株式会社ROMSは2026年8月21日、同社の省スペース型ケース自動倉庫「Nano-Stream」と、株式会社ロジレスが提供するEC自動出荷システム「LOGILESS」の倉庫向け機能オプションプランにおいて、API連携を開始したと発表しました。EC物流のボトルネックであったマテハン設備とバックオフィスシステム間のデータ分断を解消し、1台の自動倉庫内で複数荷主の商品を柔軟に管理できる運用基盤を確立する重要な取り組みです。
ROMS「Nano-Stream」と「LOGILESS」API連携の全貌
EC市場の拡大に伴い、多品種小口化する出荷への対応や波動への即応、物流現場における深刻な人手不足への対策が急務となっています。今回のシステム連携は、ハードウェアである立体自動倉庫と、ソフトウェアであるOMS(受注管理システム)およびWMS(倉庫管理システム)の一体型クラウドサービスをシームレスに結びつけるものです。
まずは、本連携のファクトと運用的特徴を以下の表に整理します。
| 項目 | 詳細な事実関係 | 運用的・技術的特徴 |
|---|---|---|
| 発表日・連携主体 | 2026年8月21日、株式会社ROMSおよび株式会社ロジレス | ケース自動倉庫とクラウド型EC自動出荷システムのAPI接続 |
| 対象システム | ケース自動倉庫「Nano-Stream」、EC自動出荷システム「LOGILESS Plus[WMS]」 | 双方のシステムをデータ連携させ、手動データ加工を撤廃 |
| 主要機能 | 入出庫指示の自動反映、複数荷主の混在保管、リレーピッキング、送り状即時出力 | 帳票バーコード読み取りによる即時伝票発行や内外買い合わせ対応 |
| 導入効果の実績値 | 地区宅便の先行導入事例では保管効率約3倍、作業人員を4分の1に削減 | 100平方メートル規模の狭小スペースから導入可能な高密度GTP運用 |
CSV手動運用の完全撤廃と送り状発行のシームレス化
従来の自動倉庫導入において頻発していた課題が、上位の出荷管理システムとマテハン制御システムの間で発生する「CSVファイルの加工・手動アップロード作業」でした。この中間作業は現場管理者の工数を圧迫するだけでなく、ファイル取り込みのタイムラグや指示漏れ、転記ミスなどのヒューマンエラーを引き起こす要因となっていました。
今回のAPI連携により、「LOGILESS」に登録された商品マスタ、入出庫指示、在庫データが「Nano-Stream」へリアルタイムで自動同期されます。さらに、Nano-Streamでピッキングが完了した際に発行される帳票のバーコードを現場で読み取るだけで、「LOGILESS」から対応する配送キャリアの送り状が即座に出力されるフローを構築しました。これにより、ピッキングから検品・梱包・ラベル貼りまでのリードタイムが極限まで短縮されます。
1台の自動倉庫で実現する「複数荷主の混在保管」と「リレーピッキング」
本連携の最大の強みは、1台の自動倉庫設備内で複数荷主の在庫を正確に区別して管理できる「混在保管」に対応した点です。
一般的な自動倉庫では、荷主ごとに保管エリアや棚を固定的に分離して割り当てることが多く、荷主ごとの在庫増減によって局所的な空きスペース(デッドスペース)が発生し、全体の保管効率が低下する問題がありました。LOGILESSの高度なマルチテナント管理機能とNano-Streamの在庫制御アルゴリズムが連動することで、荷主の垣根を越えて同一設備内の空きコンテナへ動的に商品を格納することが可能となり、設備全体の収容効率を最大化できます。
また、自動倉庫内の保管商品と、大型商品など自動倉庫外の平置き棚に保管されている商品が同一の注文に含まれる「買い合わせ」のケースに対しても、システム指示に基づく「リレーピッキング」で対応可能です。作業員は迷うことなく内外の在庫をスムーズに集約・梱包できます。
自社内製ハードウェア「Nano-Stream」のスペックと協業背景
ROMSが手掛ける「Nano-Stream」は、ハードウェアおよび制御ソフトウェア(WES/WCS)を国内自社開発している省スペース型のケース自動倉庫です。コンベヤレス設計を採用し、着脱式ラックハンガークレーンとケース搬送AGV(無人搬送車)を組み合わせたGTP(Goods-to-Person:定位置ピッキング)方式を実現しています。
約100平方メートルから200平方メートルといったコンビニ店舗1〜2軒分ほどの狭小スペースから導入可能であり、天井高5メートル前後の既存倉庫における上部空間を12段などの立体保管スペースとして有効活用できます。セイノーグループの株式会社地区宅便における導入事例では、設置面積を増やすことなく保管効率を従来の約3倍に高め、ピッキング作業人員を4人体制から1人運用相当(4分の1)へ省人化した実績を持っています。
ROMSとロジレスは、今回の自動倉庫連携に先立ち、ROMSが提供する「梱包アシストAI」と「LOGILESS」のシステム連携を完了させており、今回のAPI連携によってECバックヤード全体の自動化・省人化に向けた協業関係をさらに強固なものへと発展させています。
参考記事: LOGILESSとは?OMS・WMS一体型でEC物流を自動化する機能や料金、導入のメリットを解説
参考記事: 株式会社地区宅便、200平米の自動倉庫で保管3倍・既存倉庫の収益化に直結
参考記事: NTTロジスコ1700㎡自動倉庫導入!WMS開発ゼロで実現する投資削減2つの鍵
業界各プレイヤーに波及する具体的な影響
ハードウェアとクラウド型ソフトウェアの標準API連携は、物流サプライチェーンに関わる各プレイヤーのビジネスモデルに直接的な影響を与えます。
3PL・倉庫事業者:小規模荷主の集合体による自動化ROIの成立
中堅・中小の3PL事業者にとって、自動倉庫の導入は長年ハードルの高い投資でした。単一の荷主のために数億円規模の設備を導入すると、その荷主が撤退・縮小した瞬間に設備が遊休化する経営リスクを抱えるためです。また、複数の小規模EC荷主を抱える倉庫では、荷主ごとに管理システムや保管エリアが分断され、自動化設備の共用が困難でした。
今回の連携により、1台の「Nano-Stream」内に複数荷主の商品を柔軟に混在保管できるようになったことで、小規模なEC荷主を複数束ねて1台の自動倉庫を高稼働させることが可能になります。3PL事業者は既存の狭小な倉庫空間を高密度な収益スペースへと転換でき、固定費リスクを抑えながら短期間での投資回収(ROI)を実現できます。
EC事業者:システム開発コストゼロで大手水準のフルフィルメントを享受
自社物流を持つEC事業者や、委託先を探すEC事業者にとっても大きなメリットが生じます。
OMSとして「LOGILESS」を利用しているEC事業者は、自社倉庫に「Nano-Stream」を導入する際、巨額の追加システム開発費を投じることなく、プラグアンドプレイ感覚で自動倉庫オペレーションを立ち上げることができます。また、同システムを導入している3PL事業者に委託する場合でも、受注データの取り込みから出荷までのリードタイム短縮、誤ピッキングの撲滅、突発的なセール時の出荷波動への耐性といった恩恵を即座に享受できます。
参考記事: OMSとは?WMSとの違いや在庫連携によるECバックヤード自動化の仕組みを解説
参考記事: 物流自動化とは?導入メリットや主要設備・失敗しない進め方を徹底解説
マテハン・物流IT業界:個別受託開発から「標準API連携」へのパラダイムシフト
これまで物流機器(マテハン)の導入といえば、顧客の既存システムに合わせて個別にSI(システムインテグレーション)を行い、多額の開発費と数カ月以上の結合テスト期間をかけるのが通例でした。
しかし、ROMSとロジレスの取り組みは、WMS/OMSとマテハン制御システムが最初から標準APIで結びつくエコシステムの優位性を示しています。今後は「どれだけ素早く、開発工数をかけずに既存のSaaSとつながるか」が物流機器選定の決定的な評価軸となり、ベンダー各社にはオープンなAPI接続性と標準化への対応が強く求められることになります。
参考記事: 日本出版販売、自動倉庫91台連携で処理能力3倍になり3PL拡大が加速
LogiShiftの視点|ハードとソフトの「プラグアンドプレイ化」が解き放つ物流DX
物流専門メディア「LogiShift」の視点から本ニュースを分析すると、日本の物流自動化が「設備の個別最適」から「ハードとソフトの疎結合による全体最適」へ完全にシフトしたことが読み取れます。
「設備を建てるDX」から「APIで接続するDX」への転換
従来の自動倉庫導入プロジェクトは、建屋の建設や大規模な床改修を伴う数億円〜数十億円規模の重厚長大な投資が中心でした。しかし、地価や建築資材費が高騰し、労働供給が急減する現代においては、既存の拠点をいかに迅速にアップデートできるかという機動性が問われます。
ROMSの「Nano-Stream」が持つ100〜200平方メートルから設置可能なモジュール性と、LOGILESSのクラウド型マルチテナント管理機能がAPIで直結したことは、物流インフラが「プラグアンドプレイ」の時代に入ったことを意味します。現場は複雑なSI開発に頭を悩ませることなく、必要なハードウェアを必要な規模だけ導入し、SaaSをつなぐだけで即座に高度な自動化環境を稼働させることができます。
複数荷主混在保管が切り拓く「都市型シェアリングフルフィルメント」
1台の自動倉庫内での複数荷主混在保管の実現は、単なる機能追加にとどまらず、都市型物流のビジネスモデルを進化させます。
消費地に近い都市近郊の中小倉庫において、複数のD2C・EC事業者の商品を1つの立体保管セル内で最適に混載・管理できるようになれば、配送距離の短縮と高密度保管によるコスト低減を両立する「シェアリング型フルフィルメントセンター」の構築が現実味を帯びてきます。巨額の資本を持つ大手プラットフォーマーでなくとも、中堅3PLが機動的な自動倉庫ネットワークを形成して競争優位を築く道筋が、このシステム連携によって切り拓かれました。
まとめ|持続可能な出荷体制構築に向けて明日から意識すべき3つのアクション
ROMSのケース自動倉庫「Nano-Stream」とロジレスの「LOGILESS」によるAPI連携は、ハードウェアの保管能力とソフトウェアの処理能力を最も摩擦の少ない形で融合させた先進事例です。
荷主企業や倉庫事業者の経営層・現場リーダーが、明日から取り組むべきアクションを以下の3点に整理します。
1. マテハン導入検討時に「標準API連携の有無」を必須要件に設定する
自動化設備の選定において、クレーンの搬送速度やハードウェア単体のスペックだけでなく、自社で利用しているOMS/WMSとのAPI接続実績があるかを最優先の評価基準に組み込んでください。個別開発を前提としないシステムアーキテクチャを選ぶことが、導入工期と初期投資の大幅な圧縮につながります。
2. 自社倉庫の「天井デッドスペース」を容積ベースで再棚卸しする
床面積(坪数)だけで倉庫の収容力を評価する固定観念を捨て、天井までの空間(立米)を計測してください。100〜200平方メートルの狭小エリアであっても、上部空間を活用した立体自動倉庫を導入することで、保管効率を3倍に高められる潜在能力があるかを検証する価値があります。
3. 複数荷主の混在保管を前提とした3PL事業計画を再設計する
自動倉庫投資を単一荷主の受託案件だけで採算計算するのではなく、小規模なEC荷主を複数束ねて1つの設備でシェアリング運用するビジネスモデルを検討してください。荷主ごとの波動リスクを分散させながら、設備の稼働率を年間を通じて高水準に維持する攻めの営業戦略を構築しましょう。
出典: 物流(ロジスティクス)ニュース LNEWS
出典: PR TIMES
出典: CommercePick
出典: 株式会社ROMS 公式サイト



