。こうした中、GMOメイクショップ株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長CEO:向畑 憲良)、日本郵便株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:小池 信也)、株式会社JPデジタル(東京都千代田区、代表取締役CEO:飯田 恭久)の3社は、Packcity Japan株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長CEO:柳田 晃嗣)の協力を得て、新たな配送・受け取り体験の実証事業を開始することを発表しました。
本実証事業は、国土交通省が公募した「物流負荷の低減に向けた多様・柔軟な受取・注文方法の普及促進事業費補助金」の対象事業として、2026年7月31日に正式採択され、同年8月5日に各社から共同発表されました。実証事業の本格稼働は2026年11月を予定しています。
プロジェクトの核となるのは、日本郵便が導入を進める「デジタルアドレス」と、Packcity Japanが全国約7,000箇所に展開するオープン型スマートロッカー「PUDOステーション」の高度な連携です。従来のEC購入プロセスにおいて大きなハードルであった「購入時の住所入力」や「受け取り用ロッカーの複雑な指定操作」をデジタル化によって一元処理し、消費者が自身の生活動線上で荷物をスムーズに受け取れる環境を整備します。
実証事業の全体像と参画各社の役割分担
本プロジェクトは、ECプラットフォーム、配送インフラ、デジタル技術基盤を提供する企業がそれぞれの強みを持ち寄り、三位一体となってラストワンマイルの課題に挑む構造となっています。参画企業の資本関係および具体的な役割分担は以下の通りです。
| 企業名 | グループ・資本関係 | 実証事業における主な役割 |
|---|---|---|
| 日本郵便株式会社 | 日本郵政グループ | 「デジタルアドレス」を活用した配送・受取仕組みの企画・設計および全体推進 |
| 株式会社JPデジタル | 日本郵政グループ(日本郵便子会社) | デジタルアドレスとECシステム・ロッカーをつなぐ連携システムの開発 |
| GMOメイクショップ株式会社 | GMOインターネットグループ | 自社EC構築サービス(「makeshop byGMO」等)でのUI/UX設計と受取機能の実装 |
| Packcity Japan株式会社 | ヤマトホールディングスと仏Quadientの合弁会社 | スマートロッカー「PUDOステーション」(全国約7,000箇所)および実証環境の提供 |
本実証事業では、日本郵便傘下のデジタル推進会社であるJPデジタルがシステム基盤の構築を担い、GMOインターネットグループでEC支援事業を展開するGMOメイクショップが自社のECプラットフォーム上に受取指定画面を実装します。さらに、ヤマトホールディングスと仏Quadient社の合弁会社であるPackcity Japanがロッカーインフラを提供することで、会社やグループの垣根を越えたオープンな物流エコシステムが形成されています。
「デジタルアドレス」の仕組みと7桁コードがもたらす革新
実証事業の核となる「デジタルアドレス」は、複雑な住所情報をわずか7桁の英数字コードに変換・表現する新しい住所デジタル化インフラです。
従来のEC注文では、ユーザーが都道府県から建物名、部屋番号まで手入力する必要があり、スマートフォン画面での誤入力や入力離脱(カート落ち)が課題とされていました。また、受け取り場所としてスマートロッカーやコンビニエンスストアを指定する場合、地図画面から該当する店舗やロッカーを検索して選択する不慣れな操作が求められ、利用のハードルとなっていました。
デジタルアドレスを活用することで、以下の革新的な機能とメリットが実現します。
1. 入力負荷の大幅な低減とカート落ち防止
購入者はあらかじめ登録した7桁のコードを入力するだけで、正確な配送先情報がカートシステムに反映されます。モバイル端末での入力ストレスが軽減され、購買完了までのプロセスが短縮されます。
2. 引っ越し時の住所変更の一括化
引っ越し等で物理的な住所が変更された場合でも、デジタルアドレスの管理画面で元情報を一度更新すれば、コード自体を変更することなく新しい住所へ配送させることが可能です。
3. プライバシー保護機能の強化
7桁のコード単体からは、購入者の具体的な居住地や建物情報を読み取ることができません。また、氏名や住所からコードを検索・逆引きできない設計となっており、個人情報管理の観点からも高い安全性を誇ります。
4. ロッカー受取指定のシームレス化
ECサイトでの注文時、デジタルアドレスとPUDOステーションの管理システムが裏側で連動することにより、購入者は自身の生活動線上にある最適なロッカーを迷うことなく指定できるようになります。
本プロジェクトに関するこれまでの経緯とロードマップ
本実証事業は突然立ち上がったものではなく、日本郵便が推進してきた住所DXの構想と、国の物流効率化政策が合致したことで結実した取り組みです。これまでの経緯と今後の予定は以下の通り整理できます。
| 年月 | 出来事・マイルストーン |
|---|---|
| 2025年5月 | 日本郵便が住所情報を7桁コードに変換する「デジタルアドレス」サービスを提供開始 |
| 2026年1月 | 日本郵便、GMOメイクショップ、Packcity Japan、楽天グループ、東京大学などが参画する「デジタルアドレス・オープンイノベーション」コンソーシアムが発足 |
| 2026年7月31日 | 国土交通省「物流負荷の低減に向けた多様・柔軟な受取・注文方法の普及促進事業費補助金」に対象事業として正式採択 |
| 2026年8月5日 | 参画4社が実証事業の実施および補助金採択を共同発表 |
| 2026年11月(予定) | 「makeshop byGMO」等のECサイト上で「デジタルアドレス×PUDO」連携実証事業を開始 |
このように、2025年にサービスインしたデジタルアドレスの基盤をもとに、2026年1月には産学連携のコンソーシアムが立ち上がり、国の補助金採択を経て2026年11月の現場実証へと段階的に着実に進展しています。
デジタルアドレス×スマートロッカーが各プレイヤーに与えるインパクト
「デジタルアドレス」と「PUDOステーション」の融合は、単なる機能の追加にとどまらず、EC事業者、運送事業者、消費者のそれぞれに対してラストワンマイルのあり方を根本から変えるインパクトをもたらします。
EC事業者(荷主)への影響:住所入力の負荷軽減と購入完了率(CVR)の向上
ECサイト運営者にとって、購入手続き(チェックアウト)画面での離脱を防ぐことは売上に直結する最重要課題です。
特にスマートフォンからの購入では、住所入力の入力間違いや面倒さから離脱するユーザーが一定数存在します。GMOメイクショップが提供する「makeshop byGMO」や「GMOクラウドEC」を利用する事業者は、本実証事業の成果によってデジタルアドレス決済・受取機能を標準的に利用できるようになります。これにより、入力の手間を削ぎ落としたスムーズな購買体験を提供でき、CVR(コンバージョン率)の向上が期待されます。
また、従来は自社ECサイトにスマートロッカー指定機能を組み込もうとすると、個別のロッカー事業者ごとにシステム開発やAPI連携を行う必要があり、コスト面での負担が大きい状態でした。デジタルアドレスという共通の基盤を介することで、EC事業者は開発コストを大幅に抑えながら、PUDOステーションをはじめとする多様な受取選択肢を自社サイトに導入可能となります。
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運送事業者・配送現場への影響:戸別配送から拠点受取へのシフトによる再配達削減
ドライバー不足や時間外労働の上限規制への対応が求められる運送事業者にとって、再配達の削減は急務となっています。住宅街やマンション群での戸別配送は、不在時の持ち帰りや再訪問が発生しやすく、配送効率を低低下させる要因です。
デジタルアドレスの普及によってEC利用者のPUDOステーション受取へのシフトが進めば、配送トラックは1箇所で複数の荷物をまとめて納品できる「拠点集約型配送」を実現できます。全国約7,000箇所に設置されているPUDOステーションへ荷物を集約できれば、ドライバーの移動距離および走行時間の削減、車両燃料費の抑制、さらには二酸化炭素(CO2)排出量の削減に直結します。
さらに、配達時の不在持ち帰りが大幅に減少することで、配達員の労働環境改善や配送キャパシティの有効活用が可能となり、持続可能な配送網の維持に寄与します。
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参考記事: PUDOステーション入門|仕組み・対応事業者と受取・発送手順を解説
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消費者(エンドユーザー)への影響:「荷物を待つ」負担からの解放と生活動線上の受取習慣化
消費者の視点においては、配送を待ち受けるストレスからの解放と、受取の自由度の飛躍的な高まりが期待されます。
共働き世帯や単身者の増加に伴い、「指定した時間帯に在宅しなければならない」「インターホンが鳴ることに対応するのが煩わしい」といった生活上の不便が存在していました。デジタルアドレスを用いて駅やスーパー、コンビニ等に設置されたPUDOステーションを受け取り場所に指定できれば、通勤通学や買い物のついでに24時間都合の良いタイミングで荷物を受け取ることが可能になります。
これまで「ロッカー指定の操作が面倒」だと敬遠していた層にとっても、デジタルアドレス連携によって購入プロセスが簡略化されることで、スマートロッカーの利用が身近な選択肢へと変わっていきます。
参考記事: 置き配サービスとは?主要キャリアの設定手順から盗難対策、EC導入のシステム要件まで解説
LogiShiftの視点:物流の起点が「物理住所」から「デジタルID」へと移行する意義
本実証事業が持つ真のインパクトは、単なる「ロッカー受け取りの利便性向上」にとどまりません。日本の物流構造が、従来の「物理的な住所(配送先)」を起点とするモデルから、「個人のデジタルID(コード)」を起点とするモデルへと根本的にシフトし始めた点にあります。
ECプラットフォームと物流インフラのシームレスな統合がもたらす地平
従来、ECプラットフォーム(フロントエンド)と配送事業者(バックエンド)の間には、住所フォーマットの違いやロッカー指定システムの非互換性といったシステム上の断絶が存在していました。そのため、荷主や運送会社は個別にAPIを開発するか、手作業に近い形で受取拠点を照合せざるを得ませんでした。
今回の取り組みでは、GMOメイクショップのEC構築機能、日本郵便のデジタルアドレス、JPデジタルのシステム開発力、Packcity Japanのオープン型スマートロッカー(全国約7,000箇所)という、各領域の主要プレイヤーが標準化規格としてデジタルアドレスを採用しています。
ECカートとロッカーインフラがデジタルIDを介してシームレスに統合されることで、将来的に「あらゆるECカートで、注文時に自動的に最寄りの空きロッカーが提案される」ような高度なオンデマンド受取インフラの構築が可能になります。
「個人情報保護」と「配送効率化」を両立する持続可能なラストワンマイル設計
2026年の物流現場においては、労働力不足への対応だけでなく、個人情報保護に対する消費者意識の高まりへの配慮も不可欠です。フリマアプリやEC取引の拡大に伴い、伝票上の氏名や詳細住所の露出を回避したいというニーズは年々高まっています。
デジタルアドレスは、7桁の英数字コードによって居住地や個人情報を伏せたまま配送・受取を行える特性を持っています。これはプライバシー保護の観点から消費者に安心感を与えるだけでなく、配送事業者にとっても伝票情報の取り扱いリスクを低減させる効果をもたらします。
「消費者のUX向上」「EC事業者のCVR向上」「運送事業者の再配達削減」「プライバシーの保護」という4つの要素を同時に満たすデジタルアドレスの取り組みは、2026年以降の持続可能なラストワンマイル物流における1つの完成形を示していると言えます。
まとめ:EC・物流関係者が明日から意識すべき3つのアクション
GMOメイクショップ、日本郵便、JPデジタル、Packcity Japanによる実証事業は、2026年11月の開始に向けて着実に歩みを進めています。EC事業者や物流担当者がこの変化に対応するために、明日から取り組むべきアクションは以下の3点です。
- 自社ECにおける購入画面のUXと受取選択肢の現状を数値化する
自社ECサイトにおいて、チェックアウト画面での「住所入力離脱率」や「不在再配達率」を把握することが第一歩です。デジタルアドレスやオープンロッカー等の新しい受取手段が導入された際にどの程度の改善効果が見込めるか、事前にシミュレーションを行うことが推奨されます。 - 拠点受け取りやオープン型スマートロッカーを活用した配送設計を検討する
運送事業者や物流統括管理者は、個別の戸別訪問に依存した配送モデルから、PUDOステーションをはじめとするドロップオフポイントを活用した集約型配送へのシフトを検討すべきです。自社の主要配送地域におけるロッカー設置状況を可視化し、集約配送のルート設計を進めることが求められます。 - 2026年の法改正と業界標準規格(共創型インフラ)の動向を注視する
2026年は改正物流効率化法の本格施行など、物流の効率化と荷主・事業者の連携が義務化される重要な局面です。個社単独での課題解決には限界があるため、本実証事業のような「共創型プラットフォーム」やオープンな標準規格に積極的に参画・対応していく姿勢が、今後の自社物流の持続可能性を決定づけます。
出典: LOGI-BIZ online
出典: PR TIMES
出典: LOGI-TODAY



